テイルズ・オブ・ザ・レディアントマイソロジー3・闇は破滅か救世か? 作:にゃはっふー
ではどうぞ。
飛行船であるバンエルティア号、そこの看板でそれを見る。
世界樹の周りの空間、ジルディアが生み出す世界へと変貌した空間へと入り込む。
「………静かだが、生き物の気配なんて無いか」
「リュウ」
「………んじゃま」
全員が武器を取るが、それは阻むためではない。
それは、
「盛大な兄弟ケンカだ、行くぜ」
「ええ、みんなっ、行きましょう!!」
リュウ、カノンノ、セレナ、ニアタのメンバーが生命の場へと目指し、他のメンバーはその道を阻む装置へと向かう。
サクサク進む中、生命の場へとたどり着く。
そこに、
「………どうして」
そこには困惑したラザリスがいた。
輝きと共にいる、闇を見て、憤り、睨んでくる。
「どうして君は創造と共にいる!? 君が一番知っているはずだ!? 創造から、どれほど苦しみ、悲しい日々を送ったか忘れたの………」
「ラザリス、んなもん忘れられるか」
それは始まりからずっと、
「人は創造の所為で、新たな物、新たな力、新たな何かを求め続け、他から奪うことすらする………お前の後ろにある、その生命の輝きがそれの象徴だ」
輝く入り口のように、それが光り輝く。彼らの光景は、別の場所で戦う仲間も見えていて、仲間達が戦っているのも、こちらも見ている。
「ああそうだ、世界はいつだって、欲しがってばかりだッ。終わらない、ずっと滅びるまで奪い合うしか無いじゃないかッ!!」
そう言い、ラザリスは力を纏う、それは負でも輝きでも無い、なにでもない。
「だから僕は世界を、ルミナシアを変える。僕が与え続ける、君達はなにもしなくていい。僕の世界では『創造』なんてしなくてもいい」
「あなたは………自分の世界から創造を奪うの!?」
「そうさ、創造は欲。罪なんだよ。だから僕一人が全てを背負う、この世の終わりまでね………」
「無理だ」
そう言って前に出るのは、救世主でも、この世界の住人でも無い存在だった。
「欲望は永遠だ、永遠なんだよラザリス」
「なにを言っている?」
周りの、アドリビトムを見ながら、静かに告げる。
「俺は生まれてから、あまねく命から、欲を聞いた。欲が罪? 違う………」
「存在そのものが罪だ、ラザリス」
「何かがあれば、それは罪であり、永遠に生まれ続ける」
「お前一人が創造を背負ったところで、世界の欲望は尽きることなく望み、手を伸ばし、いつしか破滅する」
「在る限り、居る限り、この世界もいずれルミナシアと同じ、いや、それ以上の破滅の結末しか存在しない」
負からの発言に、ラザリスは首を振る。
「嘘だッ、僕の世界が、住人達がそんな結末な訳」
「求める意志が在るのなら、創造から逃れられない。そして………求めるだけの世界では、次は無いんだ」
それに世界樹を見る。ここからでも見える世界樹を、
「世界樹もまた、新たな世界へ望みを持ち、生み出すことすらできない世界。それはもはや終わりしかない」
「君は、君はずっと苦しんでいたはずだッ!! 創造に、世界に、命に、ずっと」
「………ああ」
そして、はっきりと、
「だが俺は創造を否定しない」
それに目を見開くラザリス。信じられない言葉を聞き、後ろに下がる。
「ラザリス………俺が創造が、生命が嫌になったのは………俺自身が誰かを笑顔にすることができたからだ」
そうさ、俺は、あの時、嬉しかったんだ。
「人を救うのが、守ることの素晴らしさと、娘を思う愛しさを見て、俺は命の、創造された存在の輝きが忘れられないから、絶望した」
だが、
「ラザリス」
そう言って、手を伸ばす。
「諦めろ」
創造は止められない、求める罪からは逃れられない。
「この世界はジルディア、兄弟と共に生きたいと願っている。なら、共に生きろ、ジルディア」
その言葉に首を振り、セレナを睨む。
「彼に何をした………」
その言葉と共に、無数のキバが囲む。
「彼はずっと生命に、世界に、創造を呪っていたのにッ、だから僕の、僕らの世界の救世主になると信じられたのにッ、お前が、お前がなにをした!?」
その言葉に、セレナは静かに、
「一緒にいただけ………」
その言葉に黙り込むが、セレナは前を向いて言う。
「何も知らなかった私に、みんなが教えてくれた。創造が、生み出すことが罪なんかじゃないよっ」
『ああそうだッ』
別の場所で戦う仲間が叫ぶ。
『創造が生み出すのは罪だけじゃない、喜びだって、生み出すんだ!!』
『彼もまたその創造から生まれたっ、罪なんかじゃない表明は彼自身だッ』
『リュウは負の表徴ゲーデかも知れない。だけど』
『彼奴はこの世界で多くの命を助け、多くを教えた』
『それが罪なんかじゃないッ、ラザリスッ』
武器を振るい終え、何名もただ笑顔で手を伸ばす。
受け入れ、共に生きる意志を、見せるように………
「………うるさい………」
「諦めろ………こいつらはしつこい」
「うるさいッ!!」
向かってくる力へ、セレナは輝きを、リュウは闇を纏う。
『行くぞ、セレナ、カノンノ!!』
「「うんっ!!」」
無数のキバが一点、ただ一つへと向かってくる。
それでも、
『俺は………もう間違えるつもりは無いッ』
カノンノの輝きは桜のように、セレナから救世の輝きが白く染まる。
「バカな!? 君がいるのに、その輝きは」
『………はっ』
それに、闇は、
『こいつらの輝きで消えていられるかッ!!』
吹き出す黒を纏い、輝きは真っ直ぐ、全てを壊しながら、ラザリスを吹き飛ばした。
闇は無傷ではないが、それでも五体満足であり、顔の部分を人に戻し、ラザリスを見る。
「やべ、やりすぎた」
その程度しか思わず、ラザリスの側に駆け寄った。
セレナもカノンノも側に駆け寄り、ラザリスを抱き上げるリュウ。
その身体には、ドクメントが囲まれていた。
「どう、して………」
「これって」
「ジルディアの民、創造のドクメントだ」
リュウがそう言うと、ラザリスは首を振る。
「どうして、君達は創造しなくていい………争う意志なんて、僕だけが」
「争う意志じゃねぇよ」
ラザリスの言葉を遮り、静かに、
「お前を守りたいって、気持ちだ。ラザリス」
「ゲーデ………」
それに静かに、全ての力を失い、リュウへ寄りかかる。
「創造は止められないのか………生きたいと言う意志がある限り………共にいたいと言う意思がある限り………」
「ああ。どんなに見た目も何もかも綺麗に見えても、光と闇は共にあるんだ。どっちか一つは永遠にない」
「………そう………か………」
そして目を瞑り、そこから涙を流しながら………
「ディセンダー………見えないんだ………」
「ラザリス………」
「僕の世界が、見えないんだ………穏やかで、美しいヒトたち………僕の世界の………住人たち………」
「ふんっ」
空いた手で額をデコピンする。
「りゅ、リュウ!?」
「諦めるのが早い」
「?」
ラザリスを抱え、生命の場を睨む。
「………ま、やってみるか」
『!? リュウまさか』
「セレナとカノンノを頼む」
『待てッ!!』
三人を阻むように、黒い炎が生命の場と別れ、それを見るリュウ。
「リュウ!?」
『そなたッ、まさか生命の場に入り、調和を手助けする気か!?』
『!? バカなッ、ゲーデが生命の場に入ればッ、そのまま消滅されてしまうぞ』
別の場所のセレシウスの言葉に、全員が絶句するが、一人だけ笑う。
「その消滅するエネルギー全部、調和へと返還してみる」
そう言いながら、飛翔し、生命の場を見る。
「「リュウッ!!」」
二人の少女を見ながら、ニヤリと笑う。
「待ってろ」
「「!」」
「ちゃんと帰る………報告書書かなきゃな」
そう気楽に言い、その言葉に、光へと向かう闇に、
「リュウッ」
「私は、私達はッ」
それにやべっと思いながら、早まる。
「「貴方のことが、大好きだからねッ!!!」」
………言い訳できるかと思いながら、生命の場へと入っていった………
「で、それがあれか」
キャロルと言う、異世界の錬金術師は、宝石のような鉱石と木が融合した大樹を見ながら、話を聞き終える。
アンジュは、異世界。リュウが元々いた世界からスカウトした人達や、セレナの関係者、異世界の客人に、ラザリスの話をしていたところだ。
「それからしばらくして帰ってきて、その後貴方達の事件が起きたのよ」
異世界で、リュウこと原初の負のゲーデと純白のディセンダーの物語。
その前を話していたとき、セレナは実は異世界の人間であり、彼女には姉がいる。その姉はもの凄く死んだ目になっていた。
ここにセレナとカノンノがいれば、もの凄く真っ赤になっていただろう。いないからいま話したのだ。
「ま、まあなんだ、マリア、気をしっかり」
「持てないわよ翼っ、結局あの子は、あの子はあぁぁぁぁぁぁぁぁ」
マリアと言う人は涙目で、クリスと言う子を始め、切歌、調は少し距離を置く。
死んだと思った妹は、特殊な力の持ち主であり、特殊なゲーデが生まれた世界の住人だからと、拾われた。
記憶を失い、ディセンダーとしてこうして生活して生きた結果、彼に恋した。記憶を取り戻してもなお、それは変わらない。
お姉さんは乱心しても仕方ない。
「あの~それで結局、龍さんは、お二人のお返事は?」
「それが全然、聞こえてないの一点張りで、周りからすれば聞こえてたって思うんだけどね~」
響が紅茶を飲みながら聞き、アンジュは異世界のお茶菓子をつまみながら答える。マリアは机に倒れている。周りは何も言わずに、それでと、
「それで本人達は?」
「世界樹の根本、リュウの話じゃ、そろそろだから」
「………」
黒い巨大な剣を背に、色の付いた水晶の前で待っていた。
側にはテントを張り、キャンプしながらであり、聖地で何してるんだと怒られそうだが、ゲーデだから気にしない。
なにより、いまは会いたくない人達が多く船にいる以上、ここにいたい。
「………なにしに来た」
【そう言うなゲーデ】
いつの間にか、剣を通して、根元の世界樹の側にいた魂がいる。
全くと呆れながら、それの正体を知り、呆れていた。
「………原初、全ての世界が始まり、下に貯まりできた俺だから分かったが、お前は………」
【………世界樹、一つの命へと変わる彼奴は、子供達、家族に囲まれるだろう………だがそれと同時に、消える子供も見続ける。側にいてやりたかった】
例え魂が原型を留められないほど、屈折し、どうなろうとも、側に永遠に居続ける。それが彼の答えらしい。
ある意味、原初のヒトと言うべきだろうか?
「………あんたは」
【………原初のゲーテ】
静かに、それは元の場所に、永遠を共にする彼女の側に戻る際、
【お前はお前の愛する者の側にいてやれ………】
そう言ったとき、次元を越えて帰っていき、ため息混じりに、水晶を見る。
「………ラザリス、世界ってのはめんどくさいが、まあなんだ………いつでもこ」
その時、水晶にヒビが入った。
「いまかい!?」
そう言って、急いで回収するように手を広げると共に、水晶が砕けて、一人の少女が世界に生まれる。
それに苦笑しながら、キャッチしニヤリと笑う。
「ハッピーバースデーラザリス」
そう言いながら、少女は………
「………ありがとう………」
静かに微笑んだ………
ラザリスを取り戻し、彼は自由の灯火の下へ連れていきます。
お読みいただきありがとうございます。