境界線上の死神   作:オウル

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まさか年内にもう一話投稿できるなんて思ってもみませんでした
多分これが2016年最後かなぁと思います・・・多分(汗)



十話 参

今後の覚悟を問うという意味では

 

この相対は最も適した場面だろう

 

配点(相対戦)

――――――――――――

 

・・・終わりましたわね。

 

ミトツダイラは、初戦の相対戦の結果を見た。

直政があそこまで武闘派だという事にも驚いたが、意外だったのは商人であるシロジロが勝った事だ。

 

・・・でもこれで武蔵は武神相手にもやれることが証明されたわけですわね。

 

そしてミトツダイラは、先程の直政の顔を思い出した。

 

康景が誰かを頼ったことに対して憤りを感じたんですのね・・・。

 

直政の康景に対する感情は、薄々感づいてはいた。

でも先程の雰囲気や感情の変化から、それが確信的なものに変わった。

ミトツダイラも中等部時代に一度康景に大きく世話になったことがある。

襲名や師の事で色々あったのに、あの男は困ってるこちらに手を差し伸べた。

だから直政が悔しがる気持ちもわかってしまう。

 

康景の心境の変化について、聞いてみたい気もするが恐らくこれは担任の仕業だろう。

オリオトライが康景に与える影響は大きい。

それは日常のやり取りや、彼が弟子入りしている点からして明らかな事実だ。

 

その事に関して、ミトツダイラは羨望と嫉妬の感情がある。

 

彼は特に、意図的に悪意を持って人を避けたりはしなかったが、何故か彼との距離は開く一方だった。

それでもいつか、彼は心を開いてくれると思って気が付けばこちらは受け手になっていた。

でも結果は、オリオトライが康景の考え方に変化を生じさせ、シロジロを頼った。

 

・・・できれば最初に頼ってくれるのが私であってほしかったですわね。

 

ミトツダイラは己にもそういった焦燥感がある事を自覚しつつ前に出た。

 

「次は私ですわね・・・武蔵騎士代表、「銀狼」ネイト・ミトツダイラが尋ねます!教導院側は何をもって私たち騎士を従えさせることが出来ますの?」

 

ミトツダイラは背負っていたケースを床に置いた。

そのケースの重みで床に若干のへこみが出来たことに皆が「うわぁ」などと言っているが無視して続ける。

 

「昔、随分やんちゃしてしまった時期もありましたが、そんな騎士を従えさせようとする相手はどなたですの?」

 

相対の相手を求めたミトツダイラは自分の相手を想像した。

 

・・・まぁまず総長は無い、アレは戦闘力皆無ですし。

 

どう考えても戦闘力は無い、出ようとしたところで皆が止めるだろう。

だとすればやはり康景だろうか?

だがしかし、先程の相対戦でトーリは康景ではなくシロジロを指名したあたり、ミトツダイラはトーリが康景に気を遣ったのだろう、そう判断した。

 

・・・康景が仲間と戦わないように。

 

総長はあれでいて気が回る人物だ、だとすれば今回も別の相手を指名する可能性が高い。

 

なら相手は誰か。

 

戦闘系でいえば点蔵やウルキアガあたりが適任だろう。

 

まぁ誰が相手でも、私のやることは変わらないですけど・・・康景はちょっとやりづらいですわね。戦力的にも・・・精神的にも・・・。

 

しかし、いくら待っても相手は出てこなかった。

それどころか目の前で円陣を組んで作戦会議をしている。

 

「おいおいどうすんだよ、ネイトめっちゃやる気じゃん・・・ヤスお前行けよ」

「うーん・・・自分も一応毒とか持っているで御座るが・・・ここはヤス殿で御座ろう」

「遠距離系の私が外側からズドンするのもありますけど・・・やっぱり康景君でしょう」

「拙僧思うにシロジロを待って銀弾手に入れるのもあるが・・・ここは康景だろう」

「ナイちゃんとガっちゃん二人で行っていいなら二人で空から攻撃するけど・・・ここはやっすんだよね?」

 

こちらに筒抜けの作戦会議だった。

しかも先程無いだろうと想定から除外した康景が候補に挙げられている。

 

こ、この連中、私に対して嫌がらせしか考えてないんですのー?!

 

ミトツダイラはイライラしつつ相対相手を求めた。

 

「は、早くしてくださいません事?」

 

******

 

一同はミトツダイラの相手が誰がいいか思案していた。

 

「俺?確かにネイトとは一回話しておくべきだと思ってたし、別にいいけど・・・なんで?」

「え・・・やっすん気づいてないの?引くわー」

「何が?」

「え・・・康景君それキャラでやってると思ってましたけどガチなんですか?引きます」

「だから何が?」

「え・・・ヤス、お前それは流石にねぇって・・・引くわー」

「だから何に対して何を気づくんだよ?」

「「え?」」

「え?」

 

康景は己が壮大に馬鹿にされてる理由を解らずに困惑した。

 

「「(マジかよホントにミトツダイラの事わかってなかった・・・!!)」」

 

一同は、康景は己の蟠り云々でそういった話を避けてると思っていたが事実は違った。

意外ッ!それは素だった!この男は素でわかっていなかったのだッ!!

「鈍感にもほどがあるだろッ!」一同はそう思い、ミトツダイラに同情と憐れみの視線を向けた。

 

「?」

 

首をかしげるミトツダイラと困惑してる康景に構わず話を続けた。

 

「天野君の朴念仁っぷりは今は置いておこう」

「何だと眼鏡、ハッサンカレーにぶち込むぞ」

「なんで僕の時だけ反応違うんだよ!あと君も眼鏡だろう!?・・・いいかい?騎士階級って基本僕たちより身分が上なわけで、負けたら損するのはあっちだよ?」

「つまり?」

「今回の相対の意図は何だろう?」

 

一同が首を傾げて悩む。

その反応にミトツダイラは相対相手を急かす。

 

「ちょっと!いつまで待たせるんですの?!」

「おいヤベェって!ネイト・未凸平が怒ってるぞ!」

「もうここはヤス殿で良いで御座ろう」

「拙僧もそれに一票」

「私もそれに一票」

「自分もそれに一票」

「お前らなんか適当になってない?ねぇ?」

「「まっさかぁw」」

「仲いいなお前ら・・・」

 

それから紆余曲折はあったものの、結局スクラムの中から出てきたのは康景だった。

 

******

 

散々待たされた挙句、結局出てきたのは康景だった。

 

・・・やはりそう来ましたか

 

確かにこちらと相対できるような人間は限られている。

これは自負ではなく、半人狼としての膂力の事を言っている。

半人狼である自分は獣変調できないが、それ故にそれなりの力が出せる。

 

だがミトツダイラは何度か康景と授業で模擬形式で戦った事があるが、一度も勝てなかった。

故に康景が出てくるのは、

 

・・・妥当なところですわね。

 

しかし、康景は武器を持っていなかった。

武器はトーリに持たせ、手ぶらで出てきた。

 

「・・・どういうつもりですの?」

「どうって?」

「どうして武器を持っていないんですの?」

 

こちらを侮っているんですの?・・・それとも・・・?

 

「貴方・・・わかっていますのね、どうして私がここに来たのか」

「解るわけないだろ?俺はお前じゃないんだし(朴念仁って言われたし)・・・やっぱりここは本人の口から直接言ってもらわないと」

「言えるわけ・・・ありませんわ」

「じゃあやっぱり何かあるのか?」

 

肯定しそうになるのを堪え、自分がここに何をしに来たかを思い出す。

 

騎士代表として私が今すべきこと・・・。

 

思い、ミトツダイラは片膝をつき、口を開いた。

 

「武蔵代表、そして領主代表であるネイト・ミトツダイラが領民に宣言します・・・」

「・・・!天野君!ミトツダイラ君を止めて!騎士団は市民と戦って負けるつもりだ!」

 

ネシンバラが叫ぶ。

ネシンバラはどうやらこちらの意図に気付いたらしい。

 

騎士が市民に負けるという事は、市民権力の台頭を意味す。る

騎士は名だけのものになり、市民の中に入ることになる。

 

・・・それは結果として武蔵から市民を守る騎士が居なくなるという事。

 

騎士団は安全を考慮した結果、「自分たちという武力がいることで人々が聖連に逆らう意思を高めてしまうのではないか?」という考えに至り、市民に危害が及ばぬように、降伏して市民の安全を図るという結論に至った。

それでいい、とミトツダイラは思う。

 

「我々は武蔵の人々に・・・」

「おーいヤス、ネイト止めろ、とりあえず胸揉んで抱き寄せて耳元で囁けば止まんだろ!」

 

何言ってますの?!

 

トーリが馬鹿な事を言い出したので、思わず言葉が出せなかった。

あの男は昨日私の胸を揉んで殴り飛ばされたのを忘れているのだろうか。

 

・・・あ、でも康景にならされ・・・た・・・///

 

そんな煩悩が頭を過ぎり、ハッとするミトツダイラ。

頭の中に浮かんだ煩悩を消しつつ言葉を再開した。

 

・・・平常心、平常心ですわ。

 

これでは総長と変わらない思考回路だと思われる、平常心ですのよネイト・ミトツダイラ。

 

「我々騎士団は・・・」

「うーん、それやったら殴られるよね?とういうか半殺しにされるよね?全身の骨の半分折られるよね?」

 

いや、しないからやってほしい。

そう言いそうになって言い留まるミトツダイラ。

康景がこちらに歩みよる。

 

煩悩退散、煩悩退散、煩悩退散・・・!

 

こちらに来る前にミトツダイラは降伏しようとした。

 

「市民に対し完全なる・・・」

「ネイト、聞いてくれ」

 

気が付けば、康景はこちらの前にまで来ていた。

そしてこちらに手を伸ばす。

 

・・・殴ってでも止める気ですの?

 

康景は殴るときは殴るし、そういった点では男女平等だが、こういう時は紳士的な対応をする・・・はず。

だが康景はミトツダイラを殴ったりはせずにゆっくりとミトツダイラの頬に手を当てた。

 

「わっひゃい!///」

「わっひゃい?」

 

触れられた冷たい手に思わず驚いて変な声が出てしまった。

 

康景許すまじ・・・!

 

完全にこちらが宣言するタイミングを逃した。

 

「ネイト?俺な、今まで皆にすごい迷惑かけてきた事に今日になってようやく気付けたんだ。ほんとは朝皆の前で言いたかったけど、その時お前らいなかったから・・・だから遅れたけど、今言うよ」

「な、なにを・・・?」

 

思わず息を飲むミトツダイラ。

こちらに顔を近づける康景。

脳の処理が追いつけずパンク寸前で、顔は平然としているつもりだったが内心は恥ずかしくて死にそうだった。

ミトツダイラの心臓は爆発寸前なのだが、康景はそれに気づくことなく話を進める。

遠くの方から狂人が「やめたげてよぉ!」と叫び、それに付随して周囲から「もうやめて!貧乳のライフはもうゼロよ!」などと叫ぶ者もいた。

よし貧乳って言ったやつは後で殺そう、そうしよう。

周囲のヤジも気にせず、康景は言った。

 

「俺、それなりに考えて「覚悟」して来たんだ・・・だから、もう迷わない。今まで気を遣わせたりして、すまなかった・・・」

「・・・」

 

思わず涙が出そうになるのをミトツダイラは耐えた。

顔が熱くなるのがわかる。

この男は、なんて狡いんだろう。

 

・・・逃げてきた癖に、こういう時に限って真面目に向き合うんだから。

 

「でも俺まだまだこんなんだから、また皆に迷惑かけるかもしれないし、迷ったりするかもしれない。だから、その時は・・・俺を「助けてくれ」ネイト」

「!!」

 

ミトツダイラは思わず康景の手を取った。

 

ああ、これで騎士連合からハブられますわね・・・。

 

だが、それでも構わない。

もうこの総長と並ぶレベルの馬鹿を一人にはさせない。

今まで誰にも頼らないで生きてきた人間が、助けを求めてきたとあっては「救わない」という選択肢はありえない。

少なくともミトツダイラの中ではそれぐらい重要な事だった。

 

「市民の助けを求める声を聞かぬ騎士などいません。騎士の魂は必ず市民を救いますわ・・・そして康景、貴方の事も必ず救って見せます」

「・・・ありがとう」

「ですが康景、一つ約束してください」

「?」

「迷ったり、助けが欲しいときは一人で悩んだりしないと、私と約束してください」

「・・・わかった、約束しよう」

 

ミトツダイラは康景の手を握ったまま立ち上がった。

自分が康景を救いたい、そんな願望もあったが、この男はこちらが何かする前に乗り越えてしまった。

恥ずかしいセリフなどを考えたこともあったのに、無駄になってしまったではないか。

 

これは今度焼き肉店巡りでデート確定ですわね・・・もちろん奢りで。

 

「・・・この勝負、俺の負けって事で良いんだな?」

「ええ、そうですわね。結果的には騎士は民より上の身分なのに変わりはありませんもの」

 

ミトツダイラは康景の手を引いてトーリの元に移動した。

領主会の決定事項に背いて「市民守る」宣言した挙句デレデレな顔を晒しながらミトツダイラは、終始嬉しそうにしていた。

 

「騎士ネイト・ミトツダイラ、第五特務として総長連合に復帰したいと思います」

「うん、お帰りネイト、でもさぁオメェ・・・いつまでヤスの手握ってんの?w」

「・・・あ」

「どうした?」

「そぉい!///」

 

言われて気づき、慌てて手を放した。

ミトツダイラはまたしても奇声を上げてしまった事に恥ずかしさを感じる。

 

康景許すまじ・・・!

 

これは八つ当たりの気もしないでもないが、大抵康景のせいだからしょうがない、うん。

その様子を見ていた外道連中はニヤニヤしながら、

 

「あれ犬だったら絶対尻尾大変なことになってますよねw」

「うんうん、やっぱあれだよねぇw」

「「チョロインw」」

 

等、よくわからない事を口走っていたが無視。

 

ち、チョロくなんてありませんわ!

 

そう言いたかったが、康景の顔を見た途端そう言うことが出来なかった。

 

二番勝負はミトツダイラが「わざと負けて市民の安全を」と考えた領主会の意に反して、「市民を守る」という選択をして騎士の位置関係を維持したことで、結果的に聖連側が勝ったことになった。

 

ちなみにこの後康景が直政に似たような事を言って照れ隠しにボコボコにされたのはまた別のお話。

 

*****

 

正純は一連の馬鹿なやり取りを見て若干羨ましく思いつつ、

 

・・・仲間かぁ。

 

今の自分は康景の仲間だと、果たして言えるんだろうか?

ホライゾンが連れ去られる時、私は康景を止めた。

そんな私を、今の彼は友人と、仲間だと言ってくれるだろうか?

これから康景たちの敵に回るというのに。

 

正純は重い足取りで前に出た。

 

「では、これで一対一の同点だな・・・最後の相対に入ろう」

 

そこで不意に、下から複数の馬車が停まった音に気付く。

 

アレは・・・暫定議会の・・・そうか、最後まで任せてはくれないんだな・・・父は。

 

暫定議員の面々が教導院下の階段に勢ぞろいしていた。

 

******

 

最後の相対戦を前にわずかな準備期間に入った武蔵側は、再びスクラムを組んで作戦会議を始める。

トーリが不意に立ち上がる。

 

「おっし、皆!これから最後の相対戦だけど、目的はセージュンをこっちに引き込むことだ!」

「「jud!」」

「で?どうやってアイツ引き込む?」

「「考えてなかったんかい!」」

「えーだって俺馬鹿だぜ?」

「「今さらw」」

「う、うるせぇ!」

「・・・その件だけど、俺に考えがある」

 

一同がどうするか考えている中、康景が手を挙げた。

康景は立ち上がり、話し始める。

その内容を聞いた一同は、上手くいくか不安に思いつつも、その話を採用した。

 

*****

 

陸橋の上に三つの影があった。

 

左舷側にトーリ

右舷側に正純

 

そしてその中間辺りにオリオトライがいた。

 

「じゃあ一応最後ってことで先生立ち会うけど、内容は討論って事でいいのね?」

「jud.・・・葵もそれでいいのか?」

「おう・・・だけど俺馬鹿だからさ、ヤスと一緒にやっていいか?」

 

ゆっくりトーリの背後に立つ康景。

正純は反応に困った。

 

康景・・・ここでお前か・・・。

 

正純は康景と真正面に向き合って話せるか不安だった。

しかし、ここで逃げては行けない、と踏みとどまる。

 

「解った・・・だが私も必要に感じたら助言を得る、構わないな?」

「おうよ!余裕余裕」

「じゃあ二人とも準備はいい?どっちから始める?」

「よぅーし!俺先っ行ー!」

 

は?いやいや、葵・・・討論とは最初の方が不利だ、それは多分商いでも同じことが言えるはずだろう・・・。

 

しかし、武蔵側の商人は顔色一つ変えないでこちらの状況を見守っている。

 

・・・もしかして何かあるのだろうか?

 

トーリの背後の康景を見る。

彼はいつもと変わらない、愛想のない顔でただそこに立っていた。

康景もその辺の事は理解してるだろうに、彼はトーリに何も言わなかった。

逆にこちらが不安になってくる。

 

「アンタ本当に先攻でいいの?今なら「自分は馬鹿です」ってちゃんと言えたら訂正する機会をあげなくもないけど」

「くっそ!くっそ!先生俺の事馬鹿にしすぎだろ!」

「・・・大丈夫ですよ、先生」

 

トーリの発言にそれでいいか確認を取る担任だったが、その確認に答えたのは康景だった。

康景は先生の顔を見て言った。

その目を見たオリオトライは納得の表情を見せ、

 

「・・・そう、それでいいなら先生構わないけど、正純は?」

「・・・jud.私もそれで構いません」

「じゃあこれ、オオクニヌシ系ミサトの契約書だけど、二人がそれぞれの立場で討論する事に違反したら罰則くだるから」

 

「jud.」表示枠をなぞって捺印する二人。

それとは他所に康景がオリオトライに質問する。

 

「一応聞きますが先生、罰則とは?」

「ん?あーやっぱり天罰喰らうのは皆怖いっしょ?だから先生がね、武器で殴ることにしたの」

 

意気揚々と語る担任の言葉に康景はトーリと正純に向かって、

 

「・・・うん、死んだな」

「ちょっおま!自分だけ契約書に捺印してないからって他人事だなオイ!」

「あ、あはは・・・」

 

正純は乾いた笑いしか出なかった。

 

いや死ぬだろうそれ・・・!

 

「大丈夫よ、流石に康景に毎日やってるように抜刀状態で殺しに掛かったりはしないわ、ちゃんと鞘で殴るから多分死なないわよ・・・多分ね」

「あぁ、いつものオリオトライ式の10分の1くらいですか、なら死なないですね・・・多分」

「「お前普段どんな訓練してんだ!!」」

 

思わずトーリと突っ込んだ正純だった。

その「死ぬかもしれない罰則」を聞いて納得がいっていないトーリだったが諦めて正純に向き直る。

 

「じゃあ、元総長兼生徒会長の葵トーリが皆に提案するぜ!要は一つだ、権限を取り戻すことも何も、俺がホライゾン救って告白するという壮大な計画の足掛かりでしかねぇ!だからここで一つハッキリさせておこうぜ!ホライゾンを救いに行くことで何が得で何が損なのか!」

 

トーリが康景と一度視線を交わし、こちらに向き直り頭を掻きつつ告げた。

 

「まずは、まぁ・・・こっちの立場を明確にさせておくか・・・それは・・・・・・ホライゾンを救いに行くの、やめね?」

 

空気が凍った。

正純も、臨時生徒総会を通神で見ていたK.P.A.Italiaも三征西班牙も、暫定議会の面々も、口を開けてその場から動けなかった。

何秒間か固まった後、正純はトーリと康景を見て、

 

「何ぃー!!!!????」

 

叫んだ

 

 




散々ネイトをチョロイン扱いしてきた私ですが、書いててチョロインの定義が曖昧になってしまいました
ですのでこれをチョロインと見るかは読者の皆様にお任せします

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