宇宙難民地球人   作:藤種沟

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もう春ですね〜。

桜の咲く季節………

………っておい‼︎どんだけ投稿遅れてんだ‼︎頭おかしいだろ‼︎

どうもすみませんでした。とても遅れちゃいまして………

こんな作者ですが今後ともよろしくお願いします。


早速逮捕

「だからあたしたちは『地球』という星からホウアシゲンの鉄を求めてここに来ただけです‼︎なんで捕まらないといけないの⁉︎」

 

マリアムが物凄い剣幕でホウアシゲンの警備兵に突っかかる。

 

そう。俺たちはあの後あっけなく甲冑姿の警備兵に捕まってしまい、今事情聴取されているところなのである。

 

「我々にもよく分からんが………地球という星の人間は捕らえよ、と上から命令が下ってるんだ。おとなしく牢屋につながれてることだな。」

 

「ハァ⁉︎冗談じゃねぇぜおっさん‼︎なんで何もしてねぇ俺たちが牢屋につながれてないといけないんだよぉ⁉︎」

 

いい加減なことを言う警備兵に康裕がどなる。

それに続いてチャールズもなんか英語かフランス語かよく分かんない言葉で警備兵に突っかかる。

いつもは冷静なジョーダンまでいろいろギャーギャー言い始めた。

 

当たり前である。「地球人だから」という理由で連行されるなんてどんな無法地帯であろうか。

 

「そうだそうだ‼︎いくらストーリー系の小説だからって無理にこういう迷惑な山場つくるんじゃねぇ‼︎」

 

俺もすかさず相手に文句を言う。

 

しかし、

 

「そもそも進入禁止エリアに入ってきたお前らが悪いんだ‼︎地球人と聞けばなおさら釈放する訳にはいかん‼︎」

 

と警備兵の隊長っぽい人がそう怒鳴り返してくる。

 

「ワタシたちは進入禁止エリアだっテ知ラズに入ってきたんデス。その事は謝るカラ何とか釈放してくれませんカ?」

 

ショウちゃんも必死に懇願する。

 

「チッ‼︎………とりあえず面倒くさいから牢に連れて行け。」

 

「はっ‼︎」

 

隊長らしき人が否応なしに部下にそう命じる。

 

「さあ来い‼︎」

 

俺たちは警備兵に抵抗を抑えられながら牢に連れて行かれた。

 

 

 

 

 

 

「さあ入れ‼︎」

 

ガラガラガラ‼︎

 

勢いよく扉が閉まる音。

 

その後、鍵をカチャカチャかける音がした。

 

「お前たちと一緒にいた犬(チロ)はこっちで保護しておくから安心することだな‼︎沙汰があるまでここでじっとしてな‼︎」

 

扉の向こうで警備兵がそう叫ぶ。

 

「ちょっと開けなさいよ‼︎なんで全員同じ牢屋なのよ‼︎せめて男女分けなさいよ‼︎トイレもままならないじゃない‼︎」

 

マリアムがその警備兵の言葉に重ねる感じで扉をガンガン叩きながら叫んだ。

 

しかし、鉄の分厚い扉は、どんなに叩いてもビクともしない。

地球の鉄でさえ叩いたってどうしようもないのに、オウナが材料に選ぶくらい頑丈なこの星の鉄なんて、どうもする訳がない。

 

扉が閉められた牢屋の中は薄暗く、狭い。六人で精一杯である。

 

マリアムのいうとおり、トイレは牢屋の隅っこに便器がポツンと据え付けてあるのみ。

 

もっとひどかったのは、布団が学校の修学旅行のように、牢屋いっぱいに敷き詰めてある状態であることだった。

 

「あ〜あ、これじゃあ別の意味で犯罪者出すかもね。」

 

マリアムがなんか興奮しているチャールズを睨みながら呟く。

 

「こっちにあるのは小さくした宇宙船のみ。でもこんな狭いところじゃ大きくできないわ。あ〜あ………」

 

マリアムが珍しくため息をつく。

 

「なんでこんなことに………」

 

全くである。こんなのまるで人種差別のようなもんじゃないか。

 

「まあまあ、とりあえず今はこれからどうするかを考えよう。」

 

ジョーダンはあくまで冷静である。

 

この男女共用の薄暗い牢屋に興奮している誰それ何某君よりよっぽどマシだ。

 

「そうソウ‼︎とりあえず寝テ頭整理シマショ‼︎」

 

ギュウギュウに敷き詰めてある布団に構わず寝るショウ・ロンポウ氏。

よく寝てられるよな。こんな状況で。

 

そしていそいそと横で寝ようとするなチャールなんとか君。

 

しかしこんな牢屋では寝ることしかできないかもしれない。

 

ここにあるのは敷き詰められてる布団と小さくした宇宙船のみ。

こんなところじゃ宇宙船も大きくできない。

 

第一、まずはこの星で鉄を手に入れなければならないのだから、宇宙船を大きくできたところで目的を果たすまでこの星からは出られない。

 

「ここ壁まで鉄で出来てるぜ。随分分厚そうな鉄で………」

 

康裕が壁を叩きながら呟く。

 

「銃かなんかあればこれも壊せるかもな。光線銃みたいなの。」

 

「でもそんなもの持ってないわ。まさか宇宙船出た瞬間に捕まるなんて思いもよらなかったから全部宇宙船に置いてきたのよ。だから武器は全部宇宙船と一緒に小さくなってる。宇宙船を大きくできないことには武器なんか取り出せないわ。」

 

「………」

 

万事休すか。

 

俺たちは宇宙をあまく見過ぎたようだ………。

 

「銃が必要デスか?」

 

話を聞いたショウちゃんが布団からむくりと起きる。

 

「ああ。光線銃さえあれば鉄の壁を溶かす事が………」

 

ピルルルルル‼︎

 

………チュドーン‼︎

 

康裕が言いかけた途端、牢屋の分厚い壁が光線で溶けていく。

「コレでOK‼︎」

 

片手に銃を持ったショウちゃんが何事もなかったかのようにまた寝だす。

 

「………」

 

「………」

 

誰もが唖然とするなか、扉の向こうから騒ぐ声がする。

 

「なんだ今の銃声は‼︎」

 

「この牢屋からのようです‼︎」

 

「ぬううう地球人どもめ‼︎叩っ斬ってやる‼︎」

 

カチャカチャ………

 

「み、皆‼︎とりあえず鍵をかけられる前にここを出よう‼︎」

 

幸い、この牢屋は地上で、建物の隅っこにあったから、壁一つ壊せば外である。ここで逃げ出さない手はない。

 

俺たちは、警備兵が牢屋の鍵を開けるのと同時に牢屋を飛び出した。

 

「あぁ‼︎待て‼︎皆の者‼︎であえであえ‼︎」

 

甲冑姿にふさわしく、警備兵たちは刀を持って追いかけてくる。月の光によって、その刃が怪しく光っている。

 

「あれじゃ俺らと同じだぜ………」

 

「全くだ。」

 

康裕と俺がそんな警備兵を見て苦笑する。

 

 

 

 

 

「だめだ‼︎その先は壁だ‼︎」

 

少し走るとジョーダンが叫んだ。

この建物はどうやら本格的な牢屋らしく、高く、分厚い、鉄筋コンクリートの壁が周りにそびえ立っていた。

 

「くそっ‼︎こんな壁登れねぇよ………」

 

康裕が壁を叩く。

 

「ちくしょお‼︎」

 

康裕やチャールズが必死に壁をよじ登ろうとするが、なにせ掴まれるようなものもないつるんつるんの壁である。

 

登れるはずがない。

 

「奴らは壁のところにいるぞ‼︎はやく捕まえろ‼︎」

 

そうこうしている間に警備兵が追いついてくる。

 

「くそっ‼︎」

 

俺も無我夢中で壁に飛びつく。

少しでも逃げ切れる可能性があるなら何回でも飛びつく。

 

たとえ無理でも何もせずに捕まるよりはマシだ。

 

 

 

 

 

 

「ジョーダン‼︎コノ銃で警備兵たちを撃ッテ‼︎」

 

「………⁉︎」

 

唯一壁に飛びつかず呆然としていたジョーダンは、ショウちゃんの声と共に大きな銃を渡される。

 

「………………へ?」

 

「アタシこのバズーカで壁をぶち壊すカラその間時間稼いで‼︎」

 

ショウちゃんはどこから持ってきたか分からない大きなバズーカを片手にとんでもないことを平気な顔で言う。

 

「早く警備兵を撃ってよ‼︎このバズーカエネルギーためるのに時間カカル‼︎警備兵をかわしナガラじゃバズーカに時間カカル‼︎」

 

確かに、警備兵もさすが戦闘のプロである。ショウちゃんの異様な行動に勘付いたのかショウちゃんに集中攻撃を加えようとする。

 

「ええいもうどうにでもなれぇ‼︎」

 

ジョーダンは渡された銃でがむしゃらに警備兵たちを撃つ。

 

いつの間にか警備兵たちはあたり一面を埋め尽くしていたから、がむしゃらに撃っても誰かにはあたる。

 

しかし次から次へとやってくる警備兵たちはジョーダンの攻撃程度ではひるまない。

 

「………康裕、俺たちもやるか?」

 

俺はジョーダンが一人で警備兵たちと戦う様子を見て小声で言った。

 

「………武器は?」

 

「決まってんだろ。」

 

「だな‼︎」

 

でえええええええい‼︎

 

康裕と俺は日本刀片手に警備兵に突っ込む。

 

戦は装備の差だけで勝敗が決するわけじゃない。

 

士気も勝敗を決する上で重要な要素である。

 

 

おばあちゃんを助ける為にもここで捕まる訳にはいかない。

 

 

 

その思いが俺を突き動かす。

 

警備兵たちは「仕事」として俺たちを追いかけている。

 

 

 

 

 

 

 

「もう撃テル‼︎皆アタシから離レテ‼︎」

 

ショウちゃんが叫ぶ。

 

見るとショウちゃんの手にあるバズーカが異様な光を放っていた。

 

この異様な光に、警備兵たちも動揺している。

 

「な、なんじゃこりゃ………」

 

「何をぼけっとしている‼︎早くあのバズーカを止めんか‼︎」

 

警備兵たちがショウちゃんに飛びかかる。

 

 

しかし、もう遅かった。

 

 

 

 

ドオオオオオオオオ‼︎

 

 

 

 

 

一瞬の閃光。

 

分厚くそびえていた壁が崩れる音。

 

それによる衝撃で吹き飛ばされる警備兵たち。

 

俺は思わず目を瞑った。

 

 

 

 

 

 

目を開けた。

 

そこにはバズーカを持ち、ドヤ顔で立つショウちゃんがいた。

 

俺は横になっていた。俺も吹き飛ばされたらしい。

 

見ると壁の向こうにあったらしき森も焦土と化していた。

 

「さっ‼︎早クここカラ逃げマショウ‼︎」

 

俺はしばらく唖然としていたがショウちゃんに引っ張られるような感じで出た。

 

ショウちゃんは終始笑顔である。

 

振り返ると他の皆もついてきていたが、やはり顔には戸惑いの色が滲み出ている。

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の頭には疑問しかない。

 

そもそも、なぜこの星では地球人が問答無用で捕まるのか。

 

そして、このショウちゃんは一体何者なのか。

 

まるで、宇宙での戦闘に慣れているような武器の扱い。

 

片言の日本語で話す彼女の笑顔に、俺はなんとも言えない恐怖感を感じる。

 

黒龍重工のAIを止める装置の材料を探す旅を、俺はあまりにも甘く見過ぎだのかもしれない。

 

 

 




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