情熱は幻想に   作:椿三十郎

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ミスタ:28歳
ジョルノとフーゴ:26歳


ファンタジーやメルヘン

 

 

 

 

 

 

 

「...つまり、ここは..この"幻想郷"は僕らがいた外の世界から結界により隔離された世界。そういうことですか?」

 

 

「あなた理解が早いわね。助かるわ」

 

 

ジョルノは顎に手を当てて、省察していた。

 

 

「あんまし深く考えない方がいいわよ。この幻想郷では特にね」

 

 

神社の縁側に腰掛けている彼女は名は、

 

『博麗霊夢』

 

 

黒の髪に赤いリボンを着けており、紅白の巫女装束を身にまとっている。見た目は十代後半程だ。

それには一点目を引くものがあった。

 

 

何故か脇が露出していたのだ。

 

日本行きの飛行機で日本の文化や伝統を少しばかり目にしたが、フーゴは彼女の巫女装束は一般的であろうものとは、かなり逸脱しているように見えた。

(こんなものなのか....?)

 

自分の置かれている状況すら意味不明な上に、この見て呉れだ。フーゴはかなり混乱していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「あんた達、"外来人"よね?」

 

 

『博麗霊夢』がジョルノ、ミスタ、フーゴを順に見る。

 

 

「さぁな。それで、お前が敵か?」

 

 

ミスタが一発弾丸を込め直す。

カチャンと、弾倉が銃身に収められる。

 

 

「はぁ.....まともに口ぐらい聞いてくれないの?」

 

 

「いまさら女だとか、子供だとかじゃ揺らがないんだよ」

 

 

彼女の言葉をミスタは一蹴した。

 

 

ジョルノは押し黙ったまま、ゴールド・Eを出し能力を解除した。蛇は生命を失い、何の変哲もない石ころへ戻る。

 

 

その時、理解した。

彼女がスタンド使いではない事実に。

 

霊夢にはスタンドが見えてはいなかった。

スタンドのビジョンが目の前を横切ったにも関わらず、彼女の瞳の動きに変化はまるで見られなかった。瞳の動きを意識的に操作することは極めて難しい。

その光景を見たミスタは少し悩んだ末、銃口を逸らす。

そして抜が悪そうな顔をしてジョルノを振り返った。

 

 

「やっぱり話の続き...詳しく聞かせて貰えますか?」

 

 

「いきなり態度変えられてもねぇ、なんだかやりづらいわね」

 

 

まぁ座って、と霊夢は彼らに腰掛けるよう促した。

 

 

しかし、ミスタは神社の支柱に寄りかかった。

 

 

 

 

 

 

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「Spettro...Vampiro...Dio...」

 

 

「迷惑なほどいっぱいいるわ」

 

 

幻想郷には妖怪、吸血鬼、神といった常軌を逸した、人ならざる者達が数多く存在している。

人間ではあるものの、彼女もまたその中の一人であることを彼らは知らない。

 

 

「そんなぶっ飛んだ話、信じたわけじゃあないからな。俺も、ジョジョもな」

 

 

縁側に座っている霊夢を一瞥する。

ミスタは立ったままでいる。

 

 

普通の人間ならば、霊夢の話など馬鹿馬鹿しくて聞いてなどいないはずだ。ましてや相手はギャングだ。そこらの人間よりはよっぽどリアリストだろう。

 

しかし、彼らは三人は"普通の"ギャングではない。

スタンドと数多の修羅場をくぐり抜けた経験と、そしてそれから得た優れた"感覚"を持っている。第六感に近しいものだ。

 

それが彼ら三人に告げていた。

霊夢の話が上っ面だけのものではないことに。

 

 

辺りを見回っていたフーゴが帰ってきた。

 

 

「やっぱりさっきまでの場所とは全く別ものだ。変わっている」

 

 

「気が済むまで見てきていいけど、オススメはしないわ。それにしても、ここから入ってきて幸運だったわね。最悪死んでたかも」

 

 

誰かが鼻で笑ったようだが、木の葉の音でかき消された。

 

 

「本題に入りましょう」

 

 

ジョルノが切り出した。

 

 

「元の場所に帰れるんですよね?僕達にはやるべきことがあるんです」

 

 

霊夢が黙る。

それに伴い、三人に緊張が走る。

 

 

 

 

 

 

「...残念だけど、"今は"無理ね」

 

 

二人は視線を合わせ"今は"という言葉の真意を勘えた。

 

 

フーゴが率直に疑問をぶつける。

 

 

「"今は"とはどういう意味ですか?」

 

 

彼女が質問の答を口にしようとした瞬間、ミスタが寄りかかっていた支柱から身を起こす。

 

霊夢が口を閉ざして彼を見る。

ジョルノとフーゴも彼を見る。

 

二人には、彼が胸中何を抱いているか、ある程度見込みが立っていた。

 

ミスタが口を開く。

 

 

「もっと周りを見てくる。ここがどこだか"まだ分かんねぇ"からな」

 

 

「さっき僕が見に行っただろう。それに、彼女が言っていることが本当だったらどうする」

 

 

言い切ったところでフーゴはこの問があまりにも愚問であることに気が付いた。

 

彼は問に答えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「明日。.....明日までに戻ってきてください」

 

 

ジョルノがそう言うと、彼は霊夢を一瞥し、鳥居をくぐり階段を下りてゆく。

 

陽は今にも沈まんとしている。

彼の背は橙色に染まっていた。

 

 

 

それを見送った霊夢は呆れた顔をしていた。

 

 

「あんたらってクソ真面目ね。...で、止めなくて良かったの?」

 

 

「大丈夫ですよ」

 

 

と、フーゴも呆れた顔で返した。

 

 

 

 




ジョルノ「日本人?イタリア語すごくペラペラですね」
霊夢「え?それはねーっ、紫が.....いや....その!習ったというか」

恥パの時と比べて、フーゴとミスタの関係がマシになっていて欲しいな、と思っています。

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