戦国†恋姫X 犬子と九十郎   作:シベリア!

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第106話にはR-18描写があるので、犬子と九十郎(エロ回)に投稿しました。
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第108話にはR-18描写があるので、犬子と九十郎(エロ回)に投稿しました。
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犬子と柘榴と九十郎第107話『表裏比興と書いてクソヤロウと読む』

空と名月による越後長尾家後継者決定戦と、突発的に起きた鬼の撃退戦は無事に……無事と言って良いか微妙というか、死者行方不明者多数、普通に大惨事だが、とにかく終わったものは終わった。

 

疲弊した中をありったけの鬼を乱入させる吉野の作戦は当たっていた。

多くの並行世界と異なり、この世界における美空はあろうことか松葉をも巻き込み、自ら空と名月の後継者争いに首を突っ込んだ。

そのため、柘榴、松葉、美空の越後の優秀な指揮官3人が、揃いも揃って鬼に対応できない時間が生じてしまった。

それ故に急に越後を襲撃してきた鬼への対応は遅れに遅れた。

 

美空達にとって幸運だった事は、吉野が新戸から言われた事を気にして、人を殺す事よりも女を犯し、鬼子を産ませる事を優先させた事、そして吉野がよせば良いのにわざわざ野生の加藤段蔵にちょっかいを出し、比喩表現で無くケツを齧られ、あと一歩で越後に壊滅的な打撃を与えられたという所で総撤退を決めた事だ。

 

いずれにせよ、美空や九十郎、剣丞達はしぶとく生き残った。

柘榴と粉雪と小夜叉を除けば、いわゆる主要メンバーの中に鬼に犯された者もいなかった。

 

死者を弔い、傷病者を休ませ、動ける者は戦後処理に奔走する時間がやってきたのだ。

 

「御大将、分かってるっすね」

 

「何度も念押しされなくとも分かっているわよ、柘榴」

 

柘榴と美空が真剣な表情で……本当に本当に真剣そのものといった面持ちで頷き合う。

 

彼女達は剣も槍も弓矢も持っていなかったが、彼女たちにとっては戦場で槍や采配を振るうのと同じ……いや、それ以上に重要な戦である。

 

勝った者はより多くの利益を得ようとし、敗れた者はより少ない出血で乗り切ろうとする、戦後交渉という名の大戦である。

 

「犬子と粉雪だけは絶対死守よ!」

「犬子と粉雪だけは絶対死守っすよ!」

 

2人の思いは一つである。

この戦が始まる前にした約束……空陣営が負けた場合、長尾美空景虎、柿崎柘榴景家、前田犬子利家、山県粉雪昌景、小寺雫官兵衛、小島貞子貞興、そして武藤一二三昌幸の7人は全員新田剣丞の嫁になるという約束を、全部は無理でも何割かは反故にしようという思いである。

 

「いや、まさか犬子が剣丞抹殺に失敗するとは思わなかったわ」

 

「九十郎に止められたんじゃ仕方ねーっすよ」

 

つまり九十郎が悪い。

 

「それより……はぁ、今回の戦の敗因は柘榴っすよ。

 まさか本多忠勝があそこまで強いなんて」

 

「野蛮人と畏れられる三河侍の中でもぶっちぎりで最強って噂、伊達じゃないようね。

 松平元康には過ぎたものね」

 

なお、その綾那が柘榴と粉雪を瞬殺できる程に強くなった原因は、かつて九十郎が教えた神道無念流である。

 

つまり九十郎が悪い。

 

「勝算、あるっすか?」

 

「正直厳しいわ、剣丞を翻意させるのはできなくもないけど、

 竹中半兵衛が絶対に反対するわ。

 私は絶対に逃げられない、たぶん柘榴も……ごめんなさい、柘榴も覚悟を決めて頂戴」

 

「柘榴は後回しで良いっすよ」

 

柘榴はさも当然の事のように言う。

 

「九十郎と離婚させられるって事なのよ、分かっているの?」

 

「何言ってるっすか、柘榴は武家の娘っすよ。

 好きでもねー相手と婚姻するのなんて5歳の頃から覚悟してたっす。

 むしろ……むしろ、たった数ヶ月だけでも、

 心の底から好きになった男の嫁でいられた事、嬉しかったっす。

 柘榴にとっちゃ一生忘れられない大切な思い出……

 この思い出だけあれば、柘榴は誰の嫁になったって前を向き続けられるっす」

 

「ごめなさい……本当にごめんなさい、柘榴」

 

美空がふがいない自分を呪いながら、深々と頭を下げた。

元々、空陣営が負けたら新田剣丞の嫁になると言い出したのは美空だ(第79話)。

ある意味柘榴は美空の意地っ張りに巻き込まれたと言っても良い。

 

だからこそ、美空は柘榴に詫びた。

自分の意地っ張りに巻き込んだ事、戦のドサクサ紛れに剣丞を殺す事に失敗した事、襲撃してきた鬼への対処が遅れ、柘榴と粉雪が強姦されてしまった事、そして戦後交渉で柘榴を約束の範囲外と言い張る自信が無い事、その全てが美空にとって大きな大きな失態なのだ。

 

「それより、犬子と粉雪を守る方法を考えないといけねーっすね」

 

「分かってる、分かっているわ、それだけは何としても、

 文字通りこの身に代えてでも守り抜く。 最悪晴信に土下座してでも守り抜くわ。

 あんな事が起きた直後に剣丞の嫁になれだなんて、絶対に言えないわ」

 

あの戦いの最中で、粉雪が鬼に犯され、処女を散らし、膣内射精をされて鬼の児を孕まされてしまった事は聞いている。

孕んだ鬼子は新戸の透視能力と念動力により、受精卵から成長する前にぷちっと潰して事なきを得ているが、そんな事は大した慰めにはならない事も知っている。

 

粉雪が泣いていた事を知っている。

甲斐最強と畏れられ、泣く子も黙る武田赤備えの対象でもある山県昌影が、鬼に犯されたショックで人目もはばからず、子供のように泣きじゃくっていた姿をその目で見た。

 

美空にも、柘榴にも分かった……この上新田剣丞の嫁になれと強要したら、きっと粉雪は壊れてしまう、壊れて頭がおかしくなってしまうと。

 

そして犬子の精神状態も、危ういところで辛うじてバランスをとっているのも分かった。

剣丞に抱かれた事だけでも犬子の精神医多大なストレスを生じさせているのに、愛する九十郎との唯一の繋がりである婚姻関係を解消させ、さらにストレスの原因である新田剣丞の嫁にさせたら、たぶん犬子は発狂してしまうと思った。

 

だからこそ美空は、柘榴は、自分が犠牲になってでも犬子と粉雪だけは守らなければと決意したのだ。

 

「で、真面目な話何か策はあるっすか?」

 

「ノープラン」

 

柘榴の表情が固まった。

薄々そんな気はしていたけどやっぱりかぁ~っという表情だ。

 

「ノープランよ、ぶっちゃけ負けた時の事は全く考えていなかったわ」

 

戦場で頭を空っぽにして突っ走れる事が長尾美空景虎の最大の長所であるが、それは同時に最大の短所である。

 

頭を空っぽにして突っ走っている間は、勝った後にどうするかとか、負けた時はどうしようかとか、そういう事が丸っきり頭の中から消え失せてしまうのだ。

 

そこが彼女同様頭を空っぽにして突っ走れる程度の能力を持ちながら、勝っても負けてもしれっと生き延び最終的には畳の上で大往生した、表裏比興と書いてクソヤロウと読む真田昌幸との最大の違いである。

 

今、長尾美空景虎に最大最悪のピンチが迫りつつあった。

 

……

 

…………

 

………………

 

「ふぅ~」

 

「ふいぃ~」

 

粉雪と九十郎が湯船に浸かる。

 

バッファローマンのような体格の大男と、見た目幼女の32歳が肩を寄せ合って1つの湯船に浸かる姿は、何も知らない者が見れば親子のようだと言うかもしれない。

しかし、今の2人は親子ではなく、兄妹でもなく……男女である。

 

「傷、痛むか?」

 

九十郎が心配そうに粉雪に声をかける。

 

柘榴と粉雪が綾那にボコボコにされ、自信とかプライドとかが粉々に打ち砕かれ、追い打ちとばかりに鬼によって凌辱されたのはつい昨日の事だ。

傷の手当てをして、膣内を穢す体液を洗い流し、砕けた骨、千切れた血管や神経を可能な限り繋ぎ合わせ、胎盤に繋がり急速に成長しつつあった鬼子を念動力でぷちっと潰したとはいえ、心身を苛む傷は癒えたとは言えなかった。

 

全身に青あざが何か所もあり、擦り傷や切り傷も多く、心の傷は……大きい。

 

「まだあちこちがズキズキと痛むよ、情けねえぜ」

 

己の右手を親の仇でも見るかのように睨みつけ、ぎゅうっと握りしめて、粉雪が答える。

 

「あの糞弟子、昔から手加減が苦手だったからな」

 

鬼の襲来を退け、事の次第を聞いた綾那の表情を思い出す。

ショックは大きかった様子だった。

桐琴が鬼に犯され、鬼子を産まされたと聞いた時と同じか、それ以上の衝撃を受けていた。

 

一分一秒でも早く空陣営の本陣を陥落させなければ負けていた。

だから一切の手加減無しで、死なない程度に柘榴と粉雪を叩きのめした。

 

鬼の襲撃があってからは、押し寄せる鬼の大軍から空と愛菜を守るので精一杯で、道中で叩きのめした柘榴や粉雪を助けに戻る余裕が無かった。

だから綾那は悪くない……歌夜はそう言って綾那を励ましたし、粉雪や九十郎もそう思った。

 

だがそれでも、綾那は大きな大きなショックを受けていた、罪悪感を覚えていた。

自分が悪い、自分のせいだと……

 

「あの糞弟子、あんな顔しやがって……殴り難いじゃねぇか……」

 

九十郎もまた、己の右手をぎゅっと握りしめる。

ぶん殴るつもりだった、力の限り綾那をぶん殴って、柘榴と粉雪の苦しみの10分の1でも、100分の1でも味合わせてやろうと思っていた。

 

だが……九十郎は殴れなかった。

綾那が泣きそうな目で柘榴と粉雪の2人を見ていたからだ。

 

そして剣丞もなんやかんやで殴り損ねた。

よくも犬子を泣かせたな、よくも俺の嫁に手を出したなという怒りを込めて殴るつもりだったが、殴る前に空の本陣が陥落し、その上鬼が襲ってきて有耶無耶になった。

 

九十郎の心に、大きな大きなフラストレーションが溜まりつつあった。

 

「剣丞の嫁に……ならなきゃいけねぇんだよな……」

 

そんな中で粉雪がぼそりと呟く。

九十郎は何も言えずに目を伏せる。

 

空と名月による越後長尾家後継者を決める戦いに助力し、負けた時は犬子と柘榴を含め、九十郎に惚れた女達が新田剣丞の嫁になる。

それが戦いを始める前に決めた約定である。

 

「美空と雫が、その辺をどうにか反故にできねえか交渉してるらしい」

 

だから希望を捨てるな……そう九十郎は続けようとした。

続けようとしたが、言葉を継げなかった。

 

ぽたり、ぽたりと、水滴が湯船に落ちているのに気がついたのだ。

汗ではない、屋根を濡らす湯気でもない……粉雪の目に大粒の涙が零れ落ちていたのだ。

 

「ち、ちくしょう……情けねえぜ……何が甲斐最強だ、何が武田四天王だ。

 惚れた男に良い所見せようと張り切って、手も足も出ずにボロ負けして、

 挙句の果てに鬼にも負けて、犯されて……」

 

ボロボロと顔が崩れていった。

涙と鼻水が次から次へと溢れ出て止まらなくなっていた。

 

九十郎は慟哭する粉雪を身体全体で抱きしめた。

抱きしめただけでどうこうできるような状態じゃないと思ったが、黙って見ているだけではいられなかった。

 

「粉雪、この間の続きだ、抱くぞ」

 

力一杯抱きしめながら、九十郎は粉雪の耳元で囁いた。

 

「……あたいは、明日には他の男の嫁になる女だぜ」

 

粉雪は涙を零しながらとう告げる。

 

「関係ねぇよ。 抱かない理由を探してりゃ、永遠に抱けねえだろ。

 俺が抱きたいと思ってるんだ、それ以外の事は全部無視する」

 

九十郎は粉雪の言葉をあえて無視して強く抱き寄せる。

基本巨乳好きの九十郎であったが、今日だけは股間の肉棒がギンギンに勃起していた。

今すぐにでも粉雪を押し倒したい、押し倒して強姦したいと主張していた。

 

「前に温泉で鉢合わせした事、あったよな?」

 

「ああ、あったぜ。 武田で管理してる隠し湯に九十郎がいて、

 しかも湯船の中で鬼小島とセックスまでしてて、あの時は腰を抜かすくらいに驚いたぜ」

 

九十郎がかつて(第52話)に見た粉雪の裸体を思い浮かべる。

あの時は巨乳の貞子や信虎、湖衣の方に視線が向きがちだった。

あの時は正直に言って、粉雪を歴史上の偉人、山県昌景と認識していて、血の通った人間だとは思っていなかった、女とは見ていなかった。

 

だが今は……

 

「驚いて、恰好つけて、怖がって、泣いて……ああ、やっぱお前も人間なんだなって思う」

 

「幻滅、したか?」

 

「いいや……」

 

これがその証拠だとばかりに、九十郎が粉雪の唇を強引に奪う。

粉雪は一瞬身体が強張ったが、すぐに自ら九十郎を抱きしめ、舌と舌を絡ませ合った。

 

剣丞に渡したくない、粉雪を己の物にしたいと強く強く願いながら、粉雪を強く強く欲しながら、九十郎は粉雪の口内を思う存分貪った。

 

「お前が山県昌景だろうが構いはしねぇ、俺は粉雪を抱きたいと思っている」

 

そして九十郎が己の欲棒……もとい、粉雪の子宮に精を放たんとガチガチに硬く欲情する肉棒を握り、ゆっくりと粉雪の膣口へと宛がった。

 

「そういうヤケッパチは、あんまり好きになれないんだけどね」

 

……そして、さあ挿入といった瞬間に邪魔が入った。

 

気がつけば粉雪と九十郎が入浴している湯船にもう1人浸かっていた。

粉雪は九十郎を、九十郎は粉雪だけを見ていたために、抜き足差し足忍び足で浴室に入って来た乱入者に気づかなかったのだ。

 

美空と同様頭を空っぽにして突っ走れる程度の能力を持ちながら、勝っても負けてもしれっと生き延び最終的には布団の上で大往生した、表裏比興と書いてクソヤロウと読む真田昌幸……現在は武藤昌幸を名乗る少女である。

 

「……おい一二三、流石に空気読んでほしいいんだぜ」

 

何でいつもいつも邪魔が入るんだとでも言いたげな視線を一二三に向ける。

 

「気持ちは分かるけど、そう邪険にしないでほしいなあ。

 せっかく良い話を持って来たってのに」

 

そう言うと一二三はざばっと勢い良く立ち上がり、その色良し、艶良し、形良しの美乳を九十郎に晒す

 

「さて粉雪、昔から忠義には上中下の3つがあるって話、知ってるかい?」

 

「3つ……いや、知らねえけど、なんで今そんな話をするんだぜ?」

 

「主君の言いなりになる忠義、これは忠義の中でも下の忠義。

 主君の望みを叶える忠義、これは中の忠義。

 そして上の忠義は、主君を名君に仕立て上げる忠義だよ」

 

「言いなりに……」

 

そう言われ、粉雪はズキリと心臓を刺されたような気分になる。

甲斐最強の闘将にして、武田の精鋭赤備えを率いる四天王である彼女であるが、戦術を考えた事はあっても戦略を考えた事は殆ど無い。

政治や外交の事を真剣に考えた事はもっと無い。

 

自分は心のどこかで、政治や外交、戦略を考えるのに向いていないと決めつけ、主君・武田光璃晴信の言う通りに動く事に終始してはいなかったかと。

 

主君の言いなりになる事を忠義だと思っていなかったかと。

 

「ちゅ、忠義の話をどうして今するんだぜ!?」

 

微妙に上ずった声で粉雪が話題を変えようとする。

 

「大事な事だよ、とても大事な事」

 

「どう大事なんだぜ?」

 

「剣丞隊の頭脳、竹中半兵衛殿は上の忠義を持っている、これは間違いない。

 そうでなければたった16人で稲葉山城を乗っ取るなんて真似する筈がない」

 

なお、表裏比興と書いてウラギリモノと読む真田昌幸には下の忠義すら無い。

 

「でも、そこが弱点だと思うんだよ、竹中半兵衛殿のね。

 太陽のように眩く輝く新田剣丞殿のために、汚れ役を買って出ようとしている。

 立ち回り次第では大きな譲歩を引き出す事も決して不可能じゃない」

 

「えっと、つまり……どういう事なんだぜ?」

 

「長所と短所は表裏一体という事だよ。

 上の忠義は下の忠義に常に勝る訳ではないって事」

 

なお、表裏比興と書いてウラギリモノと読む真田昌幸には下の忠義すら無い。

それは一二三の短所であるが、同時に大きな大きな長所でもある。

 

そして次の瞬間、一二三は粉雪にも、九十郎にも予想外の行動に出る。

 

「でさ、ちょ~っと悪いんだけど……挿れてくれないかな?」

 

表裏比興と書いてクソヤロウと読む謀将が……一糸纏わぬ姿で浴槽の淵に手を置いて、小振りの尻を突き上げて、左右に振っていた。

 

「何を?」

 

「キミのおOんちん」

 

「どこに?」

 

「ここ」

 

一二三が腰をくいっと持ち上げると、左手で自らの秘所へと手を伸ばし……くぱぁっと広げた。

 


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