テイルズ・オブ・ザ・レディアントマイソロジー3・闇は破滅か救世か?   作:にゃはっふー

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オリジナル展開のあらすじ。

帝国の暗部より命を狙われる姫君、アリーシャがディセンダーの力を借り、世界を救うために訪れたが、アドリビトムのやり方を知り、自分も協力したいと言った矢先、情報屋ロゼより、サレの暴走が聞かされる。

だがすでに遅く、暴走した過激派により、攻撃を食らうが、ゲーテの力にてこれを回避し、無人島へ不時着するバンエルティア号。

そしてそこに襲いかかる謎の集団、その中でゲーテことリュウは一人の少女を取り押さえた際、慎ましい胸を触り、カノンノ、セレナ、本人の手にて重傷の傷を負う。

オマケ、それを羨ましいと言った男性達も制裁を受け、翌日の朝、彼らから詳しい話を聞くことになった。

エドナ「いま、侮辱された気がするわ………」


第18章・光の子と闇の子

 翌朝の飯を大人しく作るコックリュウ。セレナとカノンノは無言の圧力を掛ける中で、アンジュははいはいと落ち着かせ、話題を変えるため、彼らを見る。

 

「それでは、私はアンジュ、ギルド・アドリビトムの代表です。あなた方は」

 

「俺の名前はスレイ、この島、と言うより、集落で導師をしてます」

「ミクリオだ、導師であるスレイの補佐をしているよ」

「同じくライラともうします、彼女はエドナ様です………えっと、もうエドナ様」

「私はいいわ、それを殺すとき以外はいまは呼ばないで」

 

 そう言って朝食を食べているエドナに、渋々大人しくなるが、それと言われたのは、

 

「やはり、貴方達は」

「ゲーテ………災厄の化身が島に現れたと思い、それに対応しようと………まさか、人に生まれていたとは、思ってもいませんでした」

 

 それにはセレシウスは少しばかり黙り込む。彼女も最初、リュウを攻撃した者だが、本人は気にせず、別のことが気になる。

 

『君達はゲーテのことを知っているのかい?』

 

「えっと………はい、ご存じです」

 

 ライラが戸惑いながら、ニアタに話しかけ、スレイは代表して、セレナに言う。

 

「この島は光輝の眠る島、ディセンダー様が現れた時、彼の者のための装備が安置された島です」

『なんだと!?』

 

 それにメンバー全員がざわめく中、静かに森の奥から誰かが現れる。それは、

 

「天使………コレットと同じ種族の方?」

「それと」

 

「ザビーダ、遅かったわね」

 

 エドナが不機嫌に言う中、悪い悪いと男は言う。

 

「俺はザビーダ、んで、風で話は聞いてたが………救世の使徒と破滅の使徒がご一緒とは、世の中分からないな」

 

 ニヒルに笑う中、メンバーの何名か挑発に乗りかかるが、そばにいるメンバーに止められ、ニアタが言う。

 

『ゲーテは完全に悪では無いからね、当然だよ』

「そこの機械さんは色々知ってるみてぇだな、ともかく、族長が集落に連れて来いってさ、話はそこでだとよ」

「分かりました、リュウ、セレナ。それでいいわね」

「俺も行くのか?」

「貴方もです、その方が色々便利ですから♪ 後は任せてね~」

 

 そんなこと言われる中、何故かアリーシャとロゼも着いてくる話をする。後はニアタとクラトスとリタ、セレシウスだった。

 

 

 

 天使住まう集落、遠巻きからこちらを見る様子を見ながら、リュウは気にせず、静かに歩く。

 

「ニアタ、ディセンダーの装備って」

『かつてソウルフルケミーで創り出した、ディセンダーのための装備だよ。私はその後は知らないが、創造には立ち会った』

「そうなのね………それで、それはどんなものなの」

 

 リタの言葉に、少し考え込みながら、静かに、

 

『ディセンダーは生まれるたび、世界が違えば戦い方も何も変わるからね。最初は剣の形をしているが、主であるディセンダーの下にあれば、姿を変え、セレナにあった武器の形状に変わるんだ』

「ふーん」

 

 そして一つの剣が安置された石舞台の前に来る。一人の老人がいて、静かに頭を下げる。

 

「みなさん、良くおいでに………氷の精霊、セレシウス様。お久しゅうございます」

「汝であったか………」

「知ってるの? セレシウス」

「昔の話だが、多くの混乱を鎮めた者の一人だ。かつて私に知恵を借りに来たときがあった」

 

 そう言いながら、剣を見ると、だんだん気持ち悪くなる。

 

「ゲーテだからか、やっぱ気持ち悪い剣、ほんもんだな」

「えっと………それでいいのかな?」

「ゲーテだから別に良いんじゃないの? リュウらしいわよ」

「あっははは………」

 

 その様子を静かに見つめる老人。視線がこちらに来る中で、ため息を吐く。

 

「『困惑』か、まあ当然だな」

「!? 心が読めるのか」

「違う、負が分かるんだ俺は」

 

 スレイ達は分からず、首を傾げたが、カノンノの説明で理解し、静かに剣を見る。

 

「その剣は本物だろうが、それでまずどうするかだな」

「いま世界が大変な時なんだろ? あの剣、輝く光器レイディアントがあれば、きっとディセンダーの助けにはなる」

 

 ミクリオがそう言う中、セレナは少しリュウの背に隠れる。それに驚かれる中、リュウは代わりに説明する。

 

「念のために、いまあんたらは世界で起きていることは把握しているのか?」

「………正しくは、世界は大変だ、ってところだけど」

 

 導師スレイの言葉に、静かにリタが説明する。

 

 ニアタもまた説明する。星晶が無くなり、世界が内包したもう一つの世界、そこから生まれたラザリスが、世界を塗り替えようとしている。

 

 それの代理品を集め、ラザリスの暴走を止める話。それを聞き、いま現在、力は不要な点があるが、どうするか考えるのは、

 

「セレナ、お前はどうする? 今後のこと考えれば、あっても問題ないぞ」

 

 その言葉に、セレナは静かに剣を見る。

 

 そして静かに、

 

 

 

「………いらない」

 

 

 

 それに多くの者達は驚くが、セレシウスは少しばかり感じ取っていた。

 

「セレナ、少しいいか」

「セレシウス………」

 

 静かにセレナを見るが、前に出て話すため、リュウより前に出る。

 

「何故、ディセンダーの力を拒むか、教えて欲しい」

「………」

 

 その言葉に少し黙り込むが、だが、

 

「一つだけ教えてください」

 

 スレイ達を見ながら、はっきり顔を上げて、

 

「なぜリュウを、襲ったんですか」

 

 それにスレイは難しい顔して黙り、ライラが代わりに、

 

「彼はゲーテ………この世全ての厄災の化身です」

「それが理由なんですか」

「いや、別に構わないが」

 

 リタにシャイニングウィザードと言う技が放たれ、沈むリュウ。

 

「わ、私は、力は欲しくありません。みんなを、リュウを含めた、アドリビトムのみんなを守るためなら頑張ります。けど」

「りゅ、リュウのことを心配して、レイディアントはいらない。そう言う意味で良いのね………」

 

 セレシウスの言葉に、静かに頷く。

 

 セレナは、力と言うものが分からない。

 

「セレナ、いいのか。俺のことなんて、放ってもいいんだぞ。手に入れても、問題ないし」

「………じゃ、リュウ、答えて」

 

 真っ直ぐな瞳、それを見て嫌な顔をするリュウ。それを見ながら、

 

「リュウはなんで平気なの?」

「………」

「色々な人達から危険だって、世界の災いだって言われて、力を向けられて、なのに、どうして平気なの!? 私、分からないよっ。リュウのことが、なんで平気なのか分からないよッ」

 

 それにどよめく心の波、それは周りの輩。気にせず、その目を見ながら、嫌な顔をする。

 

「チッ、んなもん一つだ………慣れた」

「慣れた………」

「セレナ、俺は生まれたときから人の負が聞こえた」

 

 他者を理不尽に恨む、上から見下し哀れむ、理解もせず怒り、様々な負を感じ、聞き、そして見てきた。

 

「そんな日々の中で、いまさら災厄の使徒? 世界に生まれるべき命じゃねぇ? ああそうだ、いつしか俺も、ゲーテである以前からそんなことは分かっていたッ」

 

 暗い闇が身体から放たれる。それに怯える者達。スレイ達が武器に手を置くが、アドリビトム達は違う。

 

「………そんな力で、私達はごまかされないよ」

 

 カノンノはそう呟いた。

 

「いつもそうだよね、本当のこと言わないで………ううん。少しだけしか、本当のこと言わないで」

「カノンノの言うとおりだよリュウ………私は、私達はもう、貴方の闇は怖くない」

 

 セレナは真っ直ぐにこちらを見る。それどころか近づいてくる。

 

「だってリュウはその力で、誰かを助けてきたもん」

『………違う、俺は誰も助けていない』

「ううん、違う」

『違わないッ』

「違うッ」

 

 光がセレナの身体から放たれ、闇がより吹き出す。

 

 光が闇、闇が光と反応し合い、そして少女は見つめる。

 

「私は知りたい、なんでなの………なんで悪者でいいって言うの!? もしリュウがゲーテであるからだとか、そんな理由で倒さなきゃいけないのなら………私は」

 

 光が、静かに闇を照らす。

 

 

 

「私はそんな力ならいらないッ、私は救世主ディセンダーなら、私は闇だって、ゲーテだって救いたい!!」

 

 

 

 

 それに、

 

 

 

『ふざけるな!!!』

 

 

 

 闇がより強く、光がより強く吹き出す。

 

 

『闇なんて、悪なんてもんは消えていいんだよッ。テメェはそれを滅ぼす者ッ、俺は滅びるべきもんでいいんだよッ。我が儘言うなセレナ!!』

 

「我が儘言ってるのリュウだよッ」

 

『!』

 

「私は、私は………」

 

『………黙れ』

 

 闇が、紅を交え、吹き出す。その姿が代わりかけるほど、セレナを睨む。

 

『俺は、俺は誰も救わないッ。この世界には消えるべきもんだってあるッ』

 

「それは貴方じゃないッ、あったとしても、それはリュウじゃ」

 

『それを決めるのはオレだッ』

 

 吹き荒れる中で、スレイ達は距離を取るが、それを平然と見るのは、アドリビトム。

 

「おいっ、すぐに離れるんだ!!」

「ゲーテの闇に触れれば、どうなるか分からないぞっ」

 

「はっ、問題ないわよ」

 

 リタは鼻で笑い、側にいる。

 

 カノンノも静かに見る。その瞳はセレナと変わらない。

 

 クラトス、セレシウスも変わらず、それを静観する。

 

『………なんでだ』

 

 もはや姿が見えないほど、闇が深く、紅い眼光だけが見える場所。その眼の先にいる、輝きを見る。

 

『なんでテメェらは俺なんてもん、信じる………俺は、信じていない』

 

「………」

 

『………俺は』

 

 

 

 その時、闇と光は上を見た。

 

『プリズムソード』

 

 

 

 光の刃が放たれ、地面に刺さる。

 

 全員がその場から離れ、セレナはリュウと共にそれを見る。

 

「誰!?」

 

「お前は………ユグドラシル!?」

 

 天使の羽根を持つ男に、クラトスは叫ぶ。

 

「知ってるの?」

「天使の種族で、一度コレットを攫いに、ミブナの里を襲った男だ」

「何故そんなことを」

 

「天使と言う種族を守るためだ………」

 

 そう静かに構える男、ユグドラシルはそう告げる。だが、

 

「なるほどね、帝国を始め、大抵の国々は、種族差別は前々からあるからね。カイウスのレイモーンの民を、リカンツって言うほどに」

 

「人間と言う野蛮な世界を捨て、天使が統べる世界を作る。その為に数多の術を探していた。無論ディセンダーの力である、レイディアントのこともな」

 

 そう言い、翼を広げる中、憎々しげに周りを見渡す。

 

「まさか同胞が守っていたとは」

 

「お前、レイディアントをどうする気だ!?」

 

「破壊する」

 

 それに静かに告げ、ディセンダーであるセレナを見る

 

「だがその前に、人間を救う者である、ディセンダーを滅するッ」

 

 無数の剣が放たれるが、その光を砕く闇がいる。

 

「リュウ………」

『………』

 

 その様子にも、静かに、

 

「醜い者だ、ゲーテ………人間が生み出した負の化身」

 

『………ばかばかしい』

 

「なんだと」

 

 そう言う闇は、静かにユグドラシルを睨む。

 

『テメェ、天使が統べる世界を作ると言うがな。俺からすれば変わらない、なにもかもな』

 

「変わる、変えてみせる。野蛮な人間が溢れる世界に安息なぞないッ、天使のみにより、この世界を統べ、この世界に真なる平穏の世を創り出すッ」

 

『………クッハ』

 

 それは大笑いした、ただしたすら、笑い出した。

 

「………なにがおかしい?」

 

『無駄だ無駄、テメェのやることはただの無駄だ』

 

 それは分かる、ただひたすらに、

 

『テメェの言う、野蛮な人間ってのは共感する。だがな、俺からすれば全てそうだよ』

 

「なにを」

 

『天使が統べようが、ガジュマが統べようが、レイモーンの民が、クリティア族だろうが、もはや、どんな種族が世界を統べようと、命ある世界に、永劫に平穏なぞあり得ないッ』

 

 だからおかしいと笑うが、ユグドラシルは不適に笑う。

 

「私なら、天使なら作れる。いまこの島を囲もうとしている、野蛮の人間なんぞよりもな」

 

「!?」

「それはまさか………帝国」

 

 アリーシャが青ざめる中、闇は静かに笑うのをやめ、ユグドラシルを見る。

 

『………そうかい、野蛮な人間に、この島を襲わせるように仕組んだか』

 

「心が読めるのかゲーテ。だが、私は奴らが血なまこになって追う船がある場所を教えたに過ぎぬ」

 

「貴方は」

 

「この島は一部の天使達から聖域として、如何なることがあろうと語ることは禁句とされた場所。ここが人間の手により破壊されれば、我が言葉に賛同する同胞が現れるだろう」

 

「ここの人達はどうする気だっ」

 

「無論、私が救う。我が意志に従うのならな」

 

 それに黙り込む闇、だが、

 

『だから無理なんだよ』

 

 それは、静かに、

 

『んなもん朝っぱらから分かってたっての』

 

 その瞬間、集落の側にバンエルティア号が流れ込み。準備終わったように、ジェイドやロイド達が流れ込む。

 

「リュウ、言われたとおり少し攪乱もしてたから、時間は稼げるぜっ。人数の数も確保できる」

「全く、ヒトの負が聞こえるのは、ほんと役立ちますね~彼らもここのことも、全て把握してますよ」

 

 それに驚くユグドラシルに、くっははははと笑う。

 

「貴様………」

 

『俺は、ゲーテだぜ? この集落に住まう者達から聞こえる負の声は、しっかり聞こえていたし、囲む船員達の恐れからの声も、しっかり聞こえてた』

 

 そう言いながら、静かに剣を構え、闇は疾駆する。

 

『テメェはここで終われッ、エセ救世主!!』

 

 そして闇が迫る中、

 

『!?』

 

 すぐに急ブレーキをかけたが、

 

「遅いッ、時を止まれ!! タイム・ストップッ!!!」

 

 モノクロの空間が現れ、それに一番に止まったのはリュウ。

 

「なんだ!?」

「時の魔術!? 時を止める空間を作る魔術ですっ」

 

 ミントの叫びに、ユグドラシルは叫ぶ。

 

「せめて邪悪なるものである貴様を滅し、私の正しさを証明するッ」

 

「! リュウっ」

 

 セレナとカノンノが駆け出すが、

 

「遅いッ」

 

 腕に光が集まり、それが刃のように闇へと迫るが、

 

『ぬるいッ』

 

 闇はモノクロの世界を壊した。

 

『いい加減にしてもらおうか?』

 

 ユグドラシルを捕まえる腕が、闇から現れる。

 

「………えっ」

 

 その腕は、人の腕ではなかった。

 

『人間も、天使も、獣人も、如何なる生命、命だろうが、世界にそんなものが溢れる限り平穏なんてものは、無いッ!!』

 

 姿を現すのは、ドラゴンのような翼を広げ、鎧のような外装を纏い、刃のような髪を持つ。魔獣のような姿。

 

『俺は、俺はゲーテッ。ゲーテでいいッ、人間なんてもんじゃなく、命なんてもんじゃなく、ただ邪悪でもいい。そんなものであるよりも、俺は化け物の方がマシなんだよ!!!』

 

 ユグドラシルを握りしめ、骨を砕き、それは吼える。

 

 その姿はまさに、破滅の化身であった………

 

『俺は、破壊の存在で、いいんだよ!!』

 

 そう叫び声を上げ、飛翔した。




 リュウ・ゲーテモード。

 鎧を着た魔竜であり、人の形に似た何か。巨大な腕と剣を持ち、左右の色の違う瞳を持つ。

 刃の髪は伸縮自在であり、鎧は胸プレートや、ブーツを着ているようではあるが、肉体と一体化している。衣類は着ているように見えるが、黒く染まっているため、一つに見える。

 飛翔でき、森羅万象を弱らせ、世界の悪意を纏う。

 その姿は、もう人間ではない。

 お読みいただきありがとうございます。

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