私の名前はアリー。
しがない妖精と人間のハーフよ。
人間とのハーフ故に私は神器をもって生まれてしまった。そのせいで両親は殺されて私は悪魔に拐われた。
そしてその悪魔に無理矢理眷属にさせられそうになったところだった。
あの
「そこで何をしている?」
漆黒の翼を靡かせ空から降りてきたのは堕天使の幹部コカビエル
その姿は堕天使の筈なのに天使よりも神々しく見えた。
コカビエル様は私を無理矢理、眷属悪魔にしようとしていた男を一瞬で消し飛ばしてしまった上に私を孤児院へと招いてくれた。
私の姿は人間の姿に背中から羽が生えたような存在だった。
妖精は人間に比べ大きさがかなり小さい。大体が手の平サイズだ。
そのため私のように他種族とのハーフは生まれにくい上に育ちにくい。
人間として扱うには後ろに生えている羽が邪魔だし、妖精として扱うにはいささか私は大きすぎる。
今年で二十歳になるのだが私は人間の十歳児位の大きさだ。コカビエル様曰く『合法ロリ』とやららしい。
何の事かは誰に尋ねても教えてもらえなかったけど、とりあえず悪い意味ではないらしい。
いつか教えてくれるといいなぁ。
と、大分話がずれてしまった。話を戻すけど人間としても妖精としても生きることが難しい私はコカビエル様に誘われた時素直に嬉しかった。
妖精は悪意に敏感な種族だ。だから私も悪意をもって近づいてくる人の感情は大体だけど判断はできる。
私はこの容姿だから近づいてくる人は息が荒い怪しい人物しかいなかった上に、近寄って来るのは私の神器の力を狙った人達ばっかりだった。
それ故に私はコカビエル様が何の悪意も無く、私を孤児院に招いてくれた事が嬉しかった。
その時に私は誓ったのだ。コカビエル様に私の全てを捧げると。
その時に私は子供じゃないけどここに住んで良いのかと聞いてみた。
「見た目が子供だから問題ない」
と、コカビエル様はおっしゃった。
私としては子供としてしか見られていない事に少しガッカリとしたけど、新しい居場所をくれたのだから私はその幸運に素直に甘えることにした。
大変!複雑だけどね!!
そして、私がコカビエル様の経営する孤児院で過ごし始めて数日。
ここは、とても居心地がいい。
ここには私と同じで種族や特殊な力のせいでまともに生きられない子供達が沢山集められていた。
皆が皆特殊な事情を持っているため他人のデリケートな部分に突っ込むことはない。
昔なら会う人全てに背中の羽の事を聞かれていたので気持ちが楽だった。
私は本当は子供じゃないけどこの孤児院に預けられている子供の中では一番の年長者だ。
だからこそ、家政婦の堕天使のお姉さん達のお手伝いをする。流石にあらゆる面でのおんぶにだっこは罪悪感が凄くて堪えきれなかったのだ。
そんなある日の事だった。
夜中にコカビエル様が外出しようとなされていたのは。
「コカビエル様。お出かけですか?」
「ん?……あぁアリーか。ちっこかったから他の子供達かと思ったぞ」
「わ、私そんなにちっこくないです!」
い、いや確かに私の身長は他の子と対して変わんないけども!それでも一センチぐらいは私の方が大きいし!
「ククク、そうだな。アリーは大きいもんな。例えそれが他の子達とあまり変わらなくとも、な」
そう言って頭を撫でてくれた。
……気持ちいい。思わず目を細めてしまうぐらい気持ちいい。
他の子供達もコカビエル様にご褒美を求める際には皆頭を撫でてくれとお願いするぐらいには気持ちいい。
暫くそれを堪能していると私は気付いた。
……あれ?これ結局子供扱いされてない?
私の顔は赤く染まった。
「だ、だから子供扱いしないでくださいってば!!」
慌てて手を振り払った。
「おっと、すまないな。確かに一人前のレディーにすることではなかったな。今後は控えよう」
「えっ!?あ、いや、そんなに嫌だった訳では」
「アリーは大人の女性だもんな。俺のように無骨な者に頭を撫でられても不愉快にしかならないよな?」
「あ、あう……そ、そんな……」
思わず目尻に涙が出てきた。
涙を止めようと、目元を擦るが止まらない。
あの最高に気持ちいい行為が行って貰えないと考えると涙が止まらない。
すると不意にポンと頭に手を置かれた。
「ふえ?」
顔を上げると、コカビエル様は苦笑いをなされていた。
「ちょっとした意地悪のつもりだったのだがな。まさかそこまでお前が撫でられる事を好いているとは知らなかった」
そう言ってまた頭を撫でてくれる。
ああ。今わかった。何で私がこんなにもコカビエル様に撫でられるのが好きなのか。
コカビエル様の頭の撫で方は父様に似ているのだ。
少し不器用だけど優しく頭を撫でてくれていた父様。例え私が普通の子供でなかったとしても嫌悪感を抱かず、優しく頭を撫でてくれていた。
それにコカビエル様の撫で方は似ているのだ。
……言ってはなんだけどコカビエル様の方が撫でるのは上手いけど。父様は頭を撫でるのに力を込めすぎていたから痛かったんだよねぇ……。
そのまま暫く堪能していると不意にコカビエル様が頭から手を離した。
思わず私は何で止めるの?とばかりにコカビエル様を見上げてしまった。
「そんな困った顔で見てくれるな。そろそろ出ないといけないんだ。少し人を待たせてしまっているからな」
「人……ですか?」
「ああ。アザゼルが最近ハーフ悪魔を拾ったらしくてな。あいつも忙しいから面倒を見てやってくれと頼まれたのだ。最近奴には資金を援助してもらってるから断れなくてな。まぁ元より断る気もないが」
私の顔は一瞬で真っ青になった。
ま、まさかコカビエル様が約束していた相手とは堕天使総督のアザゼル様!?
わ、私は何て事を!まさかそんな大切な人と会う約束をしていたというのに私の我が儘で、お待たせしてしまうなんて。
「も、申し訳ございませんでした!」
「あぁ気にするな。……というのも無理か。まぁ問題ない。奴が俺を呼び出すなんていつもの事だ。少々遅れてもどうってことはない」
あうう。
私のせいでコカビエル様に迷惑をかけてしまうなんて。
こ、こうなったら死んでお詫びを……
「秘技斜め45度チョップ!」
「ふぎゃ!?」
い、痛!?
な、何!?何があったの!?
「やれやれ。俺は気にするなと言っているんだ。あいつとは一応旧友という仲でな。可愛い子供のお願いを聞いて遅れたと言えば奴は必ず許す。少々癪だが大笑いしながらな」
「かわ!?可愛い!?」
「……反応するのはそこなのか」
コカビエル様に笑われた。
は、恥ずかしい。先程とは違う意味で恥ずかしい!
「まぁいい。可愛いアリーにこんなにも泣きつかれたことは初めてだからな。たまには可愛いアリーの頼みを聞くのも吝かではない」
「も、もういいですから!!」
コカビエル様の意地悪!!
「ふふふ。じゃあアリー。行ってくる。子供は早く寝るんだぞ」
「だから、私子供じゃないですってば!!」
「おお怖い怖い」
そう言ってコカビエル様は手をヒラヒラ降りながら出口に向かって歩いていく。
あっ!そうだ!
「コカビエル様!」
「ん?」
「行ってらっしゃい!!後、お休みなさい!」
「フッ。ああ。行ってきます」
コカビエル様はそう言って出ていかれた。
私はここにこれて良かったと思う。コカビエル様のような素敵な男性に出会えることができたのだから。
死んだ父様と母様。私は元気に過ごせております。どうか天から見守っていてください。
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ある日森の中で飛行の練習していたら蝶のような羽の生えた緑髪幼女を見つけた。
飛行の練習している理由?あなた空飛べますよーと言われていきなり空を自由に飛べる分けねぇだろ。
そんなのは漫画の主人公や俺強ー小説の住人位しかいねーよ。元一般人なめんじゃねぇぞ。
で?その子供をどうしたか?
誘拐?しねーよ。
何度でもいうが俺はロリコンではない。
イエスロリータ!ノータッチ!!
鉄則だね!
と、まぁその場で見なかった事にしてスルーしようと思ったのだが、その少女の前にいかにもヤンキー風の男が現れた。
最初は保護者かな?と思い、その男と幼女との会話を聞いていたのだが「俺の物になれ!」「嫌です!」「ならば無理矢理してやるぜ」との会話から強姦魔だと判断。
よし殺そう!
てなわけで、俺は飛行の練習もかねて威圧感を出すために静かに飛び上がり月を背景にしてゆっくりと降りていった。
月光を背後にゆっくりと降りてくるって格好いいよね!一度やってみたかったんだ。
そしたら何を焦ったのか強姦魔が俺に突っ込んできた。
まぁ隙だらけだったから光の槍を腹にぶっ刺してやったら一撃で消滅したんだけど。
弱っ!?
って言うか悪魔にとって天敵とも言える光を扱える相手に向けて一直線に突っ込んでくんなよ。
馬鹿なの?死ぬの?あ、もう死んでたわ。ザマァ。
で、そのまま帰ろうとしたら幼女がキラキラした目で此方を見てくるではないか。
とりあえず両親はどうしたと聞くと両親はさっきの悪魔に殺されてしまったらしい。
……余計なことを聞いてしまったな。
くっ!本当はこのままこの幼女を置いて帰りたいところだがこのまま幼女を置いて帰ると俺の評判に傷がつく。
仕方がないから
……厭らしい意味ではないからな?本当だよ?
後、これは保護であって誘拐ではないからね?
幼女……アリーを拾ってから早数週間の時が流れた。
この自称大人の女性(笑)は実に俺にとってありがたい存在だった。
先ず子供達のリーダー的存在となった事だ。彼女は自称二十才らしいがその見た目故にどう高く見積もってみても十歳位の女の子にしか見えない。
しかし、思考は充分大人らしい言動により彼女のポジションは保護者側からしたら「大人に憧れて背伸びしている女の子」というポジションになった。
そのお陰で我が儘だった子もアリーの言葉だけは聞いてくれ、大人達にも信頼されるようになり連絡がスムーズに進むようになり凄く助かっている。
後、アリーは俺の癒しになった。
彼女は俺を見るとどこにいようと何をしていようと目をキラキラ輝かせて見てくる。
勉強中に俺を見かけてキラキラ→教師役として雇った堕天使に頭を叩かれる。
家事の手伝い中に俺を見つけてキラキラ→持っていたお皿を落として割ってしまい説教。
お風呂に入ろうと全裸になっていたところで逆ラッキースケベによりキラキラ→顔を真っ赤にして鼻血を吹き出し後ろに倒れた。
───な?可愛いだろ?
そして、夜中にアザゼルに呼び出されて出掛けようと出掛けようとしたときだった。偶々アリーに出会ったので適当にからかっていたら、マジ泣きされた。
え?嘘?そんなに撫でられたかったの?
何?ナデポ?ナデポ習得してたの?俺?
とりあえず誤魔化しておく。泣く子には弱いんだよ俺。
泣き止んでくれたと思ったら今度はアザゼルを待たせていることを知って顔を青くした。
赤くなったり青くなったり大変だな。
でも、アザゼルには別に気を使わなくてもいいと思うぞ。あいつもいつも平気で人を待たせるからな。
自己嫌悪で「死ぬ」やら「責任を」とか危ない思考が漏れだしたところで必殺チョップを繰り出し止めた。
こんなところで死なれたら困るんだよ。主に俺の評判が落ちることが。
とまぁ。その後何だかんだやって、ようやく外に出れるようになった時にアリーが玄関まで見送りに来てくれた。
「行ってらっしゃい!!」だってよ。真っ赤な顔で明るい笑顔で言われた。
やっぱりアリーは可愛い(確信)
アザゼルの所に赴いた俺は、前置きは不要とばかりにいきなり本題を持ち込まれた。
何でも預かってほしい子供がいるとか。
……まぁアザゼルの事だから、どうせ普通の子供ではないのだろう。変わった神器を持ってる観察対象や、あいつの知り合いの子供かと検討をつけていた。
まぁどのみち面倒を見るのは俺ではない。全ては嫁達に任せるのだ。俺には関係ない。
そのため二つ返事でその子供を受け入れる事にした。
が、しかし。その考えはかなり甘かった。
その相手は俺にとって将来に関わる重要な人物だった!
「俺の名前はヴァーリ・ルシファーだ。短い間だろうがよろしく頼む」
……
次回予告!!
「俺は俺より強いやつを探しにいく」
「
「ならばお前が俺の相手をしろ」
「止めろこっち来んな」
多分こんな感じ。