「イッセー、これはどうかしら?」
「え〜と、部長の綺麗な髪と相まってすごく似合ってますよ」
「ふふ、嬉しいわ」
イッセーとリアスは商店街にあるデパートで買い物をしていた。
「何あの人……」
「すげーキレイ……」
「女優か何か?」
遠くからでもリアスを見るのは男性客だけではなく、女性の客もリアスに見惚れ褒め称える。
「あの男の人が彼氏さんかしら……」
「なんか……軍人かなにかかな?」
「抱かれて〜……やらないか?」
イッセーに見惚れる女性客もかなりいたが本人は最後の言葉を聞かなかったことにした。
「イッセーは何が似合うかしらね」
「そこまでやらなくてもいいですよ」
「ダメよ、イッセーをよりカッコよくしたいんだもの」
イッセーはやんわりと終わらせようとしたがリアスの真剣な声が伴った笑顔に封殺された。
「このままずっとデートしていたいんだけど明日からは黒歌たちともデートするんだからこれでへばってちゃダメなんだから」
「そうですね」
「……まだあのリングの行方のことが気になっているの?」
「………」
リアスの質問にイッセーは沈黙で答えながらバルパーと戦った日のことを思い出す。
「随分と面白いことになっているじゃないか」
突如現れたのは白銀の龍を象った鎧を身につけた男だった。リアスたちはバルパーの増援かと構えたが
「ようやく来たか。待ちくたびれたぞ白龍皇」
「アンタがそこまでやられるとはな、もう少し早く来れば良かった」
コカビエルと会話をしたので敵ではないと分かったのでリアスたちはひとまず力を抜いた。
「皆さん、申し訳ございません!来るのが遅れました!」
「朱乃!?」
リアスたちが目にしたのは朱乃だった。どうやらこの男は朱乃が呼んだ堕天使側の増援ならしい。
「味方か。それならもういいな」
オーブは変身を解いてイッセーの姿に戻り体の力を抜いた。
「フフッ、君があのウルトラマンオーブか」
「随分と有名人になってるな。そこまで暴れた記憶がないんだが?」
「謙遜するな。君の実力は素晴らしいものだ。君の兄が赤龍帝だったのが非常に残念だが弟の君はそれを帳消しにするほどだ」
白龍皇は兜越しでも解かるほどに一正には落胆の眼差しを、イッセーに対してはキラキラという擬音がつきそうな程に輝いた視線を向けていた。
「俺は今すぐに戦いたいくらいだよ。というかすぐに変身して俺と戦ってくれないか?」
イッセーと白龍皇の会話にリアスたちは心配するがコカビエルと朱乃は落ち着いていた。
「そんなことよりさっさとアザゼルに報告へ行くぞ。バルパーの死体は俺が持っていく」
「やれやれ。それじゃあこれでさよならだ」
「それでは皆さん、また明日」
コカビエルたちは空を飛び姿が見えなくなると生徒会の結界は消えてなくなり、空が完全に出ていた。
「そうだ!あのリングをどうにかしなきゃ!!」
イッセーはバルパーが使っていたダークリングを思い出したがすでに消えていた。
「それじゃあ聖剣奪還の祝いに乾杯!!」
『かんぱーーーーーーい!!!!』
イッセーの言葉をスタートにリアスたちオカルト研究部とイリナとゼノヴィアはジュースが入ったグラスで乾杯し、昨日の激闘を祝った。
「それにしてもイッセーくんがまさかあんな大きいヒーローになっちゃうなんて思わなかったよ!!」
「フム、あれほどの強さはそうお目にかかるものじゃあない」
イリナとゼノヴィアはごちそうを片手にイッセーを讃える。
「………イッセー先輩。両手が塞がってるので食べさせてください」
白音は大量のお菓子を乗せた明らかに重そうな皿を両手で持ちながらイッセーに迫る。
「あ、ああ分かった」
イッセーは白音が持っている皿からチョコレートを取り口に運ばせるとキスを待つお姫様のように目を閉じて上を向く。
「んんっ。美味しいです〜〜」
「ああ!白音ばっかりズルいにゃん!イッセー!私にも食べさせてちょうだいよ〜〜」
黒歌はイッセーに自らの豊満な胸を当てながら艶めかしい声で頼み食べさせるのをねだる。
「分かったからそんなにくっつかないでください!ほら、あーん」
「あ〜ん。美味しいにゃん♪」
黒歌のわざとらしい演技にリアスたちはやけに良い笑顔でイッセーを見るが本人は冷や汗を滝のように流していた。
「イッセー、黒歌と白音ばっかりズルいわよ」
「え〜と?」
リアスはふてくされた子供のように頰を膨らましながらイッセーに文句を言う。
「私だってイッセーとイチャイチャしたいのに他の娘ばっかり……」
「あの部長…許してくださいよ。俺なんでもしますから」
イッセーの何気ない一言にリアスは目を輝かしてイッセーに抱きつき耳元で
「それじゃあ休みの日に私と2人っきりでデートしてね♪」
『どういうこと(にゃん)(ですか)?』
なぜか黒歌たちはリアスではなくイッセーに目元が笑っていない笑みを浮かべながら近づくがイッセーはさらに墓穴を掘る。
「なんでもするから!だから落ち着いて……あ」
イッセーはしまったと思ったが時すでに遅し
『それじゃあデートして(ください)(ね)♪』
イッセーは沈むが下手なことはできないので観念した。
「あ〜あ、俺って全然成長してない気がするな……」
イッセーはジュースを片手に黄昏れていたが知った気配を感じた。
「イッセーくん………」
「朱乃さん?」
朱乃は罪悪感が入った表情でイッセーに近づき
「ごめんなさい」
「え?」
朱乃の突然の謝罪に戸惑うイッセーだが朱乃は涙を流しながら話をする。
「私は今回全然役に立てませんでした。あなたに母様と私を救ってもらってから10年くらい経ちました」
「そんな役に立ってないなんて……」
イッセーは朱乃を慰めようとするがその涙が止まることがなかった。
「あなたを守るために父様とコカビエルさんに鍛えてもらったのですが一緒に戦うどころかあなたの足を引っ張ってばかりです」
「朱乃!」
イッセーは朱乃の肩を掴みそのまま抱き寄せる。
「むしろ逆なんですよ」
「え?」
イッセーの言葉に朱乃は疑問を感じるがイッセーの体が震えていたのに気付いた。
「俺はウルトラマンさんたちのカードを手に入れるまで我流で修行をしました。はぐれ悪魔とも戦いましたし魔獣との死闘も何度も経験しました。それでも俺はどこかウルトラマンさんたちの力を怖がっている」
「イッセーくん……」
イッセーの弱音に朱乃は涙を止めた。
「だけどあなたと黒歌さんと白音ちゃんは俺を兄さんからかばってくれただけじゃなく俺と親しくなろうとしてる。それだけで俺はウルトラマンさんたちと向き合って戦えるんです」
イッセーは朱乃と向き合い本音を告げた。
「だから……あなたたちのおかげで俺は人間の兵藤一誠としてもウルトラマンオーブとしてあなたたちと共に生きていけます。だからそんな悲しいことを言わないで下さい」
「イッセーくん……」
朱乃はイッセーに近づき唇を合わせようとする
「抜け駆けはダメよ」
「うおっ!?」
「チッ」
突然のリアスの登場にイッセーは驚くが朱乃は軽く舌打ちをする。
「イッセー先輩、私たちはイッセー先輩に何があってもずっと一緒です。ウルトラマンになってもイッセー先輩はイッセー先輩ですから」
「そうにゃん。白音と私はイッセーとずっと一緒にいたいと思ってるし、イチャイチャしたいにゃん♪」
黒歌と白音はイッセーに抱き着き頬ずりをする。
「私も同じですよイッセーさん。あなたは力に怯えていると言っていますが私たちがその恐怖を和らげます」
アーシアはイッセーの手を包み込み、母親のような顔でイッセーに笑顔を贈る。
「イッセー、今は私たちは足手まといだけど必ずあなたの助けになってみせるわ」
リアスは笑顔になっているがその瞳は真剣そのものだった。
「皆……ありがとう」
イッセーは涙を流すのを堪えながらリアスたちにお礼を言った。
一方一正はパーティーが終わって夜道を散歩しながら今回の原作の歪みに憤っていた。
「なんでだよ!コカビエルが味方になってるなんて明らかに原作が崩壊してるだろうが!?なによりなんでイッセーがウルトラマンになっているんだ!?」
一正は転生する前のハイスクールD×Dの知識だけではなくウルトラマンの知識も当然持っていた。しかし
「あんなウルトラマン俺は知らねーぞ!?他のウルトラマンをカードにして変身なんて通りすがりの仮面ライダーじゃあるめーし!!」
一正はウルトラマンオーブのことについては一つも知らなかった。それどころか
「なんでゼノヴィアはアーシアに好意的だったんだよ!?普通だったら聖剣を構えてアーシアを殺そうとするはずじゃねえか!!」
本来ならアソコでアーシアを庇い、いい男の振りをするつもりだったがまたしても予想外のことが起きた。
「クソッ!こうなったらまずは朱乃の過去のトラウマを慰めて好感度を上げて油断したところで洗脳してやる!!」
色欲しかない一正の頭に次々と悪足掻きの策を巡らせる。
「不本意だが次の話でアザゼルからドライグとの
叶わぬ妄想を吐く一正だが無意味だ。ライザーとのレーティングゲームの時の譲渡の覚醒もドライグの気まぐれということに自覚していない。
「ウヒャヒャ!面白そうなオモチャ見ぃ〜〜けっ」
そんな愚者を見て面白そうに笑う十二枚の悪魔の翼を広げて飛ぶ銀髪の男がいた。
そういえばギンガとビクトリーとエックスはオーブの先輩になるのだろうか?
ギンガは未来のウルトラマンだしビクトリーとエックスはなってから日はかなり浅いのだが