蛇寮のハーマイオニー   作:強還元水

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第二十章 ギルデロイ・ロックハート

 3人は見回りしている先生を避け、城の中を進んだ。ロックハートは何か取り込み中らしく、カリカリ、ゴツンゴツンと言う音が部屋から聞こえてくる。2回ノックした末に、扉は開いた。

 

 「あぁ、ポッター! ウィーズリー!」ドアの隙間から顔をのぞかせたロックハートが焦ったように言った。 

 

 「それからグレンジャー……。3人は何をしているのだね? 生徒は外出禁止だとマクゴナガル先生がはっきりおっしゃっていましたが」

 

 「僕たちはジニーを助けたいんです!」ウィーズリーが泣きそうな声で叫んだ。

 

 「あー」ロックハートは非常にめんどくさそうだった。「ええと、君たちは既に知っていたのかな?」

 

 ロックハートはあごを軽く引っ掻いた。

 

 「いや――まあ、いいでしょう」

 

 ロックハートは扉を開け、3人は中に入った。そして、ロックハートはドアを3人の後ろで閉めた。

 

 部屋の中は荒れていた。床には大きなトランクが2個置いてあり、片方には色とりどりのローブが突っ込まれ、もう片方には本がごちゃ混ぜに入れられている。

 

 「どこかへいらっしゃるのですか?」ポッターが聞いた。

 

 「はい、そうなんですよ」と、ロックハートは愛想よく笑いながら言った。「あなたたちが知っているか分かりませんが、学校はこれから閉鎖されるようなんですよ。つまり、私は失業です」

 

 ハーマイオニーは怒鳴った。「ジニー・ウィーズリーを見捨てるつもりですか? 貴方は先生でしょ!」

 

 「ジニーは僕の妹だ」

 

 「あー、君の妹は助けたい。非常に」と、ロックハートはうなずいた。「しかし、問題があるんです」

 

 「何ですか?」ポッターは尋ねた。

 

 「えーと、私は、部屋がどこにあるかについて、わからないんです」

 

 「僕たちには分かるかもしれません」と、ポッターはすぐに言った。

 

 「うん?」

 

 「秘密の部屋の入り口が、です」

 

 「あー」

 

 「それに怪物の正体も分かっています!」とうとうウィーズリーは泣き出した。

 

 「正体? 一体何ですか?」

 

 「バジリスク!」ポッターとウィーズリーは同時に叫んだ。

 

 「バジリスク……」ロックハートはしばらく顎を撫でていた。

 

 「なるほど。秘密の部屋の入り口はどこに?」

 

 「マートルが知っているかもしれません」

 

 ロックハートはローブの中に手を滑り込ませた。

 

 「それにしても君たちはどうして怪物の正体が分かったのかね? もしかすると倒す方法も知っているのかい?」

 

 「私が突き止めました」ハーマイオニーは1歩踏み出して答えた。「もちろん、倒す方法も知っています」

 

 「素晴らしい、グレンジャー! 私は誤解してました。スネイプ先生がおっしゃってたように、貴方は素晴らしい魔女です!」

 

 ハーマイオニーはどもりながら尋ねた。「スネ、スネイプ先生は何と?」

 

 「非常に素晴らしい魔女だと彼は言っていました。巨大な知識を頭に詰め込んだ才能あふれる魔女だとも。いやー、彼の言っていた通りでした! さあさあ」と、ロックハートは大声で言った。「私をマートルという男の元へ案内したまえ!」

 

 

 「おーい、マートル?」ロックハートはキョロキョロしながら声を出した。「ここにマートルがいるのかい?」ポッター以外の2人が頷いた。「そうか。おーい、マートル?」

 

 マートルは一番奥の小部屋から浮かび上がった。「一体何の用?」

 

 「あー、彼女がマートル?」ロックハートは慌ててハーマイオニーに顔を向けた。

 

 「はい」

 

 ロックハートは大きく息を吸い込み、胸をふくらませた。「まあともかく、私に秘密の部屋があるところを教えてください! 助けなければいけない女の子がいるのです!」

 

 マートルは目を細めるだけだった。「秘密の部屋の場所なんて知らないわ」

 

 「ねぇ、マートル」ハーマイオニーは会話に割り込んだ。「貴方が死んだ時の様子を聞きたいの」

 

 マートルはたちまち顔付きを変えた。こんなに誇らしく、嬉しい質問をされたことが無いという顔だ。

 

 「オォォォォゥ、怖かったわ。まさにここだったの。この小部屋で死んだの。オリーブ・ホーンビーがわたしのメガネをからかったものだから、ここに隠れたの。鍵をかけて泣いていたら誰かが入って来たわ。何か変なことを言ってた。外国語だった、と思うわ。とにかく、いやだったのは、しゃべっているのが男子だったってこと。だから、出て行け、男子トイレを使えって言うつもりで、鍵を開けて、そして――死んだの」マートルは偉そうにそっくり返って、顔を輝かせた。

 

 「どうやって?」

 

 「わからない。覚えているのは大きな黄色い目玉が2つ。体全体がギュッと金縛りにあったみたいで、それからふーっと浮いて……また戻って来たの。だってオリーブ・ホーンビーに憑りついてやるって固く決めていたから。あぁ、オリーブったら、わたしのメガネを笑ったこと後悔してたわ」

 

 「その目玉、正確に言うと何処で見たの?」

 

 「大体そこらへん」

 

 ハーマイオニーたちは急いで手洗い台に近寄った。ロックハートは顔中に恐怖の色を浮かべて、スッと後ろに下がっていた。

 

 3人は隅々まで調べた。内側、外側、下のパイプの果てまで。そして、ハーマイオニーは、銅製の蛇口の脇の所に、引っ掻いたような小さな蛇の形が彫ってあるのに気が付いた。

 

 「ポッター、パーセルタングで何か言って」

 

 「なにを?」

 

 「私が知るわけないじゃない」

 

 ポッターは眉をひそめてハーマイオニーを睨んだ。そしてしばらく間を置いた末に「開け」と言った。

 

 「ポッター、君はユーモアがあるね」ロックハートはクスクス笑った。「それは普通の言葉だよ」

 

 ポッターはロックハートをにらんだ。そして大きく咳払いすると、再び口を開いた。今度は、奇妙なシューシューと言う音だった。そして、蛇口がまばゆい白い光を放ち、回り始めた。次の瞬間、手洗い台が動き出し、床へと沈み込み、みるみる消え去った後に、太いパイプがむき出しになった。大人1人が滑り込めるほどの大きさだ。

 

 「素晴らしい、ポッター!」ロックハートは笑顔を見せた。「私たちはついに、秘密の部屋を見つけた!」

 

 「僕は此処を降りていく」とポッターが言い、ウィーズリーがそれに追従した。

 

 「本当にグリフィンドールって馬鹿ね」ハーマイオニーは鼻で笑い飛ばした。「バジリスクの口の中に飛び込むつもり?」

 

 「ポッター、私もグレンジャーの意見に賛成です」と、ロックハートは言った。

 

 「ハリー、君には教職員たちに私が秘密の部屋を見つけ、勇敢にも少女を救いに行ったと話してほしい。きっと私が無事に、少女を助けて帰ってくる」

 

 「先生、僕も行きます」ポッターが不満そうにつぶやいた。「またパーセルタングが必要な扉が現れるかもしれないですし」

 

 「私は熟練の魔法使いですよ、ポッター。ドアは私でも開けます」

 

 パイプに近寄って来たロックハートは手招きした。「来たまえ、ミス・グレンジャー」

 

 「何ですか?」

 

 「この中で唯一スリザリン生だ。バジリスクは貴方に倒して貰います。なーに、蛇には慣れた物でしょう」ロックハートは小さな、意地悪気な笑みを浮かべた。「行きますよ、えっ? ほら、さあ!」

 

 ロックハートはハーマイオニーのローブをつかんで、パイプへ飛びこんだ。

 

 「きゃぁぁぁああ!!!」

 

 果てしのない、ぬるぬるとした暗い滑り台を急降下していくようだった。あちこちで四方八方に枝分かれしているパイプが見えたが、自分たちが降りていくパイプより太い物は無かった。

 

 出口から放り出され、ドスッと湿った音をたてて、暗いトンネルのじめじめした床に落ちた。

 

 「何てことをするんですか!」ハーマイオニーはすぐに立ち上がると叫んだ。

 

 ロックハートは大きな声で笑ったが、それ以上の反応はせず、ルーモスを唱えた。トンネルは僅かに照らされたが、目と鼻の先しか見えない。ハーマイオニーは目の前に続く闇をじっと見つめた。

 

 しばらくして後ろからウィーズリーとポッターの叫ぶ声が聞こえてきたため、ハーマイオニーは邪魔にならないところへ移動した。

 

 ベチャッという音をたててやって来た2人にロックハートは不満げに言った。「教職員に伝えるように言ったでしょうが」

 

 「貴方達2人に妹の命は預けられないんです!」ロナルドは吐き捨てるように言った。

 

 「そして僕は、パーセルタングが話せる唯一の人間です」

 

 ロックハートは唸ったが、それ以上反対はしなかった。「では、行くとしましょうか!」

 

 3人が大股で前に進んでいく中、ハーマイオニーはその後をゆっくりと追った。ロックハートはバジリスクの対処をハーマイオニーに任せようとしている。ハーマイオニーは自分にそんなことが出来るとは思えなかった。しかし、上へは簡単に帰れそうにも無い。

 

 「グレンジャー、何処にいますかー?」と、ロックハートが間抜けな声で呼びかけた。

 

 ハーマイオニーは杖を取り出すと、「ルーモス 光よ」と小さく唱えた。

 

 「ロックハート先生、私はあなたをルシウス・マルフォイに報告するつもりです」と、ハーマイオニーは叫んだ。「彼は理事の1人です」

 

 ロックハートはくすくす笑っていた。「グレンジャー、私は1年契約なのですよ。その脅しは通じません」

 

 「ミスター・マルフォイは非常に強い権力を持っています。彼の影響は、ホグワーツに留まるものではありません」同室の女の子たちが言っていた話だ。きっと、それは真実なのだろう。ミスター・マルフォイはスリザリン生のために、きっと行動してくれるはずだ。たとえハーマイオニーがマグル生まれであっても。

 

 「ここにいる怪物を倒せば、誰も私に手出しは出来ないでしょう!」ロックハートは後ろ向かって叫んでいる。

 

 「何たって私は少女を救い、全校生徒を守った存在になるんですから! さて、もしかすると私の像が立つかもしれませんよ!」

 

 「どのようにして、先生はバシリスクを殺すつもりですか?」ハーマイオニーは尋ねた。

 

 そして、角を曲がったところで、3人が立ち止まっていたので、ハーマイオニーは横から顔をのぞかせた。行く手には、トンネルをふさぐように、何か大きくて曲線を描いたものがある。ハーマイオニーは素早く杖を構えた。

 

 「何事だね、グレンジャー?」ロックハートはくすくすと笑った。「ただのヘビの抜け殻だよ」

 

 ハーマイオニーはゆっくりと腕を下した。ロックハートの言う通り、巨大なヘビの抜け殻だった。ハーマイオニーは杖を仕舞うと、前に歩き、乾燥した、毒々しい鮮やかな緑の皮に手をやった。ポッターはハーマイオニーのそばにしゃがみ込み、周りを照らした。

 

 「私たちがどれだけ危険な状況にいるか、これを見ればわかると思います」

 

 「ええ、その通りです」ロックハートは明るい声で同意した。「ですからグレンジャー、敵と遭遇する前に対処法を知っておきたいのですが。計画はあるんでしょう?」

 

 「計画? 計画なんてありませんよ」ハーマイオニーは嘲笑った。

 

 ロックハートは混乱しているようだった。「計画がない? 貴方はバジリスクを倒す方法を知っていると言ったじゃないですか」

 

 「ええ。雄鶏の鳴き声が、致命的な弱点です」

 

 「なら、ハグリッドの小屋から連れてこなくては!」

 

 「すべて殺されています」と、ポッターが言った。「継承者が全羽殺しました」

 

 ロックハートは、唇を噛みしめた。「なるほど。で、バジリスクには他にどんな特徴が?」

 

 「バジリスクは目で人を即死させます! 毒牙で噛まれればひとたまりもありません!」ハーマイオニーは怒鳴った。

 

 ロックハートはブツブツ呟いた。「我々は苦境に立たされているようです」

 

 「あなたが愚かなことをしなければ、もっと対策をしたうえで、大勢の者と一緒に此処に来ていたでしょう」

 

 ハーマイオニーは前方の闇を見つめて呟いた。多分、自分たちがジニーの死体を発見して立ち去ることになるのを予想しながら。

 

 「そうですね、しかし、解決方法はあります」

 

 何かが背後で素早く動いた。

 

 「エクスペリアームス!」

 

 ポッターが前方に吹き飛び、彼の杖が暗闇で乾いた音をたてた。

 

 ハーマイオニーが急いで杖を取り出す中、ウィーズリーが復讐のために呪文を唱えた。が、ウィーズリーは呪文を逆噴射し、壁に思いっきり叩き付けられた。

 

 ロックハートはハーマイオニーに向かって呪文を唱える。しかし、その時にはハーマイオニーは準備ができていた。

 

 「プロテゴ!」

 

 ロックハートは、悲しげに微笑んだ。「決闘クラブでは恥をかきましたが、意外に私は強いんですよ」

 

 「ボンバーダ!」ハーマイオニーはロックハートの顔を狙う。

 

 闇の魔術に対する防衛術の教師は杖を払うだけでそれを防ぐ。

 

 「デフェンド! ペトリフィカス・トタルス!」

 

 ロックハートはあらゆる攻撃に耐えた。「ステューピファイ!」

 

 「プロテゴ!」ハーマイオニーは後ずさって堪える。

 

 ロックハートは前に進み、ハーマイオニーは徐々に後ろに下がった。

 

 ハーマイオニーの心臓は飛び出さんばかりに鼓動が早くなっている。

 

 「なにが目的なんです?」

 

ポッターが意識を取り戻したときに援助してもらえるように、ハーマイオニーは闇に消えたポッターの杖を探していた。「これほどの実力があるなら、協力して対決すればよかったのに!」

 

 「レイブンクロー生ですからある程度の才能はあるんですが、どうにも無謀な戦いが苦手でしてね」

 

 ロックハートは後ろに下がるハーマイオニーを見て歩みを進めた。

 

 「なんと学校に説明するつもりですか? 秘密の部屋に子供たち3人を引き連れて行った。そして3人とも死んだと話すんですか!?」

 

 さらに後ろに下がったハーマイオニーは、岩のような蛇の抜け殻に躓いた。

 

 「全員殺す訳ではない。こう話すんだ。私はスリザリンの後継者を探してトイレのパイプを降りて行った。トンネルを進むと、その先で哀れな少女の死体と、継承者ハーマイオニー・グレンジャーがいた、と」薄暗い中、ロックハートが笑顔を浮かべるのが見えた。

 

 「スリザリンの後継者はスリザリンのマグル生まれの少女だった。彼女はスリザリンの中で浮いた存在で、どうにかみんなに認めて欲しかった。そこでマグル生まれの生徒を襲った」

 

 ハーマイオニーは僅かにポッターが動いたのに気が付いた。

 

 「そんな穴だらけの話、スネイプ先生が信じません」ハーマイオニーは壁に手をついて立ち上がると、震える声で言い返した。

 

 「たった1人が何になる。穴は君を殺した後に埋めるとするさ」ロックハートは肩をすくめ、蛇の抜け殻を跨いだ。

 

 「ポッターとウィーズリーはどうするんですか? 彼らも私の犠牲者?」

 

 「彼らは私に何の相談もなしに秘密の部屋に飛び込んだ。彼らはあまりに感情的で、あまりにまぬけだったのだ。彼らは君の後を追いかけたが、君の才能には勝てなかった。彼らは気絶し、起きた時には記憶を失くしていた。私は忘却術に自信があってね」

 

 「記憶を取り除く呪文ですか?」

 

 「その通り。本を書く際によく使用している魔法だ。非常に、便利なのでね」

 

 「13歳の女の子を殺害して、栄光を得られると思っているんですか?」

 

 「継承者の女の子は非常に優秀な魔女だった」ロックハートは肩をすくめた。「そして、降伏しなかった!」

 

 ロックハートは叫ぶと、杖を振った。

 

 ハーマイオニーは横に飛び退き、「プロテゴ!」と叫んだ。

 

 しかし、呪文は飛んでこない。急いで立ち上がろうとしたハーマイオニーは、ぬるぬるの岩を踏み、滑った。ロックハートは杖を向け直して、「インカーセラス!」と唱える。

 

 太いローブが空気をしならせて、ハーマイオニーの足首に巻きつく。ハーマイオニーは体勢を立て直せず、地面に倒れた。

 

 「さようなら、グレンジャー」ロックハートは頭上に杖を振り上げた。

 

 ハーマイオニーは、無我夢中で杖をロックハートに向け、懸命に叫んだ。

 

 「コンフリンゴ! 爆発せよ!」

 

 大きな火が杖から飛び出し、ロックハートの頭の上をかすめてそのまま急上昇し、洞穴の天井に激突した。オレンジの明るい光が一瞬洞穴を照らしたかと思うと、頭上で大きく爆発音が響いた。そして、その瞬間、岩が雨のように降り始めた。トンネルがゴゴゴゴッと音をたてて崩壊し始めたので、ハーマイオニーは後ろに後ずさりした。

 

 鈍い痛みが頭に走り、ハーマイオニーは地面に倒れた。続けて岩の塊が足元に落ちてきたのが、薄っすらとする意識の中で分かった。

 

 耳はキーンと鳴っている。まともに音を聞くことが出来ない。手放した杖の場所を探すために、ハーマイオニーは何とかひっくり返った。

 

 視線の先に、ギルデロイ・ロックハートがいた。彼の髪はくすぶり、頭の後ろは焼けただれている様だった。ロックハートは擦りむかれた手をハーマイオニーに伸ばした。ハーマイオニーはロックハートから逃れようと、血だらけの足で必死に地面を蹴った。ロックハートは何かを言おうとしているようで、口を開いたが、空気の抜ける音と、大量の血が零れだしただけだった。ロックハートはハーマイオニーの方へ這おうとしていた。しかし、彼の体の下半分は、大量の石の下敷きになっていた。

 

 ロックハートは、再び口を開いた。零れる血の音とゼーゼーという荒い呼吸の中、ハーマイオニーは微かに零れ出る言葉を耳にした。明るい青い目はじっとハーマイオニーを見ている。

 

 「グレンジャー……」

 

 再びロックハートは手を伸ばした。ハーマイオニーは血だらけの足を使って、さらに遠くに離れようと後ずさる。血まみれの顔の光っている目を見ているのが辛くて、ハーマイオニーは目をそらそうとした。しかし、そうすることができなかった。自分を殺害しようとしていた男、ギルデロイ・ロックハートの明るい青い目から、生命の光が消えていくのを、ハーマイオニーは釘付けになって見ていた。

 

 ハーマイオニーは自分が殺した男から、目を離すことが出来なかった。

 


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