東方紅転録   作:百合好きなmerrick

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前よりは少し長め。毎回6000文字をキープできたらな...って思ってますので頑張ります。


1章「スカーレット家の次女」
1、「そして、私が生まれた日」


 side Remilia Scarlet

 

 ──紅魔館

 

 とある少女が紅魔館──吸血鬼が住む館──の廊下を歩いていた。姿は2、3歳の子供、水色の混じった青髪に真紅の瞳。ナイトキャップを被っており、色は白の強いピンクで、周囲を赤いリボンで締めている。結び目は右側で、白い線が一本入っている。 衣服は、帽子に倣ったピンク色。それには細い赤い線が幾つか入っている。両袖は短くふっくらと膨らんでおり、袖口には赤いリボンを蝶々で結んである。左腕には赤線が通ったレースを巻いている。 それに小さなボタンで服を真ん中でつなぎ止めている。腰のところで赤い紐で結んでいる。その紐はそのまま後ろに行き、先端が広がって体の脇から覗かせている。 スカートは踝辺りまで届く長さ。これにもやはり赤い紐が通っている。

  その少女が人間ではないことはひと目でわかる。何故なら、その少女の背中からは大きな蝙蝠のような翼が生えているからである。ここは紅魔館、吸血鬼が住む館......要するにこの少女も吸血鬼だ。

 

 

 今日ほど嬉しいことはこれから先もないだろう。...少し言い過ぎかな。でも、そのくらいのことが今日にある。

 何故なら今日はレミリア・スカーレット(わたし)の3回目の誕生日。それと同時に.....私の初めての妹が産まれる日だ!

 起きてからすぐに部屋に執事長がやって来て

 

「レミリアお嬢様、妹様がもう少しで産まれるとのことなので、私に着いて来てくださいませ」

「え!?いよいよなのね!わたし、たのしみだわ!」

「えぇ、そうで御座いますね。」

 

 と言われてから今は執事長と一緒にお母様がいる部屋に向かっている。

 

 こんなに嬉しいことは今までなかった。......と言っても三年しか生きてないのだけど。

 ......この三年間、私は今まであまり楽しむことが出来なかった。何故なら、同年代の友達がいない。......人間なら同年代でも見たことあるけど、とても人間とは友達になれるとは思えない。......なれるなら、人間とだって友達になってみたいけど。

 それと...私は長女、姉はいない。だから姉妹が出来るのも初めてで、姉妹と遊ぶことも出来なかった。

 

 ......だから、そのせいで不安もある。

 姉としてしっかり出来るか...妹と私は仲良くなれるか......私のことを嫌いになったりしないか...姉としてしっかり出来るか…という不安が...。

 ......そう考えているうちにどんどん部屋へと近付いていく......。

 

「......お嬢様、大丈夫ですか?」

「だ、だいじょうぶよ」

 

 そんな時に執事長が話しかけてきた。......やっぱり、顔に出てたかな。

 

「.....あまり思い詰めてはいけません。お嬢様、今日産まれる妹様はお嬢様の妹です。

 おそらく......いえ、間違いなく仲良くなれるでしょう」

「も、もちろんよ。わたしが、あねなんだから......あねとして、しっかりやるわよ。」

「......頑張ってください。困った時は私に何でもご相談ください。」

「......しつじちょう、ありがとうね」

 

 本当に、姉として......スカーレット家の長女として、しっかり妹の面倒を見れるかな......。

 

「レミリアお嬢様、着きました」

「.....えぇ」

 

 そんなことを考えてるとお母様が居る部屋に着いた。......お母様とお父様の声がする。......もう、産まれているのかしら?

 それにしても.....考え事をしていたせいか、不安のせいか......そのせいで緊張する。緊張して、部屋の扉を開けることが出来ない.....。

 

「......私がお開けしましょうか?」

「......すぅ〜、はぁ〜.....いえ...だいじょうぶよ。わたしがあける」

 

 ......不安と一緒に.....私を慕ってくれるかもしれないという期待もある。.....だから、大丈夫。きっと大丈夫。妹は私と仲良くなってくれる。そう思って一度深呼吸した。

 それに......まずは、会ってみないと始まらないわよね。

 

 色々と不安はある.....けど、最終的には勇気を振り絞って、私はその扉を「コンコン」と叩いた。

 

「わたしよ。レミリアよ。」

「おぉ、レミリア、早く入ってくるんだ! お前の妹が産まれたぞ!」

 

 すると、嬉しそうなお父様の声が聞こえてきた。

 

「えっ!? もう!?」

「ん? どうしたのだ?」

「...いえ、なんでもないわよ。いまはいるわ」

 

 ......それにしても、もう産まれたのね。産まれる瞬間って見たことないから少し見たかったけど......そんなことより早く入ろう。そう思い、ようやく扉を開けた────

 

 

 

 

 

 

 

 

 side Renata Scarlet

 

 ──時間は少し遡って紅魔館

 

 ......どういうことかよく分からない。ここは何処だろう?自分らしき産声に、多分、親らしき顔を見た......。というか現在進行形見えてる。というか産まれたばっかりって......殆どボヤけて形も確認出来なかった気が......でも、形はある程度見えるし......うーん......まぁ、いいや。

 それにしても......多分、転生......?というのをしたのだろう。そのせいか、記憶が殆ど無いけど......確か、車に轢かれて......死んだはずだ。でも、何か考えてたはずなんだけど......なんだったかな? それに......死んだ記憶? 以外には殆どなにも思い出せないし......。というか好きだったゲームとかは思いだせるってなに!? 他にも重要そうな記憶とかあるでしょ!? ......はぁ、誰に怒ってるんだろう......。まぁ、いいや。

 

「レナータ、お母さんですよー」

「おや、結局名前はレナータにしたのか?」

「えぇ、女の子ですしね」

 

 あ、やっぱり名前違うね。名前からしてここは外国なのかな? それと転生したのは......あれ? 女の子? マジですか?.....あっ、うん。本当みたいだけど別にいっか。というか記憶もそうだけど、前世の名前も性別も曖昧だしね。一人称が俺だった気がするけど......俺っ娘っていう可能性も......ありそうだけどないか。名前に至っては全然思い出せない。なんか靄がかかってるみたいに......。

 

「んー......やっぱり跡継ぎのことも考えて男の子が良かったが......」

「あらあら、それはレナータに失礼ですよ?」

「あーうー」

「ほら、レナータもそう言ってますよ」

「あ、あぁ、ごめんな、レナータ」

 

 あ、やっぱり普通には喋れないみたいだね。それにしても跡継ぎってことは......社長かなにかかな?でも、外国だし他の可能性もあるか......。

 

「それにしても......髪や翼が血を浴びたみたいに真っ赤だな。翼は端にいくにつれて俺達みたいな色になっているが...…。まぁ、綺麗だからいいか......」

「私達の髪色は黄色と青なんですけどね...。あ、そうだわ。ずっと昔...私達の先祖の方に赤色の髪の方でもいたのでしょう」

「あぁ、きっとそれだな」

 

 へー、真っ赤なのかー。それにしても髪や翼が真っ赤とか珍しいなー......って、翼ってなに!?確かに背中になんかある気がしてたけど! え? 本当に人間だよね? もしかして鳥かなんかなの!? え、でも手足の感覚はあるし......人間の突然変異かなにかなの!?

 ......はぁ......さっきからツッコミすぎて疲れるわ......。そもそも私は誰に言っているのだろうか......。

 

「コンコン」

 色々と考えている時に扉を叩く音がした。

 

「わたしよ。レミリアよ」

「おぉ、レミリア、早く入ってくるんだ!お前の妹が産まれたぞ!」

 

 あ、私って姉いるのね。......って、え?レミリア?......いや、まさかねぇ......。

 

「えっ!? もう!?」

「ん? どうしたのだ?」

「...いえ、なんでもないわよ。いまはいるわ」

 

「ガチャ」と音がして、二人分の足音が聞こえる。......二人分? レミリアって人と......誰だろう? ま、いいや。

 ......にしても、赤ちゃんって足音聞こえるくらいに耳がいいのね。知らなかった。

 

「あ、執事長、もうすぐしたらパーティーの用意をしてくれないか?今日はレナータが産まれた日、それと......レミリアの誕生日記念だ」

「はい、承知しました」

「え!? パーティー? やったー! わたし、たのしみー。

 あ、わたしのいもうとはどこ?」

「良かったわね。

 そうそう、レミリア、この子がレナータよ。レナータ、この子がレミリア......貴女の姉よ」

「レナータ!わたしがレミリア、あなたのあねよ!よろしくね!.....カワイイわね。それと......わたしとちがって、かみがまっかなのね。あ、つばさも。カワイイからきにならないけど...。」

「あぁ。赤い色とか不思議だろ? レミリアや私達は普通なんだけどな...。」

 

 

 うん、翼の説明が欲しいです。レミリアに翼......あれはゲームのはずだし......やっぱり違うよね。なんだろう......。それにしても喋り方や声的にレミリアって五歳いってないくらいだよね? そのくらいって普通に血を浴びたみたいとか言うものだっけ?......もしかして、本当にあのレミリア?

 

「うー...あーうー」

「あ、しゃべってる。......カワイイね」

「レミリアの時はあまり喋らなかったんだけどな......」

「たまたまこの子がよく喋るってことでしょう?」

 

 まぁ...一応、前世の記憶があるしね...。

 

「レナータ、わたしをみてるみたいね」

「お姉ちゃんが好きなんじゃないかしら」

「え! レナータ、ほんとう!?」

「うー」

「うん、ってことかな? ......ふふふ」

 

 あ、なんかめっちゃ喜んでいる気がする。嬉しかったのかな? ......前世に兄弟とかいなかったから分からないけど。......でも、嬉しそうで何よりだね。

 

「御主人様、準備が出来ました」

「流石だな。...レナータと初めての食事だな」

「そうね。レナータ、じゃあ、行きましょうね」

「わーい。わたしはレナータのよこね!」

「えぇ、いいですよ」

「あまり騒ぎすぎな.....いや、折角だからいいか」

「やったー!」

「良かったわね」

 

 パーティーか......多分、料理って血が入ってるよね? というか絶対吸血鬼だよね? レミリアとか翼って...ここは別次元って解釈でいいのかな......。

 

 こうして、そんなことを考えている私に誰も気付くはずもなく、この世界で初めて生を受けた一日は終わった────

 

 

 

 

 

 side Remilia Scarlet

 

 ──紅魔館

 

「ガチャ」と音をならして部屋に入って行った。

 

「あ、執事長、もうすぐしたらパーティーの用意をしてくれないか? 今日はレナータが産まれた日、それと......レミリアの誕生日記念だ」

「はい、承知しました」

 

 部屋に入るとお父様がそう言った。パーティーかぁ......私が産まれた時にもやったらしいけど......小さかったからかあまり憶えていない。だから、初めてやるのと変わらないから楽しみだ。......あ、私の妹は何処だろう?

 

「え!?パーティー?やったー!わたし、たのしみー。

 あ、わたしのいもうとはどこ?」

「良かったわね。

 そうそう、レミリア、この子がレナータよ。レナータ、この子がレミリア...貴女の姉よ」

「レナータ!わたしがレミリア、あなたのあねよ!よろしくね!.....カワイイわね。それに......わたしとちがって、かみがまっかなのね。あ、つばさも。カワイイからきにならないけど......」

「あぁ。不思議だろ?レミリアや私達は普通なんだけどな...。」

 

 真っ赤な目に髪は血みたいに濃く、翼の赤い部分はまるで正面から血を浴びたみたいに付け根の部分が真っ赤で、翼の先にいくにつれて私と同じような色になっている。だが、同じような色でも、所々に血が飛び散ったみたいに赤い斑点がついている。......それにしても、真っ赤な髪ね......綺麗だわ。私達、吸血鬼は鏡に写らないから自分の姿は分からないけど......私に似ているのかな?

 

「うー...あーうー」

「あ、しゃべってる。......カワイイね」

 

 もしかして...私を見てるのかしら?

 

「レミリアの時はあまり喋らなかったんだけどな......」

「たまたまこの子がよく喋るってことでしょう?」

「レナータ、わたしをみてるみたいね」

「お姉ちゃんが好きなんじゃないかしら」

「え! レナータ、ほんとう!?」

「うー」

「うん、ってことかな? ......ふふふ」

 

 嬉しい......そして、良かったと思った。これで不安が消えた。後は......姉としてしっかりお手本になるように頑張らないと......。

 

「御主人様、準備が出来ました」

「流石だな。......レナータと初めての食事だな」

「そうね。レナータ、じゃあ、行きましょうね」

「わーい。わたしはレナータのよこね!」

「えぇ、いいですよ」

 

 レナータに嫌われたくない。そんなことよりも......レナータが好きという気持ちが大きいから横に居たかった。可愛いし、赤い髪が綺麗だし......何より、私のたった一人の妹......だから、レナータが好き。

 

「あまり騒ぎすぎな.....いや、折角だからいいか」

「やったー!」

「良かったわね」

 

 今日はレナータが産まれた日...そして、私の誕生日。

 ......今日は今までで一番楽しい日になった。




いよいよ、始まった本編。序章は短すぎたね。

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