東方紅転録   作:百合好きなmerrick

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いよいよ分かるかもしれないレナータの能力。
因みに毎日一時間くらい飛ぶ練習をしてるらしい。


3、「狂気の妹と一つの希望」

 side Renata Scarlet

 

 お姉様と一緒にお父様の部屋に来た。...執事長はお父様のところに行ったみたい。

 

「おねーさま、わたしのいもうととおかーさまはだいじょうぶかな......?」

「......レナ、大丈夫よ。だから、そんな顔しないで。私がついているから......ね? 心配しないで」

「おねーさま......うん、わかった。わたし、だいじょうぶ」

 

 やっぱり、私って感情とかが顔に出やすいのかな......。お姉様にはすぐにバレちゃう。でも、やっぱり、姉妹だよね。お姉様のこともだいたい顔で分かるよ。私に心配をかけないように強そうに振舞ってるけど......お姉様もやっぱり心配なんだよね。

 

「......おねーさまも、むりしないで」

「レナ......私は大丈夫よ。......心配してくれてありがとうね」

 

 少しはお姉様も元気が戻ったみたい。と言っても本当に少しだけみたいだけど......。お母様や妹......フランに会えないし、お父様の部屋に来たってことは何か話があるに決まっている。......多分、フランとお母様のことで......。

 

 お父様の部屋でしばらく待っていると、「コンコン」と扉を叩く音がして、お父様がやってきた。......お母様と私の妹(フラン)はいないみたいだ。

 

「レミリア、レナ......居るみたいだな。お前達に話がある。分かっていると思うがお前達の妹と母のことだ」

 

 案の定だった。お姉様も私も口を挟まずに聞こうとする。

 ......多分、その話とはフランがこれから495年間もの間......地下に閉じこもるか閉じ込められることに関係するんだろう。

 

「......お前達の妹はとてつもない能力を持って産まれてきた。その能力とはおそらく全てのものを『破壊』することが出来る能力だ。......お前達に実際に見せることは──危険すぎるから──出来ないがな。

 そうだな。まず初めにお前達の妹......フランドールについて話そう」

 

 やっぱりフランだ。......ここまでフランと思ってたのに違ったらビックリするどころか私のせいで生まれなかったってことで発狂して死にそう。

 ......フランドール・スカーレット。原作でも出てくるキャラだ。悪魔の妹と言われ「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力」を持っている。情緒不安定で気がふれているという理由で495年もの間......地下にいたらしい。

 原作での出番は少なく、あまり情報がない。だから性格とかもあまり知らないキャラだ。と言っても人気は結構あるみたいだけどね。

 

「勿論、フランドールというのは今日生まれたお前達の妹だ。......今はあいつ、お母さんと一緒にいる」

「......お母様とフランは何処にいるの?」

「今は二人とも地下にいる。......今のフランドールは幼すぎるせいか、能力が制御出来ない状態だ。だから......母さんの能力で能力を使うことを制限しているんだ。地下にいるのはフランドールの能力がいつ暴走してもいいように......だ」

 

 お母様の能力、「何かを代償として何かを制限する程度の能力」......確かにそれならフランの能力を抑えれる。それに、お母様の能力の範囲は一つか一人の代わりにお母様が生きている限りは自分で能力を切らない限り永続する。

 ......でも、あれを能力に使うのは代償が大きい。しかも、フランの能力は「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力」......人一倍強力だろう。そんな能力が暴走なんてしたら代償は......おそらく自分自身の命とまではいかなくても......かなり膨れ上がるだろう。

 

「......大丈夫なの? お母様は......」

「......今は大丈夫だ」

「いまは?」

「あぁ。今は......だ。......お母さんがフランドールの能力を制限しているのに使った代償は......自分の寿命と健康だ。

 それも、能力はフランドールがお腹の中にいる時くらい──正確に言うと半年以上前──から使っている。お母さんの能力は使うと対象の大体の能力が分かるからな。......使うのにも代償がいるから普段は使わないが......フランドールがお腹の中にいる時に嫌な予感がしたらしい。それで使った結果がこれだ......。まぁ、生まれた時に分かるよりかはマシだがな......」

 

 確かに生まれた時にお母様やお父様......それにお姉様の誰かが「破壊」されて分かるよりかはいいよね......。

 私に何か出来ることはないだろうか...…。少しでも力になれることはないだろうか......。あるとしたら......一つだけあるかもしれない。それは......私の能力を使うということだ。

 

「最近、お母様の元気がなかったのもそのせいだったんだ......」

「レミリア、レナータ......あいつは......お母さんは自分が長く生きるよりも娘が......フランドールが生きる道を選んだんだ。......俺もそれでいいと思っている。親よりも子が先に死ぬなんて見たくないからな。だから......分かってくれるか?

 フランドールが俺達()よりも長く生きて......フランがこれから先、能力を制御出来る可能性があるのはこの方法だけなんだ」

「そ、それでも......他に方法はないの!?」

 

 ......でも私の能力でどちらも......片方でさえも助けれる可能性はかなり低い。......自分でもどんなのか分からないし。そもそも無いかもしれない。だから出来る可能性はかなり低い......。

 

「......おそらく、ないだろう。それに、もし、能力を制御出来るまでにお母さんが死んだら......もし、制限するのを止めたら......フランドールを殺さないといけなくなるだろう。だからこそ、これしか方法がないんだ。フランドールが長く生き、能力を制御することが出来るかもしれない未来は......」

「そ、そんな......お母様は.....い、いつまで生きれるの?」

「長くて50年。短いと......10年くらいだろう。お母さんの能力は何を代償にするかは分かっても......どのくらい代償に必要なのかは分からない......。だから、詳しい時間は分からない......」

「10年......? な、なんでそんなに......うっ、うぅ......グスッ......」

 

 お姉様が泣きそうになっている。そうだよね。お母様が普通よりも早く死ぬかもしれないんだし......。

 ......私だって、もっと長くお母様と一緒にいたい......。それなのに......あ、あれ? 私も泣いてるのかな......目の前が......霞んで見え──

 

「う......うっ......うわぁぁぁぁん!!」

「あっ......れ、レナ......大丈夫よ。大丈夫......」

「グスッ......お、おねぇさまぁ!」

 

 お姉様は私を抱きしめながら頭を撫でてくれた。......お姉様、いい匂いがする......。ありがとう、お姉様......もう大丈夫だよ。

 何故か前世と違って感情を制御するのが苦手らしい。お母様がいなくなることを考えてしまい......胸の中が不安でいっぱいになった。そして、泣いてしまった。

 ......でも、お姉様がいるからもう大丈夫。そう自分に言い聞かせて泣くのをやめようとする。......でも、やっぱりすぐに泣き止むことは出来ないみたいだ。

 

「レナ......安心して、私がいるから。それに、お母様はすぐに死ぬわけではないのよ? ......少なくても10年は一緒にいれる。だから、安心して......ね?」

「グスッ......うっ、うん」

 

 お姉様のお陰で少し気分がマシになった。...…今の私は、お姉様がいないと私って何も出来ないかもね......。お姉様のためにも、フランのためにも......もっと頑張らないと...。

 

「......そうだわ。お父様、お母様とフランに会えないかしら?」

「会えることには会えるが......危険が付き纏うぞ? ......いや、もう少し成長してからの方が危険か......。

 そうだな......いいだろう。ただし、俺が危険だと思ったらすぐに戻すからな。いいな?」

「大丈夫よ。......それに......フランには姉として、家族として一度は会わないと」

 

 ......フランに会いにくかどうか。勿論そんなことは決まっている。......もし、それで私が死んだとしても......これから先の未来......「原作」にさほど影響は無いだろう。と言ってもまた死にたいとは思わないけどね。......お姉様やフランの身代わりにならなるつもりあるけど。まぁ、お姉様が多分、運命(未来)を見て会いたいって言っているんだろうし、大丈夫だとは思うけど......。

 

「おとうさま......わたしもフランにあいたい」

「......よし、分かった。俺についてくるんだ。......もしも、お前達が死にそうになったら俺が守る。だが、あまり無茶はするなよ」

「大丈夫よ。ここにいる全員......死ぬ運命なんてないわ。」

「あぁ、そう言えばレミリアは運命を操り、見ることが出来る能力があったな。余計な心配だったか......」

 

 やっぱり、お姉様は運命を見てたのね。......でも、どこか悲しそうな表情をしてたけど、どうしたのかな?

 

 そんなことを考えて......私達はお父様と一緒に、お母様とフランがいる地下に向かった───

 

 

 

 

 

 side Remilia Scarlet

 

 ......さっきはレナ達を安心させるために「ここにいる全員に死ぬ未来なんて見えない」と言ったが......お父様とレナと一緒に地下に向かっている時、私は一つの不安を感じていた。

 その不安とは......レナの運命(未来)が見えにくいことだ。見えることには見えるし、操ることも多少は出来る。が、レナの運命は── 一定数以上の確率がないと操れない私の能力では──限りなく100%に近いことしか操れない。

 例えばコインを投げ、表か裏かの50%でもレナの運命を操り、どちらかにすることも出来ない。見ることも...まるで靄がかかっているみたいに見えにくい。......一度でも実際に会った人の運命は操ることも見ることも出来るのに......レナの運命だけ操りにくいし見にくい。

 ......最初はレナが意図的にそうしている......と思っていた。でも、この数年間、一緒に暮らして分かっていることがある。......あの子は感情が顔に出やすい。それこそ初対面の人でも何を考えているか分かるくらいにだ。だから、意図的にそうしている可能性は無い。

 

「......おねーさま? どうしたの?」

「え? あ、何もないわよ。」

「ふーん......」

 

 あれ?顔に出てたのかな?ってそれよりもレナ、私の顔をジロジロ見すぎよ。

 

「......れ、レナ? どうしたのかしら?」

「なにもー」

「そ、そう......。ならいいんだけど......」

 

 それにしても......一体何故見えないのか......考え付く可能性は幾つかある。

 一つは誰かがレナか私に何らかの能力を使っている可能性。だが、私に使っているなら他の人の運命(未来)も見えないはずだから私に使っている可能性は無い。それに、本当にレナに能力を使っているとしたら理由が分からない。だからこの可能性はかなり低い。

 次の可能性は......レナ自身が能力を使っているということ。でも、レナは顔に感情が出やすいから、わざと使っているとかいう可能性は無い。それに、自分に能力があるかも知らないみたいだ。おそらくは...勝手に発動しているのだろう。

 私の能力をほぼ使えなく......まるで「制限」するような能力......お母様みたいな能力なのかしら? でも、お母様の「能力」とは少し違う気がする。多分、お母様と違って自分に対しての能力しか「制限」出来ない能力なのだろう。......もしも、レナが自分の能力に気付けば......完全に「制限」出来るようになるのかしら? そして、その能力に......もしも代償が無ければ。......もし、そうなら......お母様に代わってフランの能力を「制限」出来るんじゃ......。

 でも、完全に気付いても今の状態のままなら......意味は無い。自分に対する能力にしか使えないなら他の人を守れない。それに、制限出来る範囲も運命(未来)が見づらいだけだからフランの「能力」にはあまり意味は無いかもしれない。フランの「能力」は全てのモノを「破壊」出来る能力らしい。だから強力で、お母様の「能力」でも完全に制限出来ないのではフランの「能力」は制限出来ないかもしれない。

 

「......おねーさま。ほんとーにだいじょうぶ? さっきからかおがこわいけど......」

「え!? そ、そうかしら? ......そうだわ。レナ、今日は私と一緒に寝ない?」

「え? ......うん!」

 

 考えていても始まらない。まずは行動しないと......レナに私が分かったことを伝える。......まずはそれからだ。

 

「レミリア、レナ......着いたぞ。この扉の先だ」

 

 お父様に連れられて地下に来た......。ここは紅魔館にある図書館よりも地下深くにある部屋......私達はここに初めてきた。何故なら特に行く理由も無いし、ここに来るまでの道のりが長いし迷路のようにいりくんでいるから。それにしても......この扉、かなり分厚そうね。今の私とレナじゃ壊すことも出来なさそう。

 

「おとーさま......このとびら...ぶあつすぎない?」

 

 レナも同じことを思っていたのかお父様に質問した。

 

「あぁ、元々ここは避難用の部屋なんだ。この部屋は例え紅魔館が爆発しても残るだろう」

「爆発するのはごめんね。......開けるわよ?」

「いや、俺が開けよう。......もしものことがあっては大変だ」

「はぁ、お父様は心配性ね......」

 

 こうして、お父様が重い扉を開けた────

 

 

 

 

 

 side Renata Scarlet

 

 お父様が重い扉を開けた。......扉を開けた先は窓が──そもそも紅魔館自体、窓は少ないが── 一つも無く、中はテーブルとイスとベッド、それに物を置くための棚くらいしかない。お母様とフランは......今はベッドに横になっている。

 

「随分と質素な部屋なのね......」

「あ、おかーさま!」

「レナ、レミリア......やっぱり、来たのですね。まぁ、危険と分かっていても来るだろうとは思っていましたが......」

「すまないな......止めることは出来なかったんだ」

「はぁ......別にもういいですよ。......レミリア、レナ......こっちに来てください。この娘が貴方達の妹......フランドールですよ」

 

 そう言われてお母様の方に行くと......黄色い髪をした赤ちゃんがいた。顔立ちはお姉様や私に似ている。そして、お母様やお姉様みたいな翼で......あれ? 翼が普通の吸血鬼と同じだ。そう言えばお父様が翼のことを何も言わなかったけど......。あれれ?フランの翼って八色の宝石みたいのが付いてたような......。もしかして後からあんな感じになったのかな?

 

「あら、私に似て可愛いわね。ねぇ? レナ。......レナ?」

「......ん!? そ、そうだね!」

「......大丈夫? 何か考え事でもしてたの?」

「だ、だいじょうぶ」

 

 考え事をしている時にお姉様に話しかけられた。にしてもお姉様、さらっと「私に似て」って付けてるのはあざとくない? ......でもまぁ、お姉様もかなり可愛いけど......。

 

「そう。......何考えてたかは部屋に帰った時に聞くわね」

「えっ!?」

 

 流石に転生してきたからフランの翼が変わるだろうことが分かってるなんて言えない。どうしよう......。お姉様に嘘をつくのはちょっと抵抗があるけど......仕方ないよね。適当に嘘をついて誤魔化そう。

 

「......まぁ、それは後でいいわ。

 フラン、私が貴女の姉、レミリアよ。......これからよろしくね」

 

 お姉様がフランに微笑みかける。美しく、可愛いお姉様......はっ! 危ない危ない。少し見惚れてしまった。お姉様達は......どうやら気付いてないようだ。もしも、お姉様に気付かれたら恥ずかしくて死にそう......。

 

「フラン !わたしもあなたのあねのレナータだよ! これからよろしくね!」

 

 フランはまずお姉様を見て、次に私を見た。......私を見た時だけ目をパチくりしているけど......髪が赤いから気になるとかかな?

 

「......フラン? どうしたの?」

「ずっとレナの方を見ているわね。もしかして......」

「? おねーさま、どうしたの?」

「......いえ、後で言うわね」

「......? うん」

 

 どうしたのかな? お姉様。

 

「ゴホッゴホッ」

「おかーさま、だいじょうぶ?」

「だ、大丈夫か?」

「ゴホッゴホッ......えぇ、大丈夫ですよ」

「お母様、無理しないでね」

「大丈夫ですよ。......無理はしてませんから」

 

 ......絶対無理してる。

 

「お母様...嘘でしょ?」

「おかーさま、うそダメ!」

「あら? 本当に無理はしてないですよ?」

 

 あ、絶対嘘だ。お母様もお姉様みたいに顔に出やすいから分かりやすい。というか嘘をつくのになれていないのだろう。

 

「むー......ぜったいうそ!」

「レナの言う通り、嘘だよね? ......無理はしないで。分かった?」

「......はぁ、分かりましたよ」

 

 お母様、一応は分かった......のかなぁ。

 

「......それならいいけど」

「レミリア、レナ。そろそろ戻るぞ」

「え!? はやくない?」

「レミリアが運命を操れると言っても用心に越したことはない。だから、出来るだけお前達が死なないように早めに戻るんだ」

「むー......そうだけど......」

 

 ......確かにお父様の言う通りだ。

 

「......次はお母様とフランにいつ会いに行っていい?」

「お前達を一緒に連れて行けるのは一週間後だな。俺には紅魔館の主としてやる事があるし、それにレナはまだ飛ぶ練習や魔法の練習もしたいのだろう?」

「まぁ、うん......」

「...あら、結構先なのね。もっと早くならないの?」

「無理だが......まぁ、フランドールが大きくなるまでの辛抱だ。大きくなったら能力を制御出来るようになるだろうし、そもそも、能力を『制限』するのは近くなくてもいいからな。フランドールが十歳になったらお母さんには部屋に戻ってもらう。......その時には体調がもう良くはならないくらいになってるだろうしな」

 

 ......フランは能力を制御出来るかもしれない。でも、フランが地下に居たのは能力に加え......情緒不安定で気がふれているからだ。姉として......どうにかしないと......。その為にも......何かフランの役に立つための魔法を学ぶ。元々、魔法を学ぶ理由の一つはフランの為だ。お姉様の「運命を操る程度の能力」に私の魔法を組み合わせることで......何とかなればいいんだけど。

 

「......まぁ、そうね。お母様、フラン......また来るからね」

「私も......また、くるからね」

「えぇ、楽しみにしていますからね」

 

 私達はそう言って地下を後にした────

 

 

 

 ──少し時は過ぎて レミリアの部屋

 

 お姉様から誘われて、今日は初めてお姉様と一緒に寝ることになった。......正直に言うと緊張してるし少し恥ずかしい気持ちがある。ただ一緒に寝るだけなのに......。やっぱり、前世が──多分だけど──男だったからなのかな? ......今の私の前世の記憶は東方についての記憶を除いて殆ど消えてきてる。普通に前世の記憶が無くなっていくのに東方の記憶だけある理由は分からないけどね。

 

「あら? レナ、どうしたの? さっきから顔が少し赤くなったりしてるけど......。もしかして熱かしら?」

「だ、だいじょうぶ! そ、それよりも──」

「『それよりも』じゃないわよ! 熱があったら大変よ。ほら、おでこを見せて」

「うっ、うん......」

 

 お姉様の言われるがままに額を見せる。そして、お姉様の暖かい手が額に触れた。

 

「......熱はないみたいね。」

「ね、ね? そうでしょ?」

「......でも、どうして顔が赤く──」

「そ、それで、おねーさま!どうしてきょうは、いっしょにねようっていったの?」

 

 理由を聞かれたらどう誤魔化していいか分からないし別の話題に変えないと......。

 

「先に聞きたいことがあるのだけど......まぁ、いいわ。実はね。レナ、貴女の能力が分かったかもしれないの。それで......折角だし、話すついでに久しぶりに一緒に寝ようかな〜、って思ってね。」

 

 え? ......私の能力? ......自分の能力が分かるっていうのは確かに嬉しいけど......何故か、お姉様......少し怖い顔してるけど、一体、私の能力はどういう能力なんだろう?

 ......にしても、私とお姉様って一緒に寝たことあるの? そっちの方も結構気になる......。

 

「......おねーさま、わたしと......いっしょにねたことあるの?」

「えっ!? 最初に聞くことがそれなの!? 能力の方が気にならないの!?」

「え、えーと......そっちもきにはなるけど......」

 

 普通に気になったから聞いただけなのに......お姉様めちゃくちゃ驚いている。

 ......能力ってそこまで重要なの?今まで私は能力なんて持ってなかったから分からないけど。

 

「はぁ......貴女って時々何を考えているのか分からないから少し気味悪いわ......」

「えっ、そ、そんなぁ......(泣)」

「......ふふ、冗談よ。貴女が0歳の時も、1歳の時にも一緒に寝たことあるわよ。貴女が憶えていないだけ」

「んー......そうなの?」

「そうなのよ」

 

 お姉様と一緒に寝ることなんてないから絶対に憶えてると思うんだけどなぁ。......嘘は言っていないみたいだから本当なんだろうけど。

 

「......おねーさま、わたしののうりょくってどんなの?」

「多分、お母様に似ている能力よ。......それと、レナ、ごめんね。貴女に一つだけ隠していたことがあるの」

「......おねーさまがそうしたほうがいいとおもったなら、かくしててもいい!」

「レナ......ありがとう。......私ね。レナの運命(未来)が見えにくいの。」

 

 ......え?私の......運命(未来)が? どういうこと?

 

「......やっぱり、これだけじゃ分かりにくいよね。

 ......貴女が知っている通り、私は自分を含め全員の運命を操り、見ることが出来るわ。そして、私の能力が使えなくなるのは......他の人の能力によって私の能力が封じられる時や対象の能力によって私の能力が遮られる時よ。

 多分、貴女は後者...貴女自身の能力によって私の能力が遮られ、貴女の運命(未来)が見にくく......そして、操りにくくなっているの。そして、多分、フランの能力も貴女には効かないと思うわ。」

 

 そう言えば......フランが私を見た時に目をパチくりしてたけど......それって私が破壊出来ない......私の『目』が見えにくいか見えないからだったのね。

 

「それと......もしかしたら、他の人を対象にして......その人も能力の対象になることを防げるかもしれないわ。

 もしも......もしもそれが出来たらお母様も......いえ、今のは聞かなかったことにして」

「......うん。わかった」

 

 多分、お姉様は他の人......お母様達に使って、フランの能力の対象にならないように出来るかもしれないことを言おうとしたんだろうね......。でも、もしも出来なかったら......希望を持ってしまった私が悲しむだろうと思って......言わないでおこうと思ったんだよね。やっぱり、お姉様は優しいよ。けど......遠慮せずに言ってくれてもいいんだよ。

 

「おねーさま......わたし......ほかのひとにたいして、フランののうりょくを......むこうかすることってできるのかな......?」

「......レナ、大丈夫よ。......そうだわ! 魔法や空を飛ぶ練習が終わった後とかに能力を使えるように勉強しましょう! 私も付き合うから...ね?」

「おねーさま......うん!」

 

 ......明日からは魔法の練習に加え......能力を使う練習もしよう。......私はそう決意した。

 

「さぁ、レナ。もう夜が明けるわ。......そろそろ寝ましょう?」

「うん! そうだね!」

 

 そう言って私はお姉様のベッドでお姉様の横に寝た。

 

「また明日......おやすみなさい......レナ」

「おやすみ、おねーさま......」

 

 私は最後にそう言って目を閉じた────




追記:指摘があったので、『違うかった』から『違った』に訂正しました。
見つけた場所は一つだけでしたが、他にも「訂正した方がいいのでは?」と言う場所があれば、
教えてくださいm(_ _)m

それと、毎週日曜日に1話ずつ、ゆっくりと編集していますが、こういった見落としとかがあるので、見つけたら、教えてくださいm(_ _)m

それにしても、シリアス(?)場面のせいか、『......』多いなぁ()

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