情熱は幻想に 作:椿三十郎
ジョルノとフーゴ:26歳
「...つまり、ここは..この"幻想郷"は僕らがいた外の世界から結界により隔離された世界。そういうことですか?」
「あなた理解が早いわね。助かるわ」
ジョルノは顎に手を当てて、省察していた。
「あんまし深く考えない方がいいわよ。この幻想郷では特にね」
神社の縁側に腰掛けている彼女は名は、
『博麗霊夢』
黒の髪に赤いリボンを着けており、紅白の巫女装束を身にまとっている。見た目は十代後半程だ。
それには一点目を引くものがあった。
何故か脇が露出していたのだ。
日本行きの飛行機で日本の文化や伝統を少しばかり目にしたが、フーゴは彼女の巫女装束は一般的であろうものとは、かなり逸脱しているように見えた。
(こんなものなのか....?)
自分の置かれている状況すら意味不明な上に、この見て呉れだ。フーゴはかなり混乱していた。
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「あんた達、"外来人"よね?」
『博麗霊夢』がジョルノ、ミスタ、フーゴを順に見る。
「さぁな。それで、お前が敵か?」
ミスタが一発弾丸を込め直す。
カチャンと、弾倉が銃身に収められる。
「はぁ.....まともに口ぐらい聞いてくれないの?」
「いまさら女だとか、子供だとかじゃ揺らがないんだよ」
彼女の言葉をミスタは一蹴した。
ジョルノは押し黙ったまま、ゴールド・Eを出し能力を解除した。蛇は生命を失い、何の変哲もない石ころへ戻る。
その時、理解した。
彼女がスタンド使いではない事実に。
霊夢にはスタンドが見えてはいなかった。
スタンドのビジョンが目の前を横切ったにも関わらず、彼女の瞳の動きに変化はまるで見られなかった。瞳の動きを意識的に操作することは極めて難しい。
その光景を見たミスタは少し悩んだ末、銃口を逸らす。
そして抜が悪そうな顔をしてジョルノを振り返った。
「やっぱり話の続き...詳しく聞かせて貰えますか?」
「いきなり態度変えられてもねぇ、なんだかやりづらいわね」
まぁ座って、と霊夢は彼らに腰掛けるよう促した。
しかし、ミスタは神社の支柱に寄りかかった。
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「Spettro...Vampiro...Dio...」
「迷惑なほどいっぱいいるわ」
幻想郷には妖怪、吸血鬼、神といった常軌を逸した、人ならざる者達が数多く存在している。
人間ではあるものの、彼女もまたその中の一人であることを彼らは知らない。
「そんなぶっ飛んだ話、信じたわけじゃあないからな。俺も、ジョジョもな」
縁側に座っている霊夢を一瞥する。
ミスタは立ったままでいる。
普通の人間ならば、霊夢の話など馬鹿馬鹿しくて聞いてなどいないはずだ。ましてや相手はギャングだ。そこらの人間よりはよっぽどリアリストだろう。
しかし、彼らは三人は"普通の"ギャングではない。
スタンドと数多の修羅場をくぐり抜けた経験と、そしてそれから得た優れた"感覚"を持っている。第六感に近しいものだ。
それが彼ら三人に告げていた。
霊夢の話が上っ面だけのものではないことに。
辺りを見回っていたフーゴが帰ってきた。
「やっぱりさっきまでの場所とは全く別ものだ。変わっている」
「気が済むまで見てきていいけど、オススメはしないわ。それにしても、ここから入ってきて幸運だったわね。最悪死んでたかも」
誰かが鼻で笑ったようだが、木の葉の音でかき消された。
「本題に入りましょう」
ジョルノが切り出した。
「元の場所に帰れるんですよね?僕達にはやるべきことがあるんです」
霊夢が黙る。
それに伴い、三人に緊張が走る。
「...残念だけど、"今は"無理ね」
二人は視線を合わせ"今は"という言葉の真意を勘えた。
フーゴが率直に疑問をぶつける。
「"今は"とはどういう意味ですか?」
彼女が質問の答を口にしようとした瞬間、ミスタが寄りかかっていた支柱から身を起こす。
霊夢が口を閉ざして彼を見る。
ジョルノとフーゴも彼を見る。
二人には、彼が胸中何を抱いているか、ある程度見込みが立っていた。
ミスタが口を開く。
「もっと周りを見てくる。ここがどこだか"まだ分かんねぇ"からな」
「さっき僕が見に行っただろう。それに、彼女が言っていることが本当だったらどうする」
言い切ったところでフーゴはこの問があまりにも愚問であることに気が付いた。
彼は問に答えなかった。
「明日。.....明日までに戻ってきてください」
ジョルノがそう言うと、彼は霊夢を一瞥し、鳥居をくぐり階段を下りてゆく。
陽は今にも沈まんとしている。
彼の背は橙色に染まっていた。
それを見送った霊夢は呆れた顔をしていた。
「あんたらってクソ真面目ね。...で、止めなくて良かったの?」
「大丈夫ですよ」
と、フーゴも呆れた顔で返した。
ジョルノ「日本人?イタリア語すごくペラペラですね」
霊夢「え?それはねーっ、紫が.....いや....その!習ったというか」
恥パの時と比べて、フーゴとミスタの関係がマシになっていて欲しいな、と思っています。