でも今年中にあと一話くらいは投稿したいな………f^_^;)
とにかく小説お楽しみください‼︎
俺と康裕は刀を握りしめる。
ドンドン‼︎バギィ……バギ‼︎
ドアはもうもたない。
「ショウちゃんはさっきのところに隠れてて。」
そういうと、ショウちゃんは黙って隠れた。
準備はできた。来るなら来い‼︎…………あまり来てほしくないけど…………
ドンドン…………バギィ‼︎ガン‼︎グシャバキ‼︎
あの大きな宇宙人がドアを突き破り、バリケードを突破した。
「…………小僧ども…………観念しろ‼︎」
宇宙人がそう叫ぶのと同時に俺と康裕がどでかい怪物に飛び込む。
実を言うと俺は地球で剣道をやっていたので剣には自信がある。
「でぇぇい‼︎」
「ちぇすとぉぉ‼︎」
俺と康裕は刀で宇宙人を斬る。
しかしその怪物は皮膚がとても硬く、刀で叩いているといった方が良い。しかも全然攻撃が効いてない。ただカンカンと刀が弾かれる音だけが聞こえるのみである。
「光…………全く効かないぞ…………」
「…………くそっ‼︎」
カン‼︎カン‼︎
「ええいうっとうしい‼︎」
そうこうしているうちに俺たちは宇宙人にいとも簡単に弾き飛ばされてしまった。
「ふっ地球人はそんな原始的な武器しか持っておらんのか?弱い種族だな、フハハハハハハハ‼︎」
「ハァハァハァ…………くそっ‼︎もっと人数がいれば‼︎」
「くそっ‼︎最新式の銃があれば‼︎」
悔やんでもどうしようもない。ここには、二本の刀しかないのだ。
「では…………そろそろ死ぬか?」
その怪物はその手に持つ大きな銃をそちらに向ける。
もう本格的に終わりだ。
「くそー‼︎無念だ‼︎」
「Wait‼︎ alien‼︎」
声と共に部屋の外から弾丸が飛び、声の方に振り向いた怪物の頭を貫通した。
「グワァ‼︎」
その巨体がばたりと崩れ落ちた。血が校長室に広がる。
「Hikaru‼︎」
あっけにとられていた俺は、その声の主に目を向けた。
「チ、チャールズ⁉︎」
そこには、ついこないだ友達になったフランス人、チャールズがこの怪物の銃と同じくらいの大きさの銃を抱えて立っていた。
「Hikaru‼︎Are you okey?」
「アー…オーケーオーケー。」
「Oh……Nice!」
チャールズはいささか安堵したようだ。
しかしなぜチャールズがここに……
「アタシが呼びマシタ‼︎」
ショウちゃんが自慢げにスマホを見せる。ショウちゃんがスマホで連絡したらしい。
「でもオカシイな……ジョーダンにも連絡したハズなのに……」
そう言ってショウちゃんはチャールズと英語で聞く。例によって呆然とする俺。どうやら康裕も英語が分からないらしく、目が点になっている。
「おまえ、英語分かんないのにあいつらと友達なのか……?」
「いや……よく分からんけど…ノリで…………」
康裕がますます目を丸くする。
しばらくショウちゃんとチャールズのやりとりが続いた後、ショウちゃんがくるりと振り向き、叫んだ。
「タイヘン‼︎マリアムが他の宇宙ジンにツカマテ(注:捕まって)ソレをジョーダンが助けに行テルって‼︎ハヤク助けに行かなきゃ‼︎」
「何⁉︎マリアムが⁉︎チャールズ、どこでジョーダンは戦ってるんだ⁉︎」
俺の言葉をショウちゃんが通訳し、チャールズの言葉もショウちゃんが訳す。
「教室ダッテ‼︎ハヤク行こう‼︎」
俺と康裕とショウちゃんとチャールズは駆け足で教室に行く。
そこでは、さっきの怪物よりもさらにでかい宇宙人がその触手でマリアムを抱えて立っていた。
「Help me‼︎」
マリアムが懸命に叫んでいる。そして、触手を叩いたりして抵抗しているが、怪物は全く動じていない。
ジョーダンは、一人でその怪物に立ち向かうが、全く相手にならない。
「ジョーダン‼︎手を貸すぞ‼︎」
俺は刀を持ってその怪物に立ち向かう。俺は結構無鉄砲なほうだから、刀じゃ敵わないと分かっていても突っ込んでしまう。そして当然のごとく跳ね返される。
「光、駄目だ。刀じゃ相手にならん。」
康裕はそう言ってチャールズにさっきの銃を撃つようジェスチャーで伝える。チャールズも理解して、銃を怪物に構え、さっきよりも威力を強めて撃った。
ズドーン…………
しかし、その銃弾は触手に跳ね返されてしまった。ただ、煙を教室に広げるのみであった。
「Why⁉︎」
チャールズが思わず叫ぶ。あの俺たちを襲った怪物をいとも簡単に倒した銃弾が、あいつには効かない…………。
「くそ‼︎どうする⁉︎」
状況はどう考えても絶望的だ。
ドォーン‼︎
さらに、宇宙人の猛攻によって崩れかけている船のどこかが爆発する音が聞こえる。この教室が崩れるのも時間の問題である。
どうすれば…………
俺は、こういう時に役に立たない自分の頭を心底恨んだ。
「光‼︎」
ガラガラと船が崩れる音の中で、誰かが俺を呼んでいる。
「光‼︎おばあちゃんだよ‼︎」
ああ、おばあちゃんか…………へ⁉︎おばあちゃん⁉︎
「光〜弁当忘れてったでしょ。」
「おばあちゃん‼︎近づいちゃだめだ‼︎」
叫んだ時にはもう遅く、怪物の触手がおばあちゃんに伸びる。
「おばあちゃん‼︎危ない‼︎」
ほんの一瞬の出来事だった。俺が「危ない」と叫ぶのと同時に怪物は教室の床に倒れていた。
「空手三段、柔道五段のあたしをなめないでほしいね。」
おばあちゃんのドヤ顔。
空いた口がふさがらない友達たち。
しばらく俺たちは唖然としていたが、宇宙船の崩れる音を聞いて我に返った。
「は‼︎………早くこの船から出よう‼︎もうすぐ崩れるぞ‼︎」
「お、おう‼︎」
俺は、空手三段、柔道五段の元気なおばあちゃんと刀を持って緊急脱出用ボートの方向に走った。
「おばあちゃんあんなに強かったの?」
「何あんな弱っちいのちょろいわ。」
あんな弱っちいのね…はははは………
脱出用ボートの乗り場に着くと、そこにはたくさんの人で溢れかえっていた。
「俺を先に乗せろ‼︎」
「金なら出す‼︎だから先に乗せてくれ‼︎」
皆必死だ。
どうやら、警備兵によってなんとか宇宙人たちは撃退したらしいが、この宇宙船が壊れるのも時間の問題。こんなところにずっと居ては宇宙船と運命を共にしなければならない。
おそらく、宇宙人たちもそれを危惧して撤退したのだろう。
「皆さん落ち着いてください‼︎とりあえずまず病気の方、小さな子供さん、妊婦さん、ご老人を優先してボートに乗っていただきます‼︎」
職員らしき人がそう叫ぶ。
日本人はさすがである。こんな混乱の中でもきちんと指示を聞いて優先されるべき人々に道を開ける。
「ほらおばあちゃん。先にボートに乗ってください。」
職員の人が俺の背中に収まるおばあちゃんに声をかける。
するとおばあちゃんは静かに頷き、
「光、私も行くわね。」
と俺にそう囁いた。
「さ、おばあちゃん。私の背中に。」
「あら、私まだ歩けますわ。あの子におぶってもらったのはあの子たちが走るからだったのよ。」
おばあちゃんはサバイバルにはうってつけの人材なのかもしれない。
光はそうしか思っていなかった。
また自分もボートに乗ればすぐにおばあちゃんに会える。
そう軽く考えていた。
光は、この後唯一の保護者であるこの老婆に何日間も会うことができないとは、まだ思いもよらなかった。
では皆さん、よいお年を‼︎