東方紅転録   作:百合好きなmerrick

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修学旅行だったり風邪だったりで遅れて結局月曜日投稿()
誠に申し訳ございませんでしたm(_ _)m

気を取り直して、今回から本格的に異変です。けど、100話目記念番外編などがあるから......まぁ、お楽しみくださいませm(_ _)m


4、「紅い館襲撃」

 side Remilia Scarlet

 

 ──紅魔館(フランの部屋)

 

 寒い季節が本格的になり、紅魔館では年明けの準備を始めた頃。

 私自身の仕事も終わり、ミアを探しに行くであろうレナを探して館の中を歩き回っていた。

 

 ミアが居なくなってからのレナは頑張り過ぎていると思うところがあり、少しでも負担を減らすために一緒に探しに行こうかと思って、仕事が終わるとすぐにレナの部屋へと向かった。

 だが、部屋はすでにもぬけの殻で、今は咲夜にも手伝ってもらい、レナが行きそうなところを片っ端から探している。

 

「お邪魔するわよ。レナ見なかった?」

 

 地上にあるレナの行きそうな部屋と図書館を探し終えた私は、フラン達の部屋に来ている。

 フラン達の部屋の中はフランとルナが遊んでいたのか色々な物が散乱しており、二人でその物を片付けていた。

 

 昔はよくフラン達が物を散らかすと片付けを手伝わされていたが、最近は自分達で後片付けができるようにはなっている。手伝わされるのも大変だからという理由で嬉しいとも思うが、何よりも成長していると実感できることがとても嬉しい。

 

「あ、レミリアお姉様? 珍しいね。お姉様よりも早く来るなんて」

「オネー様は知らないよ。まだ来てないの」

「だね。まだ見てもいないね」

「あらそう......。お邪魔したわね」

「......ねぇ、レミリアお姉様。もしかして、お姉様はまた探しに行ったの?」

 

 部屋を出ようとすると、フランが声をかけてきた。

 最近遊べていないレナや失踪しているミアのこともあり、フランも心配なのだろうと察する。

 

「おそらくね。でも安心しなさい。きっと、あの娘ならすぐにミアを見つけて帰ってくるわ」

「......もう三ヶ月も帰ってきてないんだよ。ここに帰ってくる気がないか、死ん──」

「フラン! ......やめなさい、そんなこと言うのは......」

「......ごめんなさい、レミリアお姉様......」

 

 レナ曰く、元はレナの別人格らしいが、その精神(人格)を身体という器に移した挙句、身体に完璧に馴染んでしまった今となっては、身体が壊れるとその身体に引っ張られるように精神(人格)も壊れてしまうらしい。

 その代わり、ミアとレナは同じくらいの魔力を持っている。そのミアを倒せるのはレナよりも高い魔力を持っているか武闘派の敵くらいだろう。だからこそ簡単に死ぬとは思えないから、ただ単に私達が見つけれない場所で今も生きているのかもしれない。

 

 ──それでも、死んだよりはまだそっちの方がいいけど......。

 

「......それじゃあ、もう行くわね」

「......待って!」

「どうかした?」

「わ......私、お姉様のところに行きたい......」

「私もー!」

 

 二人に哀愁と好奇心に満ちた目を向けられる。

 

 連れて行ってもいいが、レナが何処にいるのか分からないし、レナが居る場所が危険かもしれない。もし危険な場所なら精神的に弱い二人の妹を連れて行っても大丈夫なのか、心配になっている。だが、フラン達のレナ達を心配する気持ちも分かる。

 

 ──......紅魔館は咲夜達に任せて私はフラン達と一緒に行くことにしましょうか。

 

「......まぁ、いいわよ。外に出る準備ができたら門の前に来なさい」

「うん! ありがとうね、レミリアお姉様!」

「やったぁー」

「喜ぶのは会えてからに──っ!?」

 

 ──声が、聞こえた。

 

「......どうしたの?」

 

 二人には聞こえていないようだが、確かに美鈴の助けを呼ぶ声と何かが爆発する音が聞こえた。

 ──門で何かあったのだろうか。それとも、また魔理沙なのだろうか。

 

 どちらにしても、紅魔館の主として、何よりも傷付いたであろう家族のために行かないわけがない。

 

「フラン、ルナ。できる限り早く準備して門に来て。私は先に行ってるから」

「え? 何か──」

「話は後で! 急いで準備してきて!」

「う、うんっ!」

「わ、分かった!」

 

 二人に念を押すと部屋を出て支度もせずに門へと飛び出す。

 ──こういう時、レナがいればすぐに行けるのに......なんて、甘え過ぎかしら。

 

 心の中でそう思いながらも静かに美鈴が居るであろう門へと急いだ────

 

 

 

 

 

 side Hong Meilin

 

 ──時間は遡り 紅魔館(門前)

 

 

 邪悪な気と黒い雲が現れてから数時間が経つ。

 まだレナ様が帰ってくることがなく、暇なせいか私自身、眠気に襲われ始めていた。

 

「美鈴! 起きなさい!」

 

 そんな時、うとうととしている最中に聞き慣れた叱りつける声が聞こえる。

 

「ふぁい......? あっ! さ、咲夜さん......」

 

 重い瞼を開けると、目の前にはメイド服姿の咲夜さんが怒りと困惑の表情を浮かべていた。

 どうして怒っているのかは普段の経験からすぐに察しがついたものの、どうして困惑していたのかはすぐには気付くことができず、同じように困惑してしまう。

 

「美鈴、説明してちょうだい」

「す、すいません......。つい、眠くなっちゃって」

「そっちもだけど、空の方よ! レナ様がいないからとお嬢様に頼まれて外に探しに来たら、こうなってたのよ。

 おそらく異変だろうけど......美鈴、何か知らない? 寝てて知らないです、なんて言ったら職務怠慢で明日の朝食減らすから」

 

 関係はないとしても、異変が私達に何か悪影響を及ぼさないのか警戒しているのだろう。だからこそ咲夜さんは異変のことを知ろうとし、必要とあれば『春雪異変』のように止めに行こうと思っているのだろう。

 

「この黒い雲、おそらく妖怪の山から出ているやつです。これが現れた時に、同じようにして広がる邪悪な気を感じましたから。あ、でもこの事レナ様にもお話して、レナ様が先に向かっちゃいましたよ」

「ふーん......そう......」

 

 そのことを知っていて食事を減らされたくない私は、惜しみなく異変のことは咲夜さんに話した。とはいえ、私自身深くは異変のことを知らない。

 少ない情報で許されるのか......正直に言うと少し心配だった。

 

「充分よ。ちゃんと知ってたみたいだから減らすという話は無かったことにしておくわ」

「やっぱりガチで減らすつもりだったんですね......。咲夜さんってひどい時ありますよね」

「美鈴? 何か言った?」

「ななっ、何も言ってませんよ! いやー、そんなことよりもこれから......咲夜さん危ない!」

「な──っ!?」

 

 どれだけ経っても忘れることができない気を感じた私はとっさに咲夜さんを庇うようにして飛び込む。

 

 飛び込んでから地面に着くまでの一瞬の間に、左足の脛に鈍くも鋭い痛みを感じた。

 

「い、たぁ......。さ、咲夜さん、大丈夫ですか......?」

「め、美鈴! 敵襲!?」

「お、おそらく......。幻想郷に来てからはあまり感じなかったですが......殺気です。それも強力な。これだけは、絶対に忘れませんから......」

「よく気付いたねぇ。アタシは嬉しいよぉ」

 

 何も無かったはずの虚空から蓑を身に纏った一人の女性と二人の男性が現れる。

 女性の方は蓑帽子(みのぼし)を深く被っているが、それでも少し見える青い髪と顔から明らかにお嬢様と同じような年頃の少女で、西洋風の顔立ちだった。

 それに対して後の二人は蓑帽子の代わりに頭には小さな角を生やし、少女を守るかのように両わきに立ち強い殺気を放っている。

 

「アタシはお前らスカーレット家の敵さぁ。気に食わないからとりあえず死んで欲しいのよぉ」

「気に食わないという理由でお嬢様に刃を向け、美鈴に殺傷力の高い弾幕を使ったと言うの!?」

「まぁ、理由は何でもいいじゃんよぉ。とりあえず死んで、お嬢様を出してよぉ」

 

 まるで酔っているかのようにフラフラとしながら話す少女は、男二人を置いてどんどんと私達へと近付いてきていた。

 このまま近付かれて戦闘が始まれば、足を怪我している私は足でまといになるだろう。

 

 そう思った私は、せめて盾になろうと思い、前へ出ようとする。

 

「美鈴、待って。貴女はお嬢様を呼んできて。私が時間を稼ぐ」

 

 出ようとするも、すぐに手で静止させられた。

 

「え!? でも、相手は三人もいるんですよ!?」

「時間を稼ぐくらい大丈夫よ。それよりも今は、お嬢様に危険を伝えることが先決。怪我をしている貴女じゃ足止めするのも難しいでしょ。だから、急いで飛んで、伝えてきて」

「で、でも!」

「話は終わったぁ? どっちが先に死ぬのぉ? 言っとくけど、私一人で殺るから手加減とかするつもりないんでぇ」

「分かったら急いで! 私が相手よ! ここから先は通さない!」

「咲夜さんッ!」

 

 私が静止する声も届かず、咲夜さんは向かってくる敵を相手に、武器を構える────




何気に新キャラ出てるけど、あの人のあれだったりする。

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