ロリコンが魔道士になるらしいです〜もう1つの大罪〜 作:サツキとハヅキ
「クソッ!レヴィが危ないってのに、俺は何も出来ないのかよ!!学園長に助けを求めることしか俺には出来ないのかよ……」
◇
「はぁ、無理しちゃって…でも、いくら忍者で力尽きたみたいね」
レヴィはうつ伏せに倒れ、指をピクリとも動かない。
リーゼはそれを眺めた後、学園長を探しに保健室から出て行った。
……
……
……
「行ったッスかね…」
「全く、どこまで強くなるんスかね、リーゼさんは…」
レヴィはもう動けないだろう体を起こし、リリス、アラタ、アキオ、ミラを助ける。
「魔力は0じゃないッスね。これなら時間で回復するッス」
「さてと、自分はリーゼさんを追いかけるッスよ…」
レヴィは無理矢理体を前に出して、歩き出した。
◇
「学園長!!」
俺は学園長を見つけて、大声で叫んだ。
「おぉ、シュウ君ではないか。どうしたんだい?」
俺は今までにあった事を全て学園長に話した。
学園長はその話を聞くなり目つきが変わり、歩き出した。
「分かった。私がなんとかしよう」
よかったよかった。
よし、俺はレヴィを助けに戻らないと!
学園長が廊下を歩いていると前からリーゼが現れた。
「随分と荒らしてくれるねぇ」
「まあ悪い魔道士にとっては普通のことよ?」
「そうかい…ただ、今回はやり過ぎだ…」
学園長が低い声で話すと一瞬リーゼの顔が強ばった。
学園長を怒らせばきっとこの学園の誰も止められないだろう。だが、学園長は学園1番で考えているため本気ではやらない。
リーゼが仕掛けてくる攻撃を全て最善策で回避し続けるーー
そして俺はレヴィを助けに保健室に戻る。
その間に前からヨロヨロと誰かが歩いてくるのが見えた。
ーー生き残ってる生徒か?それとも新手か?
よくよく見るとその正体はレヴィだった。
窓に寄りかかり、無理矢理体を前に動かしている様で、今にも倒れそうな雰囲気だ。
「レヴィ!!」
「あぁ…シュウさん…リーゼさんは…?」
「学園長が止めてくれてる。早く手当てを!!」
「大丈夫ッスよ…何せ、自分忍者ッスから」
レヴィは俺に笑顔を見せた。
だが、俺はその笑顔が苦しみと辛さにしか見えなかった。
「レヴィはここで待ってろ。俺がリーゼを倒してくる!」
「殺さない程度にやるッスよ?彼女だって、ここの生徒なんスから」
「期待してるッスよ」
レヴィは最後に呟く程度に言った。
その時に俺は初めて、レヴィはリーゼのことを敵だと思っていないと分かった。
きっとみんなそうだ。少なくともトリニティセブン、あと学園長はあんな事が起きてなお味方と言い続けるんだろうと思った。
そう分かると次は怒りがこみ上げてくる。リーゼに対して、あと俺に対しても…
レヴィ達はとても仲間思いだということは分かっていたが、リーゼは敵と見てるもんだと勝手に思ってしまっていた自分が許せない…
何としても俺が食い止めてみせる。何があってもだ!!
「ルア!!」
『分かった。プログラムサーチ!!』
そしてルアは俺好みの姿へと変わった。
「いつ見ても可愛いな〜」
『早く行くぞ!』
「お、おう…」
俺は擬人化した
◇
「はぁ、はぁ、流石がくえんちょ先生ね…歯が立たないわ……でも、これなーー」
「やめろぉぉ!!!」
よーし、ギリギリ!
シュウ、ただ今参上!
「おぉ、シュウ君ではないか。レヴィちゃんは大丈夫かな?」
「あぁ、ボロボロだったけどな」
「それはよかった」
「学園長、ここは俺にやらせてくれ」
「分かった。頑張りたまえ、私は学園に生徒が残っていないか確認してくるよ」
「あれぇ?がくえんちょ先生帰っちゃうの?」
リーゼは余裕を見せながら言う。
「お前の相手は俺だ!!」
なんか良くある戦闘シーンのセリフキター!ずっと言ってみたかった!うん!
「しっかし何故巨乳なんだ…削りたいわ…」
「新入り君が?んーそう…」
スルーですか、そうですか。
「正直言って俺はお前に戻ってきて欲しい」
「アタシのこと知らないくせに?」
「レヴィはこう言ってた。お前はそれでもここの生徒だから殺すなって」
「ふーん、それで?」
「お前は殺させはしない。だが、ぶっ潰さないとは言ってない」
写真が減るが…仕方ない…
「
「あら、聞いたことない書庫ねぇ」
「俺が、いや、この魔導書が作り上げた今俺だけが使える書庫だ」
「ふーん、意外と興味湧いてきたわ。あなたの魔力も貰うわね」
俺はここで疑問が浮かんだ。
「なんでお前は…そんな仲間を犠牲にしてまで魔王になりたいんだよ」
「アタシはてっぺんを目指しているの。そのためには自分自身が黒くならないといけないでしょ?だから、仲間を裏切って黒い道へ進んだ。アラタクンに助けられて君達の元へ戻ってきたけど、やっぱり裏切りの魔道士なんて必要ないと思う」
「そんなの思ってんのお前だけだ」
「ふーん…」
「確かに俺はお前が敵だと思った。学園を襲撃するのだから誰だって思うだろ」
「まあそうねぇ」
「でも今は違う、まだここに来てそんなに経っていない…だが、トリニティセブンのみんなはお前の事を敵だとこれっぽっちも思っていない!」
「……どうして言いきれるの?」
「そんなの俺はトリニティセブンのあと2人には会ってないが、これまで会ってきた人達の性格を見るとそんな黒い性格の奴なんていない」
「本当にそう思う?」
「あぁ、思う」
「じゃあ聞くけど、もしあなたに優しく接してくれているリリスが表の顔で裏の顔では実はとんでもない殺人とかしていたら?」
「う…それは…」
「ミラがホントはとっても腹黒い性格だったら?レヴィが実はあなたを信用していなかったら?アリン…は知らないか、まあいいわこういう場合でもあなたは黒い性格の人はいないって断言できる?」
「普段の生活をしていれば何となく分かってくるんだよ!」
「はぁ、まだ会って長い時間経ってないのに自分はもうみんなの性格が分かるとか、そう信じるとか、そんな在り来りなこと誰が信じると思う?誰があなたの事をこんな短時間で信じると思う?」
「くそ…」
「決めたの。アタシはここにいないで黒の道に進むって。相手の心情もロクに知らないで、堂々と言うんじゃないわよ」
確かにそうだ…俺は何も知らない…レヴィのことも、ミラもアキオもリリスのこともまともに分かっていないのかもしれない…
でも、だから何だってんだよ。確かにみんなは帰ってきて欲しいと言っていた。目を見る限り本気だ。
『期待してるッスよ』
不意にレヴィの言葉が蘇った。
あの誰も期待しないレヴィが期待をしてくれたんだ。あの目は本気だった。
いけ!入谷愁!!男の根性見せろ!!
「……だから何だってんだよ…」
「え…?」
「確かに人の心情はまだ分かってないのは確かだ。だがな、お前の心情だけは分かるぜ」
「まさか、そんな…」
「戻りたいんだろ?」
「っ!!」
「でも、仲間を裏切ったからもう戻ることは出来ない、そうだろ?」
リーゼは何も言わなかった。
……
……
「お前が1番人の心情分かってねぇじゃねぇかよッ!!!」
「何がてっぺんだッ!」
「何が悪い魔道士だッ!」
「何が魔王だッ!!!」
「仲間を裏切ったからもう戻れない!?ここにいる必要が無い!?何言ってんのか全ッ然わかんねぇよッ!!」
「俺なんかが言える立場じゃないってことはわかってる!」
「だがな、"仲間を裏切ったからもう戻れない"って思っってんのはせいぜいお前だけだぜ!」
「お前に魔力を吸い取られて死ぬ寸前だったくせにレヴィはお前を殺さないでほしいと言った!ボロボロにされていてもお前をここの生徒だと言った!」
「何を…言ってーー」
「まだ分かんねぇのかよッ!!!」
「お前を待ってるやつがいるんだぞッ!!?」
「お前を信じてるやつもいるんだぞッ!!?」
「お前はその奴らの願いをぶち壊してるんだぞ!?」
「そこまで分かってあげられねぇのかよ!!」
「それとも考えることが出来ねぇのかよ!!」
「あァァあああ!?」
「ハァ…ハァ…少なくともなァ、俺は戻ってきて欲しいって思ってる。お前の事知りたいしな」
リーゼの目からは涙が溢れていた。
一瞬強く言いすぎたかと思ったが、リーゼは
「みんなごめんなさい…」
と言いながら泣きじゃくっているので申し訳ない気持ちが溢れ出てきたのだと思った。
「まぁ、お前が巨乳でよかったよ」
「それ褒めてるの…?」
「お前が貧乳だったらこんなに感情を表に出すことできなかっただろうからさ」
「そう…でもありがとう。おかげでなんか吹っ切れたわ」
「まあ、俺も強く言いすぎたかもしれないけど、許してくれよな」
「分かってるわ」
そして俺はメイガスモードを解除すると同時にポケットから写真が1枚消滅した。
「あ、あ…」
「ぎゃああぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!!!」
「俺の写真がァァ!!大切な写真がァ!!」
「嘘だッ!!」
『何回も言ってるだろ?犠牲になるって』
「聞いたけどなんで俺のお気に入りの写真から消えていくんだよ!!趣味悪すぎだろ!!」
『お前に言われたかないね』
「あぁんまりだァア!!!」
だが、リーゼは次の日からは俺達の前に普通に現れるようになった。
ご覧いただきありがとうございます!
シュウさんのお怒りが発動しました。
ちなみにレヴィは無事です(レヴィは死にません!多分)
誤字などがありましたらコメントでおねがいします。
その他でもコメント使用した場合はなるべく返信したいと思います。