「はいばんざーい」
「ば、ばんざーぃ...」
「よく出来ましたー!ご褒美にぎゅー!」
「羨マシイデス...姫様ァ!」
「ひっ!?ご、ごめんなさい...!」
「おいヲウカさん?後で話し合いましょう?」
「ア...違ウンデス...」
「何が違うのか私には理解に苦しむわ。だから、ね?」
「ヒィィィィ!!!」
お風呂上がりの艦娘たち(ただし駆逐艦の娘たち)を拭いていただけなのに。シャワーにも怯えてるんだよ?
そしてヲウカは悲鳴を上げてどっかいった。
ヲウカのせいでこの娘、えーっと誰だっけ...。弥生ちゃん...そう弥生ちゃん!怯えちゃったじゃん。
「大丈夫よ。あの人も悪気があって言ったわけじゃないからね。安心してね」
「うぅ...こ、怖かったです...」
私は時雨ちゃんにしてあげたように優しく抱きしめて、頭をぽんぽんしてあげた。
弥生ちゃんは少しずつ表情が和らいでいった。そんな気がする。無表情なんだけど、なんか分かってしまう。頑張ったんだね。よしよし。
「ママ...」
「ふぁい?」
「私たちに、お母さんがいたのなら、こんな感じなのでしょうか...」
「んーどうだろうね?私はお母さんって言うほど歳とってないしなぁ。まぁいいけど」
実際人間の時に学校でお母さんって言われてたし。
そんな歳とってないというかまだピチピチの17なんですけど。ただ今の女子高生より家事が得意なだけであって...。
まぁ、お母さんって言われてあんまり嫌とは思わないよ。慣れてるし。こんな可愛い娘たちにお母さんって言われるならむしろバッチコイっすよ、はい。
「ママ...ありがと...」
「どういたしまして。それじゃあこの服に着替えてね」
「分かりました...」
そう返事して弥生ちゃんは服を着替えて始めた。
あと残っている艦娘は1人。
「ごめんなさい...ごめんなさい...!」
「霞ちゃん...大丈夫だから、ね?だからお風呂入りましょ?」
「もう許して...!」
うーむ。完全に心閉ざしちゃっているというか、全てに怯えてる。どうすればいいんだろうか...。
「...!そうだ霞ちゃん。ママと一緒にお風呂入りましょ?」
「...ママ?」
「そうよ。今日から貴女のママは私よ。親子なんだから、ね?一緒に入りましょ?」
「うん...」
よっしゃ!私がママになる作戦成功!ありがとう弥生ちゃん。弥生ちゃんのお陰ですぐに解決できたよ...!
「それじゃあお洋服脱ぎましょ?」
「うん...いたっ」
「...火傷?」
霞ちゃんの身体には太ももからお腹にかけて小さい火傷が幾つもあった。
「ろうそく...」
「え?」
「ろうそく...垂らされた...」
「蝋燭!?大丈夫なの!?」
「!?ごめんなさい!だから打たないで...!」
「あ...ごめんね。怒鳴っちゃって」
そういい私は霞を優しく撫でた。
やっぱりビクビクしちゃってる。相当やばかったみたいだ。霞ちゃんの気持ちを考えろって言われたら答えられないくらいに。当たり前だけど。
「頭から洗うね。目、閉じた?」
「うん...」
わしゃわしゃ...
何日も何週間もお風呂に入ってなかったから髪が指に引っかかる。傷んでいる証拠。少し強くしないと。痛いの我慢してね、霞ちゃん。
「痒いところとかある?」
「首の近く...」
霞ちゃんは小さい声でそう答えた。まだ頭を触られるのに抵抗があるみたい。震えちゃってる。早く終わらせないといけないんだけど...髪が指に引っかかる!
「ごめんね。頭痛いでしょ」
「大丈夫...です」
「そう、なら良かった。頭流すね」
ジャアーーーー...
シャンプーの泡をシャワーで流したら少し濁った。相当汚れていた様子。そして洗った髪は綺麗な灰色になった。仕上げに
「トリートメントもしちゃうね」
「そこまでしなくても...」
「駄目よ霞ちゃん。女の髪の毛は命の次の次に大切なのよ?」
今の霞ちゃんの髪は綺麗にはなったけどバサバサ。それを治すためにトリートメントをする。
ちなみにリンスは髪の表面を保護する役割で、トリートメントは髪の毛の内部から修復する役割なんです。覚えておきましょう。
という訳でタオルで霞ちゃんの髪を少しだけ拭きます。髪に水気があるとトリートメントが中まで浸透しない、らしい。で、櫛。手櫛でもいいんだけど霞ちゃんの髪は...ね。
「はいできました。湯船から出る時に流すわ。それじゃ、湯に浸かりますか。はい霞ちゃん」
「え...?」
「体に湯を浸かろうとすると火傷が痛いでしょ?それと水を嫌っているように見えたからね。ママと一緒に入りましょ?」
「うん...いたっ」
少し水温高かったかな?40度でも痛い様子。お風呂上がったら軟膏でも買わないといけないね。
「ねぇ霞ちゃん」
「なんですか...」
「私がママになって嬉しい?」
「...」
デスヨネー。
そりゃあそうでしょ。急にママになってあげるって言った20分後に嬉しいって聞くとか、私の頭はイカれたようです。あ、もうイカれてたか。
「わからない...けど」
「けど?」
「こんなに優しく撫でてもらったことなんてなかった...」
「うん...そう」
「ここ...」
霞ちゃんが小さい手で触れたのは自分自身の胸。私のは触っていません。
「ここが暖かくなった...気がする」
「そう...なら良かったわ」
少しは軽くなったのかな?まだまだ嫌な記憶があるっぽいというかあるけど、少しずつ直して行けば元気になるかな。
「そろそろでましょうか。はい霞ちゃん」
「...!?」
びっくりしている霞ちゃん可愛い。
まぁそれはそうかも。お姫様抱っこしてるもん。
「はい目閉じてね」
霞ちゃんを風呂椅子に座らせてシャワーで流した。
少し艶が出てきたかも。これを何回もやれば髪質は元通りになりそう。
「うん!綺麗になったね!じゃあ上がりましょ」
「うん」
私は霞ちゃんの身体を優しく拭いて着替えの手伝いをした。1ヶ月ぐらいはこのような事が続きそうだけど...ここにいるって決めた?以上ちゃんとしないと。
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夜9時頃私は鎮守府にいた艦娘たちを大広間に集めた。
「みんな集まってー」
なぜ集めたのかというと同じ部屋で寝た方がいいかと思ったから。
よく悪い夢を見ている人に寄り添うと落ち着くっていうじゃん?それっぽいことをする為。私は12時ぐらいまで起きている予定。
寮にあった敷布団を片っ端から引っ張って大広間に敷きました。寮には何故か妖精さんが住んでました。なぜかと聞いたら、
「あんなやつにけんぞうなんてさせません」
「ていとく、かんむすに、ひどいこと、する、だめ」
「だからいなくなったらもどるよていでしたがもうだいじょうぶでしょう」
と言ってた。
久しぶり妖精さんの声を聞いた気がする。可愛い。
「みんな布団にはいったー?自分の布団がないって娘いたら手を上げてー」
そう聞いたら手を上げる艦娘はいなかった。よし、大丈夫ね。
「何かあったら言ってくださいね。今日はもうずっとここにいるから。みんなおやすみなさい」
そう言って私は大広間の電気を消した。
初めての暖かい布団だからすぐに寝ちゃった娘もいた。
寝ている娘はみんな気持ちよさそうな寝顔だった。
「ふぅ。今日の仕事は終わりかな」
「お疲れ様戦姫。ごめんね僕、なにもできてないね...」
「大丈夫大丈夫。時雨ちゃん。ちょっと来て」
「?まぁいいけど」
「頑張った時雨ちゃんにご褒美のぎゅー!」
「わわっ!いつも戦姫は...」
飽きませんよ。女の子に抱きつくのは私の生き甲斐なんだから。そう考えると同性好きってことになるのかな?まぁ時雨ちゃんと付き合えるなら喜んでだけど。
「明日からもっと忙しくなるよ時雨ちゃん。買い出しにお掃除、洗濯もしなくちゃいけないからね」
「うんそうだね。何から何まで戦姫に頼ってばっかり。僕も少しは戦姫の力になりたいよ」
「嬉しいこと言ってくれるねぇ!そんな時雨ちゃんも可愛い!お姉ちゃん大感激!」
「そうやって強く抱きつかないでよ、苦しい」
あぁつい可愛くて。私も悪いけど可愛い時雨ちゃんも悪い。五分五分ってところだね。
私はこんな感じに時雨ちゃんとイチャイチャを繰り返した。
そして気付けばもう12時。イチャつきすぎたお陰で周りが見えなかった。そして他の娘を見てみると苦しんでいる様子はなかった。
「それじゃあ時雨ちゃん、おやすみ」
「おやすみ、戦姫」
私と時雨ちゃんは同じ布団の中で一緒に寝た。
朝起きたら時雨ちゃんが私の腕に抱きついて寝てました。鼻血が出そうなほど可愛かったなんて言えない。
ども、烈華草です。
家庭科同好会を抜けて柔道部に入りました。肩周りが絶賛筋肉痛です。
最近戦姫絶唱シンフォギアXDはじめました。
シンフォギア面白いですよ。未来さんとマリアさんとキャロルちゃんが自分の推しです。
Twitterのアカウント
@rekkaso0126か烈華草
と打てば出てくる筈です。
評価、コメント、誤字報告、コラボしたい方はどしどしどうぞ。
早く深海提督様とのコラボを書きたいです。頑張ります。
次回もお楽しみに!