東方紅転録   作:百合好きなmerrick

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書くのに結構時間がかかってしまった()
約13時間遅れだけど、無事投稿出来てよかった()

まぁ、とにかく、総合評価が100以上になったので、日常編を投稿します。
閲覧者の皆様、ありがとうございますm(_ _)m

因みに、総合評価が100ずつ上がる事に誰か一人の日常を書きます。どれだけの人数を書けるか全く分かりませんが、よろしくお願いしますm(_ _)m


日常編
日常編その1、「次女の普段通りの一日」


 side Renata Scarlet

 

 ──夜 紅魔館(フランの部屋)

 

「お姉様ー、早く起きてー。もう起きる時間だよー?」

 

 この数百年間、ほとんど毎日フランの部屋で寝ている。理由はフランが一緒に寝たいと言っているのもあるが、私自身も、フランを一人にしたくないからだ。まぁ、たまに自分の部屋で寝ることもあるけど、その時は、いつの間にかフランが私の部屋に来ている。そして、怒られる。まぁ、可愛いから怒られてもいいんだけどね。

 

「んー......後一時間だけ......」

「無理。早く起きて。それに、一時間も無駄にしたら、お姉様と遊ぶ時間が無くなっちゃうじゃん。二時間後には咲夜の料理の練習に付き合うんでしょ?」

「まぁ、そうですけど......眠たいですので......」

「むー、お姉様は私と遊ぶよりも、寝る方が大切なんだ。それならいいもん。一人で遊ぶから......寂しくなんてないからいいもん......」

 

 フランが涙目になってそう言った。

 

「え......あ、じ、冗談ですよ! 冗談! だから、泣かないで下さい、ね? フラン、今すぐ遊びましょう。いいですよね?」

「うん、いいよー。何して遊ぶー?」

「......あれ? もしかして、うそな──」

「え? お姉様、何か言おうとした? 」

 

 フランが悪魔じみた笑顔でそう言った。まぁ、悪魔なんだけど。

 

「......いえ、何もありません」

「それならいいよ。で、何して遊ぶ?」

「そうですね......『弾幕の当て合い』でもします? 勿論、食事の時間ギリギリまでやるわけにはいかないので、一回当たったら終わりにしますけど」

「んー......それにしよっか。じゃ、早速始めるから、頑張って避けてね?」

 

 そう言って、フランがまだ1メートルも離れていない距離から、紅い大玉の弾幕を放った。

 

「え、え!? 卑怯ではありませんか!? うわっ! あ、危なかったです......」

 

 私はその大玉を飛ぶことで、ギリギリ避けることが出来た。

 

「アハハハハ! 凄い! お姉様、この距離で当たらないなんて、とっても凄いよ!」

「フラン、そんな卑怯な手を使うなら、本気で相手しますよ?」

「うん! そっちの方が私もいい! お姉様が本気で遊ぶなんて、初めてなんだもん!」

 

 フラン......楽しそうだなぁ。まぁ、本気でやるって言っても、無意識に手加減してしまうんだろうなぁ。そうなったら、ごめんね、フラン。

 

「はぁ......では、その前に一つだけ。フラン、『アゾット剣』って知っていますか?」

「? 知らないけど......いきなりどうしたの?」

「『アゾット剣』とは、中世の医者にして錬金術師として有名だったパラケルススが持ち歩いていたと言われる剣です。ちなみに、名前の由来は剣の柄にある宝石に『Azoth』と刻まれているからと言われています。」

「あ、あの? お姉様? 長いなら、攻撃してもいい?」

「あ、勿論、いいですよ。喋りながら避けますので。今から話すのは、先に手のうちを知ってもらってから、避けて貰おうと思ったので」

「ふーん......あんまり舐めてると、すぐに終わっちゃうよ? ま、いいや。ちゃんと避けてね?」

 

 そう言って、フランが幾つもの色鮮やかな弾幕を放った。赤、黄、青、緑......他にも幾つかの色の弾幕を放ってきた。

 うわぁ......綺麗だなぁ......って、量多くない!? あまりにも鬼畜過ぎない!?

 

「お姉様、ちゃんと話しながら避けてね?」

「うっ、は、はい。コホンッ、『アゾット剣』は柄の宝石に悪魔を封じていて使役できたとか、実は剣ではなく危なっ!? どこからでしたっけ......あ、そうでした。って、また!? あ、すいません。剣ではなく杖だったとか、柄に賢者の石を入れていたといった話も伝わっています」

「......お姉様、無理して言わなくてもいいんだよ? と言うか、よく話しながら避けれたね、この量を」

 

 本当に......よく避けれたね、私。

 

「本当にそう思います。まぁ、取り敢えず、どうしてその剣の話をしているかと言うと、今からその剣をモチーフにした私の弾幕を受けてもらいます。ちなみに、モチーフにしたのは、『悪魔を封じていて、使役できる』と言う部分です」

「ふーん......じゃ、もう一回、同じのやるよー! 避けてねー」

 

 フランがそう言って、さっきと同じような弾幕を放った。

 

「あ、せめて最後ま、おっと、危なかったです。まぁ、全部魔力で作ったモノなので、本当の悪魔は使役出来ないんですけどね」

「本当に喋りながら避けているのをを見ると、結構うざいなぁー」

「うっ、すいません......。ですが、これを見たら、フランは喜ぶと思いますよ?」

「......え? どうして?」

 

 私はそう言って、魔法で『アゾット剣』を模した物を創り出した。

 

「この剣に封印している悪魔は、二体います。今回は、片方だけにしますけどね。では......召喚されて下さい。悪魔の写身として、私が愛する悪魔としての姿で......」

 

 私はそう言って、『フランと全く同じ姿をした魔力の塊』を創り出した。ちなみに、召喚とか言ってるけど、それっぽく言いたいだけなんだよね。

 

「......え? もしかして、私?」

「はい、そうですよ。ちなみに、姿形を全く同じにしたので、結構魔力を使ってしまいます。まぁ、とにかく、仕返しタイムですね。次は貴女が避ける番です」

 

 そう言って、私と、フランと全く同じ姿形の使い魔的な存在で一緒に攻撃を始めた。私は普通にばら撒くだけだけど、フランに似た使い魔は、先ほどフランが使った弾幕と全く同じのを放った。

 

「え!? お姉様の方が卑怯じゃん! あ、危なっ! って、痛っ!?」

 

 フランはしばらく弾幕を避けていたが、避けたところに弾幕があり、それに当たった。

 

「ふふふ......これが姉の力ですよ! どうです、凄いですよね?」

「ただ卑怯なだけじゃん! お姉様の卑怯者! 馬鹿! 絶壁!」

「いやいや、最後のはフランも変わらグハッ!!」

「お姉様やレミリアお姉様よりもマシだもん!」

 

 そう言って、フランが飛び蹴りをしてきた。

 うぅ......本当のことなのに......。まぁ、お姉様よりもマシだけどね。

 

「うぅ......痛いです......」

「私のことを絶壁とか言った罰だよ。っていうか、お姉様よりも全然あるから......うん、絶対に」

「......まぁ、そういう事にしておきましょうか」

「え? なんか言った?」

「い、いえ、何でもありません」

 

 どうしてお姉様もフランもこの話になったら、怒るんだろう......。全くもって謎だ。

 

「妹様方、失礼いたします。お食事の準備が出来ましたので、食堂にお集まり下さい」

 

 いつの間にか咲夜が入って来て、そう言った。

 もしかして、聞いてたのかな? まぁ、いっか。

 

「あ、分かった」

「はい、分かりました」

「では、失礼いたしました」

 

 そう言って、いつの間にか咲夜は何処かへと消えていった。

 咲夜は本当に神出鬼没だなぁ。

 

「じゃ、行こっか。早く『抜け道』作って」

「はい。......出来ましたよ」

「いつも思うけど、早いよね、作るの。あ、それと、次、絶壁とか言ったら、どうなっても知らないからね」

「......本当のこと──」

「あ? 今、なんて言ったのかな?」

 

 フランがそう言って、私の首を握りしめながら、持ち上げた。

 

「ぐっ、うっ、す、すいません......でした」

「よろしい。はぁ、本当に、お姉様達にだけは言われたくないからね」

「はぁ、はぁ......殺す気ですか......まぁ、私の方が悪かったんですけど」

「さ、そんな話は置いといて、行くよ。レミリアお姉様も食べないで待ってくれてると思うから」

「はい、それもそうですね。では、行きましょうか」

 

 こうして、私達は食堂へと向かったのであった──

 

 

 

 ──紅魔館(食堂)

 

「あー、美味しかった」

 

 食堂に着くと、いつも通り、お姉様と咲夜と美鈴が居た。まぁ、パチュリーはいつも通り、自分の部屋で食べているんだろう。

 

「こらっ、フラン。『ご馳走様でした』くらいは言いなさい」

「はあーい。ご馳走様でしたー。じゃ、お姉様、私は部屋に居てるから、用事が全部終わったら来てね」

 

 そう言って、フランが自分の部屋へと戻っていった。最初の頃はフランも練習していたが、飽きたのか、最近はたまにしか来ない。

 まぁ、それでも料理のレベルは今でこそ咲夜に劣るが、私よりも上手にはなった。フランと咲夜は覚えるのが早くて助かる。まぁ、お姉様もそれなりに早いけど、飽きるのがフランよりもかなり早いからなぁ......。

 

「はい、分かりました。では、咲夜、料理の練習に行きましょう」

「はい。......お嬢様、行く前に、何かありますか?」

「んー......紅茶だけもってきてくれないかしら?」

「はい、分かりました」

 

 そう言って、咲夜は一瞬のうちに消え、再び現れた時には、紅茶を持っていた。

 やっぱり、時止めって、便利だなぁ。まぁ、流石に、魔法では再現出来ないだろうけど。でも、いつか出来たら、やってみたいなぁ。

 

「お嬢様、どうぞ」

「仕事が早くて助かるわ。さ、もう行ってもいいわよ。何もないから」

「はい、分かりました」

「では、お姉様、行ってきますね」

「えぇ、また食事の時に会いましょう」

「あ、お嬢様、私も仕事に戻りますね」

「えぇ、頑張ってね、美鈴」

 

 こうして、私はお姉様達と別れた。

 今日は何を教えようか。だんだんネタが無くなってきたけど、まぁ、まだ残ってるから大丈夫かな。

 などと考えながら、厨房へと向かった──

 

 

 

 ──紅魔館(フランの部屋)

 

 咲夜に料理を教えるのも終わり、図書館で魔導書を読み漁った後に、二度目の食事をした。美鈴は流石にもう寝ている。門には誰もいないが、まぁ、大丈夫だろう。たまに誰か侵入してくるけど、パチュリーがすぐに分かるからね。

 そして、今はと言うと、食事をした後、暇だったので、フランの部屋に来ている。お姉様の部屋に行くことも考えたが、忙しかったら迷惑だろうから、今日はやめといた。

 

「お姉様......ここに来てからずっと、ぼーっとしてるけど、大丈夫?」

「え? あ、大丈夫ですよ。全然大丈夫ですので、心配しなくてもいいですよ」

「ふーん......それならいいけど」

 

 ほとんど毎日、フランと遊んでいるから、やることが思い付かなくなってきた。まぁ、数百年も同じようなことを繰り返してるんだし、思い付かないのも当たり前だよね。まぁ、フランと遊ぶのは飽きないけど。......本当だから、うん。

 

「お姉様、また寝る前にでも遊べるんだし、今はレミリアお姉様のとこにでも行ってみない? 私も今から行こうとしてたから、ついでにお姉様も行かない?」

「んー......まぁ、暇ですし、そうしますか」

「じゃ、『抜け道』作って」

「地味に魔力消費する量多いんですよ? あれは。まぁ、寝たら回復しますけど」

「つべこべ言わずに早く作って。早く」

「は、はい。分かりましたよ。......はい、出来ましたよ」

 

 そう言って、地面に『抜け道』を作った。

 

「音も無く作るって今更だけど凄いよね」

「ふっ、そうでしょう?」

「あ、なんかウザかったから、今の言葉取り消し」

「え、うぅ......」

「じゃ、私から先に行くね」

 

 そう言って、フランが『抜け道』へと落ちていった。

 さて、私もすぐに行くか。と言うか、すぐに行かないと、フランに怒られる。

 そう思い、急いで『抜け道』へと落ちていった──

 

 

 

 ──紅魔館(レミリアの部屋)

 

「......せめて扉の前に作ってから来なさいよ。どうして部屋の中に作るのよ」

 

 部屋の中に作ったからか、お姉様が少し不機嫌そうな顔をしていた。咲夜はいないみたい。多分、掃除か食事の準備中だろう。

 

「あ、すいません」

「まぁ、いいわ。なんの用かしら? もう少ししたら終わるから、遊ぶのは少し待ってなさいね」

 

 今、お姉様は何か書類のような物に何かを書いていた。紅魔館の主の仕事とかは、お姉様に任せっきりだから、何をしているか全然分からないや。

 

「えー、今すぐ遊ぼうよー」

「我が儘言わないで。本当にもう少しだけだから。数分程度で終わるから」

「むぅ......少ししか待たないからね」

「レナ、フランが癇癪起こさないように見てて」

「はい、分かりました。フラン、これを見てください」

 

 そう言って、フランそっくりな魔力の塊を作り出した。『アゾット剣』を使っている時のフランよりも小さな手のひらサイズだけど、あれよりもかなり正確に作り出した。まぁ、量よりも質の方を取った時と同じように、結構魔力消費するんだけどね。

 

「へぇ......凄いね、お姉様。翼とか全く同じ。まぁ、顔とか似ているかは全く分からないけど。私達、鏡に写らないし」

「まぁ、そうですね。でも、凄く可愛いですよね? これが貴女の顔ですよ」

「ふーん......お姉様って、私よりもレミリアお姉様に似てるんだね。まぁ、別にいいけど」

「え、そうなんですか?」

「うん、そうだよ」

 

 へぇ......私って、お姉様に似てるんだ......ちょっと嬉しいかも。いや、普通に嬉しいや。

 

「私からして見れば、貴方達二人も似ているとおもうんだけどねぇ。あ、レナ、フラン。終わったわよ」

「あ、本当に早かった。レミリアお姉様、何して遊ぶー?」

「何も考えてないわよ。この数百年で、遊べることは大体やってきたし」

「えー、何も思い付かないの?」

「何も思い付かないわね。レナ、何かない?」

 

 え、何かない? って言われても......流石に、ネタが尽きてる。前世の記憶がまだ少しだけあると言っても、全然思い付かないなぁ。と言うか、前世の遊びもほとんど全部遊び尽きたと思う。

 

「んー......すいません。全く思い付かないです」

「えー! 同じ遊びは一日に二度もしたくないしなぁ......」

「特に何も思い付かないなら、適当に話でもして時間を潰しましょうか。と言うか、レナ。飛行と魔法の練習はどうしたのよ?」

「今日は乗り気じゃないので、やめときました」

「......は? 乗り気じゃなくても、毎日、怠らないように練習しなさいって前も言ったでしょ? 貴女、私との約束を破るつもり?」

 

 あ、久しぶりに本気で怒ってる。これはやばい。かなりやばい。返答を間違ったら、殺される......。

 

「うっ、すいません......今すぐ行きます」

「えー! お姉様、行っちゃうのー?」

「すいません、フラン。また後で遊びましょう」

「うー......うぅ、分かったよぉ......お姉様と遊べるって思ってたのに......」

 

 フランが今にでも泣きそうな声でそう言った。

 ......本当にごめんなさい、フラン。

 

「......はぁー。レナ、今日だけ特別よ。フランが可哀想になってきたから、今回だけ休んでもいいわ」

「え、本当ですか?」

「本当よ。だけど、次は無いから。それだけは憶えておきなさい」

「お姉様、ありがとうございます」

「感謝はフランにすることね。はぁ、本当、私って妹に弱い気がするわ......」

「レミリアお姉様、ありがとう! 大好き!」

 

 そう言って、椅子に座っていたお姉様に飛び付いた。

 ......いいなぁ。私もお姉様に飛び付きたい。それか、フランに飛び付かれたい。まぁ、フランにはいつも飛び付かれてるけどね。力が強くて痛いけど。

 

「っ!? い、いったぁ......ふ、フラン。椅子から落ちちゃったんだけど」

「あ、ごめんなさい。でも、いいでしょ?」

「何がよ。そんなことを言われても、痛いのは変わらないわよ」

「え? お姉様は痛みがなくなったとかいうけど」

「気にしてはダメよ。それは、ほとんど自己暗示のようなものだから」

 

 まぁ、確かにほとんど自己暗示だけど......フランが可愛いから、痛みも忘れると思うんだけどなぁ。

 

「ふーん......まぁ、何でもいいや。レミリアお姉様、好きー」

「っ!? ちょ、ちょっと、痛いんだけど。と言うか、レナはいつもこんなに強く抱き締められてるの? よく無事だったわね......」

 

 本当に自分でもそう思う。いつか骨でも折れそうだ。

 

「レミリアお姉様、私のことが好きなら、ここは『私も好きだよ』とか言う場面だよ?」

「いや、痛いから。そんなの言えるような生易しい痛さじゃないから」

「え、そんなに痛いんだ。まぁ、いっか」

 

 

 

「よくないわよ! 痛いから、もう離しなさい!」

「うぅ......分かったよ。レミリアお姉様のいじわる」

「え......はぁ、仕方ないわね......まだ抱き締めててもいいわよ」

「やったー!」

 

 ......あれ? お姉様? フランに甘すぎない?

 

「お姉様、私も後でいいですか?」

「はぁ、いいわよ。でも、力は緩めなさいよ。フラン以上に強かったら、怒るから」

「まぁ、それは大丈夫ですよ。......と言うか、ギシギシ言ってません? 本当に大丈夫なんですか?」

「だ、大丈夫よ。これくらい。何も心配いらないわ」

 

 ......痛そうだなぁ。まぁ、私も毎日同じことをやられてるんだけどね。痛みに慣れてきちゃったから、今は痛みをあんまり感じないけど。

 

「お姉様、無理はしないでくださいね。フランは少しくらい、手加減してください」

「大丈夫。これくらいじゃ、骨は折れないと思うから。爪で怪我するくらいはしそうだけどね」

「怪我しないくらいの力にしなさいよ」

「はーい。あ、お姉様。順番変わってほしい?」

「え、まぁ、はい」

「なら、もういいかな」

 

 そう言って、フランがお姉様を離した。フランの翼が嬉しそうに揺れているし、結構嬉しかったのかな?

 

「ふぅ......痛かったわ。さ、次はレナね」

 

 お姉様がそう言って、お姉様から抱き締めてきた。

 

「え、あ......お姉様にこうやって、抱きしめてもらうのは、久しぶりな気がします」

「えぇ、そうね。私もそんな気がするわ」

「お姉様達、好きー」

 

 そう言って、フランが私達に向かって、飛び込んできた。

 

「え、あ、ちょ、痛っ」

「っ!? ちょっと! フラン!」

「いやー、暇だったから、ついね。それと、もう離さないからー」

「いやいや! ついじゃないでしょ!? それに、離しなさいよ!」

「いやー」

「お嬢様、失礼いたし......失礼いたしました」

 

 咲夜がいつの間にか、部屋に入ってきてそう言った。

 って、どうして帰っていこうとしてるの!?

 

「え、ちょっと! 咲夜、助けてよ!」

「ですが、お嬢様。楽しそうに見えるんですが」

「楽しくはあってもフランをどけるのを手伝いなさいよ! この娘、全然離してくれないんだけど!」

「楽しいのは認めるんですか......。お二人の力で離せないのなら、私の力で離すことは出来ないと思いますよ?」

 

 まぁ、私はあんまり力を入れてないんだけどね。力を入れ過ぎると、フランが怪我しそうだし。と言うか、私とお姉様が抱き合っている時に、フランが飛び込んできたから、変な体勢になってる。だから、力を入れたら、お姉様も怪我しそう。

 

「それでも、出来るかもしれないでしょ!?」

「しかし、お嬢様」

「『しかし』じゃないでしょ! 早く助けてちょうだい! と言うか、フランは早く離してよ! かなり痛くなってきたんだけど!」

「無理ー。お姉様が嫌がる姿って珍しいから、もう少しだけ我慢しててー。あ、勿論、嫌がりながらね」

「性格悪いわね! 貴女! と言うか、咲夜は早くしなさい!」

「ですが、お嬢様」

「だから、『ですが』でもないでしょ!?」

「されど、お嬢様」

「もういい加減にしなさい! と言うか、貴女、楽しんでやってるでしょ!?」

 

 お姉様......いくら何でも慌て過ぎだよ。もっと冷静になればいいのに......。

 

「はぁ......仕方ありませんね。お嬢様方、少し失礼いたします」

 

 そう言って、咲夜が時を止め、いつの間にかフランと私達を離していた。

 

「ふぅ......助かったわ」

「ちぇっ、もっと楽しみたかったなぁー」

「こっちはクタクタよ。さぁ、食堂に行きましょう。時間を潰しすぎたわ」

「はーい。じゃ、お姉様、『抜け道』作ってー」

「魔力消費が激しいとさっきも言ったはずなんですけど......まぁ、いいです」

 

 そう言って、地面に『抜け道』を作る。それにしても、フランに抱き締められたせいか、まだ身体中が少し痛むなぁ。まぁ、痛むと言っても、本当に少しだけだから、いいんだけどね。

 

「はい、出来ましたよ」

「本当、貴女の魔法って、早いわよねぇ......毎回言ってる気もするけど」

「毎回言われている気がします」

「じゃ、私から行くねー」

 

 そう言って、フランが抜け道へと落ちていった。フランって、いつも最初に行きたがるなぁ。......いつか、行き先を天井にでもしてみようかな。......いや、やめとくか。後で怒られるだろうし。

 

「じゃ、行きましょうか」

「はい、そうですね」

 

 そう言って、お姉様達と一緒に『抜け道』に落ちて、食堂へと向かった──

 

 

 

 ──紅魔館(食堂)

 

「ご馳走様でしたー」

「ご馳走様でした。それでは、先にお風呂に入ってきますね」

「あ、お姉様と一緒に入りたーい」

「......後で、お姉様と一緒に入ったらどうですか?」

 

 フランとは昔、一緒に入ったこともあるけど、だんだん恥ずかしくなってきて、最近は全く一緒に入っていない。まぁ、フランは妹だけど、私の前世は男だった気がするからねぇ......ほとんど憶えてないんだけど。まぁ、それだけでも、抵抗がある。

 

「お姉様、最近そればっかじゃん。またお姉様と一緒に入りたいんだけどなぁー」

「すいません。最近は一人でゆっくりしたいので」

「ふーん......まぁ、それならいっか。ってことで、レミリアお姉様。後で一緒に入らない?」

「いいわよ。でも、私も最近、レナと一緒に入ってないわねぇ」

 

 どうしてお姉様も一緒に入りがるんだろうか......まぁ、ただ単に、一緒に居たいだけなんだろうけど。

 

「お姉様まで......」

「服は風呂場に既に用意してありますよ。三人分を」

 

 なぜと言うか、いつの間に用意したんだろう......。咲夜が最近怖い気がする。まぁ、口に出しては言わないけど。

 

「咲夜もなぜ手伝っているんですか......まぁ、今日だけなら、いいですけど......」

「やったー! じゃ、早速行こー!」

「お食事の片付けは、私に任せてください」

「ありがとう、咲夜。じゃ、行きましょうか」

「はぁ......分かりました」

 

 こうして、私達は食堂を出た。

 それにしても、何百年ぶりだろう......まぁ、いいや。多分、百数年とかそんなものだろう。フランが何百年も我慢するとは思えないしね。

 そう考えながら、大浴場へと向かったのであった──

 

 

 

 ──紅魔館(大浴場)

 

「あ〜、いい湯だな〜」

「......そうですね」

「ふぁ〜、眠くなってきたわ......」

 

 今はお風呂に浸かっている。それにしても、本当に久しぶりだなぁ......いや、三人で入ったのは初めてかな?

 紅魔館の大浴場はかなり広い。十人くらいで入っても、まだまだスペースがあるくらいだ。

 最初の頃は苦労したよねぇ......吸血鬼は流水が無理だからね。最初の頃は誰かに拭くのを手伝ってもらっていたけど、最近、特に一人の時は、自分で拭かないとダメだからねぇ。まぁ、そう言っても、時間かかるだけなんだけどね。

 

「ほっ......やっぱり、お姉様達よりはマシだよね。私って」

 

 フランが私達の目よりも少し目線を下に向けて言った。

 え? どこ見て言ってるの? と言うか、どうして安堵してるの?

 

「......フランも変わらないと思うけど?」

「レミリアお姉様、負けず嫌いなのはいいけど、現実は受け止めた方がいいよ?」

「ぐぬぬ......で、でも、将来はもっと......」

「ないない。絶対ない。お姉様よりもないと思う」

 

 あれ? 話についていけてないのって、私だけ?

 

「えーと......何の話ですか?」

「どうして貴女は気付かないのよ......まぁ、いいわ。先に出るわね」

「あ、私も出ます」

「えー! もう少しだけ入ってようよー」

 

 そう言って、フランがお湯をバシャバシャと叩いた。

 ......え、ちょ、それ当たったら痛いやつじゃない? いや、飛んだ水はいいのか? まぁ、触ろうとは思わないけど。

 

「もう充分入ってたでしょ?」

「むぅ......それなら、明日また入ろうね」

「考えておきますね」

「それ絶対入らないやつじゃん!」

 

 まぁ、そうだけど。

 

「いえいえ、入りますよ。多分」

「......まぁ、いいや。また明日言おっと」

 

 そんな話をしながら、私達は大浴場から出ていった──

 

 

 

 ──紅魔館(フランの部屋)

 

「ふぁ......今日も一日終わったねー。まぁ、本当はまだ一日は終わってないけど」

「ふぁ〜......今日も色々あったわね」

「そうですね......一つだけ聞きたいんですが、どうしてお姉様が居るんですか?」

 

 風呂場から出て、そのまま部屋へと私達は向かった。そして、その時に何故かお姉様までついてきた。

 

「特に意味はないわよ。ただ、強いて言うなら、明日は何もないから、暇潰しね」

「暇なら、ずっと遊べるね!」

「はい、そうですね」

「まぁ、レナは今日サボった分の練習をしてもらうけどね」

 

 うっ、結局はそうなるのか......。

 

「わ、分かってますよ......あ、眠たいのでもう寝ますね。おやすみなさいです」

「明日になっても絶対憶えてるから、覚悟しなさいよ。じゃ、おやすみなさい」

「おやすみー」

 

 ......明日、疲れそうだなぁ......。

 そんなことを考えながら、私は瞼を閉じた────




ついでに、これが大まかなレナータの基本的な一日です。
18:00 起床
19:00 食事
20:00 咲夜の料理練習
22:00 図書館で魔導書の読み漁り
24:00(0:00) 食事
1:00 暇な時間帯
2:00 外で飛行、魔法の練習
3:30 食事とお風呂など
4:30(自分orフランの)部屋に戻る 少しだけフランと遊ぶ(フランに遊ばれる)
5:00 睡眠

時間はそれっぽく、設定しただけなので、毎日同じ時間にやったりはしない模様。
因みに、幻想入りする前の時間帯です

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