テイルズ・オブ・ザ・レディアントマイソロジー3・闇は破滅か救世か?   作:にゃはっふー

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そろそろ終わりに近いです。


第20章・闇と共に

 静かに、彼は聞く。

 

「後悔しても知らん」

 

 それに彼らを代表するリーダーは、

 

「いまさらよ」

 

 そう微笑みながら、はっと鼻で笑い、

 

「なら、とっとと材料集めしますか」

 

 こうしてアドリビトムは活動を再開する。

 

 

 

 材料集め、ツリガネトンボ草のドクメント集めに翻弄する日々の中、キバが増えたりとする中、封印のための準備をするが、

 

「スレイ達が入ったおかげでだいぶ早いな」

「ああ、俺達の島に、貴重種があってよかったよ♪」

 

 そう言い、攻撃のカードを切り、四人が攻撃のカードを重ね、最後にリュウがまた攻撃のカードを切り、スレイはうっとうなり、攻撃を受ける。

 

「よく考えたら、カードゲームをリュウとやるのは」

「今頃遅い」

「あんたら研究室で遊ばないで欲しいんだけど」

 

 リタが睨む中、スレイ、リュウ、ユーリ、ゼロスは顔を上げる。

 

「まあまあリタちゃん♪ そんな顔してたら可愛い顔が台無しよ~♪♪」

「帝国の方はアリーシャが入ったうえ、サレは裁判行きで本国。これによりアリーシャ派閥・真が民衆のために一気に動き出したし、後はツリガネトンボの進化種やそれに関係する親戚の草木からドクメント回収だが、帝国が無いんだ。他ギルドの仕事だろ?」

「あんたらねぇ………」

 

 リタは呆れながら頭をかく中、そこにシェリアが入ってくる。

 

「リュウいる~?」

「ん、シェリアか? 何か用か」

「私じゃなく、カノンノがね。依頼よ」

「は?」

 

 そう言いながら、会話しながらゲームしていたが勝ち、また集めて切る。

 

「おい待てリュウ先生、よく見ればシャッフルも手加えてるなっ」

「はっ!! 今頃遅いっ、今晩の肉は俺のもんだ」

「イカサマはいけませんっ」

 

 そう言ってゲームは中断され、連れてかれる。

 

 連れてかれた先に、カノンノ、セレナ、ヴァンがいて、なんだ?と思う。

 

「お疲れさま♪ リュウ依頼よ、世界樹、カノンノのドクメントダイブへの」

 

 

 

 聖地ラングリース、世界中のマナが集まり、マナの高濃度は高く、浴び続けていれば肉体と魂が別れてしまう。

 

 ボルテックスと呼ばれる場所がある場所を歩く。理由は一つ、世界樹がなぜラザリスの世界を取り込んだのかを知るため、カノンノのドクメントへダイブする。

 

 カノンノ、彼女はどうも、他世界の情報を多く持ち、かつニアタの世界『パスカ』のディセンダーと同じ容姿。だがパスカの情報、遺伝子が無いはずのルミナシアにはいないはずだった。

 

 だがもっと根本的な部分で、カノンノと言う情報は、世界に深く関わっている。

 

 それがニアタの予想であり、カノンノもそれで自分が持つ、世界を越えた知識の謎や、もしかすれば世界樹の意志が分かるかも知れないと、ここに来た。

 

 ディセンダーであるセレナ、ゲーテであるリュウがいれば、幾分かマシらしい。

 

「確かに、成り易いな」

「………うん、レイディアントから、不思議と力を感じる………」

 

 そう言いながら歩く二人。カノンノもまた歩いていると、

 

「って、カノンノっ!!」

『えっ?』

 

 セレナは驚き、ヴァンも気づく。

 

「落ち着けカノンノっ、肉体と魂が別れかかってるっ」

『えっ? あっ!?』

 

 カノンノの視界では、普通とは違い、膨大な黒いドクメントを持つリュウ。黄金のドクメントを持つセレナと、他の人のドクメントと、自分が見える。

 

「リュウ、カノンノの意識が見えるの!?」

「いま手を持ってるっ」

『ど、どうしょうっ、戻らなきゃ、戻らなきゃ!!』

「落ち着くように言ってくれ、心が肉体に戻ったら、頭より気を取り込み、腹にため、そのまま足より流せ。心身と自然をひとつにする、武術の基本だ」

「ああ分かった、どうも俺の声以外届いてない。まずは落ち着けカノンノ」

『う、うんっ』

 

 その時、しばらく手を繋がれ、しばらくするとリュウはカノンノへと振り返る。

 

「落ち着いたか」

「う、うん………」

 

 そしてヴァンが言ったことを伝え、落ち着かせ、先に進む。

 

「カノンノ、大丈夫?」

「うん、ありがとうセレナ」

「お前は繋がりを知っているようだな、知らない者は何度しても出来ないことなんだがな」

「はっ、繋がったら最後のような気がするが」

 

 それに頬をふくらましてぽかぽかと叩かれるリュウ。

 

 しかしと、

 

「………繋がり、ね………」

 

 そして歩きながら、ボルテックスと言われる場所へと近づくが、

 

「………負?」

 

 その言葉と共に、誰かがいる。

 

 暗闇の中、一人の少年が立っている。

 

 それに舌打ちをするリュウ。みんな、ニアタもまた驚く。

 

『彼は』

俺だ(・・・)

 

 そう言われ、振り返るのは、リュウを幼くしたような姿。

 

 着ているのはただの上着とズボン、目立つものもなく、ただ違うのは目の色。

 

 紅と金の瞳で、リュウを睨みながら、闇を纏う。

 

【………なんで生きてるんだお前】

 

「ちっ、テメェこそ、いい加減にしろ」

 

【いい加減にするのはお前だッ、なんでいる? なんで生きてる!? お前は消えろッ、死ね!! 欠片も散りも残さずッ、存在自体消えればいい!!】

 

 その言葉と共に、闇が爪のようになり、黒い剣を持つ少年。

 

【なんでいるんだお前はッ、なんで!!】

 

「もう一回、壊すッ」

 

 そう言い構えようとするが、カノンノ、セレナが前に出る。

 

「お前ら」

「お願い」

「話させて」

 

 そう言う二人に、ヴァンも剣を構えようとしていたが、やれやれと首を振り、構えは解かないが、それだけだった。

 

 それを見て、舌打ちして、目を瞑る。

 

「ありがとう」

 

 そう言って、二人が近づく。それに酷く動揺する。

 

【来るなッ】

 

 闇が、負がマナを汚染し、風のように放たれるが、セレナが浄化する。

 

「セレナ」

「大丈夫、私だって、ちゃんと話したいから」

 

 そう言って微笑み、手を握りながら、【彼】に近づく。

 

【来るな………】

 

 それに怯えるように、

 

【来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るなッ】

 

 怯えるように、負の風を放つが、輝く光の前になにもできない。

 

 その様子を見ながら、静かに近づく。

 

【来るな!!】

 

 剣を振るい上げ、斬りかかるが、それを、

 

 

 

 避けなかった。

 

 

 

 それは途中で止まり、剣が、闇が消える。

 

 ただ静かに、頭をかきむしり、信じられないものを見るように睨む。

 

【なんでだ………なんでだよッ!! 世界は、人は、生き物は、命なんて醜いものなのに、なんで受け入れるんだ!!!】

 

 そう叫びながら、リュウを睨む。

 

【なんでだ、なんで平然としていられる!? お前が、お前があの時、あの時、あの時? あの時になにすればよかったんだ………】

 

 虚空を見ながら、ただ叫ぶ。

 

 それにリュウは見ているだけだった。

 

 これは、ただ、

 

【救いたかった………】

 

 そう、

 

【あの時、初めて誰かと関わって良かったと思った………気持ち悪かった………だけど、悪い気はしなかった………】

 

 だけどと………

 

【だけど俺は救えなかったッ、守れなかった助けられなかった!! だけどッ】

 

 泣き叫ぶ、ことすらもうできない。もう枯れた。枯れ尽くした。

 

【俺は壊すことしか、傷付けることしかできないじゃないかッ!! もう嫌だ、聞きたくない、聞きたくないんだ!! もう………もう聞きたくない………】

 

 そう言いながら、頭を抱えてうずくまる。

 

 舌打ちするリュウ。これが本音だと思うと嫌になる。

 

 耳を防ぎながら、泣きそうな顔で、流れ出ない涙を、叫びを言い続けた。

 

【俺は………終わりたい………】

 

 それに二人は、静かに手を繋ぐ。

 

「もう大丈夫だよ」

「私達が側にいる」

 

 それに顔を上げるが、

 

【………嫌だ】

 

 手をふりほどき、頭を振り回しながら距離を取る。

 

【もう嫌だ!! 壊したくない、壊したくないんだ!!】

 

 それに二人は聞きながらも、手を伸ばす。

 

【やめろ、来るな、来ないで、来ないでくれッ】

「もう一人じゃない、貴方は」

「貴方が教えてくれたんだよっ、私が一人じゃないことや、みんなのこと。みんなが教えてくれた」

【違う、俺はいらない!! 繋がりなんていらないッ、絆も仲間も家族もいらないッ!! 壊したくない!!! 一人がいい、もう聞きたくない、壊したくない!!】

 

 だが、二人は抱きしめた。

 

「「壊れない」」

 

 そう言って、闇は大人しくなる。

 

 そして、

 

【あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ】

 

 頭が壊れるような叫び声を上げる、抱きしめられた腕を放そうと、逃げようとする。

 

 殴るように、だけど子供がだだをこねるように、そんな光景。

 

【嫌だ、俺は、俺はッ。俺は!!】

 

 ああそうだよ………

 

 

 

【みんなを壊したくない!!】

 

 

 

 それでも二人は離さなかった。

 

 その光景を見て吐き捨てる。

 

「もう諦めろ」

 

 そう言いながら、剣を持ちながら、静かに迫る。

 

「何度も嫌になった」

 

「だが自分のことはどーでもよくなって、辛くはなかった」

 

「だけど」

 

「あの家族のことだけは辛かった」

 

「苦しかった、頭がおかしくなった。元々おかしかった人生が、その時本当におかしくなった気がした」

 

「ああそうだよ、俺は救いたかった」

 

「誰かを幸せに出来たあの瞬間が、忘れられなかった」

 

「だけど俺はできなかった」

 

「それが俺だと理解した」

 

 そして、目の前に立ち、そして、

 

「だけど、それでもいいって言うバカ達が回りにできちまった」

【諦めろと………言うのか………お前は、俺はッ!?】

 

 それにニヤリと笑い、静かに、

 

「「「それがアドリビトムだ」だよ」なんだよ」

 

 そう言われ、闇の俺は全ての力を抜いた。

 

【………バカだ】

 

 そう言いながら、静かにリュウを見る。

 

【………忘れるな、俺は闇だ】

「忘れるか、俺は絶望だ」

 

 その瞬間、子供は竜へと変わる。全てを壊し、世界に災いを撒く、それでも、誰かを救いたいと叫んだモノ。

 

【道くらいは造る、守れよ】

「できるか」

 

 そう言いながら、

 

「俺がするのは破壊だ、俺以外の災いのな」

【………だな】

 

 闇が霧散し、門のような入り口を造り、リュウの中に入り込む。

 

「は~~めんどくせぇな」

 

 そう言いながら、微笑む二人。後ろにいる男を見る。

 

「ここの守りは任せろ」

 

『ここからはボルテックスに、彼が造ってくれた道を使いはいる。準備はいいかい?』

「問題ねぇーよ」

「うんっ」

「行くよ………私を知るために」

 

 その時、セレナとカノンノは、リュウの手を握る。リュウは呆れながら、

 

「………はあ」

 

 負の翼を生やして、目を変え、髪を変える。

 

『んじゃ、行くか』

「「うんっ♪♪」」

 

 そして彼らは羽ばたいた。




ある意味もう諦めたように、繋がりを受け入れました。

それでは、お読みいただきありがとうございます。

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