「行くわよソーナ」
「来なさいリアス」
球技大会当日、オカルト研究部の部長のリアスと生徒会の会長ソーナはテニス対決をしており終わりが近づいていた。
「小西屋の全トッピングのせうどん…絶対私のモノにしてやるわ!」
「それはコチラのセリフです。私だって絶対に譲りません!」
リアスとソーナは全力で打ち合うがラケットのガットが切れ
「ひ、ひえええええ!!?」
応援していた匙の顔面目掛けてボールが隕石のように向かってくるが
「フンッ!!」
間髪入れずイッセーがボールをギリギリの距離でキャッチする。
「す、スマンイッセー」
「別に構わない。それとお二方、もうちょい手加減して打って下さい」
「「す、すみません」」
イッセーの注意にヘコむ2人であった。
「案外呆気なかったわね。確か今回の標的はかなりのランクに位置していたと思ったんだけど」
リアスたちは大公から討伐の依頼をされたはぐれ悪魔が予想より弱かったことに疑問を感じていたが以前のイッセーの修行のことを思い出していた。
「そこらへんのはぐれ悪魔なんかに負けるほどヤワに鍛えさせてませんよ」
軽く喋るイッセーだが本当は今朝聞いた夢で出会った黒髪の青年の真意について考えていた。そう、ドライグのことだ。
(俺は今まで赤龍帝という言葉はこれまでのことの流れで聞いたことはあるがそのドラゴンの名前なんて知っていなかった。なのになんで俺はドライグと呼んだんだ?)
悩めるイッセーだが誰も答えることはない。ただ自分自身で真実を掴み取るしかない。
「先輩?」
「うわっ!?」
心配した白音がイッセーの顔に近づくが下手をするとキスができるほどの距離だった。
「だ、大丈夫。だから離れて白音ちゃん」
「むぅ、人が心配してるのに釣れないことを言わないで欲しいですね」
白音は口を尖らせるがその表情には悪い感情は含まれていなかった。
「早く行くわよイッセー!」
リアスは白音との会話にヤキモチをしたのかイッセーの腕を組み連行する。その光景を見たイッセーに好意を持つ者たちは羨望と嫉妬が含まれていた。
「ハア、ハア、ハア………」
「おやおやもうおしまいかね?」
夜の通路で剣を持った白髪の神父と老人の神父がいた。白髪の神父は息を切らしながら剣を老人に向けるが老人の表情は冷静そのものだった。
「ふふふ、これでは聖剣の持ち腐れだね?」
「クソッたれがああああ!!!」
白髪の神父の剣にオレンジ色のオーラが宿ると神父は祐斗に劣らないスピードで老人との距離を詰め斬りかかるが
「相変わらず汚い口調だね」
「ガフッ!?」
老人は見た目からは想像出来ないスピードで神父の腹に強烈な打撃を与え、神父が怯んだ隙に剣を奪った。
「さて、聖剣を戴いたし次は君の命を貰おうとするか……ん?」
老人は聖剣を光らせてその場を離れると老人がいた場所に極太の光の槍が突き刺さっていた。
「予想より早く来たか。しかし問題はない」
「今度こそ捕まえてやる」
上空から現れたのは黒い長髪にエルフのような尖った耳、充血したような赤い目の堕天使だったが羽の数はレイナーレや朱乃たちより多い12枚の黒い羽だった。
「ふふ、いくら君でも足手まといを携えたまま聖剣を持った私と戦うのは難しいだろう?」
「ちっ!」
老人は煽るように挑発するが堕天使は光の剣を創り出し白髪の神父を片腕で携えながら構えるがどう見ても堕天使側が不利だった。
「まぁいい。せっかく聖剣が手に入ったんだこれで失礼させて貰うが残り3本の聖剣もいずれ手に入れる」
老人は足元に魔法陣を作り潜るとその場から消えた。
「これで奴の手元に3本の聖剣が渡ったワケか。厄介なことになった」
堕天使は忌々しそうに舌打ちをし、神父を携えながら空を飛ぶ。
「協会から伝令が来る?」
「ええ、そうよ」
リアスはイッセーにそう言うが
「確か悪魔と天使と堕天使は仲が悪くて何か切欠でもない限り接触しないんじゃ?」
「イッセー、表向きはそうだけど実際は違うわよ」
イッセーはリアスからこれまでの悪魔の歴史や三大勢力のことを聞いたのだが予想外の展開で混乱するが携帯の着信音で目を覚ます。
「あ、祐斗たちから連絡が来ました。今俺の家に着いていたけどもう1人が抜け出してここに駆け出して「イッセーくん!」うわっと!?」
イッセーが携帯の着信メールを見ながら言うと突然背中から知らない者が抱きついた。
「この感触…やっぱりイッセーくんだ!良かったあんな最低兄貴の毒牙に負けないで!」
イッセーに頬ずりするがイッセーには何がなんだかさっぱり分からかった。
「イッセー、その子はなんなの?」
「いえ!俺この子と会ったことありませんよ!?」
「ひ、ヒドイよイッセーくん!幼なじみに対してその言葉はないでしょ!?」
リアスの覇気に威圧され咄嗟に答えるイッセーだが謎の来訪者はイッセーの言葉に涙を浮かべる。
「幼なじみ?もしかしてイリナ?イヤ、確かイリナは男だったはず…」
「女よぉぉぉ!この体を見れば分かるでしょう!?」
「あ、このテンションの激しさ確かにイリナだ!」
イッセーは何とか幼い頃の記憶を思い出すが来訪者ー紫藤イリナの涙は止まらず振り回されたままだった。
「イリナ、やっと見つけ……どうしたんだ?」
「すいません部長、遅れました」
イリナと同じローブを着た緑のメッシュが入った青髪の美少女と頰に赤いアザが入った気絶した一正を肩を組んで運んだ祐斗が現れた。
「聖剣が奪われた!?」
「そうなのよイッセーくん!」
イリナをなんとか宥めて質問するととんでもないことが発覚しイッセーは驚く。
因みに一正の頰に痣が出来た理由はイッセーの再会を楽しみにしていたイリナが兵藤家に入ると一正が気持ち悪い笑みで待っており、一正の顔を見たら悪寒と幼い頃のイッセーの仕打ちに怒りが爆発し思いっきり殴ってしまった。
兵藤夫妻は一正の愚行を知っているのでイリナをお咎めにしなかった。
「おいイリナ、彼はどう見ても一般人だ。コチラのことをあまり話さない方がいい」
「はっ!そうだった!」
「大丈夫よ。イッセーはコッチのことを知ってるし実力もかなりあるから心配しなくても大丈夫」
リアスはイリナをフォローするが後に後悔する。
「そうだったのね!?ああ、主よ!私を救っていただき感謝します!」
『ぐっ!?』
イリナは自身の失敗を聖書の神に救われたので感謝の祈りを捧げるがリアスたち悪魔はその性質故にダメージが走って頭を抑えたり顔を顰めたりした。
「イ、イリナ!部長たち悪魔なんだから祈りとかダメだって!」
「あ、ごめんなさい!」
イリナはリアスたちに謝り、リアスたちもいいよと許した。
「それで犯人は分かっているのかしら?」
「ああ、犯人はすでに目星が付いているし堕天使側からも有力な情報が入った」
リアスが質問するとゼノヴィアという名の少女はそれに応える。
「犯人はバルパー・ガリレイという者だ」
「バルパー・ガリレイ!?」
バルパーの名を聞いた祐斗は拳を握り締め下を向き体を震わせる。
「祐斗?」
イッセーは祐斗を心配するが一正は原作のことを知っているので理由は察している。
「君は……アーシア・アルジェントかい?」
「は、はい」
ゼノヴィアはアーシアに気づき名指しをするとアーシアはビクつく。
「どんな傷も治す
ゼノヴィアの言葉にアーシアは震えるが一正はここで庇い好印象を上げるというクズの発想を浮かべていた。
「おい待てよーーー
「君のその優しさはきっと主だって分かってくれる。だから悪魔になって辛くなっても主への祈りは忘れないでくれ」
「私も応援するから頑張ってアルジェントさん」
え?」
ゼノヴィアの予想していなかった言葉に一正は唖然とした。
「それで私たちは不干渉ということかしら?」
「本来だったら私たちで充分なのだが情報によると私たち相手でもかなり持て余すらしい。だから手を貸してくれ」
「な…な…」
原作とは違う流れに一正は本来自分が
「イッセーくんを睨まないでくれないかな兵藤くん?」
「イ、イリ「名前で呼ばないで」!」
イリナの冷たい言葉と殺気で一正の口は閉じる。
(なんなんだよ!?あの猫たちが来てからだ!父さんたちもイリナももう少しで俺の意のままになったつうのに全部コイツとあのクソ猫どものせいだ!!)
一正の邪悪な気配に黒歌と白音とイリナは寒気と吐き気に襲われた。
「祐斗、あなたはどうするの?」
「行かせて下さい!これは復讐じゃない、僕たちのケジメをつけに行きます!」
リアスは試す口調で祐斗に訊くが祐斗の意気込みにリアスは微笑み、祐斗の背中を叩き
「それじゃあ行きなさい!イザイヤとしても祐斗としてもあなた自身が決着付けるのよ!」
「はい!」
祐斗は意気込むが一正は混乱したままだった。
次回は祐斗と一正と聖剣コンビの手合わせです