「ここが私たちの家です!って言ってもご飯食べたりお話しするところなんだけどね」
『ホエ〜』
深海娘たちを保護してから私たちの島についた。
天龍たちには妖精さんに資材を渡してもらって、私は深海娘たちの案内をしていた。
白いワンピースの娘は北方棲姫。通称ほっぽちゃん。お姉さんにもそう言われているらしい。島に向かっている途中に、
「ゼロ!ゼロ!」
と言っていたから、零戦が欲しいのかな?年相応の元気さだね。可愛い。
頭に被り物がある娘はヲ級のヲルカちゃん。普通のヲ級の半分くらいの身長で、杖みたいなのは持っていなかった。お姉さんに危ないから持っちゃダメって言われているのかな?
話してて分かったことは、大人しい娘ってことだね。あと表情をあまり出さない。
だから話が続かないんだよね。ほっぽちゃんたちと話しているときは笑ったりしているけど。
…信用されてない証拠だな!頑張ろう、私!
最後にフードを被ったビキニ姿の娘、レ級のレンちゃん。
元気。とにかく元気。
網にかかった魚を見せたら私からひったくって振り回したりしていた。大切な、しょ、食材がぁ…。
天龍と同じ俺っ娘ちゃんなのかなって思ったけど私っ娘だった。俺っ娘も似合うと思う。
見た目以上に力は強く、すばしっこいのが特徴。はにかむ姿が天使そのものである。お姉さんもさぞかし綺麗な方でしょう…。
「資材置いて来たぞ〜」
「お、いいところに来たね天龍。これから昼ご飯作るからこの娘たちと遊んどいてくれる?」
「な、何で俺がチビどもと…」
『っ…』キラキラ
「…ッチ!しょうがねぇな。おいチビども、あそこにいる同じ服をきたチビどもがいるじゃねえか。あいつたちとも一緒に遊ぼうぜ」
『ヤッター!!!』
天龍は深海娘たちのキラキラビームに勝てなかったようだ。無理もない、断った瞬間泣かれるのは嫌だからね。勿論私はキレるな。天使たちに涙を流させたな!死すべし!!!…ってね。
暁4姉妹も誘うとはなかなかやりますな。こうして見ると幼稚園の先生みたいだな。
天龍幼稚園か…経営するんだったら全力で手助けしよ。
「おい戦姫。俺の分の飯多くしろよ」
「はいはい」
天龍はお返しだと言わんばかりに言ってきたが、そもそも多く作るから必然的に量が多くなるんだよね。
さてと料理開始しますか。今日取れたのは伊勢エビに鱈と鰹と鯵!しかも今回の鯵は一味違う。そう、シマアジが捕れた…。運いいな私たちって。
昼は伊勢エビの網焼きと鱈の唐揚げと鰹の刺身。あと海鮮スープ。
七輪と網は妖精さんが作ってくれたし、濾過機も作ってくれたから水は塩味がしない!だけど塩水を使うゼィ!
鰹のタタキを作ろうと思ったけど酢や醤油がないから作ろうにも作れない。というわけで刺身にした。
唐揚げに使う油はオリーブの実がなっていたから押しつぶしてオリーブ油を作って置いたから大丈夫。野菜が欲しいでゴザルよ…。
海鮮スープは贅沢にシマアジを肉団子にして投下する予定。夜はしゃぶしゃぶかな。
「もう天龍ちゃんったらはしゃいじゃって〜。戦姫さん何か手伝えることってあります〜?」
「僕も何か手伝えることってないかな?」
「ありがとね。時雨ちゃんに龍田さん。誰か揚げ物とかできる?」
「龍田揚げなら何度か作ったことがあるわ〜」
龍田揚げか…。それもいいかな。よし予定変更。龍田揚げにしましょう。
「じゃあ鱈を切ってその後に油用意しとくから、揚げといてもらえる?」
「分かったわ〜」
「時雨ちゃんは魚切ったことある?」
「ご、ごめん。ないんだ」
「そう。それじゃあ盛り付けと味見お願いね」
「分かったよ」
時雨ちゃんは味見と盛り付け担当、龍田さんは揚げ物担当となった。
よっしゃ作りますか。
まず魚の血抜きをしなくては。生臭い原因になっちゃうからね。
と、こんな感じに料理を作っていった。
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「できたー!」「できたわ〜」
「僕なにもしていないんだけど…」
いやいやちゃんとやってくれたじゃないですか。皿用意したり、テーブル拭いたり、鍋の片付けとか。それだけでも私は嬉しいのです。
「じゃあ時雨ちゃんは天龍たちを呼んできてくれる?」
「分かったよ」
てーんりゅーう!ご飯だってー!!!
時雨ちゃんが外に出て叫んだ瞬間、
ドタドタドタドタドタドタ……
バァン!
「飯か!?飯なのか!?…飯だー!いただくぜ!」
目をキラキラさせた天龍が涎を垂らしながら扉を開けてきた。妖精さんが作ったお陰か、扉は無事だった。
「天龍…手、洗ってきなさい。じゃないとご飯抜きです」
「なん…だと…?それは嫌だ〜!」
そう言うと天龍は走って洗面所まで行った。その前にちびっ娘が並んでいたから結局最後に手を洗う羽目になったらしいが、それはお気の毒だとしか言いようがない。ドンマイ!天龍。
「みんな揃ったね?それじゃあ…いっただっきま〜す!」
『いただきま〜す!』
「美味しいっ!」
「
「私も料理してみようかしら」
「電もしてみたいのです!」
今日も駆逐娘たちには好評のようだ。
まず龍田さんが揚げた龍田揚げを食べてみよう。
「…ん、はむはむ…。美味しい!」
この龍田揚げは丁度いい柔らかさで揚げられていて、それでもカリッとした食感を味わえる。ここまで美味しい竜田揚げがあったのか…!ありがとう龍田さん。とても美味しいです。
「ん!これ美味いな!」
「それは私が揚げたのよ〜」
「すげぇな龍田!また作ってくれ!」
「あらあら天龍ちゃんったら〜」
天龍は龍田さんの竜田揚げが気に入ったよう。でも天龍さん、油が足りないんで時々しか作れないっす。すんませんっす。
それに対して龍田さんはニコニコしているだけだった。
「…」
「ヲ…?(どうする…?)」
「レレ…?(食べていいのかな…?)」
「食べてもいいんだよ?食べてくれると作った私たちは嬉しいんだよ」
「…ソレジャア。…はむはむ…!!!」
「ヲヲ!(これは!美味しい!)」
「レレ!レレ!(美味しい!美味しいよ!)」
「それは良かった。まだ沢山あるからどんどん食べてね」
「ウン!(ヲ!)(レレ!)」
返事をするなり沢山の料理を口にしていった。天龍がお代わりしようとした時に鍋を覗いたらスッカラカンだったので落ち込んでいた。そのあと…
「ま、まぁ?俺は優しいし?面倒見もいいから?こんなことでキレねぇし?」
そんなこと言って家の近くにある木をぶん殴りまくっていた。木、倒れちゃったよ。飯の恨みって凄いな。
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ご飯を食べてから1時間後
少しお腹も休まったと思うから深海娘のお姉さんを探しにいこうかな。
「ほっぽちゃん、ヲルカちゃん、レンちゃん、そろそろお姉さんたちを探しに行こっか」
「ウン!(ヲ!)(レレ!)」
「それじゃあみんな、留守番お願いね」
『はーい(おう!)』
「じゃ、行こっか」
みんなが留守番してくれるから大丈夫だと思うけど、心配だから妖精さんたちにも手伝ってもらった。そうしたら家の前に壁が建った。違う、そうじゃないんだよ妖精さん。
内心涙を流しながら砂浜までやってきた。
「みんな。これから私は艤装を出すから、ビックリしないでね?」
そう娘たちに忠告し、本日2回目の艤装を出した。さっきやったからなのか最初よりすんなり出てきてくれた。
「がぁ、がががぁが(戦姫様、お疲れ様です)」
「ありがとね、パッくん。これが私の艤装、パッくんです」
「がぁが(よろしくお願いします)」
「ワタシホッポ!」
「ヲヲヲ…ヲヲ(ヲルカ…よろしく)」
「レレ!レレレレ(レン!よろしくね!)」
怯えると思ったらそうでもなかったみたい。逆にフレンドリーに接している気がする。
やっぱ仲間同士だとあんまり怖くないのかな?でもそれじゃなんで深海棲艦に囲まれている時に怯えていたんだろう。仲間意識とかなんとかなのかな?まあそこは気にしなくていいか。それよりお姉さんを捜しにいかないと。
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「んー。いないなぁ」
1時間くらい捜したけど人影も見当たらない。海は広いなぁ。しかも私とほっぽちゃんは足遅いからそこまで移動出来ないんだよね。最終的には海を走るレベルだから私は。
で、今は休憩中。深海娘たちは元気があるようで遊びまわってた。若いっていいねぇ〜。って私は高校生だったじゃん。なにおばさんみたいなこと言ってんだろ。頭おかしくなっちゃったかな?
「そろそろお姉さんたち捜すの再開しよー!」
「ヲ(うん)」「レレ(うん)」
「あれ?ほっぽちゃんは?」
「ヲヲ…?ヲヲヲヲ…(あれ…?さっきまで一緒だったのに…)」
「レレレレ?(どこいっちゃったんだろ?)」
ヲルカちゃんとレンちゃんは見ていないらしい。
どっか遠いところに行っちゃったのかな…?
ってそうじゃなくてヤバい。お姉さんに見つかったら殺されちまう…私が。
「ほっぽちゃーん!!!どこにいるのー!?」
「ヲヲー!(ほっぽー!)」
「レレレー!(どこいるー!!!)」
大声を出して見ても反応がなかった。
私たちは海上を進みまくってほっぽちゃんを捜した。深海棲艦が突っ込んできたりしたが、思いっきり蹴り飛ばした。今は構っている暇はない。ほっぽちゃんを早く見つけないと。
「…あれは?」
ほっぽちゃんを捜してから30分。もの凄く遠くに人影が見えた。
「パッくん。あれ、なんだと思う?」
「がぁ…。ががあががが。ああがぁがあぁがが(あれは…。着物姿の艦娘ですね。何かを抱きしめながら私達から逃げているようです)」
「あいつがほっぽちゃんを…。みんな捕まって!走るから!」
そう私は深海娘たちに言い、深海娘たちを艤装に乗せて、着物女のところまで走った。滑るより走るほうが速いんだよね。
着物女に近づいたら、その着物女はボロボロだった。まるであの時の''時雨ちゃんのように''…。
「おいそこの女。止まれ」
「オ姉チャン…?」
やっぱり何かという物はほっぽちゃんだったか。ほっぽちゃんはなにもなかったかのような顔をしていた。
酷いことはされていない様子。…良かった。
「その娘を離せ」
自分が出せる最大のドスの効いた声で着物女に言い放った。
着物女は抵抗するかと思ったが素直にほっぽちゃんを離し、海面に膝を付いて、手で顔を覆っていた。
ほっぽちゃんは私のところに飛んで来て、抱きしめてくれた。
「……ぃ」
「?」
「
着物女は泣いていた。私じゃなくて誰かに謝っているように見えた。
「貴女、何かあったの?」
「ぇぐ!早くしないと…姉様も…!」
「私は何もしないから、何かあったのかを聞かせて…?」
「じ、実は…」
話を聞いてみると実に嫌な話だった。
この艦娘、山城の姉は練度が低いのと、運が悪いから大破しやすいのが理由で性的暴力を振るわれていたらしい。それに気付いた山城がその提督に止めるように言ったようだ。そしたら、
「お前が1週間以内に良い報告を寄越すならこいつは解放してやってもいい。だが、1週間過ぎたら…こいつは俺専用の性奴隷として扱ってやるよ」
と言われたらしい。山城自身も運が悪いらしく、ここに来るまでに深海棲艦たちにボロボロにされたようだ。残りの日まであと3日らしい。
つくづく屑ばっかだな提督ってやつは。時雨ちゃんをボコボコにするわ天龍たちに重労働させるわ性奴隷にするわ…人間も腐ったな。いい奴は1人ぐらいいてもいいのに…。
「潰すか…」
「…ぇ?」
あら、勝手に潰すって言葉が出ちゃった。いけないいけない。
「…とりあえず、うちに来ない?艦娘とも一緒に暮らしているから…」
「でも姉様が…」
「ここで泣いててもしょうがないよ。お姉さんも今の山城の姿を見たらお姉さんのほうが可哀想だよ。お姉さんを助けたいんでしょ?」
「えぇ…」
「それじゃあ一緒に作戦を練ろう。そこの提督ってやつにはお世話になっているからね」
私が予想できることは、時雨ちゃんと山城の所属していた鎮守府は同じこと。山城が言っていることは時雨ちゃんと同じ内容だった。これは流石に敵の私でも苛立つレベルの行為だ。潰そう。
「じゃあ、行こっか…」
私は山城の肩を支えながら立った。山城は私に触れられてビクビク震えていたが、大丈夫って言い聞かせたら落ち着いてくれた。
そして帰路に着こうとしたら後ろから…
「ほっぽ…?」
「オ姉チャン…?」
「ヲルカ!」
「ヲ…(姉さん…)」
「レン…!無事ダッタカ…!良カッタ…!良カッタ…!」
「レレ!(姉貴!)」
深海娘たちのお姉さんがいた。
突然会って驚いている姉、心配していた姉、妹を抱きしめて泣いている姉。
目の前には大切な人と会えて良かった、心配したと思ってくれている姉たちがいた。
このまま離れていってもいいんだけど、お姉さんたちとも話したいことがある。という訳で、
「一旦場所を変えましょう。一度皆さん私の住処に来ませんか?」
『え?』
深海姉さんたちは私の発言を聞いて驚いた。
今思うとおかしいやつだよね私って。本当…空気読まないな、私って。
今後の方針は決まった。…空気を読む練習をしよう!
三者面談やらテストが帰って来たり、ヲタ芸打たされるし…
色々な理由で投稿遅れました。
近々鎮守府潰す予定です。主に提督を。
次回はお姉さんたちと戦姫さんのお話です。
次回もお楽しみに!