親馬鹿な加賀さんが着任しちゃいました   作:銀色銀杏

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もうすぐ年末か~そろそろクリスマスですね。
新しいグラフィックも追加されたらしいし、年末を楽しみますか!

パソコン「オイ、仕事しろよ」
伝票「金払えや」
部屋「大掃除やれ」

逃げるんだよォー!!
ΞΞг(;゜Д゜)」



〈悲報〉
12月10日20時
キス島沖にて
駆逐艦 暁 

轟沈


海へと還った魂に黙祷を、、、


四、邂逅 提督

side瑞鶴

 

執務室前

 

建造が終わった後、私は大和さんと共に執務室前に来ていた。

 

「提督には友達のような感覚で接するほうがいいですよ。」

「は、はい、、、」

 

そう言われてもなぁ、、と思いながら廊下を進んで行く、提督は仮にも直属の上司にあたる人である。そんな接し方上手く出来るだろうか、、、

 

「そこまでかしこまらなくても大丈夫ですよ、ほらあんな風に。」

 

そう言って執務室前を指差す大和さん、すると目の前の艦娘と提督らしき人の声が聞こえた。

 

「提督~今日ちゃんと潜ってよ、もうすぐでイベクエ終わるんだから~」

「るせぇ!こちとらガチャ券をあつめにゃならんのだ!俺はもう全難易度クリアしてるし野良と行けや。」

「ケチ~!最高難度が鬼畜だから手伝ってって言ってるんでしょ!」

「や~だね、他を当たりな。」

 

、、、とてもフレンドリーな鎮守府のようで安心した。

 

んなわけあるかぁぁぁ!どういうこと!?司令官ってもっとこう、、なんかできる人っていうカンジじゃないの!?ここってあの横須賀鎮守府よね?なんでゲームの話をしているの!?もっと厳かで日々の鍛練を欠かさない「精鋭部隊」というイメージがあったんだけど、何かの間違いだったの!?

 

「驚かれましたよね、、、で、でも真面目なとこもあるんですよ!」

 

苦笑しながらも正直なことを言う大和さん、はい、その通りです。あと色々な意味で安心しました。とは口が裂けても言えない。代わりに愛想笑いで精一杯のフォローを試みる。

 

「そ、そんなことないですよ!艦娘ととても仲が良さそうで良いじゃないですか!」

「はぁ、、、少し待っててくださいね、直ぐに終わらせますので。」

 

そう言って大和さんは執務室に入って行った。数分後、拳に何か赤い液体をつけて大和さんと白目を剥いた艦娘が出て来た。あれは血ではない、そう思いたい、いやそうであってくれ。

 

「お待たせしました、いきましょう。」

「はい、、、」

 

少し、いやかなり心配だがそんなことを考えても仕方ない。とにかく執務室の前に立つ、さっきのやり取りから俗に言う体育会系なのか?そんな想像をしながら気持ちを落ち着かせてドアをノックする。

 

 

コンコンコン

 

「入っていいぞ」

 

ガチャ、、、

 

提督の第一印象は、、、はっきり言ってあまり良くはない。髪はボサボサで姿勢もクデ~っとしている、全体的に無気力なイメージだ。しかし、そこそこ引き締まった体つきに何を考えているのかわからないが強い光を宿した瞳、やはり横須賀鎮守府の提督はただ者ではない、と考えていた私に眼光をぶつけながら提督は開口一番こう言った。

 

 

「君は駆逐艦の子達は好きかね?」

 

 

ああ、やっぱりダメだおしまいだぁ、、、と心の中で泣きながら、笑顔のまま目を閉じてフリーズしていると、

 

メッシャア、、、

 

何か聞こえてはならないような音が響いたような気がした、ゆっくりと目を開けるととそこには拳を顔面にまるで漫画のようにめり込ませた大和さんがあくまでも()()で言った。

 

「提督~、さっき言いましたよね『真面目』にやってくださいって」

 

そう言って拳を引き抜く、するとあり得ないことに即座に復活した提督が言い返した。提督は体の作りどうなってんの!?

 

「あぶなかった、、、妖精さんがくれたダメコンが無ければ即死だった。それに大和、俺にとってそんなことはフリでしかないことを覚えておけぇ!」

「じゃあもう一度殴れば死にますね。」

「悪かった真面目にやろう。」

 

変わり身早いな!と思いながらもなんだかんだでちゃんと話ができる、私は早速着任の挨拶をする事にしようとしたが、またしても提督が先に口火を切った。

 

「航空母艦『瑞鶴』、翔鶴型二番艦で第五航空戦隊に所属していた艦。最後の機動部隊が壊滅するその日まで生き残ったという幸運艦か、ようこそ横須賀鎮守府へ、歓迎するよ。」

 

、、、なんだこれは、まるでさっきまでのやり取りが嘘のように感じる、これが本当の姿なのか。だとしたらさっきの眼光も本物なのか?ギャップに戸惑いながらも言葉を返す、アドバイス通りフレンドリィに。

 

「はい、翔鶴型航空母艦二番艦、妹の瑞鶴です、それに幸運の空母なんて、、、一生懸命やってただけよ。」

「そうか、ウチに空母が来るなんて久しぶりだからな。しばらく慣れないかもしれないが宜しく頼む。」

 

なんだ、普通じゃん。と思いながら必要事項の確認、訓練学校でのこと、深海棲艦などについてなど色々なことを聞かれた。少々質問が多いような気がしたが特に気にもせず、話は出撃や任務、戦闘に関することなったのだが、、、

 

「い、いきなり第四艦隊に入る!?」

「ああ、ウチの鎮守府は空母が殆どいなくてな、今いるのは赤城、翔鶴、蒼龍、飛龍そしてお前の五人しかいないし軽空母に至っては一人しかいない。一応もう一人空母が来る予定なんだがな。」

 

おかしい、空母が五人しかいないなど。一見主力艦隊が四つしかないことから十分な数に見えるが実際はそうではない、まず第一に主力艦隊は確かに四つだがそれ以外にも遠征艦隊、警備艦隊、それに民間船舶の護衛艦隊など深海棲艦との戦いだけが艦娘の仕事ではない。

しかもよしんば主力艦隊だけで使われていたとしても空母は少しの損傷でもかなりの入渠時間を要する、とても手が回らないはずだ、そのための軽空母なのだが、、、こちらは一人しかいないという始末、だがあとから来る予定の艦娘を含めても六人、これならなんとか足りるとは思う。

しかしそうなると今までどうやって空母を運用してきたのか、もし損傷をほったらかしにして出撃を繰り返していたのならブラック鎮守府として憲兵を呼ばなければならないがここはあの横須賀鎮守府だ、そんなことはないと思いたい。

 

「あの、なぜ空母をもっと増やすようにしないのですか?」

「ここは国内だから遠洋の鎮守府に比べれば危険はあまりない、ならここに艤装適正者の少ない空母や軽空母を配置するよりか遠洋の鎮守府の最前線の方がいい。」

 

嘘だ。確かに提督の言う通り空母系統の艤装適正者の数は少ない、私の適正艤装である瑞鶴はその空母系統の中でも適正者が殆どいない。私がここに来れたのもその稀少性故と言っても過言ではない。しかしそれならば尚のことここに空母系統の適正者を配備し、精鋭として鍛え上げた方がいいのではないか?

と、多少の違和感が残るものの提督の決めたことだ、しかもいきなり主力艦隊の一員に加われるとなれば反論する事は何もない。

 

「了解しました。」

「よし、それじゃあ今日はこれまでだな、その他の詳しいことに関しては明日。部屋の鍵を渡すからそこに書いてある部屋に向かってくれ、何か分からないことがあったら同居人に聞けばいい。」

 

そう言って鍵を渡してくる、受け取るとタグがついていてそこに部屋番号らしきものが書いてあった。

 

「同居人はついてからのお楽しみだ、荷物はもう運びこんであるとのことだ。」

「ありがとうございます。」

 

そうして私と提督の初対面は終わった、ただ気になる点がひとつ。空母を配置しない他にあの提督、艦娘ととてもフレンドリィだがどこか影があるように感じるのは考えすぎだろうか?

 

 

 

キィィィ、、、パタン

 

 

 

執務室内

 

提督と大和は暫く無言だった、しかし。

 

「行ったか、、、大和、あの艦娘どう思う?」

「どう思う、とは?」

「お前の目でからはどう見えたか、だ。」

 

唐突にそんなことを聞く提督、何か意図があるのかと最初大和は思ったが考えても詮無きことと思い、問われるがまま答えた。

 

「訓練学校で優秀な成績を修めていると聞いています、確かに状況判断能力は高そうですが、、、」

「ああいうタイプは実戦に弱い、だろ。」

「はい。」

 

そう、提督の言う通り瑞鶴は確かに横須賀鎮守府に配属されるだけあってかなり優秀な成績を修めている。が、そういうタイプは総じて実戦に弱い、大抵は初戦闘で心をやられてしまう。

 

「そうか、、、お前はどう思うよ、いるんだろ。」

 

あれ、と大和は思った、いま執務室にいるのは私と提督の二人だけのはず、独り言にしてはおかしい。なら提督は一体誰に話しかけてるのか?そしてその答えは直ぐにでた、相手の返事という形で。

 

「そうだね~確かに実戦に弱いかもしんないけど、あの洞察力だけでもかなりのものだよ。提督も見たでしょ。」

「ああ、初対面なのにもう空母の有用性とここの重要性を重ねあわせて早くも違和感に気付いた、流石アイツの娘だよ。」

「うん、しかもあの人の娘が戦闘に弱いなんて思えるの?」

 

まあな、と提督は答える。空母は私情から少し反対だったがアイツの頼み、断るわけにもいかない。話相手は依然姿を見せなかったが提督は気配からなんとなく察していた。

 

「それより、お前が来たってことは()()()方面のことでなんかあったのか?」

「いんや、オモシロそうだったから来てみただけ、んじゃね~」

 

なんだそりゃ、と思った瞬間には声も気配も忽然と消えていた。まるで最初から何も無かったかのように。

執務室に再び静寂が訪れる中で今度こそ提督は独り言を呟く。

 

「アイツの娘、か、、、」

 

 

 

 

 

 

 

「同居人かぁ~どんな人なんだろう?」

私はある部屋の前にいた。そう、今日から私の部屋になるところだ!やはり一番気になるのは同居人、つまるところルームメイトだ。やはり同じ空母で姉妹艦の翔鶴さんかなぁ?それとも同じ部隊の人かなぁ?そう胸を踊らせながら私は部屋の鍵を開けた。

 

「失礼しま~す、今日からこの部屋d」

「」

「えっ、、、」

 

まず目に飛び込んで来たのは白い犬の顔、、、とそれを被っているらしき人の体がある。一瞬、本当に一瞬だがあの某会社CMを思い出してしまったのは気のせいだと思いたい。

 

「それって、、、お〇さん?でs」

「だまれ小僧!!」

「私は女です!」

「そっちかいっ!?」

 

と言って突っ込みを入れながら相手はようやく顔を出した。銀色の髪を緑色のリボンでとめた女の子で私と同い年に見える。

 

「え~っと、私は軽巡洋艦の夕張よ。今日から宜しく!!あっ堅苦しくしなくても呼び捨てでいいわよ!」

「じゃあお言葉に甘えて、空母瑞鶴よ。宜しくね!」

 

よかった明るそうな人で、これなら楽しく過ごせそうね。と、思いながら部屋を見渡すと壁一面にアニメのDVDがずらりとならんでいた。内容もアクションからラブストーリーなど多岐に渡っていた。

 

「私は見ての通りオタク!!特に新型の兵器とアニメには目がないわ!!」

 

とても明るい同居人、なんだかんだあったがこれなら楽しくなりそうだ。と、私は考えるのだった。

 

 

 

 

side加賀

 

スパコーン、、、

 

夜、誰もいない弓道場に乾いた音が響く、ここは鎮守府内の一角にある施設である。

 

「やはり、、、少し鈍ったようです。」

 

やはり艦娘になると勝手が違う、私の腕は現役の頃と比べるとその八割程まで落ち込んでいた。まぁこの調子でやれば予定通りに一週間で腕は思い出すだろう、下手をすればあの頃よりか上達するかもしれない。私は娘に会いたいという流行る気持ちを抑えつつ間違っても他の艦娘に見られないように開放時間外で練習をしていた、ちなみに寝泊まりもここでする事になっている、少し肌寒いがまぁ一週間の我慢だ。あぁ早く娘に会いたい。

 

「流石です加賀さん、現役の頃と比べても遜色ありません。」

 

はっ、と思い後ろを見るとそこには赤城さんが立っていた、一体何時からいたのだろうか。

 

「いえ、まだまだです。それより赤城さん、何時からそこに?それとご用件は?」

「さっき来たばっかりですよ、それに用という程でもなくてただ顔を見に来ただけですよ。」

「そうですか、、、」

 

正直少し、いやかなり嬉しい。ずっと一人でいたためにちょっと寂しく感じていたのだ、それに、、、

 

「あともう一人いますよね、赤城さん。」

「えっ?」

 

そう言って真後ろの天井と壁の境目に視線を向けて続ける。

 

「そろそろ姿を現したらどう?さっきからその気配バレバレだから、それとも私に何か後ろめたいことでもあるのかしら?」

 

 

 

、、、、、、、、、

 

 

 

「いや~お見事!流石加賀さん!やっぱり加賀さんだけは騙せないや!」

「あなたは、、、!」

「やっぱり、、、」

 

そう言いながら姿を見せたのは私にとって見覚えのあるもの、頭の横にお稲荷さまのお面を着けた艦娘だった。しばらく前にここの鎮守府に配属されている艦娘で私と面識のあるのは五人と言ったが、あれは嘘だ。今目の前にいる艦娘を含めて六人だ、彼女の名は「川内」ここ横須賀鎮守府の提督と私の夫であるT督とはかなり長い付き合いだ。それは彼女がある特別な事情を持っているからだが、その話は次の機会にするとして今は、、、

 

「あなた今回は何が目的?まさか挨拶ってわけでもないでしょうに。」

「いんや、そのまさかだよ。ただ挨拶に来ただけだから。じゃあね~」

 

そう言ってこちらが拍子抜けしている間に彼女は夜の闇に紛れて消えていく、あれはあれで根は優しくて無邪気なのだが、抱えている事情が事情なだけになんとも言いがたい。と、赤城さんが声をかけてくる。

 

「あ、あの加賀さん、そろそろ就寝しては、、、」

「そうですね、今日はここまでにしておきます。」

 

もう時間も時間だ、もう少しやっていたいがまだ一日目だ、焦らなくても時間はたっぷりとある。私は指定された部屋へ行こうとしたが、また赤城さんから声をかけられる。

 

「加賀さん、ここで寝るのではなく私の部屋で寝ませんか?」

「いいのですか?たしか赤城さんは一人部屋では?」

「いいんですよ、加賀さんが戻って来るにあたって今日から二人部屋に移動させてもらったんです。」

 

胸がつまる、やはり彼女は変わらない。現役の頃から、何も。

 

「すいません、私なんかの為に。」

「謝らないで下さい、私はまた加賀さんと生活できるのが楽しみなんですから!」

「、、、ありがとうございます。」

 

そう言って私は笑う、赤城さんも笑う。赤城さんのことを変わらないと言ったがそう言う私も変わってない、娘のこともあるが私は私なりに楽しんでみよう。そう思い赤城さんと共に弓道場を出る、目指すは私の、いや赤城さんと私の部屋だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり加賀さんは変わらないなぁ~久しぶりに会えたから嬉しくなっちゃった!」

 

鎮守府の屋根の上、欠けた月を背にして川内は呟いた、どこか影のある顔には似合わないこの上なく無邪気そうな笑みを。

 

 




皆さんこんにちは、大和です。

気温も下がってきて寒い中で皆様いかがお過ごしでしょうか?
私はこの時期になるとこたつが欲しくなりますね、けど家具コインがなかなかたまらなくて。
さて、瑞鶴さんが本格的に着任です!
作者が少しはっちゃけたようですが大丈夫でしたか?
何かあれば言って下さいね、物理的にシメておきます。
後、作者曰く加賀さんと瑞鶴さんが交わったら第三者視点から書くのもいいな~と言っていたんですが、どうですかね?

提督「大和~ご飯だぞ~」

はーい、今行きますね。
さて今回もいかがでしたか?

次回 初陣の汽笛 

次回も瑞鶴さん初戦闘です!

ご飯~♪ご飯~♪

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