はい、今回はタイトルからでも分かる通り、魔法関連のお話です。
side Renata Scarlet
──紅魔館(レミリアの部屋)
「ふぁ〜......あ、おねーさま......」
目覚めた時にお姉様の寝顔が見えた。......寝顔も可愛い。そう言えば昨日はお姉様の部屋で一緒に寝たんだっけ? んー......寝ぼけてよく思い出せないけど一緒に寝てるからそうなのかな...…。まだ眠いし、二度寝しようかな......。
私はそう思い......ついでにお姉様を抱きしめて目を閉じた。
お姉様......いい匂いがする。......お姉様と一緒に寝ることなんて殆どないから、昨日、お姉様が一緒に寝ようって、言ってくれた時はとても嬉しかった。......フランが大きくなって、能力を制御出来るようになったら......姉妹三人で一緒に寝たいなぁ。
「......おやすみ、おねーさま」
私はお姉様にそう言って、もう一度寝ることにした────
side Remilia Scarlet
──紅魔館(レミリアの部屋)
「ふぁ〜、おは......あ、あら? レナ? ......ふふ、可愛い子ね」
朝起きるとレナが私を抱きしめて寝ていた。......可愛いけど、少し抱きしめる力が強いわね。多分、吸血鬼じゃないと骨が一本くらい折れても不思議じゃないくらい......いえ、流石にそれは言いすぎね。
「でも......レナ、少し痛いわ。起きて」
「むにゃむにゃ......おねーさま......だいすき」
「寝言......よね? はぁ、仕方ないわね。......レナ、私も貴女のことが大好きよ」
寝言でも大好きと言われたら無理に離そうとは思えなくなる。......それに、もう少しこのままでもいいかもしれない。
私はそう思い、レナを抱きしめ返した。
「......たまには、こうやって一緒に寝るのも悪くないわね。......フランとも、いつかは一緒に......」
いつかは......フランとレナと私、姉妹全員で一緒に寝たいわね。
......それにしても、レナって寝顔も可愛いわね。まぁ、レナは私に顔が似ているらしいから当たり前なんだけど。
「ふぁ〜......少し、眠くなってきたわ......。おやすみ、レナ」
私はそう言ってもう一度寝ることにした。
──数十分後 紅魔館(レミリアの部屋)
次に目を開けた時、まだ寝ているレナの寝顔が見えた。
「レナ、おはよう。......あらあら、まだ寝ているわね。レナ、起きて。もう起きる時間よ」
はぁ......全く、この娘ったら。魔法や飛ぶ練習があるっていうのに......何時まで寝るのかしらね。
私はレナを引き離しながらそう思った。
おそらく、まだ執事長らが起こしに来ていないから時間はまだなんだろうけど。それでも時間が来るまでずっと寝させるわけにもいかない。
「レナ〜、起きなさ〜い。......はぁ、起きないわね。こうなったら......」
私はそう言って、抱き締めていたレナの腕を外し、レナの上で馬乗りのような状態になる。
「三秒数えるまでに起きないと......くすぐるわね」
レナはどれだけ深く寝てようが......脇をくすぐると絶対に起きる。......くすぐったくて少し辛そうだけど。まぁ、死なないし見てて楽しいからいいかな。
「3、2、1......はぁ......さっさと起きなさい! こちょこちょー!」
「ん? ひゃっ!? お、おねーひゃま!? やめっ! ひゃはははは!」
私はそう言って、レナの脇をくすぐった。
案の定、すぐには起きたけど......面白いからもう少しだけ続けようかな。
「レナ、そんなに叫んでもやめないわよ? もう起きるかしら?」
「お、おきてるよ! だ、だから、ひゃめ、ひゃはははは!」
......ちょっと楽しいわね。レナもどことなく嬉しそうだしもう少し続けても......。
「お、おねーさま! ひゃ、ひゃめて!」
「あっ、ごめん。......少しやり過ぎたわね」
私はそう言ってくすぐるのをやめた。......レナの目が涙で溢れている。
「はぁ、はぁ......グスン......おねーさまのバカ。やめてっていったのに......」
......レナの目から涙が零れ落ちた。......本当にやり過ぎたかも。いつも私にバカとか非難するような言葉を使わないレナが今日初めて言ったのだから......もしかしたら、嫌われたかもしれない。
「ご、ごめんなさいね。......少しやり過ぎたわね。もう、やらないから......ゆ、許してくれるかしら?」
「うん......わたしからも、ごめんなさい。おねーさまのことをバカっていって......」
「レナ......別にそんなこといいのよ。全部やり過ぎた私が悪いから。本当に......貴方って優しい子なのね」
本当に.....バカって言われたことくらいどうでもいいのに......。
「? おねーさま、ないてる? だいじょうぶ?」
「......嬉し泣きよ。貴方みたいな優しい子が妹で本当に良かったわ......って思ってね」
「おねーさま......わたしも、おねーさまがおねーさまでうれしい! おねーさま、だいすき!」
そう言って、レナが私を抱き締めた。そして、私もレナを抱きしめた。
「......さ、レナ。そろそろ魔法と空を飛ぶ練習に行きましょう。先ずはどっちがいいかしら?」
「んー......まほうがいい!」
「そう。なら図書館からね。じゃ、準備をしてから行きましょうか」
「うん!」
レナが返事をしてから、私達は服を着替えて図書館へと向かった────
side Renata Scarlet
──紅魔館(図書館)
お姉様と一緒に魔法の練習をするために──途中、執事長に会って挨拶した後に──図書館に来た。因みにお父様は部屋に居なかった。
ここの図書館には魔導書等の色々な本がある。だから魔法の練習にここに来た。
「さぁ、まずは魔導書を探すところからね。レナ、貴方には妖力と同等の強力な魔力があるわ。だから魔導書とかの魔力を放つのは分かると思うの」
「でも、おねーさま。わたしがつかいたいまほうをさがすのに、じかんかからない?」
「確かに時間はかかるわ。でも、大丈夫よ。短縮する方法があるから。......確率は低いけどね」
時間を短縮する方法? 一々本を全部見なくても大丈夫なような方法なのかな?
「ふむぅ......おねーさま、おしえて」
「えぇ。......まず貴方が魔導書を集めてきなさい。それを一箇所に集めるの。集めるのに時間はかかるけどそれから先は楽になるかもよ。貴方が適当にその中から本を選び、それを読むだけですもの」
え? 適当に? それで本当に私が使いたい魔法とか見つかるのかな?
「......え? てきとうに?」
「そうよ。私の能力を使うのよ。貴方の運命を操り、貴方が必要になるであろう魔導書を選ばせる。
......でも、魔導書はこの図書館にどれだけあるか分からないわ。だから、毎日ここに来て、探して、適当に選ぶを繰り返していたら......いつかは必ず見つかるはずよ。『いつか』くらいじゃないと貴方に運命が効かないから、私に思い付く見つかる可能性を高くするのはこれしかないわ」
「おねーさま、わたしのために......ありがとう!」
私だけのためにこんなことを手伝ってくれるなんて......本当に嬉しいよ、お姉様。
「どういたしまして。......さ、早く始めましょう」
「うん!」
私はそう言って探すのを始めた。お姉様は私についてきてくれている。多分、運命を操りながらなのかな。でも、近くじゃなくても大丈夫らしいし。もしかして、やることがないからついてきて......。
「......レナ、どうかしたかしら?」
お姉様が怖い笑顔で話しかけてきた。
「な、なんでもないよ?」
「なら、どうして疑問形になってるのかしらねぇ。......後で私の部屋に来なさい。こちょこちょしてあげるわ」
「えぇー! でも、おねーさま! さっきみたいにやりすぎるでしょ!」
「大丈夫よ。できる限りやり過ぎないようにするから」
「だいじょうぶじゃないっ!」
お姉様、あれほど嫌って言ったのにまだするつもりなのかな......後で仕返しにこちょこちょでもしよっと。
「......あら、貴方が私にこちょこちょしようとして、それを私が返り討ちにする
「えっ! うー......そのみらいをかえる!」
うー......全部バレてる。でも、仕返しはしたいし、未来を変えることが出来れば......。
「......そんな顔をしても駄目よ。それと、見えにくい貴方の
「うっ、おねーさまにしかえししようなんてやめます......」
私はどんな顔をしていたんだろう? ま、いいや。
見えにくい私の
「ないわよ。他に方法は無い。私に仕返しなんて出来ない......そういう運命よ」
「ぐぬぬ......おねーさま、こころよまないで」
「あら、読まれるくらい分かりやすい貴方が悪いのよ。さ、早く探しなさい」
「むぅ......はーい」
そう言われてようやく探し始める。
「んー、これと......これもかな?」
集中して魔力を放つ本......おそらく魔導書であろう物を感知して、集めていく。
「あら、やっぱり、分かるのね」
「え? もしかして、きたいしてなかった?」
「期待はしてたわよ。ただ......私には魔力とか分からないから、本当に分かるかが心配だっただけ」
......本当に期待してたのかなぁ?
「さ、どんどん集めていくわよ。......まだまだ多いみたいだけど」
この図書館はかなり広いし本棚もかなりの数があるから特定の本だけを探すのは大変だ。
......それにしても、魔導書ってこんなにあるんだ。まだ五分くらいしか経ってないのにもう十冊以上はある。
「結構あるものなのねぇ。......そう言えば、たまに人間が攻めてくることがあるらしいけど、その人間の中に魔導書を持っているやつがいるらしいわよ。多分、その魔導書もこの図書館に置いてるのでしょうね」
「へー......あ、おねーさま、あのほんをとって」
「ん? あぁ、これね。はい、どうぞ」
「ありがと」
人間が攻めてくる時とかあるんだ......。元は同じ人間だったから少し可愛そうと思う気持ちがあるけど......お姉様達に被害が及ぶなら仕方ないか──
──時間は少し進み 紅魔館(図書館)
「レナ、今日はこれくらいにしましょうか」
お姉様が一時間程経った時に話しかけてきた。本は百冊以上集まった。
「さぁ、適当に選びなさい。私が貴方の望む魔導書を『いつか』見つけれるように
「......おねーさまはそのあいだどうするの?」
「私? そうね......貴方が本を読んでいる姿でも見ているわ」
「......え?」
お姉様...やることがないのは分かるけど......それはそれで暇じゃないかな?
「あら、どうかした?」
「おねーさま、むりして、わたしにつきあわなくてもいいんだよ?」
「どうしてかしら?」
「おねーさまには、いろいろとてつだってもらってるし......おねーさまがしたいことをしてもいいんだよ?」
「なら問題ないわね。私がしたいのは貴方が本を読んでいるのを見ることよ。
それに......魔導書はなにも安全な物だけとは限らないわ。だから、貴方に危険が及ばないように見とくのよ」
なんか今、理由決めた気もするけど......お姉様の優しさが伝わったからいっか。
「それならいいけど.....。わたしになにかあっても、おねーさまは、じぶんのいのちをだいじに──」
「断るわ。私は貴方の姉よ。妹を守るのが姉の役目ってものでしょ?」
「うー......そうだけど......」
確かにお姉様の言う通りだけど......お姉様に何かあったら私も困る。
「......さ、時間はどんどん進んでいくわ。後で飛ぶ練習もあるから早く決めなさい」
「はーい。えーと......じゃ、これにする!」
そう言って私は適当に本を手にした。
「......それにしたのね。えーと......『妖蛆の秘密』? 変なタイトルね」
あれ? どこかで聞いたことがあるような.....。んー......気のせいかな?
「どうかした? 読まないの?」
「......だいじょうぶ。いまからよむよ」
そう言って私は本を開けた。
「......なんてよむんだろう?」
何語なのか分からない。何処かで見たことはある気がするけど......。それにしても、なんか冒涜的な感じがする。
「......これはラテン語じゃないかしら」
「ラテンご? おねーさまはよめるの?」
お姉様が横から見て言ってきた。
「私には読めないわ。前にこういう文字を少し見て、お父様に聞いただけよ。......だから、もしかしたらだけど、お父様が読めるかもね」
「......でも、おとーさまって、いまどこにいるんだろう?」
「そうねぇ......お父様、お父様の部屋にも、
「いるとしたら......どこだろう?」
部屋を全部見てまわったわけじゃないから別の部屋に居る可能性もあるけど、外に居る可能性もあるからね......。
「......探すのは後でにしましょう。先に他の本を選んでみたら? ......それか、可能性は低いけど貴方にでも分かる言語で書かれているページがあるかもしれないわよ?」
「んー......ま、そうだね。」
私はそう言って本のページをペラペラとめくった。
「......あ、あった。よめるようにしているかみがあったよ」
「そう、あったのね......え!? あったの!?」
お姉様が驚いている。......やっぱり、お姉様も本当にあるとは思ってなかったみたい。
私達に読めるように訳してあるってことは、お姉様が言っていたように、紅魔館に攻めてきた人達が自分達に読めるように書いてたってことなのかな?
それか、紅魔館にあったこの本を誰かが訳したとか? それだとしたら誰なんだろう? ......まぁ、可能性は低いけどね。
「......ま、まさか本当にあるとわね...。レナ、なんて書いてあるの?」
「えーとね......『ふかしのしもべのかくせい』ってかいてる。......それと、これのつかいかたみたいなのもかいてる」
使い方は呪文を唱えてこの魔法陣を書くだけみたい。...もしかして...これって...。
「? 『不可視の下僕』? 何かしらね?」
「......おねーさま、たぶんこれ、『しょうかんまほう』だとおもう」
「『召喚魔法』? 本当に?」
「うん、たぶんだけど......」
多分、『不可視の下僕』ってのを覚醒......何処からか召喚させる魔法だと思うけど。
「......それなら使うのはやめときましょう。召喚しても、戦い慣れていない私達じゃ、最悪、召喚されたモノが言う事をきかないで私達が死ぬかもしれないわ。
せめて、『狩り』を完全に覚えるまではやめときましょう」
「う、うん......」
お姉様が真剣な顔で言ってきた。......もしかして、能力で召喚したら自分か私が死ぬ未来でも見えたのかな?
「さ、他に何もなかったら、次の本を見ましょう」
「うん」
私はそう言って、本のページをめくり始めた──
──二時間後 紅魔館(図書館)
「レナ、今日はそれで最後にしましょう」
二十冊くらい読め終え、次の本を開けようとした時にお姉様が言った。
「うん。......おねーさま、このあとはなにをするの?」
「飛ぶ練習よ。その後にお父様を探しに行きましょう。......居なかったら執事長にでも聞いてみましょうか」
「うん、わかった」
そう言った後に本を開ける。この本は表紙には何も書いていない。魔力もうっすらと感じるくらいの本だ。だから、そこまで期待はしてないけど適当に取った本がこれだったから......お姉様の能力を信じているから......どんな本でも最後まで読む。
それにしても、ノートみたいな感じな本だね。もしかしたら──
「......あ! あった!」
「? レナ、何があったの?」
「わたしがほしかったまほう! 『しゅんかんいどう』のまほう!」
「『瞬間移動』? ......貴方、そんなのが欲しかったの?」
「うん! これがあれば、いどうするのもらくになるから」
「貴方って、そんなに面倒くさがり屋だったの? っていうか魔力を使うからあまり変わらないと思うわよ?」
あ、確かにそうか。......それに、この魔法は厳密に言うと瞬間移動ではなさそう。でも、元々、私が欲しかったのは『スキマ』のような移動方法。それを魔法で使えたらなーって思ってたから瞬間移動のような魔法でも充分なんだけどね。
瞬間移動と言うよりは......指定した場所をテレポート出来るようにする魔法みたいだね。ま、充分だけど。
「うー......それでも、あったからうれしい!」
「ふーん......本当に嬉しいのね。こんなにも嬉しそうな顔をしてるのだから。それにしても、フランを見た時くらい嬉しそうな顔ねぇ」
「え? そうなの?」
フランが生まれた時くらいに嬉しいのかな? ......自分のことなのに少し分からない。
「じゃ、その魔法は後で練習するとして......次は飛ぶ練習をしましょうか。早くしないと夜が明けそうだわ」
「はーい。あ、先に部屋に持って行ってもいい?」
「いいわよ。その代わり、早くしてね」
「はーい」
私はそう言って部屋に本を持って行った────
side Remilia Scarlet
──時間は少し経ち紅魔館(庭)
「そこはもっと早く避けなさい! 次行くわよ!」
「えっ!? はやくない!」
「大丈夫よ。貴方は私の妹でしょ?」
「それはだいじょうっ!? あ、あぶなかった......」
今は紅魔館の庭で空を飛ぶ練習を終え、レナの攻撃を避ける練習をしている。私が妖力で作った弾幕を放ち、それをレナが避ける。......そんな簡単な練習だ。これは『狩り』で人間に反撃された時のための練習でもある。もしも、銀の武器で攻撃されると、吸血鬼と言えど、再生力が遅くなり、それで死ぬこともある。
私達が『狩り』をするのはまだまだ先だけど...…最近は他の吸血鬼達の縄張り争いや人間の襲撃があるから今から練習しても無駄になることはないだろう。
「はぁ、はぁ......おねーさま! まだおわらないの!?」
「まだよー! 後五分くらい我慢しなさーい!」
「ご、ごふん!? な、ながいよぉ......」
「大丈夫よ。当たってもそこまで痛くはないわ。......多分」
「いま、たぶんっていったよね!? お、おねーさまのあくま!」
「あら? 吸血鬼は元から悪魔よ?」
「うー......あっ! あぶなかった......」
私達は話をしながら避ける練習を続けた。......たまにレナが当たるが、それでも止めずに練習を続けている。......流石私の妹ね。
そう思いながら練習を続け、私達は空を飛ぶ練習を終えた────
終わりが微妙だけど...レナータが二歳での話は次で終わる予定なので...前後半的な感じと思ってください。お願いします。