「資材が無い!!!」
「急にどうしたんだ戦姫?」
元々私と時雨ちゃんの2人の資材で大丈夫だったんだけど、6人新しい住人が増えたから資材の減りが多くなった。自分の島の防衛やら漁業やらで資材がすっからかんになりそうだ。
因みに私はご飯を食べたらそれが艦娘で言うところの燃料になっている。私、エコ女…!
「しざいがのこりわずかなのです…」
「せんきさん!」
「しざいちょうたつおねがいします!」
「…行くしかないのか…」
はっきり言って悪い予感しかしないんだけど。
時雨ちゃんの時だって深海棲艦が6隻もいたんだよ?ぶっ潰したけどさぁ。
それだけならいいんだけどこれ以上のことは起きてほしくないんだよね。資材的にもメンタル的にも。
…となるとそのブラックな鎮守府を潰せばいいのか。でも私単体だけだったら無理があるから駄目か。また今度にしよう。
「遠征か…。それなら俺らに任せな!」
「ここ三日間ごろごろしすぎたわね〜」
「戦姫さんのご飯美味しいしね!」
「あれは力を感じる」
「そうと決まれば出発よ!」
「なのです!」
天龍たちは気合が入っているようだ。
でもこの海域だと戦艦や空母やらがゴロゴロいるんだよね。ここに住み始めてから分かったことなんだけど。
天龍と龍田さんは軽巡で、暁4姉妹ちゃんは駆逐艦。昼間っからどうやって戦艦に勝つんだろう。やっぱ無理があるかな。
「私もついて行くわ。心配だからね」
「僕もついて行こうかな。足手まといかもしれないけど」
時雨ちゃんもついてくるようだ。お姉ちゃんうれしい!
「では8人で資材調達に行きますか!」
『おー!!!』
そうと決まればドラム缶を用意しなくては。
私は3個持って他の娘たちは1個だけにしよう。装備持たせないと。
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「それじゃあ資材調達もとい遠征に行くぞ〜!」
「そうこなくっちゃなぁ、抜錨だ!」
「うふふ♪敵は何処かしら〜」
「暁、出撃します!」
「不死鳥の名は伊達じゃない。出るよ」
「雷、出撃しちゃうね!」
「第一艦隊。出撃です!」
「駆逐艦時雨、出撃するね」
私の掛け声と共にみんなが出撃する時の掛け声をした。私もああいうのやってみようかなぁ。
姫級深海棲艦、戦艦棲姫、出撃します!みたいな。…なんかピンとこない。
そう心の中で1人で会話しながら海を滑っていった。
「なあ戦姫」
「ん?どうしたの天龍」
「お前って艤装とか無いのか?」
艤装?なにそれおいしいの?
なになになに?艤装ってなに?なに武器とかなんか?拳が武器じゃないの?
「艤装っていうのは僕たち艦娘が持っている武器のことを指すんだ。例えばほら、僕を助けてくれた時のル級いたじゃないか。あの盾の深海棲艦ね。あの盾が艤装なんだ」
「へぇ〜。そうなんだ」
ほぉ。あれが深海棲艦の艤装なのか。かっぱらっとけばよかったな。
そういえば見たことないな私の艤装とやらを。みんなは簡単に出すけどどうやって出すんだろ。
「私は物を出すイメージかしらね〜」
「戦う意志かしら」
「守りたいという気持ちです!」
「俺は死んでも戦うって考えているな」
「信頼だね」
「頼ってほしいって思いかな」
「まあ人それぞれだよ戦姫。とりあえずイメージして見るといいよ」
うーむ。イメージですか。難しくないですかね?時雨さん。
私の思いは…平和で楽しい世界かなぁ…。何事も平和に解決したいものだよ。うんうん。
…こんなのでいいのかな?私のイメージって。
「あれ?なんか背中に変な気配が…」
「がぁ?」
「なに、これ…?」
なんか凄いのが後ろにいた。
大きな口に大工さんのような太い腕のパックマンみたいな生き物。
「がぁ、があがあ、がが、がぁが(貴女様の艤装ですよ、戦姫様)」
「なに!?こいつ喋っただと!?」
ギャアアアアアアシャベッタアアアアアア!!!
何これすげぇ!言葉にならないけどすげぇ!かっこいいなぁ…。
名前何にしようかな。大きな口だからパッくんにしよう!ナイス私のネーミングセンス!皆無だ!
「へぇ〜。姫級の艤装ってのは喋るのか。すげぇな」
「自立しているのかしらね〜」
「ひぃぃぃ!怖いよぉ!」
「ふ、ふ、不死鳥のなななは、だ、伊達じゃ、ない、ょ……」
「かっこいいじゃないの。私はいいと思うわよ?」
「グロかわなのです!キモかわなのです!」
「そう捉えられる君たちの方が僕は怖く感じるよ…」
天龍姉妹は少し興味がある様子。暁ちゃんと響ちゃんは震えているね。
まあ私は怖くないけど、ちっちゃい子から見たら怖いのかな。
対して雷ちゃんと電ちゃんは大丈夫なようだ。電ちゃんに関しては可愛いとの賞賛が。
おいパッくん照れんな。ある意味酷いこと言われてるぞ。
時雨ちゃんはその雷ちゃんと電ちゃんに対して怖いのかな。まあ無理もないと思う。おかしいでしょ、これが可愛いって。せめてかっこいいじゃないと。
「まあ艤装とやらを出したのはいいんだけどどうやって攻撃するの?」
「があ、ががが、がぁがが、がががぁがが。がが、がぁがあがががぁ、ぁが、があが(戦姫様が攻撃したいところをイメージすれば私が攻撃します。貴女様と私は繋がっていますから考えを読み取ることができますよ)」
え!?それじゃあ今私が考えていること読めちゃうの?
「があが。があがが?ががぁが(そういうことになりますね。嬉しかったですよ?名前つけてくれたことは)」
「うわぁああああ!!!恥ずかしいよぉおおお!!!」
心を!読まれるのが!こんなに!恥ずかしいだなんて!
もうパッくんには逆らえないよ。心が読まれちゃうんだから。はぁ…。
「そんなこと気にすんなよ。慣れりゃあいいんだよ、慣れりゃあ」
「そんなもんですかね…」
私は涙を流しながら今回の資材調達現場まで向かった。
パッくんが言った通りに、攻撃するイメージをしたら本当に撃ってくれた。何これ対艦ミサイルかなんかなの?優秀過ぎです、ハイ。
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「資材の妖精さんいますかー?いたら返事してくださーい」
1時間くらい海を彷徨った後、ようやく目的地についた。いやぁ苦労しましたよ。いっぱい深海棲艦でるしさ、暁ちゃんがお花を摘みに行きたいとかさ。色々あった…。
「はいはーい。しざいのようせいさんでーす」
「資材をくれねえかな」
「くださいな〜」
「わかりました!ちょっとまっててください!よういします!」
そう言った妖精さんは目の前から消えた。この間にドラム缶を用意っと。1つでいいかな。帰りに漁業するし。1人寂しく。
「はい!よういできました!これがねんりょうで、こっちがだんやく、あっちがこうざい、そっちがぼーきさいとです。すきなだけどうぞ!」
「よっしゃ入れるぜ!」
「あらあら〜天龍ちゃんってば〜」
「天龍たちが燃料で、暁ちゃんと響ちゃんは弾薬、雷ちゃん電ちゃんが鋼材をお願いね。私と時雨ちゃんはボーキサイトを入れるから」
「分かったぜ」「は〜い」
「分かった(わ、なのです)」
返事した後みんなはドラム缶に資材を入れ始めた。
私もボーキサイトをドラム缶に詰め込みますか。ボーキサイトってアルミの原料だとかなんとか。猛毒ならしい。私には毒は効かないけどね。フグの内臓食べても大丈夫だった。腹痛がしただけ。
そう考えれば毒って効いてるじゃん。
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「ありがとう妖精さん。また来るよ」
「おまちしてますー!」
「よし、帰りますか」
資材をドラム缶いっぱいに詰め込んだ私たちは妖精さんに別れを告げ、帰路についた。
「あぁー!腹減ったぜ」
「そうね〜」
「そんな時のために!網を持って来ましたー!」
『おぉ…』
フンス…。私は曳き網を海に放り込んで、海を移動した。今回の網は前回のより少し小さめの網にしてもらった。それでも80kgぐらいあるんだけど。それでも沢山の魚が捕れているでしょう。家に着くまで海につけとこ。
「ん?なんだいあれは」
「どうしたの時雨ちゃん」
「ほらあそこに…」
時雨ちゃんが指を指したところには小さな島があって、その周りに沢山の黒い粒があった。
「がぁががが。あががあがが、ががぁが…(あれは深海棲艦ですね。何かを追い詰めているように見えます…)」
「本当に!?あの距離でも見れるの!?」
「が、がぁ。がああがぁが(ま、まぁ。それほどではありませんよ)」
謙虚だなぁパッくんは。にしても凄いなパッくん。私たちには点にしか見えないところまで見えちゃうんだから。私の艤装は優秀ちゃんです。私と違って…。
「どうする?艦娘かもしれないから私は助けにいくけど」
「そりゃぁ…助けるしかねぇだろ!」
「あらあら〜天龍ちゃんってばやる気ね〜」
「ま、まあ?ついていかないこともないわよ?」
「姉さん。ついてこなくてもいいよ」
「酷い!」
「行くしかないわね…」
「できれば敵でも助けてあげたいのです」
「僕は戦姫の考えた通りにするよ」
みんなは助ける方に賛成のようだ。
仲間がいるかもしれないんだから当たり前か。
「それじゃあ今さっき私が考えた作戦を言うよ?」
「マジかよ…大丈夫かぁ?」
「さぁ?自分でも分かんない。作戦は簡単。挟み打ちをします。以上」
「簡単すぎだなオイ!」
しょうがないじゃないか。短時間じゃこれしか思いつかないんだから。
これ以上有効な作戦はないと思うけどなぁ。
「私1人で片方攻めるから、あとのみんなは反対側でよろしく」
「…ったくしょうがねぇな。その作戦に乗ってやるよ」
「私も良いと思うわ〜。あの
「いい練習台ね!」
「姉さん、それ言っちゃいけない言葉」
「全くよもう!私も出来るだけ頑張るわ」
「電の本気を見るのです!」
「戦姫の期待に応えてみせるよ」
「それじゃあ題して!みんなで挟み打ち殲滅作戦じっこー!それじゃ、散開!」
『おー!!!』
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「はーい戦姫さんが通りますよ〜!皆さん気を付けてくださいね〜。死にますよ〜」
「があがががぁぁが、がが、がぁが、がががぁ、ががっが、があぁががぁ(およそ30隻敵がいます。駆逐イ級、ロ級、軽巡ホ級、雷巡チ級だと思われます)」
「へぇ〜そうなんだ。とりあえずぶっ潰しますか。パッくん、前方に砲撃始め、
そんな名前言われても分かんないもん。覚える気もしないし。とりあえず撃ってもらった。
バカァン!バカァン!バカァン!バカァン!
バァン!バァン!バァン!
凄いねパッくん。全滅しちゃったよ。どんだけ強いの貴女。私いなくてもいいよね?
「があがが(いないと困ります)」
「そう思ってくれるなんて…わたしゃあ嬉しいよ…!」
「がががが(そういうのいいんで)」
「あ、ハイ」
こうして私のところには深海棲艦は1匹もいない状態になった。時雨ちゃんたちの方はどうなのかな。少し援護しますか。
「向かい側の海に目標、深海棲艦!砲撃、放てー!」
バァン!バァン!バァン!
「ふぅ…これでなんとかなったでしょ」
「があああが。ががあが(早速あの島に行きましょう。何がいるのか気になります)」
「そう焦らないの。私も気になるんだから」
パッくんは気になる様子だけど、私はそれを抑えた。
会うであろう艦娘たちに怖い思いさせたら時雨ちゃんたちに白い目で見られる。それは嫌です!
そういうものですかね、とパッくんが言っていたが、そういうもんなんですよ、ハイ。
そう会話しながら私は島に向かって行った。その頃天龍たちは…
「…俺らちょっとしか狩っていないんだけど」
「あらあら〜凄いわね〜」
「私たちの」
「存在意義というのは」
「どこにいったんだ…」
「なのです…」
「まあ、しょうがないよ。戦姫なんだから…」
みんなで落ち込んでいた。
家に帰った時にこっ酷く叱られた。みんな怖かったです。
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島についた。
そこにいたのは3人の少女。
1人は白いワンピースを着て、何かを抱えている白い髪の娘。
もう1人は頭に大きな被り物を被った白い髪の少女。前もこの娘の大きいバージョンを見たけど頭吹っ飛ばしたんだっけ。
もう1人はフードを被ったビキニ姿の白い髪の女の子。みんな怯えているようだ。
私はパッくんを仕舞った後、少女たちの目線に合わせて、
「もう怖いのみんなやっつけちゃったから大丈夫よ」
「オ姉チャン…ダレ…?」
白い少女はビクビクしながらも、勇気を出して私に聞いてきた。
「私は戦姫。貴女たちを助けに来たの。どうしてここにいるのかな?お母さんと逸れちゃったの?」
「オ姉チャンタチト逸レチャッタノ…」
「そうなのか…。それじゃあお姉さんが見つかるまで、私の家にいる?後ろにいるみんなは優しい人ばっかだよ」
「…イイノ?」
「…ヲ?(いいの?)」
「レレ…?(いいのかな?)」
「大丈夫大丈夫!ご飯もちゃんと用意するし、お姉さんもちゃんと見つけるから!ここにいたらまた今さっきの怖いのに囲まれちゃうよ?」
3人は囲まれると言う言葉を聞いた瞬間、涙目になり首を振った。やっぱ怖かったんだろう。
「戦姫の料理はすげぇ美味いぜ。俺が保証する」
「なのです!」
「本当に美味しいわよ〜」
「れでぃの鏡だわ!」
「力を感じるよ」
「もうお母さんみたいな人よ」
「一家の大黒柱見たいな人だね」
「それほどでも〜あるけど!」
みんな私のことベタ褒めじゃないですかやだー。嬉しいぜ!
「で、どうする?」
「オ姉チャンノ家ニ行ク…」
「ヲ!(私も!)」
「レレ!レレッレレ!(私も!また襲われても助けてもらえるから!)」
「ふふっ…分かったわ。それじゃあ3人ともうちにおいで。歓迎するわ!」
私たちは資材と食材を調達するのと同時に3人の少女を家に迎えた。うちはどんどん賑やかになっていくぞー!やったー!
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「ほっぽー!どこにいるのー!返事をしてー!」
「何処ニイッタンダロウ…」
「変ナヤツニ攫ワレタト思ウト俺ハ…俺ハ…」
「この海域にはいないみたいね…西の方に行ってみましょう」
3人の深海棲艦がいなくなった妹を探して海を彷徨っていた事を戦姫は知る由もなかった…。
出しました、深海棲艦。
戦姫には艤装が付きました。艤装には自我があるようです。
それと時雨ちゃんの絵をまた書きました。卒業カウントダウンのですが…。
【挿絵表示】
今回もアリエンティ下手くそです。
時雨ちゃん好きの方はすんません。