バイオハザード~破滅へのタイムリミット~   作:遊妙精進

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20話 真実

 リョウSIDE

 

「あれは? リョウの友達?」

「ネメシスだ。知能も高いから気を付けろ」

 ラクーンではひどい目にあった。そんな手強い奴が三体も……。いくらなんでも勝てそうにないな。

「レベッカ、手榴弾あるよな? それで時間を稼いで逃げよう」

「その方が良さそうね」

 レベッカは、足下に手榴弾を落とした。俺たちは扉まで走る。ネメシスたちも逃がさんと追ってくるが、レベッカが落とした手榴弾の爆発で倒れ込んだ。

「急げ!」

 扉を出て、近くにあったボタンを押す。扉はゆっくりと閉まり、ネメシスの姿は見えなくなった。

「安心は出来ない。早くディルク・ミラーを追おう」

「ええ」

 

 

 

 

                    ☆

 

 

 

 レオンSIDE

 

「いやー、まさか東京の地下にこんな大規模な研究所があったとはねぇ。大スクープですわ」

 佐藤リコはフィルムカメラで、辺りを撮っている。

 レオンたちは、梯子を使って地下まで下りてきた。明かりは薄暗いが付いており、電気は通っているようだ。

「リコ、行くぞ。まだ人がいるかもしれない」

「オーケー、オーケー」

 レオンは銃を構え、辺りを警戒する。レオンにとって、地下研究所は苦い思い出だ。ラクーンシティでは、地下研究所で酷い目にあった。

 通路を進み続けると、レオンは何かの気配を察知した。

「あれは……」

「ゾンビね」

 白衣を着た人間がゆっくりとレオンたちの方に近づいてくる。白衣は血で汚れている。

「止まれ!」

 銃口を白衣の人間に向ける。しかし、白衣の人間は止まらない。

(ゾンビ……か)

 レオンは銃口をゾンビの頭に向け、一発撃った。弾丸はゾンビの額に命中し、ゆっくりと床に倒れた。

「ここも危険だ。銃から手を離すな」

「嫌よ。カメラが使えないじゃない」

「…………」

 レオンは後悔している。厄介な女を押し付けられたと。チーム分けとしては当たり前だ。レベッカは元S.T.A.R.S.、レオンは元警察官だ。一般人を守るのは当たり前である。レオンは一日で失職してしまったが。

「行くぞ」

 音を極力出さないように進み続けると、前から防弾ベスト、フルフェイスヘルメットと、体の至るところを防御した人間が五人現れた。

「アアアアア」

「オオオオ」 

 五人は低いうなり声をあげている。

「ゾンビだよな?」

「ゾンビね。多分自衛隊だわ」

 レオンは自衛隊ゾンビの頭に銃を撃つ。当然だが、銃弾は弾かれる。

「左の二体は私がやるわ。残りはヨロシク」

「やる気があっていいね!」

 レオンは正面にいるゾンビの胸に右足で蹴りを入れ、続けて左足で蹴りを入れる。最後に頭に回し蹴りを喰らわせた。ゾンビは回し蹴りで吹っ飛び、背後にいるゾンビ二体を巻き込んで倒れた。レオンは倒れたゾンビに近づき、足を大きく振り上げて頭に落とした。

 ヘルメットをしていても、衝撃には耐えられないだろう。

「んー、やっぱり凄いわねぇ」

 その光景を見ていたリコはそう呟いた。

「私も負けていられないわ!」

 リコは腰からスタンバトンを出し、くるっと一回転してゾンビの胴体にスタンバトンをぶつける。スタンバトンの電流がゾンビに流れ、痙攣しながら膝をついた。リコは電流が流れていないヘルメットの後部を掴み、床に叩きつけた。

 もう一体のゾンビはリコに掴みかかろうとするが、リコはしゃがみ、低空タックルを決める。リコは直ぐに体勢を立て直し、ゾンビの腕を掴んで壁に叩きつけた。その首にスタンバトンを当て、電流を流す。しばらく痙攣し続けると、ゾンビは事切れた。

「やるね。君を見くびってたよ」

 リコが戦っている姿を見たレオンは誉めの言葉を告げた。

「どうもどうも。見習いエージェントさんから褒められるなんて人生生きてて良いこともあるもんね♪」

 レオンが関わる女は、厄介なのが多いようだ。

『オオオオオオオオオ!!』

 遠くから何かの叫びが聞こえてきた。

「何なの!?」

「さあな。でも良いことじゃなさそうだ」

 レオンたちは声のした方に走り出した。

 

 

 

                   ☆

 

 

 

 リョウSIDE

 

『オオオオオオオオオ!!』

 誰かの雄叫びが聞こえてきた。

「何!?」

「多分、ネメシスだ。急ごう」

 俺たちは走り、目の前の扉に向かった。

 ボタンを押し、中に入る。

「ここは……」

 中は、大量のパソコンや映像器具が机の上に並べられていた。ここで情報を管理しているのだろうか?

「リョウ、これを見て」

 レベッカがパソコンを起動させて、パソコンのファイルに入っていた文章を見せた。

『やぁ、世界の首相たち諸君。私はアンブレラで務めるものだ。今回の事件はびっくりしたことだろう。ラクーンの地獄が再び蘇ったのだからな。だが、これだけでは終わらない。三日後、我々は世界中にここからt-ウイルスをばらまく。世界中でラクーンの再現が起こるのだ。楽しみにしてくれたまえ』

 と、書かれてあった。

「なるほど」

 東京の上空に核が発射された理由は、世界中にt-ウイルスをばらまくのを止めたかったのか。流石にそのまま核を東京にぶちこむのはやめたようだ。だが、その作戦は失敗に終わった。この地下研究所は、EMP攻撃の対策が出来ている。確認のため、自衛隊を派遣したわけだが、既に全滅状態……と。

「リョウ、行きましょう。これが本当だとしたら、世界中に核が発射されることになるわ」

「そうだな」

 ミサイルにでもt-ウイルスを乗せてばらまくのだろう。一度発射されたら終わりだ。撃ち落とすなどしてみろ。ミサイルに乗せていたt-ウイルスが海に流されることになる。海は、t-ウイルスに汚染された魚たちでいっぱいになってしまう。

「あれ?」 

 でも、ディルク・ミラーはt-ウイルスをテロリストたちに売るために宣伝として、関東にt-ウイルスをばらまいたと言ってた。これじゃ言っていることが違う。世界の人間がゾンビ化すれば、テロリストもテロなんて起こす意味はない。

 ま、それは本人に問いただすとするか。

『ほう、それを見たか』

 天井のスピーカーからディルク・ミラーの声が聞こえてきた。壁に付けられている監視カメラが俺たちの方を向いている。

「これはどういうことだ? お前が言っていたことと違う」

『そうだ。アンブレラは世界中にウイルスをばらまくなどしないよ』

「じゃあ、なぜ!?」

『言っただろう? これはプレゼンテーションであり、宣伝だ。世界中に知られる必要がある。このウイルスを世界中にばらまくと言ったら、世界はそれを止めにかかるはずだ。だが、ここは東京の地下。兵士を送り込むとしても、相手を刺激してミサイルを発射するかもしれない。簡単なのはEMP攻撃だ。被害は広いが、ここの機能を停止させられる。『彼』が説得してくれたおかげで、日本の上空に核が撃たれたのだ。核を撃つだけで大ニュースだろ?』

「確かにな」

 なんとも馬鹿げた話だがな。

 t-ウイルスを世界中にばらまくのは嘘だったと。核を撃たせて、もっと宣伝したかったようだ。『彼』が気になるが。

『ま、私の仕事も終わった。後は証拠の隠滅だな』

「なんですって!?」

 ビービービー!! ランプが赤くなり、警報がなる。

『コードXXXが発動されました。この施設はあと十分で焼却処理されます。職員の方々は至急避難してください。繰り返します――』 

 館内放送が繰り返される。

『君たちはここで死ぬのだ。丸焼きになってな』

 それは嫌だな。

「リョウ、逃げましょう!」

「ああ!」

 俺たちはエレベーターに向かって走り出した。

    

 

 

 




次回で三章最終話?

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