バイオハザード~破滅へのタイムリミット~   作:遊妙精進

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すみません!! 忙しい日々が続いたので更新が大幅に遅れてしまいました!
次回から遅くなる場合は、後書きか活動報告に載せます。


39話 古城

 橋を渡り、黒瀬とルイスは小屋の近くまで来た。

 

「ここでレオンと一緒に戦ったんだ。もうとっくに先に進んでるだろ」

「……そうか」

 

 小屋の近くには、多くの村人の死体が倒れている。レオンもかなり苦戦をしたんだろう。

 

「で、この先はどっちに行けばいいんだ?」

 

 扉が二つある。進むには、二つの扉の内どちらかを選ばなければいけないようだ。

 

「右側にエルヒガンテ、左側には大量の村人だ」

「エルヒガンテ?」

「巨人だと思えばいい。かなり手強いぞ」

 

 どういった経緯でその巨人が完成したのかが気になるが、今度の機会に調べるとしよう。

 

「じゃあ左だ。村人だけだったらそれほど時間もかからないだろう」

 

 エルヒガンテとかいうB.O.W.は、対バイオテロ組織B.S.A.A.の一員として倒しておきたい気持ちは山々だが、今はレオンとアシュリーとの合流が最優先事項だ。村人程度ならそれほど時間も掛からないだろう。

 レバーを引いて左の扉を開け、先に進む。

 ルイスが言った通り、大量の村人が配置されており、四方八方から殺気が飛んでくる。

 

「なるほど、これはヤバそうだ」

「時間がかかりそうだな」

 

 黒瀬は木刀を抜き、ルイスはホルスターからレッド9を抜く。村人の数は優に二十を越えている。ゾンビならまだしも、ガナードは武器を使うなど、知能があるぶん厄介だ。

 

「やっぱりエルヒガンテの方に行くか?」

「そしたらこいつらも付いてきちまうからな」

 

 ガナードとエルヒガンテを同時に相手をするなど、やりたくもない。

 黒瀬は近づいてくるガナードにダガーナイフを投げる。見事に眉間に突き刺さり、ガナードは力なく倒れた。

 

「いい腕をしてるな」 

「まぁ、練習すれば誰でも出来るよ」

 

 戦闘服に付けられているダガーナイフを抜き、ガナードに投擲する。斧が投げられるが、命中精度は宜しくなく、黒瀬の横を通り過ぎる。

 

「もっと練習しろ!」 

 

 斧を投げたガナードにナイフを投げて攻撃するが、ガナードの頭は破裂し、中から寄生体が出てきた。

 寄生体の湿ったような音で胸が悪くなる。

 

「寄生体は光が苦手だ。何か持ってないか?」

 

 ルイスがガナードに撃ち続けながら言う。

 

「目と耳を塞げ」

 

 黒瀬は腰から閃光手榴弾を取り、寄生体を露出させたガナードの足下に放る。すかさず目と耳を塞ぐと、すぐに手やまぶたを貫通して強烈な音や光が届く。

 目を開けると、寄生体は死滅しており、ガナードもゆっくりと膝をついて倒れた。

 

「今の内だ。チャンスだぞ」

 

 閃光手榴弾の光と音で黒瀬たちを囲んでいたガナードは怯んでいる。ゾンビなら通用しないが、感覚が残っている敵だからこそ使えた手だ。

 黒瀬は木刀で怯んでいるガナードの頭を叩き潰していく。どうやら寄生体が出るのと出ないのがいるらしい。寄生体が出ないのは黒瀬にとっても好都合だ。余計な手が掛からない。

 

「それにしても多いな」

 

 次から次へとガナードが出現し、一向に減る気配がない。

 

「おい、あれはヤバイぞ」

 

 ルイスが指を差した所を見ると、頭に包帯を巻いた女ガナードがチェーンソーを持ち、エンジンをかける。しかも二人。

 

「チェーンソー姉妹?」 

 

 二人の容姿はよく似ていて、双子でも通じるくらいだ。

 

「言ってる場合か。奴らは並のガナードよりも強いぞ」

 

 ルイスが言うくらいだ。相当手強いのだろう。

 

「じゃあ早く倒した方がいいな」

 

 黒瀬はチェーンソー姉妹に突出し、二人を木刀で払い飛ばす。

 一人はすぐに立ち上がり、雄叫びを上げながら切りかかるが、黒瀬は木刀で受け止める。

 しかし、木刀が木ということもあり、すぐに真っ二つになった。黒瀬はバックステップし、チェーンソーを避ける。

 

「あー! 五千円もしたんだぞ!」

 

 黒瀬は使い物のならなくなった木刀を放り投げ、素手で構える。チェーンソー女は狂気の笑みで黒瀬に切りかかるが、黒瀬は側面に回り込み、チェーンソー女の頭を肘で殴った。怯んだ所で手からチェーンソーを奪い取り、元チェーンソー女の首を横から切って真っ二つにした。

 大量の血飛沫が黒瀬に飛び散り、この方法をとったことに少し後悔するが、チェーンソーのエンジンを切り、もう一人のチェーンソー女の胸に突き刺して手を離す。

 

「リョウ……お前はとんでもない奴だな」

 

 ルイスが若干引いている。

 

「どんな殺し方でも一緒だろ!」

 

 と、このタイミングで無線がかかる。

 

「ハニガンか。どうした?」

 

 襲い掛かるガナードを足で払いながらハニガンと話す。

 

『緊急事態よ。レオンと通信が取れなくなったわ』

「へぇ、それは緊急事態だな」

『何者かによってレオンの無線機がクラッキングされているの。居場所はその先にある古城よ』

「古城なんてものがあんのか」

 

 ここらに城があるなんて聞いたこともないが、噂にならない以上、小さい城なのだろう。

 

『早急にレオンとアシュリーに合流して』

「オーケー」

 

 合衆国エージェントの無線が、そこらの人間にクラッキングされることなどありえるのだろうか。

 黒瀬は無線を切り、松明で殴りかかってきたガナードを足で払い、松明をガナードの背中に乗せて燃やす。

 

「ルイス! この先に古城があるのか!?」

「ああ! とんでもない古城があるぜ」

 

 そこにレオンとアシュリーがいる。

 

「このガナードたちの相手は俺がする。ルイスは先に古城に向かっててくれ」

「いいのか?」

「ああ。楽勝だ」

 

 ルイスは一瞬躊躇ったが、進行方向にいるガナードを撃ち倒し、先へと進んだ。

 ガナードたちは目標を黒瀬一人に変え、凄まじい殺気を放ちながら襲い掛かる。しかし、黒瀬は慣れたようにもう一本の木刀で敵の頭を潰していく。

 知能は残っているが、それでも動きは単純だ。斧や鎌の攻撃を避け、次々と敵を倒す。

 五分後には、黒瀬の回りは村人の死体で囲まれていた。 

 黒瀬は静かに目を閉じて、村人の冥福を祈った。

 

 

 

 

 

「これが古城か……」

 

 黒瀬は絶句していた。目の前にあるのは、中世に造られたように古く、美しい城だ。壁の亀裂や苔がいい味を出している。世界遺産レベルだ。

 黒瀬は感慨にひたってる場合ではない事を思い出し、ハニガンへ無線をいれる。

 

「古城の前に着いた。でも橋が上がっていて古城側へ渡ることが出来ない」

 

 谷を見るが、下が見えないほど深い。

 

『別の手段はない?』  

「あるかもしれないけど……時間がかかるな」

 

 これほど大きい古城への入り口が一つだけとは考えにくい。しかし、一々探している時間も惜しい。

 

「仕方無い」

 

 黒瀬はため息をつき、二十メートルほど下がる。

 地面に手をつき、クラウチングスタートのポーズを取る。

 

「ハニガン、合図ヨロシク」

『よーい……スタート!』

 

 ハニガンの合図で黒瀬は走り出す。助走距離は二十メートルだが、黒瀬には充分だった。時速五十キロメートル近いスピードを出し、上げられている橋を一気に駆け上る。頂上まで来ると、跳躍して古城側へと飛び移った。

 

「よし、成功だ」

 

 ギリギリだったが、何とか成功。流石は俺の身体能力だと、黒瀬は自画自賛する。

 

『……何はともあれ良かったわ。レオンとの合流を急いで』

 

 ハニガンも驚いた様子だが、流石はプロ、早急な任務の遂行を選択した。

 

「オーケー、この城の中を探し回ればいいんだろ? 簡単だ」

 

 倒れているガナードの死体を追っていれば、いつかはレオンに会えるはずだ。

 進もうとすると、真横に矢が飛んできた。矢は地面へ突き刺さる。殺気の方向を見ると、黒ローブを着ている男たちがボウガンを黒瀬に構えていた。

 

「退屈しなさそうだね……」

 

 黒瀬は地面に突き刺さっている矢を抜き、投げ返した。十数メートル離れている敵の頭に突き刺さり、一人が力なく倒れる。

 相手も臨戦態勢に入ったのか、奥から盾や鎖付きモーニングスター、大鎌を装備した黒ローブ男たちが現れる。

 

「いや、ほんと、退屈しなさそうだね」

 

 ため息混じりに木刀を抜き、走り出した。

 

 

 

 


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