蛇寮のハーマイオニー   作:強還元水

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第十八章 奇妙な2人組

 ギルデロイ・ロックハートは学校に元気を取り戻そうと、足りない頭を使ったようだ。

 

 金色の翼をつけ、ハープを片手に握っている無愛想な顔つきの小人は、ロックハートの指令で、バレンタイン・カードを配達していた。小人たちは一日中教室に乱入し、先生たちをうんざりさせた。

 

 午後遅く、変身術の教室に向かって歩いていたハーマイオニーは、小人と揉めあっているポッターを見かけた。ポッターは逃げようとしていたが、小人はがっちりとバッグを捕まえて引き戻そうとしている。

 

 次の瞬間、ハリーのバッグは真っ二つに破け、本、杖、羊皮紙、羽ペンが床に散らばり、インク壺が割れて、その上に飛び散った。

 

 「何をしているんだい?」後ろからやって来たマルフォイは冷たく気取った声でハリーに言った。

 

 「この騒ぎはいったい何事だ?」とパーシー・ウィーズリーが勿体ぶった様子で尋ねた。

 

 ポッターは逃げ出そうと走りだした。が、小人はポッターの膝のあたりに抱きつき、ポッターは床にバッタリ倒れる。

 

 「貴方に、歌うバレンタインです」小人はハリーのくるぶしの上に座り込んだ。

 

 ハーマイオニーはトムの日記を取り出すためにバッグの中に手を入れた。トムもポッターへの愛の歌を聞きたいことだろう。

 

 「あなたの目は緑色、青い蛙の新漬けのよう

 あなたの髪は真っ黒、黒板のよう

 あなたがわたしのものならいいのに。あなたは素敵

 闇の帝王を征服した、あなたは英雄」

 

 ハーマイオニーは周りのみんなと一緒に騒がしい笑い声をあげた。笑いすぎて涙を出している生徒もいる。

 

 「さあ、行った、行った。ほら、はやく解散しろ」

 

 後ろからやって来たロン・ウィーズリーが大声を出し、それからハーマイオニーの肩とぶつかった。ハーマイオニーは手に持っていたトムの日記を滑らせ、ポッターの零したインクの上に落とした。

 

 「なんだそれ?」ウィーズリーは、体を曲げて日記を拾いあげたハーマイオニーに言った。

 

 「日記? グレンジャー、日記なんて書いてるのか?」ウィーズリーは日記をひったくり、笑った。「きっと、マルフォイへの愛のメッセージばっかりなんだろうな!」

 

 ウィーズリーの口が完全に閉じる前に、ハーマイオニーは手に杖を握っていた。「ボンバーダ!」

 

 少し遅れてマルフォイが叫んだ。「エクスペリアームス!」

 

 爆発音が響き、廊下から悲鳴が上がった。日記は空中に飛び上がり、床に落ちた。吹き飛ばされたウィーズリーは、鼻を抑えて倒れこんでいる。

 

 「グレンジャー! マルフォイ!」パーシー・ウィーズリーは上ずった声で叫んだ。

 

 「仲間の学生を攻撃? 君たちには罰則を科す必要がある!」

 

 パーシー・ウィーズリーは、不自然に鼻が曲がり、血を出している弟の元へ駆け寄った。

 

 「ロン・ウィーズリーは私の所有物を無理やり奪った強盗犯です」ハーマイオニーは堂々と言い返した。「私に罰則を与える前に、弟の倫理観を正すべきだと思います」

 

 マルフォイは廊下に落ちていた日記を拾いあげた。「まだこの古い日記を持ってたのか?」

 

 ハーマイオニーはマルフォイから日記を受け取った。日記には全くインクが染み込んでいない。

 

 ロンに視線を戻したハーマイオニーは、兄の心配をしてやって来たジニー・ウィーズリーの姿に気がついた。彼女は顔を引きつらせて、ハリーの顔を見つめている。ハーマイオニーは詩を書いたのがジニーである事に気がついた。

 

 「ポッターはあなたの愛の歌があまり気に入らなかったみたいね」

 

 ジニーは目を見開くと、悲鳴をあげてその場から走り去っていった。

 

 マルフォイは意味深な微笑を浮かべてハーマイオニーを見ていたが、目が合うと素早く視線をずらした。

 

 「そろそろ、行こう。マクゴナガルがこれ以上遅れるのを嬉しがるとは思えない」

 

 授業に遅れてやって来た2人を見ると、マクゴナガルはしかめっ面をした。

 

 「バレンタインデーの祝祭で、少し浮かれ過ぎではありませんか?」

 

 「遅刻したのは僕たちのせいじゃありません」とマルフォイはふんぞり返って言った。

 

 「ポッターが廊下で文房具を撒き散らし、廊下を塞いだんです。そのせいで僕たちは通ることが出来ませんでした」

 

 ハーマイオニーは肩をすくめた。「責任を問われるべきなら、それはロックハート先生です。彼の突拍子もない思いつきは、数々のトラブルを引き起こしています」

 

 厳格な顔つきの魔女は、暫く2人に目を向けていた。

 

 「今回は減点いたしません。しかし、次の授業からは厳しく罰しますからね」

 

 マクゴナガルは威厳をもって会話を断ち切り、空いているテーブルを指差した。

 

 マクゴナガルはすぐに授業を始めた。ハーマイオニーはマクゴナガルが黒板に書く文字を板書していたが、マルフォイは半分ほどの注意を払っているだけだった。

 

 マクゴナガルが話をする中、マルフォイが羊皮紙を滑って寄越した。羊皮紙には先ほどの歌が書かれている。ハーマイオニーは、あなたの目は緑色、青い蛙の新漬けのよう、という部分に大きく丸をし、新しいクィディッチの歌?と書き足した。

 

 マルフォイは羊皮紙を受け取ると、重い咳払いをした。マクゴナガルは睨んだが、結局何も言わなかった。

 

 ベルが鳴り響いた。生徒たちはすぐに教室を飛び出していく。夕食の時間は間近に来ていた。

 

 「新しい応援歌はいい感じになったよ。ポッターは恥ずかしさのあまり、箒から落ちるかも」

 

 「あら、彼が恥ずかしがるか分からないわよ。さっきはまともな反応が見れる前にウィーズリーが脚光を奪ってしまったから」

 

 「ウィーズリー、あの家の人間は全員が無能で邪魔な存在だ」

 

 「パーシーを含めないで。少なくとも彼は、学術的に成功しているわ」

 

 「ウィーズリーの人間を擁護するのか?」

 

 「彼はフクロウの試験で12科目もパスしたわ。それに、あなただって一時期ポッターを擁護してたじゃない」

 

 スリザリンの2年生は固まって大広間に流れ込んだ。

 

 「でも、正しかった」マルフォイはまたかとでも言いたげだ。

 

 「それに、フクロウ試験が全てという訳じゃない。そういえば、君は何の教科を取る予定だ?」

 

 マルフォイはバッグを床に落とし、席についた。ハーマイオニーはその隣に座る。

 

 「選択科目のこと?」

 

 「そう。3年に上がったら、今の科目に加えて2つの科目をとらなきゃならない。個人的には今の数から減らしてほしいぐらいだけど」

 

 「減らしてほしいの? 私、スリザリン生って野心的だと思っていたわ」

 

 「最近は違うようだ」マルフォイは薄笑いを浮かべた。「スリザリンは純血の寮ではなくなったらしいし」

 

 ハーマイオニーが眉をひそめて非難の目を向けた。この話題をさかのぼるのは歓迎できなかった。

 

 「そんな目で見るなよ」マルフォイは小さく笑った。「ふざけただけさ。ちょっと」

 

 「ちょっと?」

 

 「正直な話、どうして不思議な血の君がスリザリンに入ったのか疑問に思ってたんだ」

 

 「で、どんな考えが出てきたの?」ハーマイオニーは不機嫌に尋ねた。

 

 「まあ、落ち着いて聞いてくれよ。……スクイブはマグルと親しく交流する傾向が強いことで知られている」

 

 「魔法使いもそうするべきだと思うけど」

 

 「聞いてくれ。スクイブは魔法界にいると劣等感に苛まれて辛いから、マグルと交流しているんだと思う。それで、マグルと親しく交流するスクイブの中には、マグルと子供を作る者もいたはずだ。そして出来た子供は魔法使いの血を引き継いでいる。その子供が魔法の才能に開花しなかったとしても、子孫に魔法使いの血は引き継がれ、時には数世代先の子供が突然魔法の才能を開花させる訳だ。そしてスリザリンに入れた君の先祖は、多分、純血のスクイブだったんだと思う」

 

 面白い発想だった。潜在的な魔法の遺産。周りの人間にマグル生まれだと思われていたが、学生時代の間に半純潔だと判明したと、トムは日記で言っていた。ハーマイオニーは早急に自分の家系図を確認してみたくなった。難しい事ではないので、夏の間に確かめられることだろう。

 

 ――でも期待しすぎてもいけないわ。

 

 「そんな先祖知らないわ。ありそうもない事よ」

 

 「あくまで仮定の話だよ。だけど、君が通常のマグル生まれじゃないことは確かだ。そしてそれが、君がスリザリンに選ばれた理由と結びつくはずだ」

 

 

 「新しい科目のリストにはすべてチェックが付いているようだが、これは本気なのかね?」

 

 淡々と羽ペンを滑らせていたスネイプは振り返って尋ねた。

 

 「はい」と、ハーマイオニーは頷く。

 

 選択科目を2つに絞ろうとするたびに、ハーマイオニーは自分が大きな過ちをおかしている気がした。だからよく吟味し、その上で全ての科目にチェックをしたのだ。しかし、明らかにスネイプはそれを良く思っていないようだった。

 

 「貴様は愚かなのかね?」と、スネイプは1分ほど目をつぶった末に言った。

 

 「先生、私は全ての科目を学びたいのです」

 

 「それは不可能で意味のないことだ。そんなことをすれば闇雲に人生を浪費することになる」

 

 「でも、先生! 私はどの教科にも興味があるんです」

 

 2人はにらみ合った。睨みつけるのはハーマイオニー1人だけで、スネイプは冷ややかな笑みを向けるだけだが。

 

 「過去10年の間マグルの世界で暮らしてきたのにも関わらず、魔女からマグル学を学ぶのかね?」

 

 「私は……」ハーマイオニーは椅子の上で身じろぎして「異なる視点からの意見は……新しい見解を生み出すかと思いまして」と、弱々しく言った。

 

 「占い術で未来を見てみたいのかね?」

 

 「ええ……」

 

 「グレンジャー、よく考えたまえ。お前には才能がある。疑いようもないことだ。だが、貴様は今、無駄な科目を選んで時間を無駄にしようとしている」

 

 「ウィーズリーはフクロウで12科目をパスしました」ハーマイオニーは睨みつけた。ウィーズリーに出来ることが自分にできないとは思えなかった。

 

 「パーシー・ウィーズリーは魔法省の高級官僚になることを目指している。貴様の理想の仕事は魔法省にあるのか? 我輩は貴様はより高い目標を抱いていると思っていたのだが」

 

 スネイプは机の上で腕を組み、そこに顎をのせた。

 

 「貴様はスリザリンなのだ。無駄なことをするな。将来なりたいものはあるか?」

 

 「私は……よく分かりません」ハーマイオニーは拗ねて体を小さくした。

 

 「マグル学を学んだ経歴が一体何の役に立つ?」

 

 「政治……」

 

 「フクロウは、政治的な職業を目指している者に必要な試験ではない。政治に関わろうと思ったならば、別の資格試験を受ければいい。筆記試験だ。貴様なら合格するだろう。それで次だが……貴様は予言者になりたいと考えているのか?」

 

 「いいえ……」

 

 「なら、なぜ占い術を学ぼうとしているのだ?」

 

 「知的好奇心に駆られて……」

 

 スネイプは低い声で唸ると、誇張された動きでインクに羽ペンを浸した。

 

 「マグルの社会については既に知っているだろう」スネイプは羊皮紙に大きな斜線を引いた。「それから占い術も必要ない」再び腕を横に振る。「貴様は野外で活動するタイプではないだろう。魔法生物飼育学も必要ない」再び腕を横に振る。「数占いと古代ルーン文字学が貴様に合っているだろう」

 

 「っ! 先生、それはあまりにも横暴です! 先生は他の生徒に対しては勝手に変更したりしませんでした!」

 

 「すべてにチェックを入れる生徒はお前ぐらいしかおらん。他の生徒はしっかりと考えているのだ」

 

 「私はすべての科目をこなせます! 誰か、私よりも成績が良い生徒がいますか!?」

 

 「この場合、成績は関係ない。12科目をとるという考えはあまりにも馬鹿げている。他の皆と同じように9科目にしておけ」

 

 ハーマイオニーは眉をひそめた。「私は他の皆とは違います」

 

 「ああ、その通りだ。すべての人間がその事に気が付いているだろう。他の皆と違うという言葉で思い出したのだが、今週末にマルフォイと一緒に私の研究室で罰則を受けて貰う」

 

 「何故ですか!?」

 

 「ウィーズリーに危害を加えたからだ。例えどんな理由があったにせよ、他の学生に攻撃を加えるというのは認められるものではない。土曜日の午後3時にマルフォイと一緒に私の研究室に来たまえ」

 

 「……私たちは何をするんですか?」

 

 「それは君の態度によって変わるだろう」

 

 ハーマイオニーは睨みつけたが、それ以上罰則について追及はしなかった。

 

 「先生、私は他人よりも優れていると自負しています。お願いです、10の科目を下さい。私は何の問題もなくこなせます」

 

 「我輩はそう思わん」

 

 ハーマイオニーは怒って立ち上がったが、スネイプは座るように促した。

 

 「貴様にはこれ以上の科目は必要ない。しかし」

 

 ハーマイオニーはゆっくりと座り直した。

 

 「貴様が学術に関して深く才能を見せてることを考慮し、我輩は貴様に授業をさせることを決めた」

 

 「私が授業を?」ハーマイオニーの声は上擦っていた。

 

 「ある意味では」

 

 「ある意味では? 実際の授業ではないんですか?」

 

 「勿論違う、グレンジャー」とスネイプはため息混じりに言った。「若い生徒に勉強を教える役割を与えることになるだろう」

 

 ハーマイオニーは俯いた。「私には家庭教師は出来ないと思います」

 

 「なぜだ?」

 

 「少数に教える場合、彼らの学ぶ遅さに辟易してしまうからです」

 

 「この世にはそんな人間ばかりだ。そういった人間にも対処できるようにしろ」

 

 「家庭教師をすることが、1つの科目を学ぶことと同じ価値があるのか、私には疑問です」

 

 「我輩には疑問に感じられん」

 

 「家庭教師をしたら、私はどんな人間になるんですか?」

 

 スネイプは睨みつけた。「やがて貴様は自分自身で知るだろう」

 

 

 多くの学校の生徒がクィディッチの試合に備えている中、ハーマイオニーは図書館にいた。ハーマイオニーはポリジュース薬を調合し、スリザリンの継承者の調査をするのに使っていたすべての時間分を取り戻したかった。

 

 マルフォイは『O』を取りたがっていたが、勉強熱心な生徒ではなく、そして何よりクィディッチのファンだったため、図書館にはハーマイオニー1人だった。図書館内には数人の生徒がいたが、緑のローブを着るハーマイオニーの周りには誰1人として寄り付かない。

 

 しかし、ハーマイオニーはそれを寂しいとは思わなかった。少し前からマルフォイたちと勉強する時間が増えてきていたからだ。クラッブやゴイルはハーマイオニーに対して無関心を貫いていたが、パンジーはハーマイオニーに対して強い敵対心を抱いていた。勿論、ハーマイオニーもパンジーを嫌っていたので、勉強会は決して居心地の良いものではなかった。

 

 ハーマイオニーは教科書を広げて、トムに教えられた魔法を調べていた。誰の目も気にせずに調べ物が出来るので気楽だ。トムに教えられたコンフリンゴとエクスパルソは、むしろ使いにくい呪文であったので、ハーマイオニーはボンバーダを重点的に学んでいた。

 

 インカーセラスの習得に励んでいたハーマイオニーは、その呪文が明らかにNEWTレベルを超えていることに気が付き、ため息をついた。呪文が載っている教科書が5年生以上の物であろうことは推測できたが、それがどこに置いてあるのかハーマイオニーには分からなかった。

 

 ハーマイオニーはため息をつくと、マダム・ピンスを探すために立ち上がった。ハーマイオニーはどうもその魔女が苦手だった。彼女はハーマイオニーが何かを企んでいると思っているのか、疑わしげに見てくるのだ。

 

 フロントデスクにやって来てもマダム・ピンスは見つからなかった。ハーマイオニーは引き返して本棚の間を歩いた。その途中、ジニー・ウィーズリーがいるのにハーマイオニーは気が付いた。彼女は顔を突っ込まんばかりに懸命に本を読んでいる。

 

 ――落第でもしそうなのかしら。大好きな男の子の試合を見に行けないほど何て相当ね。

 

 ハーマイオニーは微笑んだ。

 

 大量の本が入ったカートを押して、本棚に本を戻しているマダム・ピンスの姿が目に入った。

 

 「すみません、マダム・ピンス」ハーマイオニーは明るい声を作って言った。「NEWTレベルの呪文書ってどこにありますか?」

 

 マダム・ピンスは鋭い目で睨むと、食って掛かるように聞き返した。「NEWTレベル?」

 

 「はい。スネイプ先生に選択科目を選ぶ前に目を通しておくと、選択の役に立つと言われまして」

 

 マダム・ピンスは目を細めたが、スッと奥の方の棚を指した。

 

 棚で呪文書を発見したハーマイオニーは、大きな本を取り出すと、自分のテーブルに運んだ。その本には6、7年生用の呪文が載っていて、トムが日記に書いた呪文もいくつか載っていた。

 

 ――こんな高度な呪文習得できるかしら? いや、出来るわ。私なら、おそらく。おそらく……。

 

 勉強に熱中していたハーマイオニーは、ディーン・トーマスが図書館に駆けこんできたことで集中を切らした。周りを見てみると、レイブンクロー生のペネロペしかいない。ディーンは焦った様子で本棚の間を駆け回っている。恐らくクィディッチが終わって、その試合結果を誰かに伝えにきたのだろう。

 

 教科書に視線を戻したハーマイオニーは、ディーンの怒鳴り声を聞いて顔を上げた。ディーンはハーマイオニーとペネロペに目を向けてから、ペネロペの方へ走って近づき、何か助けを求めるようなことを叫んだ。ペネロペは混乱しているようで、2人は口論を始めた。しばらくしてディーンが再度怒鳴り、ペネロペから本を取り上げ、目の前でページを引き裂いた。

 

 ペネロペはそれを見て立ち上がり、ディーンと一緒に走り出した。2人は図書館から飛び出す前に左側に頭を向けて停止し、それから訳の分からないことを叫んで、右方向へ走っていった。

 

 ハーマイオニーは2人が立ち去った後をじっと見つめた。あまりにも奇妙な出来事で、混乱したのだ。

 

 ハーマイオニーは周りに目を向けた。誰1人としていない図書館に、破られた本が落ちている。マダム・ピンスがこの場にやってきたら、本を破った犯人をハーマイオニーと決めつけるだろう。

 

 ハーマイオニーは急いで立ち上がると、本棚に本を仕舞いに行き、早足で図書館を出た。そして、スリザリンの寄宿舎に全速力で駆け出した。

 

 

 

 

 

 


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