とある晴れた日の休日。寺子屋にて教師をしているワーハクタクこと上白沢慧音は、ここ1ヶ月ほどの自身の教師としての書類を整理し、保管しておこうと寺子屋にある倉庫へと足を進めた。
「ふぅ……やれやれ、こんな多量になる前に早め早めに整理しておくんだった……」
紙の束を手から腕にかけて軽く覆うように持ちながらも息を吐き出す。独り言を呟きながら、今疲れるのは過去の自分の怠惰のせい、自分への軽い戒めである、というような解釈を頭に浮かべ、思わず軽く苦笑いを浮かべる。
「あはは、これじゃあ生徒たちの手本にはならないな。私自身がしっかりしないと」
そう言いながら、とある扉の前で立ち止まる。ふと顔を見上げれば、その部屋の入り口の真上にある表札には「倉庫」と一言だけ書かれており、慧音はその教室の扉のすぐ横へと紙の束を置き、ドアを開く。
中には多くの書類の束や本、巻物などが保管されており、それが散らばることがないよう紐でしっかりと綴じられている。ただまぁ、強いて言うのであれば、少しだけ埃っぽく思える。
「……1ヶ月前にも掃除したのだが……後で妹紅にでも手伝ってもらうかな」
そう軽口を呟きつつ、自身の足元へと置いた新しい書類の束を再び手に持てばそのまま抱え込み、倉庫の中へと入り、奥へと足を進める。整理しようと近づいた本棚からは、木が持つ独特の香りに加え、少し昔懐かしいような香りがしたような気がする。少し笑みを浮かべながら、何百年もの時を生きるワーハクタクは、そっとその棚へと手に持つ書類を置く。
「さて、じゃあまた戻って生徒たちのために課題を……ん?」
軽く伸びをしながら倉庫の出口へと足を進めようとしながらも、ふとしたことで足が止まる。出ようとした倉庫の出入り口のあたりに、一冊の本が落ちていたからだ。
「さっき、入ってくるときに気が付かない間に触れて落としてしまったか……?」
ふと頭に疑問符を並べるような顔をしてきょとんとしつつ、そっとその本を拾い上げる。表紙にはこう書かれている。
「幻想……起源録……?」
見たこともない本の題を見つめ、ふと気になってはページを数枚めくってみる。そこには、自身の知ることのない、自分が生まれるずっと前からの幻想郷の記録が書き記されていた。何世代も前の博麗の巫女や、幻想郷への吸血鬼の襲来。妖怪の山での鬼の生活など、自身の知らないことが、歴史が、そこにはあった。
「これは……ちょっと借りて、じっくりと読んでみたいな」
少し瞳を輝かせながらも、心なしかウキウキとしつつ、その本を手に取れば倉庫を後にする。
誰もいなくなった倉庫の中で、ふと空間に亀裂が走る。否、亀裂というのは正しくなく、境界が裂けるといった方が正しく思える。そしてそこから、目玉のようなものが多量に見える空間……「スキマ」が開かれ、中から女性の声がする。
「ふふ……幻想郷の歴史を知った時、貴女はどう思うのかしら……どう思うと思わまいと、幻想郷は全てを受け入れるのです」
そう呟き、クスクスと愉快そうな声が倉庫内へと木霊する。
「……紫さま、幻想郷の過去の記録をまとめるのが面倒だからって、何も慧音さんに押し付けなくてもいいじゃないですか」
「………………」
「スキマ」はそっと、倉庫から姿を消した。
お久しぶりです。誠にすみません。帰ってまいりました。
まぁ私の小説を楽しみにしている方がいるとは到底思えませんけど……
とまぁ、この小説はとある方からのリクエスト小説で、幻想郷の過去の歴史について書いてくれと言われましたので、こんな感じかなぁというつもりで書いていく感じです。もし皆様からも何か、幻想郷の歴史などで思うところがあれば、「私の考えている内容で」書かせていただきます(ここ重要
まぁ、これからも色々とのんびり書いていきたいと思いますので、よければよろしくお願いいたします