バイオハザード~破滅へのタイムリミット~   作:遊妙精進

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明けましておめでとうございます!


9話 救出

「はっ!?」

 

 気が付くと、アナウンスが流れていた。

 

『爆発まであと四分です。避難してください。繰り返します――』

 

 何かよくわからんが、この基地はあと四分で爆発するようだ。

 だが、クリスとクレアを探さないといけない。一人だけ逃げるわけにはいかないからな。

 

 

 基地中を走り回ると、クレアが走ってきた。

 

「クリスさんは!?」

「ウェスカーと戦っているわ」

「そうか……クレア、戦闘機はすぐそこだ。待機しといてくれ」

「リョウはどうするつもりなの!?」

「ウェスカーをぶん殴る!」

 

 俺はクレアが来た方向を進み、外に出た。

 

「クリスさん!」

 

 そこには、クリスさんとウェスカーの姿があった。外は炎に包まれており、炎の向こう側にウェスカーの姿が見える。ウェスカーは、顔を抑えている。火傷したようだ。

 

「リョウ、行こう。もうそろそろ爆発する」

「でもウェスカーは?」

「あの炎じゃ近付けない。決着は今度着けるさ」

 

 ウェスカーは俺を見て、にやりと笑う。

 

「リョウ、良い事を教えてやろう」

「なんだ?」

「お前の友人、クレアとレオンが助け出したシェリーという小娘……」

 

 シェリー、ラクーンシティの外で会った少女か。クレアに聞いた話によると、G-ウイルスの影響で衰弱していったと聞いている。だが、レオンさんと一緒に政府に保護されたはずだ。

 

「まさか……」

「そうだ、既に我々の手の中にある」

 

 政府の目を潜り抜けたのか……

 

「……取り返してやるよ。そしてアンタを倒す」

「やれるもんならな」

「行くぞ、リョウ」

 

 もう爆発するまで時間がない。俺とクリスさんは急いで、この基地まで乗ってきた戦闘機の元へと向かう。

 

「兄さん、リョウ!」

 

 俺とクリスさんは戦闘機に飛び乗った。

 

「ちょ、リョウ、狭いじゃない」

「しょうがないだろ、二人乗りなんだしさ」

 

 俺は戦闘機の席をクレアと半分個にして使う。

 

「さあ、急ぐぞ」

 

 戦闘機は、爆発ギリギリで飛び、俺たちがいた基地は吹き飛んだ。

 戦闘機は北へと向かう。

 

 

 

「兄さん、もう危険な事をしないって約束して……」

「それは出来ない。俺にはアンブレラをぶっ潰す使命がある」

 

 クリスさんはとっくに覚悟は決まっている。

 

「クレア、話さないといけないことがあるんだ」

「何?」

 

 俺は、ウェスカーから聞いたシェリーの件を話した。

 

「そんな……まさかシェリーが……」

「俺は直ぐに探すよ。そこにウェスカーがいる可能性も高いからな」

 

 学校をサボることになるが、それよりもウェスカーを倒すことが重要だ。ほっといたら、今回みたいにまたバイオハザードを起こすかもしれない。

 

「俺も行こう。クレア、シェリーはお前の友達なんだろ?」

「ええ。私も行くわ。兄さん、良いでしょ? シェリーは私の大事な友人よ」

「しょうがないな。止めても行くんだろ?」

「ええ」

 

 メンバーは三人か。少ないな。

  

「クリスさん、クレア、どうせならもっと増やそうぜ」

 

 

 

                    

 

 

 

 一週間後、ある廃施設が爆発した。

 その場から出てくるのは、男女六人の影。

 

「きつかったわね。人間だけなら良いけど、まさかB.O.W.までいるだなんて」

 

 B.O.W.とは、ネメシスやハンター、タイラントなどの人為的に作られたクリーチャーを指す。その中にゾンビは入らない。

 

「結局、ウェスカーには逃げられたな」

「クソ! ウェスカーめ」

 

 このメンバーは、全員俺が知っている人物だけだ。

 クリスさん、クレアを始め、レオンさん、ジルさん、バリーさん、俺を含め六人だ。 

 

 クレアを救出した後、レオンさんに連絡を取って、アメリカ政府の力を借り、シェリーと、このメンバーの居場所がわかった。このメンバーのほとんどはウェスカーに恨みを持っているので直ぐに参加すると伝えられた。アリスさんとカルロスさんの協力も願いたかったが、残念ながら居場所がわからなかった。

 

 そして、今回の作戦の要であるシェリーは、クレアに抱えられて眠っている。

 

「それにしてもよく参加できたな、レオンさん」

「かなり無茶を言ったんだ。政府は部隊を派遣すると言ったが、それじゃそのウェスカーって野郎には歯が立たないと思ってな」

「確かに」

 

 ただの部隊がウェスカーに勝てるわけがない。それに、このメンバーだからこそ、シェリーを救えたんだと思う。

 

「だが……あの女はやはり……」 

「レオンさん?」

「あ、いや、こっちの話だ」   

 

 レオンさんは今回の戦いで何か気になることがあったようだ。

 

「リョウ、そういえばまだ礼を言ってなかったわ」

 

 クレアが駆け寄ってきた。その手にはシェリーが抱き抱えられている。

 

「礼?」

 

 何か礼を言われるようなことしたっけ?

 

「私を助けに来てくれたでしょ?」

「あ、ああ」

 

 まぁ、結局何も出来なかったが。

 

「リョウが危険な目にあったらどこにいても必ず助けに行くわ。それが私の恩返しよ」

「出来れば危険な目には会いたくないけどな」

「リョウ!」

 

 クリスが俺とクレアの間に入ってきた。

 

(クレアに手を出すなよ)

(わ、分かってるよ)

 

 全く……クレアはブラコンだし、クリスはシスコンだし、兄妹仲がよろしいことで。

 

「やるな、ボウズ」

 

 バリーさんが俺の背中を叩いた。

 バリー・バートンさんは、元S.T.R.A.S.のメンバーだ。家族と幸せに暮らしているらしい。

 

「鍛えてますしね。傭兵やハンター程度に負けてはいられません」

「良い根性だ」

 

 根性があれば、銃弾ぐらい斬れるもんな。

 

「リョウ、やったわね」

 

 ジルさんだ。ジルさんもヨーロッパでアンブレラの行動を探っていたらしい。

 

「ええ。でもウェスカーは……」

「大丈夫よ。私たちが決着をつける」

「任せます」

 

 俺ではウェスカーに遠く及ばない。でも、クリスさんやジルさんなら…… 

 

「ところでリョウ、説教の事、覚えているかしら?」

「え……」

 

 そういえば、次に会った時に説教されるんだった。

 

「俺、直ぐに日本に帰って冬休みの宿題をしないといけないんで、また今度!」

「ちょ、リョウ!」

 

 俺はクリスさんの元へ駆け寄る。

 

「クリスさん、まだ戦い続けるんだよな?」

「ああ。アンブレラをぶっ潰して、ウェスカーを倒すまではな……」

 

 俺も参加したいが、残念ながら学校がある。高校を中退するわけにもいかない。

 

「クリスさん、高校を卒業したら必ず合流します」

「期待してるよ。クロセ・リョウ」

 

 

 

 この後、俺たちはバラバラになった。

 クリスさんとジルさんはヨーロッパに残り、バリーさんは家族の元へ、クレアとレオンさんはシェリーを届けにアメリカまで、そして俺は日本へ。

 

 誰も知るよしは無かった。

 戻った日本で、ラクーンシティの再来が起こるなんて……

 

 

 

 




ラストにあるように、次の舞台は日本です。
最後に皆を集めた理由は……今後のために面識を持たせたかった。それだけです。
明日も投稿予定

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