総督と魔王の会合
「いや〜コカビエルから聞いていたんだが、やっぱりお前さんのこのリングとカードは実に興味深いぜ!」
「あ〜そうですか……」
イッセーは朱乃からコカビエルが使っていたマンションのある場所へ来て欲しいと連絡が来たので訪ねるとひょんなことからマンションのオーナーがイッセーに絡みリングとカードを見せて欲しいと頼まれた。
「このリングとウルトラマンだっけか?そのカードを使うとお前さんが変身してウルトラマンオーブになるんだよな?」
「はい。ただ1枚だけじゃあ変身出来ませんし、全てのウルトラマンでOKじゃありません。特定の組み合わせでないとフュージョンアップ出来ません」
「で、どうやって変身するんだ?つーかお前を連れて帰ってウチのところで解剖していいか?」
「いえ、まずそんな危険なところに行きたくありませんから」
「冗談だよノリ悪いな〜〜」
「あらあらうふふ、アザゼルさん。イッセーくんが困っているのでそろそろおやめ下さい」
イッセーが身じろぎ出来ないのは朱乃が抱き着き魅力的な体を押し付けているためだった。ちなみに朱乃はイッセーの反応を楽しんでいた。
「わーったよ。それと朱乃、こっからはちょっと重要な話をするから席を外してくれねーか?」
「…………分かりました」
アザゼルと呼ばれた男は先ほどのおちゃらけた顔と打って変わって真剣な顔になり朱乃に頼み込む。朱乃も雰囲気を察したか名残惜しそうに部屋から出た。
「いくつかの質問に答えてもらうぜ兵藤一誠?」
「はい」
アザゼルの真剣な顔にイッセーも気を引き締めた。
「お前さんは三大勢力の戦争の結果と【二対の獣】を知っているか?」
「最初の質問ですが部長………リアス・グレモリーから聞いただけですが元々あなたたちは地獄の覇権を求めて戦争をしていたと聞いています。そして魔王やあなた方トップしか知らないある理由で戦争は膠着した。その二対の獣というのは知りません」
「………分かった。とりあえず嘘は言ってねえな」
「嘘を言う理由がありませんから」
イッセーの応答に納得したのかアザゼルも力を抜き、先ほどの気の良いおっさんの顔になった。
「それじゃあな兵藤一誠くん。またいつか会おうぜ」
「ええ、そう遠くない内に」
イッセーはこれまで経験した厄介事からおそらくすぐにでもアザゼルとまた会うだろうと感じた。
「なるほど、アザゼルに会ったのね?」
「やっぱりマズかったですか?」
イッセーは放課後に部室でリアスに報告するとリアスは仏頂面からいつもの顔になるとイッセーに
「一応問題ないけど他の悪魔には喋っちゃダメよ。未だに他の勢力には厳しいのもいるんだから」
「分かりました。……でもこの町では部長と会長以外の上級悪魔はいないですよね?」
「それでも、よ。変に弱みを見せたら他の悪魔はあなたを脅迫して無理矢理転生させるかもしれないは」
イッセーはリアスが心配しているのが分かったのか頷く。
「ねえねえイッセー」
「黒歌さん?」
黒歌はイッセーの背中に抱きつくがいつもより力が弱いことにイッセーは感じた。
「イッセー、本来悪魔は自らの欲のためにどんな悪事だって平気でやるの。リアスちゃんやソーナちゃんたちみたいな悪魔はほとんど稀にゃん」
「黒歌さん……」
イッセーは黒歌の微かに震えている手にそっと手を添えて安心させるために
「大丈夫。どんな悪魔が来てもオーブになって返り討ちにしてやります。部長たちも黒歌さんも護りますから安心してください」
「イッセー……」
黒歌は顔を上げイッセーに近づく。お互いの唇が重なろうとした刹那
「姉様、抜け駆けはダメです」
白音は黒歌の腰に手を回し
「ありゃりゃ残念。それじゃイッセーまた明日ね♪」
黒歌と白音は部屋から出て行きイッセーとリアス2人となった。
「それじゃあ部長。また明日「イッセー」?」
イッセーは自分の家に戻ろうとしたがリアスに両手で自分の手を掴まれ動けなかった。
「イッセー、私はまだ未熟だけどあなたを護ってみせる。だからあなたは自分を恐れないで」
「部長……」
「イッセー………」
リアスの瞳は潤みイッセーの顔に近づくが
「リアス、君も大人になってゆくんだね……」
「キャアッ!?」
「……何やってるんですか」
サーゼクスの突然の出現に驚いたリアスだったがイッセーは気配を察知していたので驚きはしなかったが照れてはいた。
「お嬢様、もう少し淑女として振る舞いをして下さい。いくら意中の相手とはいえそんなはしたないことは………」
「もう!お兄様もグレイフィアも少しは空気を読んでよ!!」
リアスはご立腹だったが魔王が来たからか気を引き締めた。
「なぜこんな所に?魔王であるあなたが一介の悪魔に会いに来るのはいけませんよ?」
リアスは真剣そのものだったがサーゼクスはにこやかに懐からプリントを出して
「明日は授業参観じゃないか。だったら兄である僕が出ないワケにもいかないだろう?」
「そんな……グレイフィアね!?お兄様に密告したのは!!」
サーゼクスの言葉にリアスは先ほどの真剣な空気から年相応のものとなりグレイフィアを睨みつけた。
「サーゼクス様の
そういうことでリアス。僕は必ず参観日に行くから楽しみにしていてくれ。あ、ちなみにお父様もくるからね」
「そんな……またあんな恥ずかしいことが……」
「部長、元気出してくだ「兵藤イッセーくん」?」
項垂れるリアスを慰めるイッセーだがサーゼクスの呼びかけに振り向いた。
「まことに申し訳ないのだが君の家に行ってもいいかな?」
「はい?」
「美味しいですね。一正くんとイッセーくんのお母様の料理は本当に素晴らしいです」
「あらあらリアスさんのお兄さんったら嬉しいこと言っちゃって!」
「さあさあ、一緒に飲みましょうよ!」
サーゼクスはイッセーの母親の料理を食べながら父親から注いでもらった酒を乾杯しながら飲む。
「ところでうちの一正は迷惑をかけていませんかね?あの子はどうもイッセーを目の敵にしていて……」
「いえ、少なくともそんな表沙汰になるようなことはしていませんよ。妹の部活の一員としてお世話になっていますから」
父親が一正のことをたどたどしく聞くとサーゼクスは安心させる笑みで一正のことを説明した。
「ふう、イッセーくんの両親はいい人たちだ。君が立派に育ったのも納得できるよ」
「ありがとうございます」
サーゼクスはイッセーの部屋でベッドで寝ながら両親を褒め称える。
「ところで本当にいいのかな?僕は突然来たようなものだし本来だったら君がベッドで寝るべきだと思うんだけど」
「魔王様に布団で寝させるワケにもいかないですよ」
サーゼクスの言葉にイッセーはフォローしながら布団に寝る。
「急に申し訳ないのだけど少しいいかい?」
サーゼクスの真剣な表情にイッセーはある言葉を出した。それは
「二対の獣……ですか?」
「やっぱり君は知っていたんだね」
サーゼクスは表情をさらに険しくするがイッセーは理由が分からなかった。
「アザゼルさんからも聞いたんですけどなんなんですかその二対の獣って?」
「なるほどそういうことか………」
サーゼクスは顔を伏せて低く唸るがすぐに好青年の表情になり
「イッセーくん、できれば会談の日にリアスたちと一緒に君にも来て欲しいんだけどいいかな?」
「いいですよ。俺も聞きたいことがありますから」
イッセーはサーゼクスの申し出を受け、明日のために意識を落とす。
短くてすみません。次回もよろしくお願いします!