やはり一色いろははあざとい。   作:ざきりん

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お気に入り登録してくださった方ありがとうございます!

感想でも言っていただいて、自分も前から思っていたことなんですがやっぱり文字数少ないですよね…。
もう少し長くしようとはしているのですがなかなかうまくいきません…。



追記
タグにオリキャラを追加しました。
ちょくちょく出すつもりなので一応...。


第6話

「ほんと信じられません!こんなに可愛い後輩が家に訪ねて来たっていうのに、なんでドア閉めるんですか!」

 

「いや、あれだ、そのー、不審者だと思ったんだよ…。」

 

「思いっきり『……一色?』って声に出てましたけどそーですか私不審者ですかー。」

 

「…いや、その…悪い…。」

 

だって急に来ると思わないじゃん?

そんで、ちょうど俺から見たアングルが某アニメの「嘘だ!」ってシーンに似てたんだよ…。あのアニメ超怖いよねー。え?知りませんかそうですか。

 

「てかどうやって俺の家知ったんだよ…。」

 

「あ、小町ちゃんに教えてもらったんですよ!いやー小町ちゃんめちゃくちゃかわいいですねー!」

 

「当然だ。俺の妹だからな。」

 

「本当に先輩に似なくてよかったですね…。」

 

え、それはひどくない?

いやまぁ事実すぎてなんもいえないけど。むしろ小町が俺みたいな目だったら俺は生きる意味を失うまである。

 

「てゆーかー、わたし超傷つきました!罰としてまたデートしてくださいね?」

 

「分かった…。でも人が多いところはなしで頼む。あとできれば日に当たるところもなしがいいな。」

 

「罰なんで先輩は口出しできませんよ?」

 

うわー、すごくいい笑顔!なのになんで声はこんなに低いんだろう!

たぶんこいつ俺をいじめる時が一番キラキラしてるよな…。

こんなぼっちをいじめてなにが楽しいんだ!

 

「…てかお前何しに来たんだ?」

 

「何をしに…って、先輩に会いに来たんですよ?」

 

「う……。」

さっきの刺々しく低い声から一転、今度は柔らかく甘い声を出してくる。上目遣いというオプション付きで。

なにそれ反則だろ…。

中学の頃の俺ならこの子俺のこと好きなの?とか勘違いしてアタックして夜に枕を濡らしていたことだろう。

てかこの前も同じこと考えた気が…。

いやほんとこいつと中学の時に会わなくてよかった…。

 

「…あーはいはいあざといわー。」

 

「あざとくないですよぅ!まぁほんとのこと言うと夜ご飯作りに来たんです!」

 

「…夜ご飯??」

 

「はい!先輩料理得意じゃなさそうですし、それに栄養あるもの食べないと風邪引いちゃいますよ!」

 

確かにそれはありがたい。

専業主夫志望として料理は必須スキルだ。だからちゃんと知識はある。だが残念ながら技量が知識に追いついておらず、ゆえに俺の夜ご飯はいつもオムライス、チャーハンなどのご飯もの一品で済ませている。

 

「あー…その…なんだ…、悪いな、なんか手伝えることあるか?」

 

「わたしだけで作らないと先輩のためにならないじゃないですかー!なので先に先輩はお風呂にでも入っちゃってください。」

 

「そうか…。じゃあそうさせてもらうわ。」

 

ふと携帯を見ると小町からメールが来ていた。

 

 

宛先:比企谷八幡

 

件名:プレゼント!

 

おにいちゃーん!私からのプレゼントは受け取った??

今頃ご飯作ってくれてるのかな?

それじゃあ楽しんでね!

小町

 

 

プレゼント?あぁそういえばそんなメモがあったような……

 

ん?

 

 

 

………一色のことかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

いかんつい悟◯口調になってしまった。

なるほど一色は小町からのプレゼントだったか。

あれ?そう思うとなんか余計に嬉しい。不思議!

 

まあ一色はせっせとご飯作ってくれてるし、風呂はいってくるか…。

 

 

 

風呂から上がるとちょうどご飯の準備が整ったところらしく、テーブルに色々並んでいた。

味噌汁、肉じゃが、焼き魚……

普段の一色からは想像できないほど家庭的な料理だ。

 

 

「あ、先輩!ご飯できたんで食べましょう!」

 

「おう、悪いな。」

 

「…こういう時は『悪いな』って言われるより『ありがとう』って言われた方が嬉しいんですよ?」

 

「……ありがとな。」

 

「はいっ!」

 

手を合わせてそれぞれの料理を口に運ぶ。

……うまい。専業主夫を目指すものとして見習わねば。

 

 

「どうですか?」

 

「…や、バレンタインのイベントの時で料理ができるってのは知ってたんだが…。ここまでだとは思わなかったわ。…毎日こんなのが作れたらいいんだがなぁ……。」

 

「そうですかそうですか!……はっ!もしかして俺じゃ作れないから毎日家に来て作ってくれって口説いてますか毎日先輩の家に来たいのは山々ですけど流石に週一が限度なんで毎日は無理ですごめんなさい。」

 

「いや違ぇよ…。」

 

また振られてしまった。

振られすぎてそろそろ振られるのが気持ちよく……なりませんねごめんなさい。

 

「ま、なんだ…、ありがとな。」

 

「はいっ!」

 

……この笑顔は反則だろ。

普段のあざとく、計算された笑顔ではなく、本当に心からの笑顔を見せる一色に俺はどこか愛しさを感じた。

 

 

 

 

 

 

「じゃあ先輩、毎日じゃなくてもいいんでたまにはちゃんとおかずも作って健康的な食事をしてくださいね?まあ先輩が病気とかになったら看病しに来れるんでわたし的にはプラスですけど!」

 

「心配してくれてるのかしてねーのかどっちだよ…。」

 

「でもやっぱり先輩が元気なのが一番なのでまたわたしも作りに来ますね!あ、今のいろは的にポイントたかーい!」

 

「いつからお前もポイント制導入したんだよ…。」

 

「じゃあそろそろ電車来るので!また来ますね!」

 

「また来るのか…。あー…まぁ、今日はありがとな。」

 

「はい!」

 

まああいつの料理はうまかったし、たまにならこういうのもいいか…。

あくまでたまになら、の話だが。

 

一色は改札を通ってもまだ俺に手を振っている。

やめて!恥ずかしくて死んじゃいそう!

てかもう電車の音聞こえてるから!早く行っていろはす!

一色もそれに気づいたのか慌てて階段を降りて行く。

 

 

 

一色がいなくなると急に静かになったような気がした。

やはり俺もどこかで楽しさを感じていたのだろう。

充実感を感じた後の虚無感は、なんとも言えないモヤモヤとした霧のように、俺の心に残った。

 

 

 

 

 

「さて、帰るか…。」

 

 

 

 

 

俺が家に帰ろうとしたまさにその瞬間、もう二度と関わることのないと思っていた人物の声が聞こえた。

その声はやはり変わらずあっけらかんとしていて、それが俺のもう忘れていた、いや、忘れようとしていた『思い出(トラウマ)』を呼び起こす。

 

 

「あれっ?比企谷じゃん、ちょー久しぶり!」




途中で出て来た某アニメとは「ひぐらしのなく頃に」というアニメのことです!
自分は小学生の時に見て怖くて夜寝られなかった思い出があります笑
ちなみに「嘘だ!」のシーンは鬼隠し編の2話に出て来るので興味があれば見てみてください笑

感想やご指摘等してくれたら嬉しいです!

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