side Renata Scarlet
──紅魔館
私がこの世界に生まれてから一年半経つ。まだしっかりと喋ることも出来ないし、満足に飛ぶことも出来ない。ま、道具とかを使わないで飛ぶなんて普通出来ないけど。やっぱり、吸血鬼って凄いなー、なって良かったなー。
......食事に絶対人間の血が入ってることを除けば...…。やっぱり、前世が人間だったせいかまだ抵抗がある。......美味しいけど。自分でもビックリするほど美味しかったよ。人によって血の味って変わるんだね。はぁ......多分、人間と吸血鬼の味覚とかって違うんだろうなーって思った。もう、前世に戻っても普通に暮らすことは出来なくなったわ......。血液依存症とかになってると思う。まぁ、味覚変わるだろうからすぐに無くなるだろうけど。
それにしても、この一年半で色々と分かった。まず初めにやっぱりここは東方Projectの世界だと思う。私の前世に吸血鬼とかいなかったし、何よりも、姉があのレミリア・スカーレットだ。レミリアの服装とか殆ど同じだし、顔も完全に同じだった。見た目はまだまだ子供だったけど......今世では一歳と半年しか生きていない私が言えることでは無いけど。
レミリア・スカーレットとは東方Projectの登場人物でwin版での初めての異変......「紅霧異変」を起こした張本人で紅魔館の主。妹が一人、フランドール・スカーレットがいる。......あ、私が生まれたから妹が2人になったけど。能力は「運命を操る程度の能力」......あまり原作で使ってなかったと思うからどんなことが出来るかは知らないけど。確か、紅魔館に隕石が落ちるのを知って、フランに壊させたってことがあったと思うから......未来予知的なことが出来るのかな?まだ本人から能力については聞いていないから詳しいことは分からない。
それと、性格は優しい。あれ? 天使かな? って一瞬勘違いしたくらいだ。まぁ、悪魔なんだけど。
妹である私の部屋──隣の部屋だけど──にほぼ毎日来るし、面倒をずっと見てくれるし......とにかく優しい。
他に分かったことと言えば......私には妖怪が持つ妖力以外にもほぼ同じくらいの魔力を持っているらしい。フランも吸血鬼だけど魔法少女らしいからあまり凄いと思わないけど。......もう少し大きくなったら魔法の研究でも始めようかな。幸いにもここには大きめの図書館があるし。多分、魔法関連に書物があるだろう。それに、魔法が使えたら色々と便利だろうし。......紫の「スキマ」みたいな感じのが欲しいから研究してみよう。
それと......わたしが今世に生まれたことによってフランが生まれないとかの可能性はなくなった。今のレミリアは四歳と半年......五歳の時にフランが生まれるはず。そして、今、今世のお母様のお腹の中には赤ちゃんがいる。おそらく......というか絶対フランだろう。それを初めて知った時──妹が出来るというのもそうだけど──フランが生まれない可能性がなくなって本当に嬉しかった。......私が生まれた代わりに生まれないとか最悪だしね。
......でも、最近、お母様の体調が悪いみたい。フランがお腹の中に出来てかららしいけど......フランとお母様、大丈夫なのかな......。
ちなみに、今は私の飛ぶ練習をしている。今世のお父様と
それにしても......
「レナ、飛ぶ時は翼に妖力を集めることをイメージするんだ。そして、自分は飛べる! って思い込むことが大切だ。やれるか?」
「うん...…」
......一つだけ言わせてください。まだ私は一歳と半年しか生きていないんですが。それに、飛ぶ練習を始めたのは一歳だったし......。いや、歩きはじめたのは8ヵ月くらいと早めだったけど。それでも1歳から飛ぶ練習をするものなの!? 早くないですか!? なんか全員当たり前みたいな顔をしてるからそうなんだろうけど! ......それにしても妖力がまだ分からないですわ。なんか身体中に力っぽいのが巡ってるみたいな感じなのは分かるけどさ。
ちなみに、レナと呼ばれているのはただ単に呼びやすいかららしい。まぁ、レナータよりはレナの方が確かに呼びやすいかな。
「大丈夫よ、レナ。レナは私の妹だから絶対に飛べる。......ね? そうでしょう? だから、自分を信じて飛んでみて」
「おねーさま...うん!」
「お、おや? 俺の時よりも返事が良くないか?」
「きのせいー」
「そうね。お父様、気のせいよ」
「な、なら、いいのだが......」
お姉様の言う通りに自分を信じないと......え? お父様? 知らない。
ふぅ......冗談は置いといて取り敢えず一回やってみるか。
......目を瞑ると自分の中にある妖力が翼にも流れているのを感じる。翼に力が巡るのを感じる。
「すぅー......はぁー......」
一度、深呼吸をしてから翼を動かしてみる。上に......下に......それを繰り返し行う。あ、地から足が離れたのが分かった。......あれ?もしかして飛べてる?
「おぉ! 良くやったな! レナ!」
「流石私の妹ね!」
「と、とべてる?」
「そうよ。下を見てみなさい」
お姉様にそう言われて下を見てみる......。あ、3mくらい浮いてるわ。......翼を動かすのをやめないでおこう。この高さからでも落ちたら1歳半の私は怪我をするだろうし。.....あ、もっと高くなったわ。
「れ、レナ? 飛びすぎよ?」
「ま、まさか、降りる時のことを知らないのか? 少しずつ翼に流している妖力を下げるだけだ。それか、翼をゆっくり動かせばいいんだ。大丈夫......空を飛ぶことが出来たレナなら大丈夫だ」
「う、うん!」
言われた通りにやってみる......けど下がるどころか上がっているんですけど! めっちゃ怖いんですけど! もう15mくらい上に上がっているんですけど!
「はぁ......仕方ないわね。レナ! 今から行くから少し待ってなさい!」
「う、うん!」
そう言った後、すぐにお姉様がすぐ隣まで飛んできてくれた。......流石、私のお姉様。私のためにここまで飛んできてくれるなんて、優しすぎる。
「大丈夫よ。私を信じて。私の翼の動きに合わして貴女が翼を動かせば大丈夫だから」
「......うん」
そう言ってお姉様は自分の翼を動かしてみせた。......真似をしたらゆっくりと地面に近付いていく。......さすがお姉様! 私達にできないことを平然とやってのけるッ、そこにシビれる! あこがれるゥ!
......本当に言いそうになった。それくらい凄いです。お姉様。
「ね? 大丈夫だったでしょう?」
「うん! ありがとー! おねーさま!」
「ふふ、どういたしまして」
地面に降りれた時にお姉様が言ってくれた。......本当にありがとう、お姉様。
──それから少し経ったある日──
飛ぶことが出来てから約半年が経った......。あれからも飛ぶ練習は続けている。と言っても、そこまで上手くはなっていないけど。お父様よりもお姉様に教えてもらう方が上達するのが早いらしく、最近はずっとお姉様に手伝ってもらいながら空を飛ぶ練習をしている。
それと......もうすぐするとフランが産まれるらしい。......それと同時に、お母様の体調も悪くなっている......。お父様はお母様を心配してか、最近はずっとお母様と一緒にいる。
お姉様もお母様のことを心配して、少し元気がない。......私がどうにかしてお姉様の元気を取り戻さないと......。
と言ってもどうするか全然思い付かなかったから今はお姉様の部屋に来てお姉様の能力......「運命を操る程度の能力」について教えてもらっている。......お姉様が能力について話している時は少し元気が戻っている気がするからお姉様の部屋に来て正解だったと思う。
「......で、分かったかしら?」
「うーん......もういっかいおしえてー」
「はぁ......仕方ないわね」
説明している時は少し嬉しそうだからこっちも嬉しくなってもう一度聞いてしまった......。でも、仕方ないわね......と言いながらも嬉しそうに話してくれるから良かった......。
「もう一度、一から説明するわよ。......私の能力はね、運命を操る程度の能力なの。運命を操ると言っても......そうねぇ。例えば勝負をした時に私が絶対に勝つなんて運命にすることは出来ないわ。操るためには一定以上の確率が必要なの。それに、操っても確率を上げることくらいしか出来ない。だから、絶対に勝つというのは出来ないわ。
......その代わりに、例えば一週間後、ここに人間が攻めてくるとして、その人間の運命を操り、来させないことは出来なくても、遅くすることは出来るの。少し運命を弄って二週間後に変えるってことは出来るわ。絶対に来ないことは無理でも、遅らせることは出来るってことね。
他にも、他人の運命を見ることで少し先の未来を擬似的に見ることが出来るわ。…と言っても未来には幾つもの運命...可能性があるから必ずしも見た未来になるとは限らないし、未来は選択した行動で変わるから毎回見ようとする度に見ることが出来る未来は変わるの。
......今度は分かったかしら?」
「うん!ありがとー、おねーさま!」
「......ふふ、どういたしまして。」
ふむふむ......なんとなく分かったけど結構難しいのね。それにしても...嬉しそうに微笑むお姉様ってカワイイ......はっ! 危ない危ない......理性がとびかけていた...。流石に、今はお姉様の部屋でお姉様と二人っきりだと言っても......ねぇ?
「?......そう言えばレナ、貴女は自分の能力は分かったのかしら?」
「え?わたしの?」
ちょっと考え事をしているとお姉様が話しかけてくれた。......あ、最初に首をかしげてたからさっきの顔に出てたかも。
「そう。貴女の能力よ。私はなんとなく......こういうのが出来るってことが分かったから貴女にも分かるはずよ。......もう少し時間がかかるかもしれないけど。」
「んー......」
んー、私自身の能力か......。そう言えば考えてなかった。自分にも何か出来るのかな?
「慌てなくても大丈夫よ。私もこの能力が分かったのは最近だのも。貴女もいずれ分かる日が来るわ」
「うん! 分かった!」
あ、お姉様も最近分かったのね。......私の能力......か。一体どんな能力なんだろう? まぁ、無いって可能性もあるけどね。お父様には無いみたいだし......。現時点で能力を持ってるって分かったのはお母様とお姉様だけ......。
ちなみに、お母様の能力は何かを代償として何かを制限することが出来るらしい。能力とかにでも使えるけど能力を制限するのに必要な代償は結構大きいらしい。だから、あまり使わないとか。
「コンコン」
お姉様と話をしていると誰かが扉を叩く音が聞こえた。
「レミリアお嬢様、私です」
「あら? どうかしたの? 入っていいわよ」
そう言って入って来たのは執事長だった。この執事長は私やお姉様が産まれるよりも前から仕えているらしい。今年で30年くらいになるとか。
「失礼します。おや、レナータお嬢様もこちらに居ましたか。
レミリアお嬢様、レナータお嬢様。もう少しで妹様が産まれるとのことなので私についてきて下さい」
「あ、もう産まれるのね!」
「いもうと!?」
「そうよ! レナ、私達の妹よ! レナも今日から姉になるのよ! 良かったわね!」
「うん!」
そう言って私達はお母様がいる部屋に向かって行った。
それにしても、やっとフランが産まれるんだ!楽しみだなー。......でも、大丈夫かな? フランって確か......情緒不安定で気がふれているからとかいう理由で495年間......というか産まれてからずっと地下に閉じこめられていたか閉じこもっていたんだよね......。
それに......お母様の体調も最近悪いし。そのせいか最近......お母様とあまり会えないし。
......でも、私がこの世界に生まれたから未来も変わっているはず......。フランが495年間も閉じ込められることがなくなるかもしれない......。
「レミリアお嬢様、レナータお嬢様。着きましたよ。この部屋で御座います」
「あら? 案外早く着いたわね。レナの時はもう少しかかったと思うけど」
「前の部屋は改装中で御座いますので......」
「あら? そうなのね」
......あ、誰かの声......多分、お母様とお父様の声が聞こえる。あ、赤ちゃんの声もだ! よし! やっとフランに会える!
......あれ?でもなんで小声なんだろう? 産まれたのなら喜んで大声の方が多いはずだし、小声はあまりないよね? ......何かあったのかな?
「コンコン」
そう考えているうちに執事長がノックした。
「ご主人様、入ってもよろしいですか?」
「ん? 執事長か? ......レミリアとレナータはいるか?」
「はい、勿論でございます」
......え?どうしたのかな? ......明らか雰囲気が普通じゃないよね。......え? フランは大丈夫だよね?
「......そうか。執事長、レミリアとレナータに話があるから先に俺の部屋に連れて行っててくれ」
「...承知しました」
「え? 私達の妹は?」
「......大丈夫だ。その前に話をする必要があるのだ。だから、俺の部屋に行っておくんだ」
「......分かったわ。レナ、行こっか?」
「う、うん......」
......やっぱり、何かあったみたいだ。大丈夫って言ってるけど......本当に大丈夫だよね?
「......レナ、大丈夫よ。心配なのは分かるけど......お父様の言う通り、部屋に行きましょう?」
顔に出てたのかな? お姉様に不安なのがバレちゃった......。お姉様も心配なはずなのに......私のことを心配してくれるなんて......。
「......うん、わかった」
それでも......やっぱり、お姉様も私みたいに不安がいっぱいなんだと思う。......私と違ってこの先の出来事が分からないから......。能力を使って見ることが出来ると言ってもまだあまり使いこなせていないみたいだし。
私が......お姉様とフランを守らないと。この先......「紅霧異変」までに何があるかは知らないけど......。それでも大体のことは察しがつくと思う。だから......だからこそお姉様とフランをこれからも守っていかないと。
私は......そう心に誓ってお父様の部屋に向かった────
side Remilia Scarlet
「コンコン」
レナと話をしていると誰かが扉を叩く音が聞こえた。
「レミリアお嬢様、私です」
「あら?どうかしたの?入っていいわよ」
そう言って入って来たのは執事長だった。......レナが産まれた時もこんなことがあったような......。あ、ってことはいよいよ...
「失礼します。おや、レナータお嬢様もこちらに居ましたか。
レミリアお嬢様、レナータお嬢様。もう少しで妹様が産まれるとのことなので私についてきて下さい」
「あ、もう産まれるのね!」
やっぱり、私にとっては二人目の......レナにとっては初めての妹が出来るんだ! お母様が体調を崩したって聞いた時は不安でいっぱいだったけど、妹が産まれたらお母様も元気になるだろう。
「いもうと!?」
「そうよ! レナ、私達の妹よ! レナも今日から姉になるのよ! 良かったわね!」
「うん!」
レナも喜んでいる。やっぱり、初めて出来る妹は誰でも嬉しいみたい。私もレナが産まれるって聞いた時は凄く嬉しかったし。レナが返事をした後......私達はお母様の部屋に向かって行った。
「レミリアお嬢様、レナータお嬢様。着きましたよ。この部屋で御座います」
「あら? 案外早く着いたわね。レナの時はもう少しかかったと思うけど」
「前の部屋は改装中で御座いますので......」
「あら? そうなのね。」
改装中なんて初めて聞いたけど......。それにしても...中から喜んでいる声とか全然聞こえない......。小さな声はするから絶対、中にお父様とお母様はいるはずなんだけど......。
「コンコン」
そう考えているうちに執事長がノックした。
「ご主人様、入ってもよろしいですか?」
「ん?執事長か? ......レミリアとレナータはいるか?」
「はい、勿論でございます」
...嫌な予感ってなんで当たるのかしらね。レナ......大丈夫かしら?
「......そうか......執事長、レミリアとレナータに話があるから先に俺の部屋に連れて行っててくれ」
「......承知しました」
「え? 私達の妹は?」
「......大丈夫だ。その前に話をする必要があるのだ。だから、俺の部屋に行っておくんだ」
「分かったわ。......レナ、行こっか?」
「う、うん......」
レナの方を見ると顔が不安でいっぱいになっていた。......私がしっかりしないと......。でも、私も不安でいっぱいになりそう。
レミリア! レナが産まれた時に姉としてしっかりするって決めたじゃない!
自分にそう言い聞かせてレナに言った。
「......レナ、大丈夫よ。心配なのは分かるけど......お父様の言う通り、部屋に行きましょう?」
「......うん、わかった」
......まだ不安は残っているみたいだけどレナの顔から少し......本当に少しだけど不安が消えた気がした。
...これから何があってもレナは傷付けさせないようにしないと......。レナは......繊細な子みたいだし。
私が......姉として、何があってもレナを──出来ればもう一人の妹も──守る。
私は今日......そう心に誓って、お父様の部屋に向かった────
ちょっと今の投稿ペースではクリスマス等の話をクリスマス等の記念日に番外編として投稿出来そうにないので更新ペースを上げます。
ということで投稿予定は毎週日曜日に一つ。それと月~土曜に不定期で一つ以上にします。
追記
編集して思ったこと。こんなネタあったんだと思いました。そして、何故か恥ずかしくなった()
それと、またネタ多めにしたいなぁ、と思いました。
そして、誤字報告ありがとうございますm(_ _)m