東方世界録   作:猫のみこ

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こんにちはのみこです!

毎年毎年思うんですが、年々お昼の時間が暖かく感じます。

最近私の周りでも体調を崩す人が増えていますのでみなさんも体には気をつけてください。


それではごゆっくり!




博霊神社にて

ザッザッザッ

 

 

 

「ふぅ、ざっとこんなもんか?」

落ち葉を境内の傍らに集め、一息つく

 

博霊神社の居候になってから一日目、

俺は霊夢の代わりに境内の掃除をしている最中だ。

 

『唯斗 まだ縁側の方が済んでないぞ』

 

「参拝客は来ないのに、

何でゴミは集まるんだろうな?」

 

『また霊夢に怒られるぞ』

 

「ほいほいっ。黙ってやればいいんだろ。」

 

 

箒をクルクルと回しながら、落ち葉が集まる方へ向かう。

辺りはとても静かで、空もまだ暗い。

早朝というにはまだ気が早いだろう。

 

 

「あらっもう起きてたの?」

 

 

部屋の中から寝巻きの霊夢が出てきた。

まだ眠いのか、目をグシグシとこすりながら、

 

 

「あんた、昔はもっとお寝坊さんじゃなかったかしら?」

 

「あ~。人は成長するもんです。」

 

「ふふっ、なによそれ。」

 

 

霊夢は誰が見ても美人だ、これ程まで才女兼備という言葉が似合う女の子はそうはいないと思う。そんな少女が微笑むと、なんだが照れてしまう。

 

「ほ、ほら早く着替えてきたら?」

俺は少しまごつきながら喋る。

 

「そうね。そうさせてもらうわ。朝ごはん、出来たら呼ぶわね。」

 

「あ、ああ…。」

そう言い、台所へ消えていった。

 

 

 

『照れているのか?唯斗』

 

「う、うるさいなっ!」

 

『霊夢に見惚れるのは勝手だが 

手は動かしてもらいたいものだ』

 

「そんなんじゃないってば!!」

 

『図星だな』

 

「あーもう!お前も箒で掃いちゃうぞ!」

 

『私はゴミではないーー』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

 

 

 

「ごちそうさまでした。」

「お粗末様。」

 

霊夢が作った朝ごはんを食べ終わり、俺達はゴロゴロしていた。

食べた後すぐ寝ると牛になるって昔レプリカから聞いたけど、だらけてしまう気持ちも分かる。とても居心地が良い。

寝そべったままの姿勢で俺達は今後の予定について話し合った。

 

「ねぇ、この後時間ある?」

 

「ん?何にもすることないから、暇だよ。」

 

「……そう。」

 

向こうをむいていて霊夢の顔は見えない。

声の感じから察するに、無表情な気がするけど。

 

「あのさ……この後人里にでも…いかない?」

 

「何か用でもあるのか?」

 

「え、えーと…。…ご飯、そうご飯!奢ってくれるって言ったわよね!」

 

「ご飯、今食べたばっかじゃん…。

もう次のご飯の話か?まぁ別に良いけど。」

 

「うるさいわね。そうと決まったら準備しましょ。」

 

「へいへい。ってもう行くのか?」

 

「紫からお金もらったし、色々買い揃えないとね。

見て回ってるうちに丁度頃合いになるでしょ。」

 

「そうかそうか。それじゃ、準備出来たら言ってくれ。」

 

「洗い物、頼むわね。」

 

「あいよ。」

 

人里へ行くことが決まり、霊夢は自分の部屋へ、俺は台所へと向かう。

人里か~久しぶりだな。ちょっとウキウキしてきた。

 

『唯斗 私は悲しいぞ』

 

「ん?」

 

『何でもない 早く食器を洗うとしよう』

 

「あ、ああ…。」

 

レプリカが何か言ってたけど何だったんだろ?

 

 

 

 

 

―――――――――博霊神社、境内

 

 

「ふわぁ~。霊夢まだかな。」

 

『霊夢は年頃の女の子だ 準備に時間がかかるだろう』

 

「ん、俺も年頃の男の子なんだけど…?」

 

『男の子はあまり準備なんてないだろう ましてや唯斗だ』

 

「今何か馬鹿にされたような……。」

 

『気のせいだ』

 

俺は今鳥居の前で霊夢が来るのを待っている。

洗い物が終わって霊夢の所へ向かったところ、準備が出来るまで外で待っているように言われた。 ちなみに俺は何にも準備してない。

 

「それにしても、ここから見える景色は絶景だな。」

 

『ああ 空気もよどんでいない とても清々しいな』

 

「今まで色んな世界の景色を見たけど、ここが一番だな。」

 

『同感だ』

 

神社へと続く長い階段の頂上。そこに鳥居がある。

普通の人間ではここまで登るだけでも一苦労だろう。

だが、そこから見える景色はそれまでの苦労を忘れさせてくれるほどに絶景だ。

 

 

(昔こうやって、師匠と一緒に眺めてたっけ……。)

 

 

 

 

「何ぼっーっとしてるのよ。」

背後から声がし、俺は振り返る。

 

 

「お待たせ。何考えてたのよ?」

 

「うーん、少しな。」

 

「そ、じゃ行きましょ。」

 

「ああ。」

 

 

霊夢は俺の先を歩き、俺もまたそれにつられるように歩き出す。

階段を一段、また一段とゆっくり降りていく俺と霊夢。

 

「な、なぁ。」

 

「なに?」

 

「飛んでいかないの?」

 

「あなた飛べないじゃない。」

 

 

そ、そうだった。 俺は何故か飛べない。

ん?飛べないのが普通か。小さい頃、周りには飛べる人ばっかだったから

飛べない俺がおかしいのかと思ってた。

飛ぶのにはコツが必要なのか?よく分からん……。

 

「歩くと結構時間かからないか?

霊夢が空飛んでもトリガー使えばついてけるぞ?」

 

「いいから!ほら、歩いていきましょ。」

 

「そ、そうか。まぁ霊夢が良いんならいいけどさ。」

 

 

結局歩いていくことになり、二人並んで階段を降りる。

人里から神社までは歩いて1時間しない程。俺達からすれば苦ではないが、里の人達は妖怪が出てくる危険性もあり、まず歩るいていこうとは思わないだろう。

里の人は飛べないから必然的に神社への参拝客が少なくなる。

妖怪神社とか言われてるからな。ここ。

 

 

「ふふっ。」

急に霊夢が微笑んだ。

 

「どうしたんだ?」

 

「なんでも。歩いていくのもたまには良いものね~。」

 

「めんどくさがり屋の霊夢が歩いていこうなんてなぁ。何か良いことでもあった?」

 

「失礼ね。良い事ならまぁ、あったかしら。」

 

「?なに?俺の顔じーっと見て。」

 

「何でもないわ。さぁ今日は何をご馳走してもらおうかしらね~!」

 

「お、おい、ほどほどにな?」

 

 

 

 

こうして俺達はゆっくり人里に向かっていった。

 

 

 

 


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