親馬鹿な加賀さんが着任しちゃいました   作:銀色銀杏

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UA10000突破!これも読んで下さった皆様のおかげです!評価バーにも色がつき、感想も送られて来るようになり、とても嬉しいです!これからもこの物語をよんでいただければ幸いです!

最近は次章の目玉である都内の戦闘シーンの舞台があまり思い浮かばず苦心してて、、、もっとがんばらないと!


九、横須賀鎮守府所属第零艦隊 後編

午前零時

 

 

「だが断る。」

「何を、、、言っている?」

 

もはやお決まり、知る人から見ればやっぱりという気持ちだろう。しかしそんなことは露知らず、提督は困惑していた。

 

「わかっているのか、貴様は私の命令一つで死ぬのだぞ!」

「フッわかってないなぁ~この川内さんが最も好きなことの一つは絶対優位な立場にいる人間の頼みをNOと断ってやることだぁ!!」

 

ビシッ!

 

それっぽいセリフを言う川内、と同時に挙げていた手の内のクナイを連装砲の砲塔の一つに突き刺す。そして瞬時に身を屈める。

 

「っ!?小癪なぁ!」

 

反射的に撃とうとするが屈まれた為にこのまま撃つと提督に当たってしまう、慌てて砲塔を下に向けるが遅い。川内は驚異的な速さで執務室を脱出した、だが提督は慌てない。

 

「馬鹿が、、、仲間の命はこちらの手の内だと言うのに。」

 

 

 

 

タッタッタッタッ、、、

 

 

「生憎、多分仲間の命はこちらの手の内とか思ってるだろうけどそんなの意味無いっつーの。まあ、分が悪いから一時引くかな。」

 

そう言って廊下を走り去る川内、確かに提督の取った手段と方法は何ら間違っていない。

 

 

ただ「クナイ」のという者への認識が――甘い。

 

 

 

午前一時

 

機密書類保管室

 

一発なった銃声、隊長は困惑していた自分はまだ発砲の指示は出していない。ならば誰が撃ったのかという答は明白、龍田である。

彼女は常人には視認不可能な速さで副砲である25ミリ単装機銃を撃った、パワードスーツは確かに艦娘のレベルまで力を上げられるかもしれない。

が、五感まで艦娘並みにすることには対応していなかった。

 

「、、、、、、」

 

ドサッ

 

隊員の一人が無言で崩れ落ちる、すでに脳幹を正確に撃ち抜かれているので息はない。

隊長が慌てて発砲指示を出すが、時すでに遅し、今度は正確に撃つことは考えられていないが高密度の弾幕が近距離でばらまかれる。

 

「撃t、ぐがぁ!?」

「隊ちょ、うわぁぁぁぁ!?」

「くぎゃぁぁぁぁ!」

 

次々に倒れていく男達、いくらパワードスーツとは言え所詮は人間の科学だ、いくら束になったって「本家」には敵わない。

仰々しく待ち伏せたわりには呆気なく、所轄「噛ませ犬」のような存在になってしまった男達。

しかし男達は悪くない、ただ彼らは運が無かった。

これが普通の艦娘なら勝てただろうが。龍田を、いやクナイのメンバーを相手にする時点で彼らの運命は既に決していたようなものだった。

 

「あらあら~情けないわね~」

 

そういって男達の死体が転がる中、龍田は棚から目当ての書類を見つけ出して目を通す。

その後少し考える仕草をするとその書類をカメラに納め、そしてそのまま去っていく。

 

「あら~少し汚れちゃったわ~帰ったらシャワー浴びなきゃ~」

 

 

 

提督が仕掛けた罠の一つが無効化された。

 

 

 

 

工廠技術室

 

全艦娘の砲塔が夕立と時雨に火を吹こうとしたとき、それは突然に起こった。

 

 

ジリリリリリィィィンンン

 

「!?」

 

突如なり響くサイレン、突然の出来事に否が応でも気を取られる。その隙を見逃す二人ではない、たちまちふた手に別れる。

 

「なっ、追え!」

 

その声に従い追跡が開始される、五人の内三人は夕立、リーダーを含めた残り二人は時雨の方をそれぞれ追っていった。

 

「ここまでおいでっぽ~い!」

 

半分余裕な表情で敵を煽る夕立、奥へと進んでいく。しかし、すぐに追い詰められる。

敵が撃とうとした瞬間、夕立が何かを投げつける。咄嗟に撃とうとしたが、夕立の意味深な笑みを見て危険と判断し、回避する。

 

びちゃっ

 

「「「!?」」」

 

足元に水気を感じ、下を向く。するといつのまにか床に液体が撒かれている、それは艦娘にとって最も馴染み深いもの。燃料である。

 

「最初からこれを狙って、、、!」

「今更気付いても遅いっぽい」

 

言うが早いが三人に突っ込む夕立、このまま砲を撃つと発火の危険がある、むやみやたらに撃てない。仕方なく三人で取り囲もうとするが夕立は完全に三人の動きを見切る。

 

「くっ、馬鹿な!?こちらは三人なのに!」

「数だけあったって!」

 

信じられないことだった、高練度の艦娘三人を相手どって尚余裕を見せる夕立。

正面から殴りにくる一人を右手でガード、後ろから蹴りを放つもう一人の足を左手で掴む。最後の一人が横から殴りかかる、しかし夕立は掴んでいる二人を引き寄せて頭をぶつける。

殴りかかった艦娘が拳を引こうとするが遅い、逆に懐に潜り込まれて首を締められてそのまま倒れる。

同じように頭を押さえている残り二人を首を締めて無力化する。

 

「意外と呆気なかったっぽい。」

 

そういって撤退する夕立、時雨のことは気にしていない。あの程度ではやられないというある種の信頼があるからである。

 

 

同じ頃、時雨は工廠を出ていた。後ろからは艦娘が二人、月明かりで露になったその姿は長門と山風だった。

建物の間を駆け抜けていく時雨、後ろからは機銃の嵐だ。

 

「くっ!?何故当たらない!?」

 

機銃掃射の間を縫うように駆ける時雨、長門は歯噛む。

既に相手は主砲の射程内、この距離なら確実に当てられる。尚且つ主砲の砲弾の威力を考えれば一瞬で相手の身体は吹き飛ぶ、しかし使えない。

 

それは何故か?

 

「やっぱり、いくらなんでも僕一人の為に建物を吹き飛ばすなんて出来ないよね、、、!」

 

そう、時雨は建物の壁にぴったりと沿って移動していた。これでは主砲を撃ってしまうと傍の建物まで吹き飛ぶ、しかもここは物資が保管されている倉庫密集地帯、中には何が入っているかわからない為、迂闊に撃つことができないのだ。

そして時雨は監視室で念のため調べておいた倉庫に入る、追手が来る前に倉庫内に仕掛けを施す。

腰から魚雷を一本抜くとリモコン式にセット。作業が終わると同時に長門達が倉庫内に入ってくる。時雨はこの仕掛けに気づかれない様に壁際へと誘導していった。

 

「何を考えている、、、?」

 

時雨を追いながら長門は考えた、さっきから同じ倉庫の中や外を行ったり来たりしている。しかも全て窓から飛び降りるという荒業、そうこうしているうちにいつの間にか時雨を見失う。

しまった、と思い手分けして探すか一瞬考えた時だった。

 

ぱすっ、ぱすっ、ぱすっ

 

何か乾いた物を叩くような音が連続して聞こえる、音源へ近寄り探すが見つからない。そのうちまた同じような音が響いてくるが、やはり姿は見えない。

また霧のような物も出てきて視界も悪くなってくる上に二人の体力も限界になってくる、一回ここを出るかと考えた時にそれは起こった。

 

「やぁ、鬼ごっこも飽きたろう。」

「また声だけ、、、姿を見せろ!」

「やだね、それと話は変わるんだけど、、、」

「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「粉塵爆発って知ってるかい?」

 

 

長門と山風が最後に見たのはその声の後の閃光だった。

 

 

 

 

チュドドドドドドォォォォォォォォン!!!

 

 

「少し強すぎたかな、まぁ仮にも艦娘だし死にはしないでしょ。」

 

少しも悪びれずにいう時雨、爆音を背後に聞きながらその場を立ち去る。

 

―――が

 

「待て、、、!」

「!、、、へぇ、まだ動けるんだ。」

「ビッグ7の力、侮るなよ、、、!」

 

振り返るとそこには、全身傷だらけになりながらも立っている長門がいた。しかし本当にかろうじてだ、艤装は最早大破どころではない。

 

「困るなぁ、これじゃぁまるでこっちが悪役だ。」

「深海棲艦のスパイがよく言うな、、、!」

「あ~なるほど、騙されているのか。」

「何を言っt――がはぁ!?」

 

最後まで言わすことなく容赦無く長門を気絶させる、確かにここで長門に事情を説明する暇もないし必要も無い。

読者諸兄には何が起こったのか分からない人もいるだろう、順を追って説明する。

まず粉塵爆発に必要なのは、適度に散布された上に乾燥した粉塵、充分な量の酸素と風通しのいい場所、そして発火元である。

まず時雨は魚雷を仕掛けた、この魚雷、所轄酸素魚雷にはある仕掛けが施してあった。それは内蔵している酸素を放出することだ、これによって倉庫内に酸素が充満する。

そしてその後長門達の前に現れてわざと逃げる、この時窓から逃げることにより風通しを確保、しかし酸素が段々と放出されて行くのでここからはスピード勝負。

一旦姿を眩ましたあと、倉庫内にある袋をナイフで破って行く。

乾いた音はこの音である、そしてこの中身が小麦粉であることは事前に監視室のデータから把握済み。

中身の小麦粉が充満してくる頃には時雨は既に入り口付近に待機、長門達は充満した小麦粉を霧と勘違いした。

そして一声掛けた後に全力でダッシュ、そして適度に離れたらスイッチをぽちっとな。

 

 

その爆発音は車で待機中の北上と青葉にも届いた。

 

「うっわー派手にやってるねー」

「青葉興奮します!」

 

相変わらずの緊張感のなさである。

 

 

 

 

同じ頃、銚子鎮守府の出撃ハッチにモーターボートが一隻。提督のみに許された非常用の脱出ハッチである、そこに銚子鎮守府提督はいた。

 

「奴等がここまでとはな、まぁ想定の範囲内だ。」

 

そう言いながらも提督は考える、最初から機密書類保管室に向かわせた部隊にはあまり期待していなかったが、まさか工廠に向かわせた艦娘の部隊も駄目だとは思わなかった。

ここでもし提督が何故迎撃要員が異常に早く敗れたのかを考えればここが危険だという判断が出来ていたのかも知れない。

 

「さて、そろそろだが、、、何故ハッチが開かん?」

「ハッチだって開きたくない気分なんじゃないの?」

「なっ、貴様!?」

 

振り向いた先にいたのはご存じ川内、後ろで自分を護衛していたはずの艦娘はすでに気絶している。

馬鹿な!あり得ない!提督はそう考えた、ここに来るまでは一本道なのですれ違わなかったということは、、、

 

「貴様!何故ここを知っている!?」

「この川内様は何でもお見通しなのだ!」

 

キラッ

 

少々ムカつくが全て当たっている、見も蓋もないようだが川内達は侵入直後からこの事に気づいていた。それを問題なしとして待ち伏せされているのを承知でのり込んだのだ、何故気付いたかは侵入直後に監視室に乗り込んだ時に遡る。

 

 

 

午後十時

 

「名前と顔が一致しない?」

『はい、そうなんです。これを見て下さい!』

 

監視室のモニターに表示された顔は首だけになった監視室の警備係の者達とは似ても似つかない優男だった、しかし名前は一致している、ラ〇ザップにでも行ったのだろうか。

 

「これはつまり、、、」

『警備係が入れ替わっています、恐らくここの提督の私兵でしょう。』

「はぁ、、、どっから漏れたのやら、至急詳しく。」

『え~と、この三日間で警備係の入れ替えが異常に多いです、どうやら来るのを見越していたようですね。』

「さすがは元海軍大将か、、、、」

『どうしますか、一旦区切り直しますか?』

「大丈夫だ、問題ない。」

『あかん、それフラグや。』

 

それでも二人共に焦りは無い、こんなに証拠隠滅の手口が雑なら何処かに罠に関する情報も含まれている可能性が高いからだ。

はたしてその情報はあっさり見つかった、逆にこれこそ罠ではないかと疑ったがそんなことはなく、その情報を元に対策を考えた、ただそれだけである。

だから逆にこのことを知られていたら「詰み」なのである。

 

 

 

時は巻き戻る、、、!

 

 

 

「くっ、金はいくらでも出す!今よりも厚待遇にしよう!」

「出た、おきまりのセリフ。毎度思うんだけどそんなんで心動く人いるのかね?」

「私を憲兵につきだす気か!」

「んにゃ、アンタにはその価値もないね。」

 

押し問答を続ける二人、焦る提督だが川内は取りつく島もない。そう言って腰から自分の得物を取り出す、それはこの第零艦隊の通称ともなっている苦無。

そして川内は銚子鎮守府提督に問いを投げ掛ける。

 

「ねぇ、何故私達がクナイと呼ばれるかわかる?」

「な、何だ!?」

 

かまわず、川内は続ける。

 

「敵を苦しみ無く殺すため、そして全ての艦娘の苦しみを無くすためよ。」

 

そう言って一閃、提督の頸動脈を確実に一瞬で切り裂く。

声を上げる暇も無かった、ただただ目を見開いた形で提督は倒れる。物言わぬ死体となった提督を見下ろしながら言う、

 

「ざまぁ見ろ、、、くっクックッ、」

 

 

 

 

「きゃははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!」

 

 

狂ったように笑う川内、その目は暗い暗い深淵が写しだされていた。普段の川内を知る者はもちろん、同じクナイのメンバーでさえもこれを聞けば驚くだろう。

 

「はははは、、、はぁ、はぁ、はぁ、、、」

 

笑い終わった川内の目は元に戻っている、まるでさっきのことなど無かったように。そこへ通信が入る。

 

『川内さん、今大丈夫ですか?』

「いいよ~ん」

『時雨さん、夕立さんペアが目的物を回収しました、撤退しますよ。』

「OK今から向かう。」

 

そう言って通信を切る、そして立ち去る前に提督の死体を一瞥する。

 

「、、、、、、」

 

ぺっ

 

提督の死体に唾を吐いたあと、今度こそ川内はその場を立ち去る。ここの提督に何か怨みでもあったのか、それとも他に何かあるのか、それを知る者は少なくとも今この場には居ない。

 

 

 

午前二時

 

川内達は銚子鎮守府から離れ、パーキングエリアで休憩を取っていた。追手の心配は無い、それどころかまだ混乱しているだろう。川内達の手口はそれほど鮮やかだった。

皆がパーキングエリアの名物「水戸納豆」を買いに走る中、川内は一人車内で自身の提督へ報告を入れていた。

 

『そうか、、、やはり送られてきた報告書類を見る限りやはり敵の目的は首都圏陥落なのか。』

「十中八九そうだろうね、大丈夫なの提督?今回ばかりはちっとヤバイんじゃないの?」

『いや、この情報を見る限りではまだ時間がある。それにつけこむ隙が無いわけでもない、行けるだろう。』

「そう、、、ならいいんだけど。」

『いつもすまんな川内。』

「別にいいんだけどね、じゃあ。」

『ああ。』

 

そう言って通信は切れる、暗い車内の中で彼女は一人呟く。

 

「別に、いいんだよ、本当に、私の命はあの時からずっと提督の所有物なんだから、、、」

 

 

 

 

執務室内

 

川内からの情報により裏付けがとれてしまった、恐らく私の予想はほぼほぼ的中するだろう。そう思う提督は机から二つの書類を取り出す。

 

「こっちは元から考えて居たが、こちらに関しては龍田がいいものを持ち帰ってくれた。」

 

 

 

提督の出した書類の一つ目の題名は

 

「全鎮守府合同大規模演習について」

 

そしてもう一つは、、、

 

 

 

 

 

 

「人間男性装着型艤装開発資料」

 

 

提督は窓から海を見据えて言う、

 

「そろそろ、日本の海を返してもらおうか、、、」

 

深夜、降り注ぐは月の光のみ。それでも提督はまるで何かが見えているようだった、、、

 

 

 

 

 




皆さんお久しぶりです、大和です。
明けましておめでとうございます!皆さんお年玉はいくら貰いましたか?
「そもそもお年玉をもらえる年齢なのかね?」
いいんです!提督は静かにしてください、夢があっていいじゃないですか~!
夢と言えば初夢は皆さん何を見ましたか、一富士二鷹三茄子をみられましたか?
「ど~せ覚えてないんだろ?」
提督、そろそろ黙らないと殴りますよ。
(-_-#)
「す、すんません……」
ちなみに初詣で引いたおみくじは大吉でした!提督はどうでしたか?
「いいもん、凶でも気にしないし………」
んも~提督ったら可愛いな~!
「大和」
はい?


「…………………今年もよろしくな」
提督~~~~~~~!!!!




あっと忘れていました!


次回 手紙


久しぶりの茶番回です!!

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