ゲート・忍者来れり 作:体は大人!心は中二!
遠見の水晶。
初期プレイヤーに支給されるCランクのアイテムで敵の発見、および国内の観察に使われるアイテム。
白眼を持たないバサラはこれを使用して、捕縛チームとジゼルの様子を見ていた。
しかし、大蛇丸の発言で人体実験や同人誌的なヤバい展開とエロい展開を映画と薄い本などの知識で妄想し、色々な意味で危険だと判断し、覗きを中断。
バサラは最高ランクの装備である赤い甲冑を装備し、高速移動で捕縛チームの元に降り立ったのである。
ただ、降り立った時にジゼルのおっぱいに写輪眼でガン見してしまったのはオッパイ星人の悲しい習性だった。
しかし、このバサラの悲しい習性が思わぬ発見をし、バサラは目を鋭くさせた。
「な……なんだよ?俺を殺すのか?」
写輪眼はチャクラを色で判別する能力がある。
ゲームでもその設定は生かされており、水遁は水色・火遁は赤・木遁は緑・雷遁は黄色…などなど術者が術を使用する際には相手プレイヤーの体から色を持つチャクラが出てきて、知っている術なら相手プレイヤーの頭上に術名が表示される。
そして、バサラの目の前にいるオッパイ……もとい、ジゼルは白いチャクラのような物を纏っていた。
白は仙術チャクラを示す。
まさかその姿は蛇の仙人モードなのか?
だとしたら、この女…プレイヤーか?
渦巻く疑念にさらに目が鋭くなるバサラ問う。
「お前は……何者だ?」
「ひぃ!?じ、ジゼル!しゅ、主上ハーディに仕える亜神だ……です!!」
亜神…。
確か千年の長い時を経て神に至る神の使徒にして代弁者。
この世界の宗教においては強い権力を持つと言われている存在だったか?
バサラは当てが外れた事に喜びと虚しさを混じらせた言葉に表せない感情を振り払い、亜神ジゼルの扱いについて考える。
もし、神の代弁者である彼女を傷つけたりしたら冥界の神ハーディとその信徒たちを敵に回す事になる。
そうなれば、宗教戦争待ったなしで国教にしている国と相手どらなくてはならなくなる。
魔法・精霊魔法などの未知の力を持つ魔法使い達。
ロンデル魔法使いの街では、一昔前にミモザという名の女魔法使いが岩の巨人を作り、一人の男と大喧嘩を繰り広げて多大な被害をもたらしたとか……。
ケンカで巨人を用いる奴らだ、戦争になればもっと容赦しないだろう。
ならば……。
考えを整理したバサラは捕縛チームに拘束を解除させるように命令した。
「大蛇丸、すぐに蛇を消せ。我愛羅、ヤマトは拘束をすぐに解け」
「「「はっ」」」
バサラの命令により、拘束を解かれるジゼル。
のぞき見していた自分が亜神と知られた事で、体をバラバラにされ、幽閉される所まで想像していたジゼルは腰を抜かし涙目であった。
「捕虜ではなく、客として扱うことを約束する代わりに、正直に国を覗いていた事情を教えてほしい。
もし…拒否をするなら君の記憶を覗かせてもらう事になるが……」
「言う!!正直に言うから!!脳みそを抉らないでくれぇ!!」
客として扱う代わりに正直に話す事を承諾するジゼル。
彼女の想像は翼をはためかせ、記憶を見る=得体の知れない魔法で抉られた脳みその中を見られる自分を想像してしまったのだ。
まあ、写輪眼を知らないからジゼルがそんな想像をしても仕方がないのかもしれない。
それに過去には老いた自分の体と若い娘の体を入れ替える女魔法使いも存在していた為、余計にそんな想像をしてしまったのだろう。
ちなみにその女魔法使いは入れ替えた体を堪能していた所にジゼルの先輩に当たる黒髪の亜神に殺されて、この世にはいない。
「?…よくわからんが記憶を見るのに脳みそは抉らないぞ」
「ほ…本当か?」
あまりの恐怖に失禁しかけて居たジゼルはバサラの言葉に安堵の表情を見せる。
ただ、バサラの後ろに居るオカマは脳みそだけでなく全身を調べてみたいとジゼルに興味深々である。
もし、バサラが客として扱わず捕虜として国に連れて行った際には、この世界の情報と不死身の存在である亜神についてジゼルの体に直接聞いていただろう。
少しだけ緊張が緩んだジゼルはゆっくりと立ち上がり、バサラと共に日の国へと向かった。
―――――。
日の国に訪れたジゼルはこの世界にはありえない文明に驚きっぱなしであった。
まずは、案内された商店街地区の街並みに驚き。
その中にある服屋で数多の戦場を渡り歩いた事でボロボロになっていた服を数十分ほど完全修復された事に驚き。
そして、最も驚いたのがバサラの城で出された料理である。
「うっめぇぇぇええええええ!!!!!」
城に響くジゼルの咆哮。
地球でおなじみの和食・洋食・中華やジャンキーなハンバーガーなどを食べたジゼルは口からビームが出るのではないかというほどの驚きと感動を覚え、すっかり料理の虜となったのだ。
出された料理をガツガツと食べて、ご機嫌なジゼルはすっかり日の国と美味い料理を与えてくれるバサラを気に入り、この城の近くに神殿を建てればお布施として何時でもこの天上の料理が食い放題になるのではないかとさえ考えていた。
ジゼルの想像を超える料理により、本来の目的を忘れてしまった彼女であったが、それはこの世界の食事事情を知れば当然の事なのかもしれない。
それほどまでにこの世界の文明レベルが低いのである。
「…それで、ジゼルは何しに来たんだ?」
「?……あ」
爆買いならぬ、爆食いを披露するジゼルに引きつつ、本題を切り出すバサラ。
そして、むしゃむしゃと咀嚼していた物を飲み込み、バサラの質問でようやく自分の仕事を思い出したジゼル。
ジゼルの与えられた仕事は、この世界に現れた存在の観測と調査。
スパイ活動のようなこの仕事について聞かれたら、普通は誤魔化したり、嘘で乗り切ろうと考えるのだろう。
しかし、ジゼルは普通の人間よりも頭が緩かった。
故に……。
「俺の仕事は突然現れたこの国を調査して主上さんに報告することだぜ!」
料理に釣られて、本当のことをペラペラとご機嫌に喋ってしまうのであった。
おバカでも普段は仕事に真面目で、ハーディの性癖も理解しようと思っている忠実な信徒であるが、バサラを良い奴だと思ってしまったジゼルの警戒心はゆるゆるで話しても問題ないと思ってしまったのである。
この調子でジゼルはバサラの質問に全て正直に答えた後も、調査する事なくバサラの城に残り、タダ飯を幸せそうに食べるのであった。
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