バイオハザード~破滅へのタイムリミット~   作:遊妙精進

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番外編ということで、関東を脱出した後のメンバーやバイオキャラの日常が語られます
ほぼギャグです



番外編
みんなで海水浴!


 あの後の事をざっと説明すると、レオンさんは怪我を治療した後に帰国、クリスさんとクレア、レベッカも帰国した。記者さんのフィルムカメラは残念ながら政府に没収された。

 俺たちは二日ほどの精密検査のあとに解放され、高城の家(巡ヶ丘市)に今も居座っている。

 

 

 

『今や自衛隊は殺人集団になってしまったからねぇ』

『閉鎖された関東に無断で入り、行方不明となった者が今月で二万人を越えました』

『感染者愛護団体が福岡県で過激的なデモを行い、六百人以上が逮捕されました』

『感染者には愛を!』

「…………」

 あれから三ヶ月、毎日こういった内容のニュースがあっている。

 民間人の救出作戦で別の地方から、自衛隊、警察、消防含め、二十万人以上が関東に投入されたが、その内、九万人が死亡又は行方不明となった。

 あの地獄を経験していないものから見れば、t-ウィルスの感染者はただの病人だ。ゾンビを保護しようという考えには賛成出来ないが。

「リョウ、いる?」

 高城のお父さんから借りている俺の部屋のドアがノックされた。

「ああ。入っていいぞ」

 友人であり、あの地獄を一緒に駆け抜けた人物、香月彩が俺の部屋に入ってきた。

「沙耶ちゃんが明日、みんなで海に行かないかって言ってるけどどうする?」

「そうだな……暇だし行くとするか」

 季節は夏、海水浴なんてここ何年も行ってなかったし、久しぶりに泳ぎたいな。

「じゃ、早速明日の準備だ」

 皆で行くだななんて、修学旅行みたいだな。めちゃくちゃ楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

「いやっほぉぉぉ! 海だぁぁぁ!」

 子供のように叫び、砂浜を駆け抜け海に飛び込む。付け加えると、この行動は俺ではなく、佐藤リコ、通称記者さんだ。

 海に遊びにきたメンバーは、もちろんあのメンバー+記者さん。

 海なので、当然皆は水着姿である。

「よしっ! 黒瀬、どっちが速く海に入れるか勝負しようぜ」

 小室も子供のようにはしゃいでいる。

「おっしゃ! よーい、スタート!」

 俺と小室は走り出した。俺もまだ子供だからね。しょうがないね。

 熱い砂浜を走り抜け、海に飛び込む。

 心地よい冷たさが身体中に広がり、さっきまでの暑さが吹き飛んでいった。

「俺の勝ちだな」

「黒瀬は速すぎるんだよなぁ」

「小室も鍛えろよ」 

 まぁ、俺は鍛えてもそれほど筋肉がつかないんですけどね。

「一応鍛えてるけど、やっぱり黒瀬は凄いよ。そんなに強そうにも見えないのにな」

「余計な一言だなぁ。よし、次はあの離れ小島まで泳ぐぞ!」

「泳ぎなら負けないぞ!」

 

 

 

 

 香月SIDE

 

 香月彩は、周りにいる女たちを睨み付けていた。細かく言うと、首と腹の間に挟まれている脂肪のことである。

「どうしたのよ、アヤ。胸なんか隠して」

 高城が香月に問い掛ける。

「だってぇぇ……」

「恥ずかしいの?」

「恥ずかしいよ! こんなおっぱいの大きい人たちに囲まれて!」

 別に友達の女性陣に胸を見られて恥ずかしいというわけではない。毎日一緒に風呂に入っていることもあって、その大きさにはもう慣れた。しかし、外で水着になり、友人たちだけではなく、他人にも見られ、比べられるのが嫌だったのだ。

「香月さん、ほら、小さな胸が好きな人だっているし!」

「フォローになってないよ!」

 香月は、平野の顔を殴る。

「ギャホ!?」

 平野は吹っ飛び、海に落ちた。

「全く、うちの男性陣はバカばっかり!」

「言えてるわね」

 不良二人と軍オタ一人、しかも全員性格がバカなのだ。

「でもそういうところが可愛いんじゃない」

 鞠川が胸を揺らせながら、香月たちに近づいてきた。その胸はスイカ並みだ。

「おいおい、あの女の人の胸、でかいな」

「隣のピンクツインテールも結構な……」

「黒髪の方は?」

「良いけど、胸がなぁ……」

 男たちの話し声が香月の耳に飛び込んでくる。

「…………」

 男は胸の大きさで女を決める。そんなことは香月も分かってはいるが、心のどこかで悔しい気持ちがあることは確かだ。

「はぁ……」

 憂鬱な気分だが、今を楽しむことにする香月だった。

 

 

 

 

 リョウSIDE

 

「リョウちゃん、あーん」

「あーん」

 ありすから、海の家で買った焼きそばを食わせてもらう。

「いやー、ありすが食べさせてくれるだけで美味しさ十倍だよ」

「えへへ、ありがとう!」

 ありすもジークも高城の家で暮らしている。結局、小室たちはありすのお母さんを見つけることが出来なかったそうだ。一応、各避難所にありすの所在を書いているのだが、未だに何の連絡も来ていない。死んだ……というのが現実的だろう。

「ワン!」

 ジークが吠える。

「ジークはダメ。今ご飯を用意してあげるからね」

 いや~、ありすは可愛いなぁ。可愛いってのはどんなもんか分からないけど、ありすみたいな子のことを言うんだろうなぁ。

「ぷはぁ、海に焼きそばにビール、超美味い!」

 記者さんは買ったビールを一気飲みし、焼きそばをたらふく食べていく。 

「って、何ビール飲んでるだよ! 帰りの運転は!? 鞠川先生もビール飲んじゃったじゃん!」  

「リョウくんが運転すれば良いのよ。出来るじゃない」 

「そりゃそうだけど……」

 帰りは寝る気満々だったのに……

 この記者も高城の家で世話になっており、巡ヶ丘市でも記者になることが出来た。話を聞くと、どうやらその道では有名な人みたいだ。

「今更だけど、遊んでいて良いの? もうすぐで学校なんでしょ?」

「ああ。まぁ、良いんだよ」

 俺たちは二学期から、巡ヶ丘市の高校へ転校という形で入ることになった。ありすは小学校へ、鞠川先生は大学病院で働くことになった。先生の友達のリカさんや小室たちの親も職に就くことが出来た。こんなに事が早く進んだのも政府のおかげである。

 四ヶ月前、俺たちは精密検査をされた後、俺だけが連行され、アメリカと日本政府の役人やらなんやらに会わされた。確か、アダム・ベンフォードという、アメリカ政府高官の人だったか。

 その話を短く済ませるとすると、俺の数々の功績は認めているので、アメリカ政府の元につけ、という話だった。めんどいので断ったが。でも、レオンを助けて貰った礼をしたいということだったので、俺と俺の仲間の社会への早期復帰を頼んだのだ。

「私はリョウくんがアメリカのエージェントになってる姿を見たかったなぁ」

「嫌だよ。俺はフリーで良いね」              

 俺はクリスさんとB.O.W.狩りをやっている方が性に合ってるからな。対バイオテロ部隊とかが出来たら入ってやるのにな~。   

 ま、今を満喫するとしますか!

 俺は腹の中にたっぷりと焼きそばを入れ、海に飛び込むのだった。

 

 

 

 

 

 

 帰り、やっぱり俺が運転することになった。

 鞠川先生も記者さんも酔いつぶれて、寝てしまっている。他の女性陣も、遊び疲れたのか、ぐっすりと寝ていた。

「黒瀬は何でも出来るんだね」  

 平野が唐突に言った。

「そうか?」

「車もヘリも船も、色んな免許を持ってるじゃないか」 

「暇だったからな」 

「暇だからヘリの免許を取るのか……」

 つっても、将来のためだよな。どんな職に就いても良いように考えた末、国家資格をたくさん取ろうということになったんだよ。

「んー」

 助手席に座っている香月が、俺の肩にもたれ掛かってきた。

「おい、香月」

「ムニャムニャ」

 ダメだ。寝ている。

「小室、こいつどかしてくれ」

「僕には難しいな。平野、やってくれ」

「無理ですね。殺されます」

「はぁ? 寝てるから大丈夫だよ」 

「すぅーすぅー」

 香月は吐息を立てる。

「ほら、寝てる」

「黒瀬、世の中知らない方が良いときもあるんだよ」 

 ルームミラーを見ると、小室には毒島先輩と宮本が寄りかかり、平野には高城が寄りかかっている。

 なるほど、確かにその状態じゃ、香月を退かすことなんて出来ないな。ま、それほど負担じゃないし、無理に退かそうとすると起きちゃうかもしれないもんな。このまんまでいるか。

 香月の寝顔を見ると、その顔が一瞬、ニヤリと笑った気がした。

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 




反省してますが後悔はしていません

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