戦艦棲姫になっちゃったよ。   作:烈華

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本土奇襲作戦in時雨ちゃんたちの鎮守府。その8。

戦姫side

 

 

「ここなら大声出しても大丈夫でしょ」

「ちょっと心配だけど、大丈夫じゃないかな」

 

この白い制服…を着た人間、まぁ提督っていう職業のクズをイスに縛りつけたところです。

 

今いる部屋は防音対策をしているであろう部屋だと思う。よく刑事ドラマとか龍◯如く5の桐生さんが遥ちゃんと話してた場所、うん、そんな部屋です。

まぁ透明な仕切りが入っている訳でもないので防音室ということにします。

 

「そろそろ必要な道具でも出そうかな」

 

爪剥がし用の道具とかペンチとか電気ポットとかetc…

何故電気ポットかと言うと、

爪剥がしたときにもしかしたら気絶するじゃん?

お湯沸かすじゃん?ぶっかけるじゃん?おきるじゃん。

という目覚し時計の代わりになってもらいます。起こしてあげるなんて私やっさし。

こう考えてると私、サイコパスやん。駄目やん。………深海棲艦だから当たり前!うんそうしよう!

 

「あとはレオとヲウカが憲兵長を捕まえてくれればいいんだけどね…」

「あの二人だからどうだか…」

 

と時雨ちゃんは苦笑いしながら言った。

苦笑いをする時雨ちゃんも可愛いなぁ。抱きしめたくなっちゃう!

…だけど今抱きしめられないんだよねぇ…。

ちゃんと公私をわきまえなくちゃ。自重しなきゃ。そもそも公私とか自重ってどんな意味だっけ?落ち着けってことかな?まぁいいけど。

 

『姫様ー姫様ー』

「ん?ヲウカからだ。どうしたの?」

 

何かあったのかな?

レオが暴走しちゃったとか?

 

『憲兵長見ツケタンデスケド…アノ、島風チャンヲデスネ?犯ソウトシテタンデスヨ。ソレデデスネ?レオガブチ切レチャイマシテ。……ドウシタライイデスカ?』

「ちょっと待っててヲウカ。……時雨ちゃん時雨ちゃん」

「どうしたの?戦姫?」

「もし、もしだよ?時雨ちゃんが好きでもない男に犯されそうになりました。そこで私が時雨ちゃんを助けるために男を殺しました。そうしたら時雨ちゃんは私の事、きらいになる?」

「………嫌いには、ならないかな?うん嫌いにはならないよ。戦姫の事は」

「ありがとう時雨ちゃん!もう大好き!」

「んぅ~!急に抱きしめないでよ。びっくりするから」

 

…ハッ!ついつい癖で時雨ちゃんを抱きしめてしまった!自重するって数分前決めたのにもう忘れたのか私!もう自重なんてしないぞ!ぷんぷん!…………オウェェェ!

 

『アノー姫様?イチャツイテナイデ、早ク命令ヲ、オ願イシマス、ハイ』

 

あぁ!ヲウカのこと忘れてた。すみませんヲウカ。以後気をつけます。多分。

 

「ぶっ殺しちゃってもいいよ。頭は残しておいてね」

『レオガ殺ルンデ残ッテイルカドウカ分カリマセンガ殺セト言ッテオキマスネ』

「よろしくーんじゃ」

 

適当に流しちゃったけど大丈夫かな?

まぁレオが頭を残してくれることを祈ります。多分残らないに1票入れますわ私。

 

「流石に残らないんじゃないかな…レオさんがあの男を…」

 

やっぱり時雨ちゃんもそう思ってた。レオがやるんだから残らないよねやっぱり。

 

「そうだ時雨ちゃん!ここに捕まってた艦娘たちを途中で見つけたのよ!ついて来て!」

 

と言っておきながら渡しはじめ時雨ちゃんを持ち上げる。

体が小さいから軽いね。本当のお姫様みたい。私が姫様だけどな!

 

「本当に!?わぁ!急にお姫様だっこはやめてよ戦姫…恥ずかしいよ…」

「ふふっ。可愛いよ時雨ちゃん。でも急がないといけないから我慢してね?」

「んむぅ…。ゆっくり行ってね?お願いだよ?」

 

と時雨ちゃんが言って私の体にしがみついた。石鹸のいい香りが時雨ちゃんの髪からする。もう一生頑張れるわこれ。

 

「それじゃあ行くよ!」

 

私と時雨ちゃんは親子と倒れていた艦娘のいる場所へと走っていった。

ちなみに時雨ちゃんは私のことを強くしがみついてくれました。超柔らかかったです。色々と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ここだよ時雨ちゃん」

「...!」

 

時雨ちゃんは目を大きく見開き、口元に手を添えていた。

無理もないよこんな酷い状況。誰でもこうなっちゃうもん。

自分と同じ艦娘が目を虚ろにさせて横たわっているんだから。

 

「...許せない」

「ん?どうしたの時雨ちゃん」

「あの男...絶対に許さない!」

 

時雨ちゃんが怒った。

初めて私の前で怒った。

 

「...!まって時雨ちゃん!」

「離してよ戦姫!」

「確かに殺したいって思う気持ちは分かる。でもそれをあのクソ野郎にぶつけても今目の前にいるあの娘たちはどうなるの?心に傷つけたままで残っちゃうんだよ?」

 

目を虚ろにさせながら毎日見えない何かに怯えて過ごしている女の子なんて見てられないよ。

提督を殺したとしても「はいそうですか。それで?」で終わってしまうかもしれない。

もしかしたら発狂して自殺するかもしれない。

他の艦娘を殺してしまうかもしれない。

その中でできることなんてあまりないんだから。

 

「だったらどうすればいいの!?教えてよ戦姫!」

「手を汚すのは私たち深海棲艦だけでいいの。時雨ちゃんは時雨ちゃんが出来ることをすればいいの。今寝ている艦娘を介抱するのだって、あそこにいる憲兵さんの手伝いとか、色々あるのよ。時雨ちゃんは、時雨ちゃんたちは手を汚さなくていいの」

「うぅ...戦姫...!」

 

私は泣いている時雨ちゃんを優しく抱きしめ、軽くリズムを打ちながら背中を叩いた。

 

「大丈夫大丈夫。時雨ちゃんが泣くことはないよ。悪いのは私たちでもあるし、人間たちでもあるんだから」

「でも戦姫は...」

「そうだ時雨ちゃん。証拠写真を撮りましょ?」

「証拠写真?」

「そう証拠写真。これとか書類とかを大本営?に送るの。そうすると、ここまで言えば分かるよね?」

 

 

今までのクソ野郎の行いや提督室に置いてあった書類、これから撮るであろう録音やら。それらを大本営?に送ればどうなるか。軍事裁判を受けさせることになるのだ。多分。弁護士呼んだとしても、まぁ勝てないね。ここまで傷つけたんだもの。

 

「高橋さーん!カメラ持ってますー?」

「デジタルカメラならありますよ」

「ちょっと時雨ちゃんに証拠写真を撮ってもらいたいので貸してくれますか?」

「こんなものでよければどうぞ」

 

そう言って高橋さんはデジカメを貸してくれた。後は、

 

「時雨ちゃんには仕事を与えます」

「うん」

「ここの鎮守府を運営した提督が行った行為をこのカメラに収めてください」

「了解しました」

 

時雨ちゃんは私に敬礼をしてカメラを受け取ってくれた。

...時雨ちゃん、すごく良い顔になったな。

人はやっぱ変われるもんなんだよ、うん。

 

「レオ、ヲウカ、聴こえる?」

『ハイ姫様。感度良好ファイブトゥーフォーデス』

「何言ってんのヲウカ...まぁいいや。これから提督を縛り付けた部屋に行くから一旦合流しましょう。なんか残ったものとかある?」

『血ダラケノ帽子ト、後ハ...半壊シタ頭部ガ残ッテマスネ』

 

結構がっつりやったんだなレオさん。パないっす。

 

「まぁ取り敢えず提督室の場所知ってる?」

『ハイ、知ッテマスヨ』

「そこに集合ね。島風ちゃんは建造ドッグの方に向かってって言っといて」

『了解シマシタ』

「ふぅ。これで、ちょっと先に進んだかな」

 

後はやった行いを洗いざらい吐いてもらって録音して証拠写真を撮って書類をまとめて大本営に送れば一先ず安心かな。

 

「あともう少し。みんな待ってて」

 

この鎮守府が終わり、新しくなる未来はそう近くない、そう確信した気がする。頑張らなくちゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 




どうも烈華草です。
最近備蓄をしたあと大型で爆死するのが楽しいと感じて来ました。
なんか家の鎮守府に改ニが増えました。
鳥海さんや霞ママ、蒼龍さんが改ニになってくれて嬉しい限りです。
あと足柄さんと川内と夕立、時雨ちゃんを改ニにしなくては。

Twitter始めました。

@Rekkaso0126

と打てば出てくると思います。

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いつしかコラボもしてみたいで

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