そして、今年もよろしくお願いします。
今年中に五章まで終われるかな...。
side Renata Scarlet
「お姉様、今日はフランの部屋で一緒に寝ませんか?」
「...急にどうしたの?」
十二月三十一日、今年最後の日に起きて、すぐにお姉様の部屋に向かった。...と言っても隣の部屋だけど。
「いえ、今日は今年で最後の日なので...最後の日くらい三姉妹で一緒に居てもいいかなー...って思いましたので。」
「今年最後の日はもう数分程度で終わるわよ?」
「あっ...それもそうでした...。」
前世が人間だったせいか少し時間とかの感覚がおかしくなってる。
「それに、今までそんなことやってなかったでしょ?どうして今日はそうしようと思ったの?」
「んー...フランが恋しくなったので。」
「毎日会ってるでしょ。...でも、まぁ...一緒に寝るのはいいわよ。その代わり、本当の理由を教えてくれないかしら?」
「え、ほ、本当の理由ですか...?...えーと...特に理由は無いですよ?」
本当は最近、お姉様が忙しそうだから息抜き程度に...って思ってるんだけど...お姉様...プライド高い方だし、言わない方がいいよね。ちなみに忙しい理由は次期当主としての勉強とかがあるかららしい。結局、次期当主として長男が欲しいと言っていたお父様だが...長女であるお姉様を次期当主にするらしい。
「...言い方を変えるわ。本当の理由を言わない限り一緒に寝ることは許可しないわ。...まぁ、許可とか言ったけど本当は私が許可しても駄目なんだけど...。」
まぁ、それは私も知ってるけど...お姉様の能力を使った方がバレにくいし...お父様達と違って許可してくれやすいし...。
「うー...ほ、本当に理由とか特にないですよ?」
「そう。じゃあ、この話は無かったこと────」
「ま、待ってください!...本当は...お姉様が最近忙しそうにしてたから...息抜き程度になればいいなー...って思ったんです...。」
「...そうね...本当の理由を言ったみたいだし...フランの部屋で一緒に寝てもいいわよ。...それと、心配かけてごめんね。心配してくれて...ありがとう、レナ。」
よし!!お姉様から許可もらえたからこれでフランとも一緒に寝れる。フランの部屋で寝る理由は...私としては...出来るだけフランが一人で居させたくないから...フランとも一緒に寝ようと思ったのだ。それに、三姉妹一緒に居るだけで楽しいし...。
「...お姉様、お礼とかいらないですよ。さ、そうと決まったら早くフランの部屋に────」
「レナ、貴女...まだ起きてから数分程度しか経ってないと思うんだけど...魔術の練習とかしてないのに行ってもいいと思ってるのかしら?」
「あ...少し急ぎすぎました...。...お姉様、絶対に約束は守って下さいね。」
「勿論、守るわよ。さ、そろそろ練習に行きましょうか。...あ、もう来年...いえ、今年になったわね。」
お姉様と話しているうちにいつの間にか年を越していたようだ。んー...やっぱり、年を越したって感じがしないなぁ...。
「え...あ、そうみたいですね。お姉様、あけましておめでとうございます。そして、今年もよろしくお願いします。」
「えぇ、今年もよろしくね。さ、早く終わらせてフランに会いに行きましょうか。」
「はい!」
そう言って私達は練習へと向かった────
──数時間後 紅魔館(フランの部屋)
「フラン、入るわよ。」
「フラン〜、入りま...わっ!?」
私達がそう言って入ろうとしたらフランが私に飛びついてきた。
「おねーさまぁ...大好きぃ!」
「え、あ、ありがとうございます。」
「...ふ、フラン?いつもと様子が違うくないかしら?」
「レミリアおねーさまも大好きだよぉ。」
そう言ってフランがお姉様にも抱きついた。
...お姉様の言う通り、本当にいつもとフランの様子が違う...。どうしたんだろう?
「レミリアおねーさまぁ...レミリアおねーさまで遊んでもいい?」
そう言ってフランの口が三日月のように歪み、お姉様を押さえつけた。
...あ、これ駄目なやつだ...。
「!れ、レナ、早くフランを止め────」
「どうしたのぉ?勿論...私と一緒に遊んでくれるよねぇ?...私と遊んでくれないお姉様なんて...消しちゃおうかなぁ?」
「大丈夫よ!ふ、フラン、一緒に遊んであげるわ!でも、私では遊ばないで!多分、私が死んじゃうから!」
「...フラン、元に戻って下さい。」
そう言って私はフランに触れた。
「え?...あ、あれ?レミリアお姉様?お姉様?...どうしてレミリアお姉様は私につかま...あ...ご、ごめんなさい。...また私...やっちゃったんだね...。」
「...フラン、大丈夫よ。まだ怪我とかしてないし...貴女のせいじゃないから。それに...運命を見てなかった私も悪いわ。...見てたらフランにこんな思いをさせずにすんだのに...。」
「ち、違うわ!私が悪いの!だから...れ、レミリアお姉様のせいじゃないわ!」
フランが今にも泣きそうな顔でお姉様に言った。
「フラン...お願いだから...そんな顔しないで。」
「だって!...だって...レミリアお姉様を傷付けそうになったんだよ!?だから────」
「フラン!...誰のせいでもないですよ。貴女の意思でお姉様を襲ったわけではないですから。...それに、お姉様も...運命を見なかったとしても止めれるかどうか分からなかったんですし...お姉様も自分を責めないで下さい。」
「...そうね。誰も悪くないわ。...フラン...泣かないで。それに、私は何ともなかったわけだし…。」
「...レミリアお姉様、お姉様...う、うわぁぁぁん!」
そう言ってフランが完全に泣いてしまった。
...多分、安心して泣いたのと同じ感じなのかな。...まぁ、いつも気が狂って戻った時は泣きやすいけど...。感情が不安定になっているのかな?
「え、ふ、フラン...。...フラン、大丈夫だから...泣きやんで?...あ、そうだわ。今日はレナの提案で一緒に寝ることになったのよ。ね?レナ。」
「はい、そうですよ。フランも嬉しいですよね?」
「グスッ...嬉しいけど...本当に...?またお父様達に怒られないの?」
たまに私だけでフランの部屋で寝ているけど...お父様にそれがバレたことが一回だけある。その時は結構怒られた...。
「大丈夫よ。今回は私がいるから...私が能力を使って出来るだけお父様達にバレないようにするわ。」
「それに...フランと一緒に寝て怒られたとしても...後悔はしないです!」
「はぁ...反省はしなさいよ。あの時...姉なのに何故ちゃんと見てなかったのかって怒られたんだから。」
「うっ...すいません...。」
そう言えば確かにお姉様も怒られてたような...。
「...レミリアお姉様、お姉様...ありがとう。」
泣き止んで落ち着いたフランがそう言った。
「別にいいのよ。」
「そうですよ。...さ、もうすぐで夜が明けます。早く寝ましょう。...あ、その前に...フラン、今年もよろしくお願いします。」
「?...今年もよろしく、お姉様、レミリアお姉様。」
「えぇ、よろしくね。」
そう言って三人一緒にベッドに入った。...やっぱり、狭い。二人でギリギリだから...三人だとかなりきつい。まぁ、まだ私達は子供だからマシなんだけどね。
ちなみに、寝ている場所は右からフラン、私、お姉様だ。最初に寝た時からこうだったけど...そう言えば理由は知らない...。
「...お姉様、フラン...そう言えばどうしてこの順番なんですか?」
「お姉様、順番ってなんの順番?」
「寝ている場所の順番です。いつもこの順番ですけど...。」
「さぁ、特に理由はないわよ。」
「そうね。特にないと思うよ。」
私が聞くと二人共同じような反応をした。
「...それなら...いいですけど...。...あ、フラン。あまり強く抱き締めないで下さいね。貴女の力は私達の中でも一番強いですから...。私では抵抗出来ません。」
「え、レナなら魔法使えば大丈夫でしょ?」
「いえ...フランに対してはあまり魔法を使いたくないのです。」
「?お姉様、どうして私にはあまり使いたくないの?」
フランが私を抱き締めるついでに聞いてきた。
「...フラン、言っている早々強く抱き締めないで下さい。血が出てる気がします。
...まぁ、それは置いといてですね...。どうしてかと言うと私の魔法は対象に悪影響を与えるものが多いのです。そして、力でフランを抑えるとしたら...自分の能力を爆発的に上げるしか...。そうしたらフランを傷付ける可能性もあるので...。」
今度...対象を眠らせる魔法でも覚えてみたいなぁ...。
「...お姉様って本当に私達に優しいよね。」
「えぇ、そうね。...後、血は出てないから安心しなさい。」
「...それならいいですけど...。」
「ほら、やっぱりお姉様って優しいよね。...まぁ、私達姉妹にだけみたいだけど...。」
「...私には...お姉様やフランほど仲が良い同年代の人とかいないので...。それに......いえ、やっぱり、何もないです。」
...前世の記憶を持っている私としては...『原作』に出ているキャラには...出来るだけその『原作』から踏み外してほしくないと思っていても...お姉様と...特にフランには...もっと幸せに生きてほしいと思っている。...495年も地下で暮らすなんて思いを...して欲しくないからね...。
...それ以外にも...自分には分からない...何かがある気がするけど...まぁ、分からないしいいや。
「...お姉様、最後の気になる。...教えてくれないの?」
「はい、教えません。...いつか...分かるかも知れません。...いえ、きっと言うと思います。...でも、今は教えないです。」
「無理。」
「はい...って、え?」
フランの私を抱き締める力が強くなる。
...あ、これ本当に血が出てる気がする!って言うか絶対出てる!めっちゃ痛い!
「お姉様...教えてくれないと...このまま強くなるよ?」
「あ、レナ、血が出てるわよ。言うのを急がないと死ぬかもね。」
「お姉様!縁起でもないこと言わないで下さい!って、痛っ!!」
「お〜ね〜え〜さ〜ま〜!早く言わないともっと痛くなるわよ?」
そう言ってフランが力をどんどん強める。
...これは...最終手段しかない...。
「そ、それなら...フラン、ごめんなさい。」
「え?お、お姉...様?...あ、あ...れ...。」
私はそう言ってフランの『意識』を有耶無耶にして気絶させた。...と言っても離すと元に戻ってしまうから抱き締められたままだけど...。だから、少し爪がくい込んでいる気がする...。
「...フランを力以外で抑えれる方法が他にもあったじゃない。」
「まぁ...そうですけど...これは最終手段です。それに...これを今みたいな時に使うと...こういう風に爪がくい込んでいるままとかになるので...。」
「...確かにこれは痛そうね。...うわっ、血がかなり出てる...。まぁ、すぐに治るからいいと思うけどね。」
お姉様がフランの爪がくい込んでいる背中を触れながら言った。
フランに抱き締められてフランの顔しか見えないけど...喋り方的に絶対お姉様笑ってる...。
「...仕方ないですから...もうこのまま寝ます。お姉様、おやすみです。」
「...おやすみ、レナ。」
そう言ってお姉様は寝た。
...明日...フランが起きた時...大丈夫かな?
そう思いながら私も寝た────
side Remilia Scarlet
「お姉様!昨日のこと許さないから!」
「ふ、フラン!?それは止めてください!それはシャレにならないです!」
レナとフランのその声によって私は起きた。レナとフランはいつの間にか空を飛んでいる。...起こしてくれても良かったのに...。
「ふぁ〜...レナ?フラン?...どうしたの?」
「レミリアお姉様!お姉様が昨日私に能力を使って気絶させたのよ!」
「そ、それはフランが力を入れすぎたから仕方なく...。」
「言い訳無用!大人しく切られなさい!」
そう言ってフランが炎の剣を振り回しながらレナに向かって突進してきた。
「...こうなっては仕方ないです。...フラン!姉に対して剣を向けると...どうなるか思い知らせてあげます!」
そう言ってレナが光り輝く剣...『クラウ・ソラス』を作り、手に取った。
これはレナがフランが生まれた時に作った剣らしい。私に合わして槍を作ったり...フランに合わして剣を作ったりとレナは色々な武器を使う。まぁ、腕はそこそこなんだけど。
「...二人共、止めなさい!まだ起きたばっかりなんだから早く戻らないと駄目でしょ?」
「うっ...お姉様...。仕方ないですね。勝負は後でやりましょう。」
「...そうね。お姉様、魔法を教えてもらった後にやるわよ。」
「はい、そうしましょう。...また後で来ます。...フラン、待っていてくださいね。」
「えぇ、待っとくわよ。」
フランとレナがそう言っている最中に私は部屋を出る準備をする。
「...レナ、行くわよ。...フラン、絶対に今日も来るから...しっかりと我慢してね。」
「...はい、レミリアお姉様。...じゃ、バイバイ。」
「フラン...バイバイです。」
そう言って私達はフランの部屋を出た────
──紅魔館(廊下)
「...お姉様、もしもフランが暴走した時に...私が死んでもフランを恨みませんか?」
部屋に戻っている最中にレナが話してきた。
「えぇ、勿論フランは恨まないわよ。...でも、貴女を恨むわ。」
「えっ...私を恨むんですか?」
「えぇ。...姉よりも先に死ぬなんてことがあったら...死ぬまで恨むから。」
「...ふふ、そうですよね。...私は死なないです。...お姉様とフランが死ぬ十分前くらいまでは...絶対に生きます。」
「...そう言ってくれると頼もしいわね。」
そう言って私達は部屋に戻り、新たに始まった年の初めての日も...いつも通りに終わった────
なお、本編は諸事情により明日、月曜日に投稿させていただきます(´・ω・`)
やっぱり、1日は忙しかった(´・ω・`)