戦国†恋姫X 犬子と九十郎   作:シベリア!

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第87話にはR-18描写があるので、犬子と九十郎(エロ回)に投稿しました。
第87話URL『https://syosetu.org/novel/107215/29.html

第89話にはR-18描写があるので、犬子と九十郎(エロ回)に投稿しました。
第89話URL『https://syosetu.org/novel/107215/30.html


犬子と柘榴と九十郎第88話『逃走中~捕まったら即孕ませレイプ~(その1)』

(注)作者の趣味全開です。

 

 

 

 

 

九十郎の魂が戦国時代に飛ばされず、犬子や柘榴と出会わなかった世界の事。

無数に存在する並行世界、無数に存在する虎松達の記憶にて……

 

「……虎松、何のつもりですか」

 

葵が虎松にそう尋ねる。

 

葵はズタボロだった。

10を超える刀傷を全身に受け、全身が泥と血に塗れ、疲労困憊の様子であった。

葵が連れている僅か数十名の三河侍達もまた、残らずズタボロであった。

 

「オレノ分、葵、食エ」

 

虎松はそう言うと、小さな赤飯の塊を葵に差し出した。

虎松もまた、ここに来るまでに超能力を振り絞っていたため、限界寸前である。

 

「これは貴女の分です、貴女が食べて、生き延びるのよ!」

 

「オレ、イラナイ」

 

「ふざけないでっ!! 鬼でも何でも貴女は私の大事な家臣です!

 私の大事な家族の一員です! 今更変な意地や遠慮で言っているなら許しません!

 松平葵元康の命令です、食べなさい虎松!」

 

虎松は葵の命令を聞いてもなお、手にした赤飯を口に運ぼうとはしない。

葵の目の前で、虎松はそっと首を横に振った。

 

「オレ、モウスグ、死ヌ。 赤飯、イラナイ。 葵、食エ」

 

「何を言って……」

 

「赤備エ、近イ」

 

「赤備えですって!?」

 

虎松がそう告げると、三河侍達にどよめきが起きる。

葵はつい先日、上洛を目指す武田晴信に挑み、三方ヶ原にて激突し、返り討ちにあって敗走している。

 

精強で知られる三河侍が成す術も無く、完膚なきまでにブチ殺され、蹴散らされるという忌まわしき記憶が葵達の脳裏をよぎる。

それは葵が恐怖の余り脱糞してしまう程のものであった。

 

そして武田の騎馬軍団の中でも特に強く、特に勇猛果敢な部隊こそ、山県昌景率いる武田の精鋭、赤備えなのだ。

 

今の心身ともに消耗しきっている状況で戦えば、間違いなく全滅……葵達の脳裏に『絶望』の二文字が浮かぶ。

 

「オレ、残ル。 オレ、戦ウ。 葵、逃ゲロ」

 

それ故に、それだからこそ、この世界の虎松は自らの食料を葵につき返したのだ。

 

「虎松、貴女……」

 

「時間、無イ! 行ケ! 早ク!」

 

葵が何かを言おうとするが。

虎松は罵声のような、怒号のような叫びでそれを遮る。

 

葵は迷い、悩み、そして……

 

「浜松城で待ちます! 必ず生きて戻りなさい!」

 

そう叫び、走った。

虎松を見捨てて逃げた訳ではない。

自分が長くこの場に留まれば留まる程、虎松が死ぬ確率が増えると思ったからだ。

 

「葵、元気デナ」

 

そんな虎松の呟きを聞く者はいない。

虎松は1人大きく息を吸い……ゴキリ! ゴキリ! と音を立て、骨が、筋肉が、内臓が、脳髄までもが造り変えられ、小さな幼子の姿から紅い髪の鬼の姿へと変わる。

 

人に似た外見である事を重視した肉体を捨て、超能力の行使、戦う事に特化した肉体を得る為に。

 

そして程なく……

 

「殿はテメェかぁ!? 赤鬼いいいぃぃぃーーーっ!!」

 

「鬼ノ力、見セル!」

 

山県昌景・通称粉雪……虎松の死因ランキング3位と、虎松が激突した。

2人の戦いのどのような結末を迎えるのか……

それは犬子と柘榴と九十郎の物語には一切関わりの無い事である。

 

……

 

…………

 

………………

 

「前回までのあらすじ!

 ここは夢の世界で、今オレ達の前にいるのはサキュバスで、

 捕まったら強姦されて、絶頂したら最近夢精したどっかの男の児を孕まされて、

 攻撃しても効かないけど時間制限があるからひたすら逃げるか耐えようぜ。

 それと前に仕込んだバックドアを逆用されて歌夜と綾那は巻き込まれました。

 許してチョンマゲ、てへぺろ」

 

何が何だか分からない歌夜と綾那に対し、新戸が今まで作って来た知的で冷静なキャラを崩壊させながら簡潔に状況を説明する。

 

最悪孕まされるだけで、命までは奪われないとはいえ、ハッキリ言って絶体絶命の状況下で、新戸は若干テンパっていた。

 

「大体分かったのです! てりゃああぁぁっ!!」

 

一方綾那は夢の中でも正常運転であった。

本多忠勝はどこまで行っても『ただ、勝つ』事しかできやしない。

それは彼女にとって致命的なまでの短所でもあるが、同時に何者にも代えがたい長所でもある。

 

綾那がその辺から拾ってきた長棒を振り回すと、彼女らを取り囲んでいた100名近くのサキュバス達が次々と砕け散り、煙となって消えていく。

 

「て、手ごたえが全然ねーです。 まるで本当に煙を殴ってるみてーです」

 

「倒しても倒しても数が減らない……!?」

 

「こいつらは夢界構築の応用で創った分体だ! 相手をしても疲れるだけだ!

 それより囲みを破って距離を取れ!」

 

「む、夢界構築……?」

 

「ここは夢の世界、何でもアリだ。

 ただし奴まだ夢界を掌握し切っていないから、何でもアリと言っても限界がある。

 夢界の浸食が進めば進む程、何でもアリの限界がどこまでも上がっていく。

 そうなったら本当にどうしようもなくなるぞ」

 

「じゃあどうすりゃ良いんだよ!?」

 

「走れ! そして距離を取れ! 接触が多ければ多い程、夢界浸食は速く進む!

 距離を取れば遅くなる!」

 

新戸がそう叫ぶと、夢界構築の能力を発現させ、蜻蛉斬と赤龍独鈷、そして人間無骨を創り出す。

綾那達の記憶を基に創った贋作に過ぎないが、ここは精神の世界、イメージの世界であるが故に、こういった小道具の有る無しが戦いの帰趨を左右する。

 

使い慣れている得物がある、だから負けない……そんな自己暗示に近いものが、夢界での戦いでは重要なのだ。

 

「だけど、この位だったら倒せなくもないぞ」

 

基本ヒャッハー脳な小夜叉が不満そうな声を漏らす。

 

「今はまだ増えて襲ってくるだけだが、夢界浸食が進んだら何をしてくるか分からない。

 それに捕まったら犯されて孕まされるって事、忘れるなよ」

 

「う……」

 

小夜叉の脳裏にあの時の光景が……小夜叉の母、桐琴が鬼に強姦され、鬼の児を孕まされ、風船のように膨らんだ腹が破裂した瞬間が思い浮かぶ。

 

アレが自分の身に降りかかるかもしれない……それは彼女にとって恐怖そのものである。

 

「……くそっ! どけよてめぇら! 同じ顔が何個も何個も並んで気色悪いんだよっ!!」

 

胃液が逆流しそうな程の恐怖を噛み殺し、小夜叉は人間無骨をサキュバス達に突き立てる。

 

「ふうん、怖いの、怖いんだぁ……でもそんな事は無いわよ。

 セックスは気持ち良くて、蕩けそうな位気持ち良くて、幸せな事なのよ……」

 

小夜叉達によって蹴散らされながらも、無数のサキュバス達はクスクスと笑い続けている。

殴られても、斬られても、彼女は何の痛痒も感じない。

それどころか、セックスを怖がり、肩を強張らせる小夜叉の様子をまるでコメディでも見ているかのように笑っていた。

 

「だ……誰も何も怖がっちゃいねぇっ!!」

 

「嘘よ、嘘嘘……貴女は怖がってる、恐れているわ。

 セックスする事を、男と女の交わりを。 何て可哀そうな娘なんでしょう。

 おいで……私がセックスの気持ち良さを教えてあげるわ」

 

サキュバス達が優しく小夜叉達に手招きをすると、下腹部の肉が集まり、男根そっくりの形状になった。

サキュバスが女性と交わり、女性を絶頂させるために創る疑似男根である。

 

「ひっ……」

 

小さな声ではあったが、それを見た瞬間、小夜叉は悲鳴をあげてしまう。

 

女性の身体に、男性の肉棒……先程新戸から見せられた光景、肉棒を生やした森蘭丸によってイカされ、イカされ、イカされ、イカされ、イカされ、雪崩のような快楽に潰されて発狂していく自分の姿を思い出してしまったのだ。

 

「何かトラウマでもあるのかしら? でも良いわ、私が癒してあげるもの。

 セックスが気持ち良いって事を教えてあげる。

 セックスを怖がらなくても良いって事を思い出させてあげる。

 そして児を孕み、児を産み、児を育てる、女の最高の幸せを貴女に与えてあげるわ」

 

ただし、その児の親は最近夢精した近所の誰かである。

 

「うるせぇっ!! 誰もそんな事頼んじゃいねえよっ!!」

 

小夜叉が血管が浮き出る程に怒り、怒鳴り、人間無骨をやたらめったらに振り回す。

心臓がバクバクと高鳴っていた。

それは恐怖か、怒りか、それともセックスへの期待か……色々な感情がごちゃ混ぜにな

り、小夜叉は訳が分からなくなっていた。

 

「拙い……想像以上に夢界浸食が速い……!? 小夜叉! 耳を貸すな!

 声をかけるな! これ以上夢界を掌握されると本気で拙い!」

 

新戸が念動力で小夜叉の首根っこを掴み上げ、無理矢理引っ張り戻す。

そのまま綾那達が切り開いた囲みの隙間に向かって飛び込んだ。

 

「綾那! 歌夜! ここに留まると拙い!」

 

「わ、分かったです!」

 

「はい!」

 

綾那と歌夜が新戸達を追って走り出す。

 

「ふふ……うふふ……イキが良いわねえ、頑張るわねぇ。 私もヤル気が出てきたわぁ……」

 

逃げ去る4人の後ろ姿をサキュバスはクスクスと笑いながら眺めていた。

 

夜はまだ始まったばかりだ。

 

……

 

…………

 

………………

 

町を、森を、荒野を、大江戸学園を、雪原を、沼地を……パラパラ漫画の中のように次々と脈絡なく背景が切り替わるカオスな世界を走り、新戸達4人は逃げ続ける。

そして長い長い逃亡の果てに小さな民家な民家に逃げ込んでいた。

 

「……くそっ! 何だってんだ一体!?」

 

「ここは夢の世界で、あいつはサキュバスだ」

 

「そういう事が聞きたいんじゃねえ! どうすりゃ倒せるんだ!?」

 

「このまま逃げ隠れするしかない。

 サキュバスは夢の中では何でもアリだが、夢界の浸食が進んでいなければ限界がある。

 そしてサキュバスと交わり、絶頂してしまわない限り、

 サキュバスは現実世界のオレ達に手出しができない」

 

「つまり? どういう事ですか?」

 

「できるだけ接触を避けながら逃げ続ける。

 万一捕まっても、絶頂だけはしないよう耐える。 そして時間切れを待つしかない」

 

「やっつける事はできねーです?」

 

「完全な不意打ちができれば不可能じゃないが、

 それ以外の暴力的な手段は一切効かない。

 一応、セックスで先にサキュバスを絶頂させる事が出来れば、引き下がるが……」

 

新戸は今この世界にいる面々を思い浮かべる……

 

自分……セックスが苦手なので駄目。

小夜叉と綾那……セックス経験ゼロ、無謀。

歌夜と小波……経験人数1、回数1、他よりマシだがサキュバス相手に寝技を挑むにはあまりにも経験不足。

 

新戸は他の面子に聞こえないよう小さくため息をつき、「無理だな」と呟いた。

 

「じゃあ、このままずぅ~っとここに隠れてろって事か?」

 

「そうできたら良いのだけどな。 さっきの接触でかなり夢界が浸食されている。

 たぶんそう遠くない内に見つかる」

 

新戸は大きくため息をついた。

先程は数を増やして襲い掛かる程度ですんだ。

しかし、さっきの接触で夢界が浸食されているため、サキュバスの感知範囲が広くなっている事も、自分達を取り押さえて強姦するためにとれる手段がかなり広がっている事も分かった。

 

そしてサキュバスと出会って生き延びた虎松はそう多くないため、新戸は夢界浸食が進んだ時、サキュバスがどんな手段を取ってくるか分からない。

それも新戸にとって懸念すべき事項である。

 

「とにかく、今は少しでも身体を休めてくれ。

 ここは夢の世界ではあるが、疲労や消耗はある」

 

「夢の中で休むって、何か変な感じです」

 

「良いから黙って休んでろ、オレは考え事で忙しい」

 

「……分かったのです」

 

微妙に納得できないという感じではあるが、綾那達3人はそれぞれ壁にもたれ、休息を取ろうとする。

 

「どうする、どうする、どうすれば良い……どうすればこの状況を打開できる……」

 

ぶつぶつと独り言を呟きながら、新戸はこれからの事を考えている。

正直な話、今の状況は詰み一歩手前の状況だ。

自分が襲われる寸前まで夢に入られたと気づけなかった事、夢界浸食があまりにも速い事から、今自分達を襲っているサキュバスはかなり高位の者であると分かる。

 

粉雪が襲われた時のように不意討ちで殺す事も、セックスで上回るのも困難と言わざるを得ない。

一度でも捕まってしまえば、たぶんどうする事も出来ずにイッてしまうだろう。

 

「四天王アタックなら、あるいは……いや、小夜叉にアレは無理か……

 4人でも使えなくも無いが……」

 

説明しよう。

四天王アタックとは、本多忠勝、榊原康政、酒井忠次、そして井伊直政が全力で敵の注意を引き付け、服部半蔵が後ろからこっそり近づいて刺し殺す虎松発案の卑怯殺法である。

『四天王アタック』と宣言した癖に5人で攻撃してる所がミソである。

 

「それともニュー四天王アタックで……」

 

説明しよう。

ニュー四天王アタックとは、本多忠勝、榊原康政、酒井忠次、そして井伊直政がまっすぐ行ってブチのめすという、綾那発案の脳筋戦法である。

シンプル極まりない戦法であるが、シンプルであるが故に意外と対応困難な所がミソである。

 

ただし、サキュバスには絶対に効いてくれそうもないため、今使っても無意味である。

 

「いっそグレート四天王アタックで……」

 

説明しよう。

グレート四天王アタックとは、榊原康政が騎乗位で繋がり、本多忠勝がおOんこを顔面に押し当て、酒井忠次が胸や首筋を舐め、井伊直政がちOこを生やしてケツの穴を掘るという、歌夜発案のエロエロアタックである。

 

犠牲者は新田剣丞である場合が圧倒的に多いが、何かの間違いで歌代と綾那が九十郎に惚れた世界では、九十郎がグレート四天王アタックのターゲットになって無様なアヘ顔を晒している。

 

余談だが、全力で逃走中の島津義弘を追いかけるべく編み出した、酒井忠次発案ファイナル四天王アタックというのもある。

 

『ファイナル』と名付けられている理由は、それを実行すると大体の場合、虎松の死因ランキング1位の川上シロンペロン家臣、柏木源トツと遭遇し、虎松が死ぬからである。

そのため最近では上田城で一二三と睨めっこをしたり、呉学人ごっこをしたりしてサボタージュし、関が原から逃げる虎松が後を絶たない。

 

そんなこんなで新戸は延々とブツブツと独り言をしながら思考の迷宮へと埋没していく。

 

「綾那、どう思う?」

 

「どうって……?」

 

そんな新戸の様子を眺めながら、歌夜は綾那にそっと耳打ちをした。

歌夜はこの世界に来てから……いや、三河の地で新戸を初めて見たあの日から、歌夜は一瞬たりとも新戸に対する警戒を緩めていない。

 

敵か味方か……そんな事ばかりを考え続けていた。

 

「さっきの言葉、どこまで信用できると思う?」

 

故に歌夜は、さっきキャラ崩壊させながら言い放った説明台詞を信用しきれていないのだ。

 

「どこまでって……えっと……ごめんです、歌夜の言ってる事が良く分からないのです」

 

一方綾那は、動物的な本能で新戸を『味方』と判断していた。

 

「はぁ……」

 

余りにも能天気なその思考に対し、歌夜は1人ため息をつく。

綾那と歌夜が子供だった頃からずっとずっと、2人の関係はこんな感じだ。

 

「綾那! あれは鬼なんですよ!

 いつどんな理由でこちらに襲い掛かってくるかわからないんだから!

 だいたい、許してチョンマゲって……」

 

新戸に聞こえないようヒソヒソ声のままだが、歌夜は必死にそう語りかける。

三河で葵共々蹴散らされた悪夢のような光景を、歌夜は未だに根に持っていた。

 

そして歌夜が新戸がいかに信用できないかを一から十まで説明しようとした時……

 

「……巻き込んで、ごめんな」

 

小さな声だった。

掻き消えてしまいそうな程に小さな声だった。

 

それは小さな小さな声であったが、彩那にも、歌夜にも、小夜叉にも、そして小波の耳にも確かに届いていた。

 

小屋の中がしん……と静まり返った。

誰も彼もが無言であったが、皆の視線は新戸に集まっていた。

 

そして一瞬……ほんの一瞬だけではあるが、歌夜は新戸に対する警戒心を無くしてしまっていた。

 

その言葉は新戸が思考の迷宮に迷い込んだ末に浮き出たものであるが……その言葉は、確かに新戸の本心からの言葉であった・

 

直後……ぞくりと、悪寒と怖気が背筋に走った。

 

「綾那、感じたか?」

 

「何か、何かこう……

 綾那は馬鹿だから上手く説明できねーですけど、何かヤバイ感じがしたのです」

 

「オレもそう感じた……歌夜、小夜叉、移動するぞ。

 たぶんだが、この場所はサキュバスに気づかれた」

 

「……ああ、分かった」

 

「そうですね、確かに何か危険な感じがします」

 

そこら中から危険な気配がした。

右からも、左からも、壁からも、障子からも、天井からも、土間からも、囲炉裏からも、果ては隅っこに置かれた狸の置物からも危険な感じがした。

それは長年殺すか殺されるかの修羅場を潜り抜けてきた綾那達の直感だ。

 

そして新戸達が戸を開けて外に飛び出した時……4人は戦慄した。

 

外の景色が変わっていたのだ。

ついさっきまで、この掘っ建て小屋の周囲には原生林が広がっていた筈だったのに、今は岩と苔、そして闇の広がる洞穴の中になっていたのだ。

 

「な……何だこりゃあ!?」

 

「さっきまでの風景と全然違うのです!?」

 

まるで小屋ごと別世界に転移死したかのような光景に、小夜叉と歌夜、綾那が戦慄する。

いくらここが夢の中で、何でもアリだと頭では理解していても、理性が理解を拒んでいた。

 

「ま……まさか、こんな……ま、拙い……非常に拙いぞ、これは……」

 

しかし、新戸の驚愕と戦慄はそれ以上だ。

新戸には今、周囲に広がる光景に見覚えがあったからだ。

 

この場所は……

 

「オレが……小夜叉の特訓のために用意した……エロトラップダンジョン……」

 

新戸が滝のように汗を流しながら、そう呟いた。

 


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