東方世界録   作:猫のみこ

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こんにちはのみこです!!!

急に年末年始、忙しくなってしまった……。

炬燵で過ごしたかったのに……

それではごゆっくり!


人里編④ ~ワーハクタク~

 

―――――とある飯屋の端

先程まで店内を賑わせていた三名が深々と座っている一人は紅と白の露出が多い巫女服を着た若い少女、また一人は銀髪にメッシュが入った変わった髪色に青い服を纏った気品ある大人の女性。そしてこれまた変わった黒い服を着た少女と変わらないくらいの少年かが静かに座っている。

 

 

 

 

「ほう、なるほど。二人は知り合いだったんだね」

「そうだ。霊夢には度々世話になってる」

「ほんとよ、ならその誠意を見せてほしいものだわ」

「何でも形に表すものじゃ―――」

「ほら、まただよ。落ち着いて落ち着いて、え~と」

「紹介が遅れてすまない。初めまして、上白沢 慧音(かみしらさわ けいね)だ。よろしく」

「おお、慧音さん。俺唯斗、神威 唯斗(かむい ゆいと)どうぞよろしく」

 

軽い自己紹介を済ませ俺と慧音さんはお互いに手を差し出し、握手を交わす。

………ふむ。率直な感想は凄く生真面目な人だな。霊夢とは正反対、そりゃ合わん訳だ。

 

「いやーうちの霊夢がいつも世話になってます」

「何が“うちの“よ。どっちかって言うとあんたが“うちの“なんだけど」

 

俺は慧音さんの方へ軽いおじきをしながら、普段厄介になっているであろう霊夢の事を詫びる。対面に座っている霊夢はそれを不満そうな顔で睨み付けてくる。

 

「いやいや、世話になってるのはむしろこっちなんだ。さっきも言ったが先日も里の依頼を引き受けてくれたからな」

「巫女の務めとして仕方なく、よ」

「霊夢……そんなにも立派になったのか……」

「だからあんたは私のなんなのよ!!」

 

 

昔の霊夢だったらいくら巫女の仕事だからといって自分の生活を崩されるような依頼は受けなかったと思う。ましてや睡眠だ。ちょっと過去の話になるんどけど昔、霊夢が寝ているときにダイブして無理矢理起こそうとしたらボコボコにされた。俺、普段霊夢より起きるのが遅いからいつも霊夢に叩き起こされてたわけ。だから仕返しに―――と思って………この話はやめよう。思いだしただけで鳥肌が………。

そんな事を考えていると、慧音さんはテーブルの脇にあるメニュー表を手に取り

 

「さて、話は一旦やめにしてご飯にしよう。私もまだだったんだ」

「そうね。もうお腹ペコペコだわ」

「そりゃいつもじゃ―――」

「何かいったかしら?」

「――さ、さ~て、なに食べようかな~。こ、これうまそうだな~~」

 

霊夢の怒りを避けるかのようにメニューを開く。

川でとれた焼き魚定食にそばやうどんといった色々な食べ物の文字が目に映った。

 

「………私、これにしようかしら」

 

 

俺の行動を見てか霊夢は不機嫌そうだ。そんな中俺のメニュー表を覗きこみ、ある料理を指さす。

なになに……?何て読むんだこれ?――――っていうか

 

「たっかいな!」

「ちょっと、いきなり耳元で大きな声出さないでよ」

「あ、ごめんごめん。っていうか、何て読むの?それ」

「どれ、私が読んで――って、松茸じゃないか!!こんな高価なものお前が………!!」

「失礼ね!たまにはいいじゃない!」

 

 

まつたけ……名前は聞いたことあるな。よく魔理沙とそれ狙って森に潜ってたっけ。そんな高価なものだったんだな………まつたけ。

 

「奢りって普通遠慮するもんだぞ……?」

「それは霊夢に言っても仕方がないことだ……」

「食べたいものは食べたいのよ、何事にも縛られないのが博霊の巫女!そうよ、そうなのよ!」

 

霊夢は自分にそう言い聞かせるように大きな声をだす。俺達の飽きれ顔も彼女の勢いに吹き飛ばされた。

 

「まぁいいけどね……俺はきつねうどんにしよ」

「わ、私もそれにするぞ」

「何よ、何か文句でもある?」

「「いえ、別に……」」

 

メニューを閉じ、元あった場所に戻す

注文をするべく、俺は遠くの方にいる店員の少女を呼びかけた

 

「すいませーーん!」

「はい、ただいま!」

 

少女は伝票を片手に、トコトコとこちらに駆け寄ってきた

俺達が座っているテーブルの横に立ち、

 

 

「ご注文をどうぞ!!」

「きつねうどん二つと、まつたけの定食一つ」

「きつねうどん二つと、松茸定食一つですね!以上でよろしいでしょうか!」

「うん、以上で」

 

俺が言った言葉を確認のためにオウム返しする少女

少女はずっと笑顔で愛想が良い、大きな声で対応している

そんな姿を見て慧音さんはウンウンと頷き、

 

「精が出てるな」

「はい、先生!」

 

スイマセーン

 

「あっ、ただ今ーー!!それじゃ、先生!」

「ああ、頑張ってな」

 

少女はまた別のテーブルへと向かっていった。

 

「せんせい?って?」

「ああ、私は寺子屋の教師をやっているんだ」

「ほう、寺子屋」

「小さい子供を集めて、勉強とかさせる場所よ」

「なるほど、それであの子は寺子屋の生徒って事か」

 

俺を頷きながら会話をする

 

「先生が良いから、あんなに賢く育つんだな」

「……! い、いや私はそんな……!」

「あら、慧音。もしかして照れてるの?」ニヤニヤ

「……こう面と向かって褒められたのは久しぶりでな」

 

霊夢のからかいにもちゃんと答える。ほんとーに真面目な人だな

慧音さんは話を逸らすように少し慌てながら、

 

「そ、そうだ!今度寺子屋に来てみたらどうだ!」

「おお、いいね。見てみたいです」

「生徒にも良い刺激になると思うしな!」

 

寺子屋……なんか面白そうだな

俺、子供好きだしね。楽しみだ

慧音さんはテーブルに置かれたお冷を飲み、一息ついてから喋る

 

 

「そういえば霊夢、お前が人里に降りてくるなんて珍しいな。何をしにきたんだ?」

「買出しよ、買出し」

「そうか、それにしてもお前が男の人と一緒にいるなんてな~」

「な、なにか問題でもある?」

「二人はどういう関係なんだ?」

 

慧音さんは仕返しといわんばかりに浮ついた声で聞いてきた

 

「友達よ!友達!!」

「ほんとにか~?」

「ほんとよね!?唯斗!」

「友達というより親友ですね」

「そうよ!そんなやましい関係じゃ……///」

「?別に私は何も言ってないが……」ニヤニヤ

 

顔を真っ赤にして話す霊夢。

慧音さんはその様子を見て、少しにやけている

その場を終わらすかのように、先ほどの少女が料理を運んできた

 

「おまちしましたーーー!! きつねうどん二つと松茸定食になります!!」

「おお、どうもありがと」

 

小さな体で二つの大きなお盆を持ってきた

きつねうどんのお盆は二つ重ねて、時間の短縮を図ってるみたい

 

「お喋りはここまでにして、早く食べましょ!!」

「あ、ああ。いただくとしよう」

 

テーブルに三人分の昼食が置かれ、各々頼んだものを自分の所へ持ってくる

 

「それじゃー」

「「「いただきます」」」

 

俺は箸を手に取りうどんを二、三本掴む

それをチュルチュルと口で吸い込み、噛みほぐす

 

「うまうま」

「ああ、私も度々来るがここの料理はどれも美味しい」

「ほう、今度他のも食べてみたいな」

 

慧音さんと俺はうどんを次々に口に運んでいく

……ん?対面に座っている霊夢の動きが止まってる。

口を手で覆い、目は大きく見開いて、

 

「ど、どうしたんだ?」

 

俺がそう聞くと、プルプルと体を震わしながら大きな声で

 

「おいっしい!!!!!!!!!!!」

 

と店内に声を轟かせた

 

「こんなにおいしいもの初めて食べたわ!!」

「おお、そんなにか。俺にも少しくれよ」

「えー……」

「そんな嫌そうな顔するなよ、ほら俺の奢りじゃん。だから少し、な?」

「まぁ別にいいけどね……」

 

霊夢嫌そうな顔で箸でご飯を一口分つまみ、俺の口の元へと持っていく

 

「ほら、口開けなさい」

「おお!やった、じゃ遠慮なく」

 

そのまま箸を俺の口の中へ入れる

 

モグモグ…………!!

 

 

「うま!!!すごいなこれ!!」

「でしょう!ほんと、幸せだわ~」

 

俺達は松茸定食を噛みしめながら会話する

そんな俺達を見て慧音さんはフフっと笑う

 

 

「お前達、恋人みたいだな」

「え、…ちょ!!なにいってんのよ!!///」

「素直な感想を言ったまでだが?」

「そんな……!私達はまだ、///」

「゛まだ゛っという事はいずれは……か?」ニヤニヤ

「あっ……!ちがっ――――――あんたもおうどん食べてないで否定しないさいよ!!」

「うん、うまうま。…ん?何だ?」

「あんたねーーー!!」

「ははは、変わった青年だな」

「?チュルチュル ん、うまい」

 

 

この後も俺達はにぎやかに昼食をした訳だな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんた、聞いてなかったの?」

 

「何がだ?俺はご飯食べてるときは味覚に神経集中させるしな」

 

「……まぁ別にいいけど」

 

 

 

 





読んでくださりありがとうございました!!

もう2016年も終わろうとしていますね!!

あと残り三日、皆さん良いお年をお過ごしください!

それではよかったら次回も見に来てください! ばいび!!

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