バケモノは路地裏で助言を【凍結】   作:ティフアナ・フェアガンゲンハイト

2 / 2
 1話目であんなに読んでくれるとは思わなかった。
 こんなだが、ありがとうございます!
 投稿ペースは亀だ、注意しといてくれ。




路地裏

 

 

 誰か来る。

 

「やっと、とっつぁんから逃げれたな次元」

 

「だが、また追いかけている来るぞ」

 

 誰だろうか。

 此処等じゃ見ない顔だ。

 

「そんなことはわーかってるさ。さーて、どうしたものかな。こんな路地裏じゃ逃げ切れるかどーか」

 

 逃げてる?

 じゃあ、さっきのパトカーは、コイツらを追っかけてたって事か。

 

「ここが何処なのか知らなきゃ事がなせねぇ」

 

 

「…………」

 

 ?

 一瞬だけど此方を見たような…。

 もしかして、私に気付いた?

 

「どうした?」

 

「………そこの暗闇に居るのはだれだぁ?」

 

 やっぱり気付かれてた。

 どうしよう、この姿()で出ていこうか。

 それとも、逃げた方がマシ?

 

「急にどうしたんだ()()()。そんな方、向いたって何も無いじゃねえか」

 

 え?

 ルパン?

 アルセーヌ?

 いや、そんな事は絶対ない。

 私はこの目で亡くなった姿を見たんだ。

 じゃあ、あれはあのルパンって事か。

 ちょっとだけこの姿()で話し掛けてみようかな。

 

「ありゃ?ただの気のせいだ『私の事かい?』った…………!?」

 

「お…おお、おい、ルルルルル、ルパン。今、ねねねね猫が喋らなかったかぁ?」

 

「そ、そそそそそうだな次元」

 

 焦ってる焦ってる。

 そっちの男は次元って言うのか。

 

『何、喋っちゃダメ?』

 

「喋ってる……」

 

 なんだろう、面白いな。

 嵌まっちゃいそう。

 

「お前は何者だぁ?裏で誰が喋ってるようにゃ聞こえない」

 

『ふーん、ルパンって言うんだ。そうだ、此処から逃がしてあげようか?』

 

「悪くない案だが、質問に答えてくれなきゃその案には乗れねぇな」

 

「おい、ルパン!」

 

「いいんだよ次元」

 

『…私はバケモノ。闇にひっそりと潜むバケモノだよ』

 

 そう、私はバケモノ。

 ヒトだけど人ではないモノ。

 ひっそりと闇に潜み、姿を変え続けるモノ…。

 

「そうか、バケモノか。面白いその案に乗った!」

 

「いいのかよルパン、そいつ怪し過ぎるぞ」

 

「良いっていったら良いんだよ。で、どうやって逃がしてくれるんだ?」

 

 どうやってか……、まあ勿論こんな感じ。

 私は姿を虎に変える。

 

『私の上に乗ればいい、それだけ』

 

「白虎ぉ!?さっきは猫で次は虎…」

 

「やっぱり面白いじゃねぇか次元!乗ればいいんだな」

 

「大丈夫か?重くないか?」

 

 私の背中辺りに乗ってきた。

 乗られるのは初めてだけど、あまり重くなかった。

 

『平気、大丈夫』

『ちょっと跳ばすからちゃんと捕まっててね』

 

 

 

 

 

 

「何処なんだぁ?まるで廃墟じゃねぇか」

 

 目の前に居るのは黒い服に黒い帽子、煙草をくわえた男だけ。

 もう一人はどっか行った。

 

『此処は、あの町の外れにある廃墟だよ。そういえば、相方は?』

 

「あー、ルパンか。ルパンはたぶんこの屋敷の中を見て回ってるさ。

で、お前さん名前は?」

 

 やっぱりルパンって言ってる。

 

『私はテウ』

 

「それだけかぁ?」

 

『名前長いから……テウ』

 

「そうか分かった。そんでテウは何者なんだ?」

 

『……キメラ』

 

「キメラ?」

 

『幾つかの生き物の塊。さっきの虎も全て私。後、これでも人間だよ』

 

 私はそう言いながら黒目黒髪の姿に変える。

 

「…成る程な、ルパンが興味湧くわけだ。

言ってなかったが、俺は次元。相方が『ルパンでしょ』…そうだ、ルパンだよ」

 

「何々、何の話してるのさー。あれぇ、この嬢ちゃんは誰?」

 

 あ、やっと戻ってきた。

 

「ルパンか。こいつは、さっきの猫だった者だ。名はテウっていうらしいぞ」

 

 自己紹介が省けた。

 

「ふーん、テウか。よろしくなテウ」

 

『…………』

 

「そいやぁルパン、何処行ってたんだ?」

 

「いやー次元、この屋敷に来るの久し振り過ぎて、思い出すまで見て回ってた訳よ」

 

 やっぱりそうなんだ。

 

「久し振り?此処に来たことあんのかルパン」

 

「ああ、ここ『此処はアルセーヌ・ルパンの屋敷の一つ』……次元、俺について何か話したか?」

 

 (ニヤニヤ)

 やっぱり孫か。

 ふふふ、楽しみだな。

 

「いや、まだ何も」

 

『いやいや、久し振りだねアルセーヌ・ルパンの孫。

あんなにチンチクリンだったガキっ小僧が、こんなに大きく成ってるとは驚きだよ』

 

「あ?テウって言ったな。お前、本当に何者だぁ?」

 

 次元は隠し持っていた銃を私に向けてる。

 

『私はテュクラス・メヘュイリス・フェルクィストゥ・リハィテウ。

アルセーヌの古き友にして、路地裏の助言者。

ああ、奇跡を起こすモノって言われてたっけ』

 

「…………」

 

 カッコ良く言ってみたけど……って、あれ?表情が固まってる!?

 

「おい、ルパンどうした?」

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

 あのままルパンは倒れてしまった。

 貧血とかそんなんじゃなくて。

 ただ単に驚いて「ドサッ」だった。

 今は適当な部屋に寝かしている。

 次元はと言うと屋敷の中を見て回っている。

 

 私の姿を見て驚かなかったな、ルパン。

 でも、何で名前で驚いたんだ?

 まあ、いいや。

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(必須:5文字~500文字)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。