バイオハザード~破滅へのタイムリミット~   作:遊妙精進

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今回雑です


17話 別れ

 小室と毒島先輩が、高城の家に着いてから一日が経った。

「アンブレラ・ジャパンの研究所はここだから、車でも三時間は掛かる」

 俺と記者さん、レベッカは、俺のために用意された部屋で、地図を広げて話し合う。

「でも、それなら市の中心部を突破しなきゃならないわ」

「それが問題だな」 

 中心部を避けて行っても、車では何時間掛かることやら。中心部を行くにしても、〈奴ら〉の数が多すぎるな。

「武器もないわ」

「それなら、ちょっと遠回りになるけど、俺の家に向かおう。銃が結構な量、置いてある」 

 ライフルにマシンガン、ショットガン、アサルトライフルなど、監視者から奪ったものだけではなく、俺が購入した物もある。

「あらあら、いけないんだぞ。日本で銃を所持しちゃ」

「ここでその台詞言います?」

 この家の外の見張りも中の見張りも銃持ちだ。高城の家はヤクザの本拠地みたいなもんなのだ。

「行くしかないわね。ここの連中は銃を貸してくれなさそうだし」

「逆に欲しがってるかもな」

 この家には、外のキャンプも合わせて、二百人以上は居る。〈奴ら〉も生きている者を食おうとこの家に群がってくるはずが、一匹足りとも侵入してこない。どこかで食い止めているお陰だろう。そして、食い止めるためには、銃がいる。

「なになに~? 何のお話~?」

 ありすが、俺の部屋に入ってきた。

「悪い奴らをやっつけにいく作戦を立ててるんだよ」

「皆は呼んでこなくていいの?」

「うん。大丈夫だよ。ありがとね」

「分かった!」

 ありすは、部屋から出ていった。

「君ってロリコン?」

 記者さんが言った。

「いや、全然」 

 でも確かに、ありす相手だと、言葉遣いがおかしくなるんだよな。俺にも妹がいたら……何て事を考えたりして。

「リョウ、本当に良いの? 友達は家族を探しに行くんでしょ?」

「あいつらの事だから、俺がいなくてもやっていける。全員強いからな」

「ふぅん。で、決行は?」

「三日後にするわ。三日後にこの家を放棄して、隣家に移動する予定らしいから」

 三日後か……それなら、小室たちの家族探しにギリギリ参加出来るか?

 ザァァァと、雨の音。

「雨か……」

「私とレベッカちゃんは、テントに戻るとするよ。じゃーね♪」

「はぁ……」

 記者さんとレベッカは、部屋から出ていった。あ、どうでもいいことだが、記者さんの名前は、佐藤リコというらしい。本当にどうでもいいな。

「よっ」

 俺はベッドに寝っ転がる。

「三日後か……」

 日本はアメリカと違う。流石にいきなり関東にミサイルを撃ち込むことはないだろう。そうなるのは、自衛隊による一般人救出作戦後だ。関東には四千万人が住んでいるんだ。日本政府も日本の人口の三分の一を易々見殺しにはしないはずだ。

 俺は起き上がり、部屋を出た。

 香月にもさっきの作戦の事を話しておかないとな。当然連れてはいけないが。

「あ、リョウ……」

 曲がり角を曲がったところで、ちょうど香月に会った。

「何かあったのか?」

「ええ。さっき、紫藤先生と生徒たちが来たんだけど、沙耶ちゃんのお父さんのおかげで、出ていったわ」

 え、なにそれ、見たかった。

「宮本さんを留年にさせたのは、紫藤先生だったらしいの。宮本さんのお父さんが警察官で、紫藤先生の親の事を調べてたから、それが原因で……」

 最低な野郎だな。ま、そんな奴は追い払われて当然だ。 

 

 

 

                    ☆

 

 

 

 

 俺たちがそう話している頃、ある場所で、臨時首脳会議が行われていた。臨時、ということなので、各国の首脳全員が集まっているわけではない。代わりの人物を寄越している国もある。

「だから! 今すぐトウキョウにミサイルを撃ち込むんだ!」

「トウキョウには千万人が住んでいます。それを我らの手で殺すなどと……」

「どうせ、ほとんど感染しているさ! 今すぐにやらないと世界が終わるのだぞ!!」

 各国の首脳は、怒涛の言い争いをしている。焦る理由は、ゾンビが大量発生したからではない。アンブレラ・ジャパン、いや、アンブレラからの犯行予告だった。

 内容は、三日後に世界中にt-ウイルスをばらまくとの事だった。要求は一切ない。

「そもそも、何故トウキョウの地下に大規模なアンブレラの研究施設があるのだ!?」

 皆の目が、日本の首脳に向けられた。

「それは……私にも分かりません。その事実を知ったのは昨日ことですから」

「知らなかっただと!? 隠し事もいい加減にしろよ!」

「それは、どこの国でもやっていることでは? アメリカだって、t-ウイルスの研究を見逃していたわけですから」 

「それはそうとして、どうやって世界中にウイルスを撒くのだ?」

「ウイルスを詰め込んだミサイルを発射するのでしょう。トウキョウの地下中に研究所があるのです。ミサイルを造ることぐらい可能かと」

 ウイルスが詰め込まれたミサイルを海上で撃ち落とすことは出来ない。t-ウイルスの資料は、首脳会議に出席している者全員が読んでいる。ミサイルを撃墜すれば、地球の海の半分以上はt-ウイルスによって汚染されてしまう。

「トウキョウに核を撃ち込めば済む話だ! それなら地下研究所も破壊できる! 世界中の人間がゾンビになるよりかは千倍マシだ!!」

「ゾンビという言葉は不適切です。正式名称は活性死者です」

「先ほども言った通りトウキョウの人口は千万人です。ラクーンの百倍ですよ? それを我々の手で殺すとなると、他の国や国民からの信用が駄々下がりです」

「では、こうすればどうでしょうか?」

 全員が、アメリカの大統領の代わりに来ている、政府高官のディレック・C・シモンズに注目した。彼の家系は、現在のアメリカをつくったと称されている。

「核を使って、高高度核爆発を起こさせるのですよ。それなら、例え地下に研究所があろうが、全ての電子機器の活動を停止させられる。その後に救出作戦とやらをすれば良いでしょう」

 

 

 

 

                    ☆

 

 

 

 俺たちは、全員玄関に集まっていた。

 まだ、小室と宮本の親探しが済んでいない。

「で、結局皆で行くのかよ……」

「まぁ、仲間だからな。部屋の中でウズウズしとくよりも着いていった方が良いし」

 ありすとジークも含め、俺たち全員で小室と宮本の親探しだ。やっぱり全員じゃないとな。

「あー!」

 鞠川先生が何かを思い出したかのように声をあげた。

「どうしたんですか、先生?」

「思い出したのよ、友達の電話番号!」

「あのマンションの?」

 銃やハンヴィーの持ち主でもある。

「うん。小室くん、携帯貸して♪」

「どうぞ」   

 鞠川先生は、小室の携帯を受け取り、番号をうち始めるが……遅い……

「あの、俺が打ちましょうか?」

「ダーメ♪ 忘れちゃうから」  

 番号が打ち終わり、先生は発信のボタンを押した。

「あ、もしもしリカ? 良かった~生きてたんだね~」

 繋がったようだ。先生の友達の無事も確認できた。時間次第では、リカさんとやらも助けに行ける。

 と、次の瞬間、

「キャ!?」

 先生が持っていた小室の携帯が、煙を吹き始めた。

「何だ!?」

「空が!」

 空を見ると、眩い光で空が覆われていた。そして、その光は数十秒で消えてしまった。

「まさか……」

 俺はポケットに入れていた携帯を出すと、小室と同じく煙を吹き上げていた。

「リョウ、何か分かるの!?」

「それについては、高城の方が詳しいはずだ」 

 高城は説明を始める。

「EMP攻撃、HANE、高高度核爆発とも言うわ。大気圏で核を爆発させると、ガンマ線が大気分子から電子分子を弾き出すコンプトン効果が起きるわ。飛ばされた分子は地球の磁場に捕まって、広範囲に放射される電磁パルスを発生させる」

「つまりだな、俺たちは電子機器は使えない。車も携帯もだ。発電所も死んだはずだから、電気も水もガスも使えなくなった。対EMP処置をしとけば使えるが、そんなもんは政府機関のごく一部だけだ」

「マジか……」

「直す方法はあるのか?」

 高城のお父さんが階段から降りてきた。何とも強そうな人である。実際強いんだろうな。

「パパ……焼けた回路を取り換えればどうにかなるはずよ。偶然に影響を受けてない物もあるかも」 

「香月、俺は武器を取りに部屋まで戻る。銃は持ってるよな?」

「ええ」

 俺は部屋に戻り、サバイバルナイフ三本を取る。ダガーナイフは回収していなかったので、俺の武器はこれだけだ。

「ほんと、何で銃が使えないんだよ」

 銃が使えれば俺も……

 俺は玄関に戻ると、既に〈奴ら〉が、門を突き破り、攻めてきていた。

「おいおい、マジかよ……」

 三百体以上いる。

「リョウ!」

「黒瀬くん!」

 レベッカと記者さんが駆け寄ってきた。

「ヤバい状況よね?」

「ヤバすぎますね」

 話を聞くと、避難民を連れて、まだ〈奴ら〉が押し寄せていない隣家へ移動するようだ。

「リョウ!」

「香月!」

「あのハンヴィーは無事みたいなの。ハンヴィーを使ってここから脱出するわ」

 あの車、回収していたのか。

「それが……すまん」

「え?」

「俺は行けないよ」

 この二人とやることがあるんだ。

「え? どうして……?」

「真実を突き止めなくちゃならないんだ」

「真実?」 

「ああ。この事件の真実だ。お前を連れていくわけにはいかない」

 俺は、香月の首に手刀をいれた。香月は気絶する。マジで気絶するとは思ってなかったけど。

 香月をおんぶする。

「香月を車まで届けに行く。ここの死守は頼んだ」

「いいけど……本当に離ればなれになっちゃっていいの?」

「ああ。こいつに付き合わせるわけにはいかないんだ」

 俺は車庫までダッシュした。

「黒瀬、やっときたか!」

 俺は車の中に香月を入れる。

「もうそろそろで動けるようになるわ!」

「皆! 聞いてくれ!」

 俺は拳を握り締める。

「俺はお前らに付いていくことは出来ない」

「何言ってんだよ、黒瀬」

「そうよ! 寝言もそこら辺にしときなさい!」

「俺は行く場所があるんだ。お前らが強いことも知ってるし、信用も信頼もしている。でも、俺の行く場所は危険すぎるんだよ。〈奴ら〉だけではなく、本当の化け物がいるかもしれない」

 皆は無言になった。

「黒瀬君、いや、黒瀬涼、君に命じる。必ず生きてまた会うと!」

 流石は先輩、物分かりが早い。

「ありがとう、毒島先輩! 皆、また会おう!」

「リョウちゃん!」

 ありすが寄ってきた。

「ごめんね、ありす。俺は行かなきゃならないんだ。でもまた会えるからさ」

「約束、指切り」

 俺とありすは固い指切りを交わした。

 俺は走って戻り、レベッカと記者さんに合流した。

「別れは済ませてきた?」

「ちょっと雑でしたけど!!」

 俺はゾンビを殴り飛ばす。

「で、どうするの!?」

「最初と変わらず、隣家への移動だ!」

 ゾンビ共が集まっているところを見ると、高城のお父さんとお母さんが戦っていた。

「あの人たちの援護を! 受け取れ!」

 記者さんとレベッカにナイフを投げた。

「やるぞ!」

 俺たちは走り出す。 

 

 

 

 




……アニメ10~12話を無視するスタイル
別れ雑すぎだろ!!


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