ポケモンの力を貰った人が異世界から来るそうですよ?   作:ゴロゴロ鼠

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第8話

 

十六夜がレティシアにゲームをすることにしたのを黒ウサギが止めていたが2人は無視してルールをどうするか話しだした。

 

「ゲームのルールはどうする?」

 

「どうせ力試しだ。手間暇かける必要もない。双方が共に一撃ずつ打ち合い、そして受け合う」

 

「地に足を着けて立っていたものの勝ち。いいね、シンプルイズベストだ」

 

ルールを決め終わると2人は中庭へ飛び出し向かい合いそれぞれ天と地に位置していた。

 

「へえ、箱庭の吸血鬼は翼が生えているのか」

 

「ああ。翼で飛んでいる訳ではないが。・・・・制空権を支配されるのは不満か?」

 

「いいや。ルールにはそんなのなかったしな」

 

(なるほど、気構えは十分。あとは実力が伴うか否か……!)

 

満月を背負うレティシアは黒い翼を広げ、金と紅と黒のコントラストで彩られた自分のギフトカードを取り出し、ギフトを顕現した。

光の粒子が収束し、長柄の武具が現れる。

 

「互いにランスを一打投擲する。受け手は止められねば敗北。悪いが先手は譲ってもらうぞ」

 

「好きにしな」

 

レティシアは翼を大きく広げ全身を撓らせ全力で打ち出した。

 

「ハァァア!!!」

 

怒号と共に放たれた槍は流星の如く大気を揺らして十六夜に落下していく。

槍の先端を前に、十六夜は牙を剥いて笑い。

 

「ヘッ!_______しゃらくせぇ!」

 

 

殴りつけた。

 

「「・・・・は!!?」」

 

レティシアと黒ウサギは驚き声を上げた

 

(ま、不味い・・・!)

 

十六夜に殴り返された槍はレティシアの体が反応できない程のすさまじい速度でレティシアに飛んでいった

 

(こ・・・ここまでだとは・・・)

 

槍がもう少しでレティシアに当たる距離まで来たときレティシアは安堵し、倒れる覚悟を決めたとき

 

「ふぅ、あっぶねぇ・・・」

 

と言う声と何かあったかい物に包み込まれた感じがして目をあけると

 

「え!?」

 

レティシアは大河に守られるように抱き抱えられ飛んできていた槍は目の前で止まって中に浮いていた

 

「おい!十六夜、当たったらどうする気だったんだよ」

 

「あ~、わりい」

 

「まったく・・・大丈夫か?レティシア」

 

「あ、ああ。大丈夫だ、ありがとう」

 

レティシアを地面に降ろすと

 

「黒ウサギ!何を!!」

 

黒ウサギがレティシアから瞬時にギフトカードを掠め取った。

 

「ギフトネーム『純潔の吸血鬼(ロード・オブ・バンパイア)』・・・やはりギフトネームが変わっている。鬼種は残っているものの、神格が残っていない」

 

レティシアは黒ウサギの声に表情が暗くなっていく。すると、いつの間にか十六夜がこちらに近ずいてきて。

 

「なんだよ。もしかして元・魔王様のギフトって、吸血鬼のギフトしか残ってねえのか?」

 

「・・・はい。武具は多少残してありますが、自身に宿る恩恵は・・・」

 

それを聞くと十六夜は大きく舌打ちをした。

弱った状態で相手をされて不満そうな声で

 

「ハッ。どうりで手ごたえが無いわけだ。他人の所有物になったらギフトまで奪われるのかよ」

 

「いいえ、魔王が私達のコミュニティから奪ったのはあくまで人材であってギフトではありません。武具などの物とは違い、恩恵とは神仏や精霊などから受けた奇跡であり、云わば魂の一部。隷属させられても合意なしにギフトを奪われることはありません」

 

レティシアは三人の視線を受けて目を逸らす。

 

「レティシア様は鬼種の純血と神格の両方を持っていたため魔王と言えるほどの力を持っていました。今の貴方はかつての力の殆どありません。何故こんなことに・・・」

 

「そ・・・それは・・・・」

 

レティシアはそう言ったまま俯いてしまい

 

「まあ、こんな所で話さないで屋敷に戻ってからにしようぜ」

 

「・・・そう、ですね大河様の言うとおりですね」

 

「ああ」

 

「・・・・・」

 

黒ウサギと十六夜はそう言って頷きレティシアも頷いて屋敷の方に歩く。

 


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