宇宙難民地球人   作:藤種沟

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どうも‼︎部活の試合は近いわ生徒会の選挙は近いわでいろいろ忙しい牛風です‼︎

とにかくここでグダグダ書いてもしょうがないんで小説、どうぞ‼︎


黒龍再び

俺らはチャールズを追いかけてきた道を進み、地球人のテントへ帰るところであった。

 

「いや〜どうなることかと思ったよ。」

 

「ほんとほんと‼︎でもあのでっかい婆さんの気が変わる前にこの星でた方が良さそうだ。」

 

「うん………皆に伝えないと………」

 

俺たちは、助かったという安心感とオウナの気が変わらないか、という不安の念から、少々急ぎ足でテントに向かっていた。

 

動物たちの町を出て、草原を抜け、この丘を越えれば地球人のテントだ。

 

「よいしょっと………」

 

丘の頂上に着いた時、背筋が凍りついたのを俺はよく覚えている。

 

 

 

 

 

立ちのぼる煙。

地球人のテントが燃えている。

 

各国の首脳が集まるテントの横に大きな宇宙戦艦。

 

その戦艦には「黒龍重工」の文字が入っている。

 

逃げ回る地球人。

そして、それを追いかけ銃を乱射するエイリアン。

 

 

 

 

 

 

 

「どういうことだ………これ………」

 

康裕が声にもならない声を発している。

 

俺も状況が飲み込めないでいる。しばらく、呆然とするしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

どれほど唖然としていただろうか。

ふと、俺たちの横を風が横切る。

 

「何事だい⁉︎これは⁉︎」

 

オウナの声。

 

「全く少しは運動しないとダメだね。城からここまで来るのにこんなに時間がかかっちゃったよ。速さも風速くらいしか出なくなっちゃったよ。全く………」

 

ぶつぶつ言ってるオウナの後に、武装した動物兵たちが続々とついてきた。

 

「ワンワン‼︎」

 

「ガオガオ‼︎」

 

「パォー‼︎」

 

小さな犬から肉食獣まで様々な動物たちがやってくる。

 

その様子を見ていち早く我に返ったジョーダンとチャールズはオウナに突っかかる。

 

「おい‼︎どういうことだ‼︎地球人狩りは無くなったんじやないのか⁉︎」

 

「そんなこと言われたってあたしは知らないよ。あんな『黒龍重工』とかいう軍隊なんか見たこともないね。」

 

オウナもよく状況が飲み込めていないらしい。

 

「ただ地球人が『黒龍重工』とかいうのに襲われてるのは確かだね。」

 

オウナの言葉に俺たちは凍りつく。

 

そんな俺たちには気にもとめず、オウナは動物兵たちに号令をかける。

 

「さあ皆‼︎あたしたちの星で勝手に戦をしている黒龍重工とやらを追い出すんだ‼︎そして地球人の船に乗ってる動物たちとその飼い主たちを助けるんだ‼︎さあ行け‼︎」

 

「ワアアアアアア‼︎」

 

動物兵たちが一斉に丘を駆け下りる。

 

あっという間に戦場に着き、黒龍重工のエイリアンたちを蹴散らしていた。

 

「………俺たちもこんなところでぼーっとしてる場合じゃないぞ。」

 

康裕がぼそり呟く。

 

「Come on‼︎Everybody‼︎」

 

康裕の呟きと同時にチャールズが丘を駆け下りる。

 

「あ、待てチャールズ‼︎…………くそ‼︎遅れをとるな‼︎光‼︎ジョーダン‼︎行くぞ‼︎」

 

康裕が俺とジョーダンの腕を引っ張り丘を駆け下りる。

 

「はわわわわ、ちょ、まて、」

 

「チャールズが一人で行っちゃったんだから見捨てるわけにはいかないだろ⁉︎」

 

「いやでもなんの作戦もなしに突っ込むっちゅうのは………痛‼︎」

 

走りながら喋るので舌を噛んでしまった。

 

「康裕、気持ちは分かるが無謀だ。同じ突っ込むでも作戦を立ててから………痛‼︎」

 

ジョーダンが俺の言わんとするところを言おうとしていたが同じく舌を噛んだらしい。

 

そして、康裕は丘を駆け下りた後両脇に抱えていた俺とジョーダンを放り出し、持ってた愛刀を抜いて突っ込んでいってしまった。

 

「ああ、待て‼︎」

 

もはや丘の上には戻れない。

 

「我々も突っ込むしかないですな。」

 

ジョーダンは顔をこちらに向け、コクリと頷くと一人突っ込んでしまった。

 

「ちょ、ま‼︎」

 

俺の手元には日本刀一本。

 

エイリアンたちはなんかものすごい銃。

 

どうすんだよ………………

 

 

 

「何ヤッテルノ⁉︎ボサッとしちゃダメヨ‼︎」

 

声のする方を向くと、丘の上の方からショウちゃんが走ってくる。

そして、その手には小銃を握っている。

 

「アブナイ‼︎伏セテ‼︎」

 

ダダダダダッ‼︎

 

振り向くとエイリアンたちがバタバタと倒れる。

 

「ボサっとシテたらヤラレちゃいますヨ‼︎」

 

ショウちゃんが俺の前に降り立つと、耳元で囁く。

 

「アタシが撃つからアナタは後ろカラの敵をお願い。」

 

「で、でも武器が………」

 

「刀アルでしょ?」

 

それだけ言うと、ショウちゃんはまた銃を乱射する。

驚くことに、それが全部命中している。

 

「ウガー‼︎」

 

ショウちゃんの方をジッと見ていた俺の前にエイリアンがやってくる。

 

それを俺はすかさず刀で斬ろうとする。

 

しかしエイリアンはそれを受け止め、ドヤ顔をする。

 

「はっはっはっはっ‼︎効かぬわそんな攻撃‼︎」

 

そのドヤ顔があまりにもウザいので俺はついにキレた。

 

「はぁ?おまえなめてんのか⁉︎俺この小説の主人公なんだぞ‼︎ここで活躍しないと主人公失格だろうが‼︎

この前作者の友達が『光っておばあちゃん誘拐されただけのつまらない主人公だよね〜(笑)』とか言ってたって聞いてすごい傷ついてるんだよ‼︎ここでおまえが倒れてくれないと俺の立場ないの‼︎分かる?」

 

無鉄砲な俺はエイリアンに説教を始める。

 

「なんなんだよおまえエイリアンとか‼︎なんで言葉通じんの⁉︎黒龍重工の罠か‼︎そうなのかそうなんだな‼︎許さん‼︎いい加減な設定にしやがって‼︎作者を殺してやる‼︎」

 

俺はエイリアンを刀で斬る(叩くといった方がいいのか)

 

「痛い‼︎痛い‼︎……グスン…………俺この小説の設定一切関わってないのに…………」

 

「黙れエイリアン‼︎これでもかこれでもか‼︎あのなぁ、この小説エピローグがすっごいシリアスだったろ⁉︎それでその後俺は主人公としてシリアスな感じでやった方がいいのかな〜とか思ってかれこれ七話頑張ったんだよ‼︎

それなのに作者の友達から『一話目がシリアスだったのにその後から急にシリアスじゃなくなったよねwww』とか言われたんだよ‼︎

おまえのせいだ‼︎約束として五百円払え‼︎」

「ちょ、ま、そんな約束してな…………痛‼︎」

「黙れこのクソ野郎‼︎」

「うううう…………これじゃどっちがエイリアンかわかんねぇじゃないかよ〜」

 

エイリアンが泣きだした。

 

俺の後ろでは、ショウちゃんが小銃一つでエイリアンどもを駆逐している。

向こうの方ではチャールズやジョーダンも銃でエイリアンと戦闘中。

康裕も、刀一つで動物兵たちと共闘している。

 

本来は主人公である俺が活躍すべきではないのか?

 

ええい腹立たしい‼︎

 

「やいこらエイリアン‼︎おまえ役職はなんだ‼︎」

 

「はい。一応参謀をしております。」

 

いつの間にか敬語になっている。

ていうか参謀がこんなとこうろついてて良いのか?

くそっ‼︎余計に腹立たしい‼︎

 

「参謀だったらとっとと大将かなんかに兵をまとめて引き上げろと進言しろ‼︎もうこれ以上脇役たちが活躍されちゃたまらん‼︎」

 

「え、しかし…………」

 

「さっさとする‼︎」

 

「は、はい‼︎」

 

エイリアンが涙ぐみながら帰っていく。

 

「ふ、刀一つで参謀の相手してやったぜ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

「駄目でした☆」

 

エイリアンが心なしか嬉しそうに帰ってきた。

 

「あ〜よかった。軍の参謀が地球人にズタズタに言われて兵をまとめて引き上げるなんて聞いたことないもん。大将が拒否して本当良かった〜」

 

「…………」

 

これは…………

 

「さ、今までこの参謀様をズタズタに言った報いを受けてもらおうか…………」

 

エイリアンが銃を構える。

 

「死ねぇ‼︎」

 

「ギャー‼︎」

 

 

 

 

 

 

プス…………

 

その何かが刺さる音と共にエイリアンが倒れる。

 

「ムニャ…………」

 

ドサ…………

 

そこには、マリアムが銃を構えて立っている。

 

「この麻酔銃よく効くのね…………オウナさんにもらったやつすごいなぁ…………」

 

どうやらマリアムがこいつを眠らせたようである。

 

どうして俺にはこういう活躍の場がないのかしら。

 

「ショウ‼︎」

 

「マリアム‼︎」

 

二人は何か英語で話している。

 

雰囲気が、洋画のヒーローもんの女戦士のようだ。

 

俺がこんなカッコ良い主人公になるのは許されてないのだろうか。

 

「そんなとこにいたのかい⁉︎」

 

俺たちのところに、オウナが走ってやってくる。

 

エイリアンの大軍の間を、縫うようにしてものすごいスピードでこっちにくる。

 

一瞬で俺たちの目の前に現れたかと思うと、

 

「さあ三人あたしにつかまりな‼︎」

 

と言って俺たちを連れてまたものすごいスピードで移動する。

 

しかし驚く事に、俺たちの体にはそこまで負担がかからなかった。

オウナの魔法であろうか。

 

「これで全員だね⁉︎」

 

オウナが止まったその場所に、ジョーダン、チャールズ、康裕の三人がいた。

 

「チロは⁉︎」

 

ショウちゃんが叫ぶとオウナの服のポケットからチロが顔を出す。

 

オウナは動物には本当に親切だ。

 

「さ、あんたたちちょっと来な‼︎」

 

オウナが俺たち全員を抱え、敵のエイリアンがあまりいない茂みの中に入った。

 

「ここなら安全に話ができるね…………あんたたちよくお聞き‼︎」

 

オウナが俺たちに何かを指示するように話しかける。

 

「あのエイリアンたちの首元にはこういうチップがついてる。」

 

オウナはその大きな手にのっている、小さなチップを見せてきた。

 

「これは倒したエイリアンの首元からとってきたものだよ。多分エイリアン全員にこのチップがついてると思うんだけどこれはなんだと思う?そう。このチップでエイリアンたちを操っていたんだよ、黒龍重工とやらは。

多分このチップは人工頭脳、いわゆるAIだね。これでエイリアンどもの頭脳を操作してたんだ。」

 

人工頭脳が操作してたにもかかわらず俺にズタズタに言われてたのか。

 

「つまりね。このチップの人工頭脳をダメにしちまえば黒龍重工とやらはもうダメになる。あたしが捕まえたエイリアンの話だと黒龍重工の兵士の大半はこのチップで操られてるエイリアンかそのチップと同じ型のAI搭載の兵士らしいのよ。だからAIを使い物にならなくすれば、黒龍重工は壊滅という訳さ。」

 

俺は、黒龍重工がAIを製造するもののメインにしていたことを思い出す。

 

「これを見てごらん。」

 

オウナは皆に、一枚ずつ紙を渡す。何かの設計図のようだ。

 

「これは黒龍重工のAIの機能を全部ダメにすることのできる装置の設計図さ。これが完成すれば宇宙に散らばる黒龍重工のAIを全て止めることができる。」

 

俺は設計図に目を落とす。

 

その装置の材料は、なんとか星の草だとか、なんたら星の石だとか宇宙でしかとれないものばかりである。

 

つくるのが大変そうだ。

 

しかしよくこんな詳しい設計図がつくれたものである。

 

「あたしも黒龍重工の事はよく知らないけどあたしのひいひいおばあさんが書いた予言書に黒龍重工の事とかAIの事とか書いてあったからその設計図も正確なはずだよ。」

 

口ではそう言っているが、顔が疑念に満ちている。

 

「な、なんでその装置をつくるのを俺たちに頼むんだ?他のもうちょっと使える奴に頼んだほうが………」

 

オウナは少し不機嫌そうな顔をして言う。

 

「地球人で知ってるのはあんたたちだけだろ?あたしはこの星を長くは開けてられないし、動物兵たちもこの星の警護だけで手一杯だ。

あんたたちしか黒龍重工を止められないんだよ‼︎」

 

オウナはそれぞれに指を指しながら言う。

 

しかしこんな広大な宇宙の中、どうやってこの装置の材料のある星を見つけ、そしてどうやってその材料を星の中で見つければいいのだろうか。

 

「チロ‼︎ちょっとおいでな。」

 

オウナがチロを手招きする。

オウナがチロの頭の上に手を置き、そして何か呪文のようなものを唱え始める。

 

しばらくして、オウナはこちらを見て言った。

 

「この子に詳しい材料の位置とかの情報を吹き込んでおいたから、あとはこの子に聞きな。まあもっとも、この情報もひいひいおばあさんの予言書の情報だから確かかどうかは知らないけど。」

 

「なんでよりによって犬に⁉︎どうせなら情報を説明できる人間にその情報を………」

 

「仕方ないだろ。犬は鼻が良いからね。材料の匂いも頭にインプットさしてやれば早く見つかるだろ?」

 

オウナはチロから手を離すと今度は「バッ‼︎」と叫んだ。

 

その瞬間目の前に砂ぼこりが舞い、その中から宇宙船のようなものが現れた。

 

船体は赤く、横の方に出入り口がついている。見ると、SFなんかで出てきそうな銃が前の方についている。

 

「これに乗っていきな。これで宇宙を旅して材料を探し出すんだ‼︎いいね?」

 

「あ、あの、他の地球人たちはどうするんですか?」

 

マリアムが宇宙船に驚きながら、我に返って質問する。

 

「安心しな。この星から奴らを追い出してからなんとかHope starに連れてくよ。まぁ、数は減ってるだろうけど………」

 

しばらくの沈黙の後、

 

「なんだ今の砂ぼこりは⁉︎そこに誰かいるのか‼︎」

 

とエイリアンたちの声が聞こえた。

 

「ち、見つかっちまったね。………もう行きな‼︎ぐずぐずしてる暇はないよ‼︎」

 

オウナはそう言うと俺たちを宇宙船に押し込む。

 

「いいかい、あんたたちにかかってるからね‼︎装置必ず完成させるんだよ‼︎」

 

そう言うとオウナは宇宙船のドアを閉める。

 

俺たちはしばらくあっけにとらわれていたが、

 

「い、急げ‼︎早くしないとエイリアンたちにこの宇宙船もやられちまう‼︎早く出発するんだ‼︎」

 

と操縦室へ駆け込む。

 

宇宙船の前の方に操縦室がついており、そこは結構な広さがある。しかし、電気がついていないのか、薄暗い。

全員が入ったものの、操縦席は一つしかなかった。

 

「お、おい、どうやって操縦するんだ⁉︎」

 

その操縦席の前にはたくさんのボタンがついていたが、何が何だか分からない。

 

ガン‼︎ガン‼︎

 

宇宙船が叩かれる音がする。

 

おそらく、エイリアンたちが宇宙船に乗り込もうとしているのだろう。

 

「早く‼︎エイリアンたちが‼︎」

 

「分かってるよ‼︎でもどれがどのボタンか分かんないんだよ‼︎なんかこの部屋暗いし‼︎」

 

俺とチャールズとジョーダンと康裕とショウちゃんでポチポチボタンを押しているが、ピクリとも動かない。

 

「くそ‼︎電気のスイッチがどれかも分からない‼︎」

 

「もう‼︎どいて‼︎」

 

マリアムが皆を払いのけると、手前のレバーをひいた。

 

ブルルルルン‼︎

 

車のエンジンのような音がする。

 

そして、部屋に電気がつき、いっきに部屋が明るくなった。

 

マリアムは操縦席に座り、なんかボタンをパソコンのキーボードのようにうっていく。

 

「発車するわよ‼︎何かにつかまって‼︎」

 

マリアムはそう叫ぶが早いか、

 

「発車‼︎」

 

と言って発車ボタンを押す。

 

「ちょ、ま、」

 

ゴー………

 

エンジンが点火する音。

 

それがしたかと思うと宇宙船全体が揺れ始める。

 

ゴゴゴゴゴゴゴ………

 

操縦室の窓のカーテンを開け、外を見ると宇宙船は既に宇宙へ出ていた。なんというスピードだろうか。

 

「ふぅ、もう大丈夫。無重力対応システムを稼働させたから普通に歩けるはずよ。」

 

マリアムはやりきったような顔でこちらを向く。

 

「な、なぁ、な、なんでマリアム操縦できんの?」

 

康裕が素朴な疑問をぶつける。

 

「え?」

 

「いやだからなんでマリアム操縦できたの?」

 

全くその通りである。他のやつら四人がかりでもどうにもならなかった操縦ボタンを一人で解決してしまったのだから。

 

「ああ、あたしのお父さん地球人が地球から出る時の宇宙船をつくる会社の株主だったから。株主優待であたしちょっと宇宙船操縦したことあるんだ。

オウナさんは優しいわ。わざわざ地球の宇宙船と同じ型の宇宙船を出してくれたんだから。」

 

マリアムは笑顔でなんかとんでもないことを言ってる。

ていうかあんたのおとんは何者やねん………

 

まあしかし何はともあれ宇宙に出たのである。

 

俺たちは黒龍重工のAIを止める装置をつくらなければいけない。

 

一体、どんな旅が待っているのだろうか。

 

俺は、不安と興奮の念で押し潰されそうであった。

 

 

 

 

 

 




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