ダンジョンに牙狼がいるのは間違っているだろうか   作:ザルバ

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ぶっちゃけ最終話です。
こーんな感じでグダグダですけど許してください。


第23話

 ダンジョンは暗くなる。

「何が起こているんです?」

 アスフィがヘルメスに問うとヘルメスは答えた。

「ダンジョンが憎んでいるのさ。こんなところに閉じ込めている俺ったちをな。」

 そして十八階層の天井から黒い肌に白髪のゴライアスが降って来た。

 ゴライアスが雄叫びを上げるとその雄叫びをきっかけにモンスターたちが次々と誕生し、冒険者たちを襲い始める。

「マズイ!」

 ベルはすぐに助けに向かおうとする。するとリューが止めた。

「待ちなさい。」

「っ!」

「このパーティーで助けに行くつもりですか?」

 その問いにベルは間髪入れずに答えた。

「ええ、行きます。」

 ベルがそう答えるとリューは言った。

「貴方はリーダー失格だ。だが、間違ってはいない。」

 リューはいい顔でそう言った。

「俺が先に行きます。みんなは後から負傷人たちの手当てとかをお願いします。リリ、これ持ってて。」

 ベルはリリに回復用のアイテム全てを渡した。

「じゃあみんな、気を付けて。」

 ベルはそう言うと、そこから身を投げ出しながら牙狼剣で円を描き、牙狼の鎧を召喚する。

「轟天!」

 牙狼が轟天の名を叫ぶと轟天は岩肌を破りながら雄叫びを上げでてくる。牙狼は轟天に乗馬し、モンスターの大群へと向かって行った。

 

「うぉおおおおおおおおお!」

 牙狼は轟天を走らせながら牙狼剣で次々とモンスターを斬ってゆく。

「ふっ!はっ!はぁっ!」

 轟天は火花を立てながら急停止すると反転する。

「轟天!」

「ヒィイイイイイイイイイイイイン!」

 画廊は轟天から立ちアバルト跳び、轟天の後ろ脚蹴りで前へと蹴り飛ばした。

「ふっ!」

 牙狼は牙狼剣を投げモンスターに突き刺す。

「うぉおっ!」

 牙狼はモンスターを殴り消滅させるとモンスターに突き刺さった牙狼剣を引き抜き次のモンスターを斬る。

「轟天!」

「ヒィイイイイイイイイン!」

 轟天は前足を大きく上げ、樋爪を叩きつける。轟天の樋爪から波動が発せられ、牙狼剣は牙狼斬馬剣へと変わる。

「うぉおおおおおおお!」

 牙狼は牙狼斬馬剣を振り回し周りのモンスターを一掃する。

「轟天!」

 轟天は牙狼の元まで駆け付けると牙狼は轟天の手綱を掴み轟天に乗馬すると黒いゴライアスへと向かう。

「はっ!」

 轟天はゴライアスに向かい跳び、牙狼は牙狼斬馬剣を振り下ろす。

「はぁっ!」

 牙狼斬馬剣はゴライアスの腕によって防がれる。浅く刃が入るがゴライアスは腕を振り、牙狼と轟天を離す。轟天は態勢を立て直し着地する。

 ゴライアスは右腕を置きく振り牙狼を轟天語と弾き飛ばそうとする。

「轟天!」

「ヒィイイイイイン!」

 轟天は雄叫びを上げゴライアスの右腕に乗る。轟天の樋爪から発せられた波動により牙狼斬馬剣は更に大きくなる。

「ふっ、はっ!」

 牙狼は轟天の上に立つとゴライアスの頭部に向かい跳ぶ。

「うぉおおおおおおおおおお!」

 牙狼が牙狼斬馬剣を振り下ろす。ゴライアスは突然のことに反応できず一撃を喰らう。

「もう一撃!」

 牙狼はもう一撃叩き込もうとするがゴライアスは口を大きく開け、魔法を放った。

「ぐぁああああ!」

 牙狼は牙狼斬馬剣を手放し、吹っ飛ばされる。牙狼斬馬剣は地面に突き刺さる。

「くっ!轟天!」

 牙狼は轟天を呼び、回収してもらうと轟天を走らせ牙狼斬馬剣を回収する。その時ゴライアスが牙狼に向け拳を振り下ろそうとしていた。

「ベルさん!」

 そこへリューが胴体へアルヴス・ルミナを叩き込んだ。牙頼明日の表皮に傷は与えられたがすぐに回復してしまう。

「リューさん離れて!少し荒業使います!」

 牙狼はそう言うと轟天から降りる。

「轟天!」

「ヒィイイイイイイイイイイイイイン!」

 轟天は牙狼斬馬剣の上に乗る。牙狼はハンマー投げの要領で轟天をゴライアスへと飛ばす。轟天は魔導火を纏い、ゴライアスへ一直線に向かう。ゴライアスの胸部に一撃が入る。

「ふっ!」

 牙狼は烈火炎装でゴライアスへ飛び、拳を叩き付けた。爆発が起こり、牙狼は宙へ飛ばされる。

「ヒィイイイイイイン!」

 轟天が牙狼を回収し、牙狼は宙を舞っていたが狼剣を手に取る。

「やったか?」

 牙狼は轟天を止め、ゴライアスを見る。

 だがその時、爆煙の中から一筋に光が放たれる。

「ヒィイイイン!」

「轟天!」

 轟天は牙狼を弾き飛ばしす。轟天は光線を喰らい召還される。

「ぐっ!」

 牙狼は地面に着地する。爆煙が晴れるとそこには傷が修復されているゴライアスの姿があった。

「ならばっ!」

 牙狼は牙狼剣に地肌を左手の甲に擦り付け、魔導火を刀身に纏わせる。

「ふっ!はっ!はぁあああああ……」

 牙狼は十字に牙狼剣を振るう。魔導火の刃が十字に重なり空中で回転する。

「はぁっ!」

 そして牙狼は魔導火の刃をゴライアスヘ向け放つ。魔導火の刃はゴライアスの頭部をに直撃し、重なった刃は牙狼の元へと戻ってくる。

「はっ!」

 牙狼は牙頼明日の頭部に向かい跳ぶ。牙狼は戻って来た魔導火の刃を身に纏い、烈火炎装で牙狼剣を突き刺した。

「ぐぅぅ……うぉおおおおおおおお!」

 牙狼は牙狼剣を深く突き刺す。しかしゴライアスの口角は上に吊り上がっていた。

「っ!」

 牙狼はその笑みに恐怖した。

 その直後、ゴライアスは柄を掴み上へ投げ、そして光線を食らわせる。

「ぐぁあああああああ!」

 その瞬間、牙狼の鎧が召喚されてしまった。

 その光景を目にしたヘスティア、リリ、アイス、ティオネはベルの言葉を思い出した。

――鎧は無限の防御力を持っていません。ある一定のダメージを喰らうと強制的に召還され、俺自身は無防備になります――

 脳裏にベルの言葉が繰り返される瞬間、その時間は数秒と満たなかった。

 そしてゴライアスはベルへ向け裏拳を喰らわそうとする。

(しまっ!……やられる!)

 ベルは防御を取れぬまま倒されると思った。

 しかしそこへベルを助けるべく桜花が楯を手にベルを庇う。

(ダメだ!)

 ベルは咄嗟に魔導筆を袖から取り出すと魔力を桜花に纏わせた。

 二人は森へと吹っ飛ばされる。その際にベルの手から牙狼剣が離れ、地面に突き刺さった。

『ベル(様)!』

『桜花!』

 各々ベルと桜花の元へと走り始める。

 

「桜花、大丈夫ですか!」

「ああ……あいつが、ベルが俺を守ってくれた……」

 桜花はゴライアスの攻撃をくらったのにも関わらず軽傷であった。だがベルは違った。自身は防御も何もしなかったために深手を負っていた。

「しっかりしなさい、ベルさん!」

「ベル様!なんでこんな時に限って回復薬が切れるんですか!」

「ベル君!」

 リュー、リリ、ヘスティアがベルの側で声を荒げる。

 

 右も左も分からない空間でベルは一人漂っていた。

(あれ……なんで俺こんなところに?)

 ベルは自分の置かれている状況が理解できていなかった。

(そう言えばゴライアスは……みんなは?)

 ベルは辺りを見渡すが当然見つからなかった。

 そんな時、金色の光がが発せられ、大きな龍がベルの前に君臨した。

(君は……いったい誰なんだ?)

 ベルの言葉に龍は答えた。

(牙狼の称号を受け継ぎし者よ、我が名は神龍。)

(神龍!)

 ベルは神龍の名に驚く。

(ここはまだ貴様が来るには早い。お前がもし私と共に戦った牙狼を超えるのであれば、お前がいるべきところへ戻れ。歴代の牙狼たちも、それを望んでいる。)

(神龍……わかった。約束するよ。俺は初代牙狼を超える!)

 その言葉を聞くと神龍は微笑んだように見えた。

(若き牙狼よ、お前の力に私はなろう。そして約束しろ。生きてその先へ進め。)

 そこでベルの意識は途切れた。

 

「ん………」

 ベルは目を覚ますとリュー、リリ、ヘスティアは喜ぶ。

「ベルさん!」

「よかった……ベル様。」

「ベル君……」

 リリとヘスティアの目には涙が溜まっていた。

「すみません、皆さん……ゔっ!」

 ベルは立ち上がろうとするが傷が痛んだ。

「無茶をしてはいけません、ベルさん!あとは私たちに………」

「大丈夫です……それに俺は、必ず生きて戻ってきますから。」

 ベルはそう言うとゴライアスへ向かい歩き始める。

 

「大丈夫か、ベル?」

「ああ……何とか。結構痛いけど。」

 ベルはいたんだ身体に鞭を打ちながら牙狼剣の元へ辿り着く。それと同時にゴライアスは気づいた。

「ゴライアス、お前のその命!」

 ベルは牙狼剣を引き抜く。

「俺が断ち斬る!」

 ベルは剣先を天に向け、円を描く。

 神龍の祠から光が放たれ、牙狼へと注がれる。

「はっ!」

 ベルは上へと跳ぶ。

 そしてベルの身に牙狼の鎧が身に纏われる。

 胸部には龍の顔、両手両足は龍の足と手、背中には大きな羽、尻尾が装飾され、龍の顎を催した形の剣になっていた。

 

 牙狼・神龍である。

 

「ベル君が……」

「牙狼が……」

「変わった?」

 その光景を見ていた誰もが驚いた。

 ゴライアスは牙狼・神龍の姿を見た瞬間、雄叫びを上げモンスターたちを集める。冒険者たちはモンスターを止めようとするが、その時光の人型がモンスターたちの前に立ちはだかり、モンスターを倒していく。

「な、なんなんですかあれは?」

 アスフィは目の前の光景に疑問を持つ。すると近くにいたヘスティアが答えた。

「英霊の魂だよ。過去、偉業を残してきた冒険者やその魂が実体化したんだ。でもこれは……」

 ヘスティアは目の前の英霊の魂に奇異なるものがあった。姿がはっきりとは見えないが、牙狼に似ていた。

「もしかして手を貸しているのは………ベル君のご先祖様なのかい?」

 しかしヘスティアの疑問に誰も答えることは出来なかった。

 一方牙狼は羽を羽ばたかせ、俊敏な動きでゴライアスを追い詰めていた。

「うぉおおおおお!」

 牙狼はドロップキックをゴライアスに喰らわせ後ろに反らせる。

「はぁああああああああああ!」

 ベルは魔力の全てを剣に集める。

「我が名をその身に刻め!」

 牙狼は剣を上段に構える。

「我が名は牙狼!黄金騎士だ!」

 牙狼は剣を振り下ろす。ゴライアスは縦二つに切り裂かれ、魔石とドロップアイテムだけを残して消滅した。

 その瞬間、牙狼の戦いを見ていた冒険者たちからは拍手と歓声が浴びせられた。

 そんな中ベルはある気配に気付いた。

「あれは……」

 ベルが見る先には英雄の魂があった。

 徐々に姿がはっきりし、そこにはベルとは違う牙狼がいた。そして頭の部分だけ召還される。その顔が露になるとその英雄は微笑み口を動かした。ベルには聞こえなくても、何を言っているか理解した。

 

 その先へ進み、希望となれ。ベル・クラネル。

 

 その言葉に対しベルは「はい。」と返事をした。

 


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