東方世界録   作:猫のみこ

14 / 34
こんにちはのみこです!

今回で、オリサブキャラが出るのは恐らく最後です!

日常編で出てくるかもしれませんが……。

それではごゆっくり~


巫女と少年と少女 ~完結話~

――――――――洞窟道中、帰り

 

 ーーーーーーーーーー

 

「そーいえば、」

 

私達は洞窟の主である大蛇を倒し、

来た道を戻って帰っている途中だ。

 

「あのおかしな能力、あっちの世界で覚えたの?」

 

唯斗が戦闘で見せた、あの能力。

私の記憶が正しければ、三年前は使っていなかったはずだ。

 

「おかしなって…。別にそんな変じゃないぞ。」

 

「私の攻撃を防いだり、あんな大きな蛇の妖怪も吹っ飛ばしてたじゃない。十分おかしいわよ。」

 

唯斗は昔から、素手で岩を砕いたり、大きな木を飛び越えるほどの跳躍が出来た。

あのとりがー?っていうのを使うとさらに人間離れをした動きをするようになる。

だから今更何を見せられてもそんなに驚きはしないけど、興味本意で聞いてみた。

 

「う~ん。まぁそうか。おかしいな。」

 

唯斗は笑いながら答える、

 

「゛覚えた゛っというか

゛もらった゛の方が近いな。」

 

「もらった?とりがーって奴を?」

 

「おお覚えてたのか。霊夢、

そういうのに全然興味ないと思ってた。」

 

「まぁ少しだけど。」

 

゛とりがー゛っていうのはあっちの世界で使われている武器のようなものらしい。

主に戦争で使われていて、色々な能力を使うことができる

って昔唯斗から聞いたわ。

 

「なんとなく、意外だな…。」

 

私は小馬鹿にされたように思い、

 

「何よそれ。」

 

少し顔をしかめて答える。

 

「ほらほら、口を動かす暇あったら足動かすぞ!」

 

「ちょっと!」

 

唯斗は私に手を引っ張りより速いペースで歩く。

はたから見ると手を繋いでいるみたいに見える。

 

(こいつ、こういう事平気でするんだから…///)

 

 

「足元気をつけろよ~。」

 

「戦いのとき油断してた人に言われたくないわね。」

 

「忘れてたのに…。思い出させるなよ、」

 

『帰ったら反省会だな』

 

「えぇ~…。分かったよ。」

 

 

また出口に向かって足を進めた。

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーー

 

 

歩き始めてからしばらく経った頃、

ようやく出口が見えてきた。

洞窟の外には祈李とレプリカが、

 

「唯斗さーーーーーーん!!」

 

祈李は洞窟中に声を響かせながら、俺達に近寄ってくる。

 

「無事そうでなによりです!」

 

「おまたせおまたせ。この通り怪我一つないよ。」

 

俺は体を回して異常がないとアピールする。

霊夢はその様子を見て、顔をしかめる

 

「私もいるんだけど?悪いわね、おまけで。」ムスー

 

「あっ!すみません巫女さん!別にそんなことは!助けてもらったのにご無礼を……。」

 

霊夢の皮肉に対して彼女は真面目に返す。

 

「そ、そんな真に受けないでいいわよ…。」

 

「す、すいません!」

 

この二人、何か相性良さそうだな…。

っとそうだそうだ。

俺は懐に手を入れて、薬草を取り出す。

 

「お求めの薬草これだよな?」

 

「!!これです!!これでお母さんを……。」

 

「じゃ、ほい。」

 

俺は薬草を祈李の前にさしだす。

すると、彼女は途端に悲しそうな顔をし、

 

「あ、あの…。今はお金これっぽっちしかもってなくて……」

 

手には三日間食いつなぐのには困らない位のお金を持っていた。

 

「一生かけても…!お金、必ず払いますから…!だから…!」

 

祈李の声がどんどん涙声になっていく。

 

「薬草を……「何言ってんの?」

 

祈李の声に被せるように、

 

「だから、んっ。」

 

俺は薬草を持ってる手を刺し出す。

 

「えっ……?」

 

「お金なんていらんって。俺達が勝手にやるって決めたことだし。それで報酬をもらう方がおかしいだろ?」

 

「私は別に決めてないわよ。無理やり連れてこられたんだから。」

 

「人聞き悪いな……。何だかんだノリノリだったじゃん。」

 

「誰がよ!」

 

俺達がそんな会話をしている最中に

祈李は俯く。

 

「これでほら、お母さん治すんでしょ?

俺達持ってても意味ないし。」

 

「まぁどうしても、お礼がしたいって言うんならもらってあげなくt……ゴニョゴニョ」

 

「相変わらずだな……霊夢は……。」

 

「何よ! お金は命より重いんだから!」

 

「なんだっけ……。それ。」

 

祈李は、会話を裂くかのように尋ねてくる。

 

「……本当に…いいんですか…?」

 

「だからいいって。祈李はそういうの気にしすぎだと思うぞ?霊夢を見習わなきゃ。」

 

「どういう意味よ!」

 

「そういう意味。」

 

祈李は一呼吸を置いて、大きな声で

 

「ありがとうございます!!!」

 

俺達に深いお辞儀をした。

 

「だから…そんな」

 

「いえ!!言わせて下さい!!

言わなきゃ気が済まないです!!!」

 

 

(祈李………)

 

 

「本当の話…もう…ダメかと思ってました…!!お母さんが死んで、私……一人になるんだって思ってたんです……。」

 

 

「どうせ一人になる位ならいっそのこと……

そんな気持ちでこの森に入りました…!」

 

 

「ですが…お二人に助けられて……、

私とお母さんは救われました……!」

 

 

「私達は……お金も少ししか持ってないし、

何か高価な物を差し上げられるわけでもないです……。」

 

 

「なので…なのでぇ……。」

 

 

 

祈李は大粒の涙を流しながら、

 

 

 

「本当に……

ありがとうございましたぁ!!!!」

 

 

俺達に感謝の言葉を投げる。

 

 

俺は霊夢の方を見ると、

ヤレヤレと、微笑みながら首を振っていた。

 

俺は祈李の手を掴み薬草を握らせ、

 

「それじゃ、報酬はその言葉ということで。

どういたしまして!」

 

「ふわぁ~…。やっと帰って寝れるわね。」

 

「雰囲気壊すような事言うなよ霊夢。」

 

「あんたも大概じゃない。」

 

「うぅ~…。感謝してもしきれないです……。」

 

「貴女もいつまでもウジウジしてないで、さっさと里に帰るわよ。送ってってあげるから。」

 

「おお~祈李、珍しいよ。霊夢が優しい。」

 

「別に珍しくないわよ!失礼ね!」

 

「ふふっ…」

 

「貴女も笑うんじゃないわよ!」

 

「よーし里までひとっ飛びだ。ほら早く行こう。」

 

祈李は涙で濡れていた顔を手で拭い、

 

 

「はい…!よろしくお願いします!」

 

「運ぶの私じゃない……。」

 

「そういうなって。今日のお礼として今度ご飯奢るからさ。」

 

「本当!?言ったわね!祈李早く捕まりなさい!」

 

霊夢は宙へ浮き彼女に手を伸ばす。

 

「お二人は、仲が良いんですね!」

 

「まぁね。小さい頃からの仲だし。」

 

「ご飯…!ご飯!!」

 

「霊夢、話聞いてない…。」

 

祈李はその様子を見てか口元を隠しながら笑う。

そして霊夢の手を掴み、一緒に宙に浮く。

 

 

「お二人とも本当にありがとうございました!」

 

 

こうして俺達の長い長い夜は幕を閉じた…。

 

 

 

 

 

 

 

「俺も空飛べないから霊夢に捕まってたんだけどな!」

 

「なんでそんなほこらしげなのよ。」

 

 

 

 

 

 

 




ということで今回でこのストーリーは完結しました。

いかがでしたでしょうか!

話は変わりますが最近時間があるので連投していくかも知れません。

読んで下さったら嬉しいです。

それでは次回でお会いしましょう!ばいび!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。