ガンダムアーキテクトレイヴンズ 自堕落な一個人   作:人類種の天敵

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どーも!今回はタイトル通りにアレが登場、いや、長かった……。



依頼と粒子と白い閃光と

 

 

世界が誇る人類の至宝、フィオナ・イェルネフェルト。

ガンダムサンダーボルトのジオン軍の傷病軍人専用のコックピットやサイコザクなどを参考に、身体障害者専用のガンプラバトルシュミレーションシステムの開発等その他の科学技術で近年の技術発展、及びガンプラバトルに大きく貢献した現役の科学者JKで、去年はその功績を認められてノーベルガンプラ賞を受賞したことでその知名度を広げている。

いわば歴史的快挙を齢16で成し遂げた世界・歴代最高峰の天才と呼べるだろう。

 

「ノーベルガンプラ賞?」

 

「ガンプラ技術で科学に発展をもたらした人物に贈られる栄誉だ。例えばマシタとかいう奴のアリスタ技術とか、ニルス・ニールセンのプラフスキー粒子の人工精製技術。そして、フィオナ・イェルネフェルトの専用ガンプラシステムだ」

 

「へーぇ、よく知ってるね!」

 

「…………ネットサーフィンしてりゃな。そーいう名前、引っかかることがあんだよ………て、なに?お前、何時からいたんだよ……」

 

「烏丸がぶつくさ喋ってた時からだよっ♪おはぼっち!」

 

うるせーこんちくしょー。

 

………あれは、昨日、件のフィオナ・イェルネフェルトからメールを受け取った俺は、前世の記憶からフィオナ・イェルネフェルトへ『常人が見ても訳のわからない“ネクスト”名』をランダムに大量に送ると、あちらも『常人には分からない“リンクス”名』を全てランダムの順番通りに送ってきた。

 

(ビンゴ……、こいつは俺と同じ前世持ち。しかも、フィオナ・イェルネフェルトだ。これは俺の楽々ライフにかなりのアドバンテージがある)

 

フィオナ・イェルネフェルトとの邂逅に手応えを感じていると、彼女の方からライブチャットで話したいと要望があったのでチャットのための準備をして会話が始まった。

 

『初めましてリンクス。私はフィオナ・イェルネフェルトです』

 

「お名前どうも、俺は烏丸だ。それで、そのイェルネフェルト教授が俺に何を?」

 

『では、単刀直入に申し上げます。今回は貴方に“ホワイト・グリント”の製作を依頼するために来ました』

 

画面の中の少女は、確かにテレビやネットで見かける無愛想というか、冷めている感じというか……、周りが全てカカシに見える?違う、人に興味が無い?違う、誰もが幼稚に見える?違う………………、

 

自分以外、全て敵と見なしている?……そう、そんな“目”だ。

 

「……っ、ホワイト・グリント……。理由を聞いても?」

 

フィオナ・イェルネフェルトの目に今まで感じたことの無い若干の緊張と生唾を飲み込み、理由を尋ねると、彼女は待っていたとばかりに淡々と口を開いた。

 

『はい、私は自分と家族を1人で養うために現在の科学を、前世の記憶を頼りに発展させました。ですが最近は、それが原因で世界中から狙われています』

 

なるほど、命を狙われているからこそ、周りが敵に見えるわけだ。

 

「………納得した。で、それがホワイト・グリントの製作にどう繋がるんだ」

 

なぜ命を狙われている人間が、たかだかガンプラの作製を依頼するのか?

 

『ガンプラを、バトルシステム無しに自由に動かせる粒子を開発しました』

 

「……………………っ!!!!」

 

時が、呼吸が、心臓が、意識が、思考が、何もかもが一瞬、ほんの刹那の間、停止した。

そして津波のように全身に押し寄せる身震い、鳥肌、この女は、パンドラの箱を開けたものと同意義の言葉を唱えたのだ。

 

『プラモデルを動かせる程度には害もなく、およそ私以外には精製の出来ない緑色の粒子………、その名は』

 

「コジマ粒子………はは、マジか……」

 

そして、その言葉を知っているのは俺も例外ではない。

鋼鉄と繋がりし山猫にのみ許された機動、そして触れるモノ全てに干渉し、汚染し尽くす禁断の粒子。

俺は、それを知っている。

 

『私を狙う脅威から身を守るには、ホワイト・グリントがどうしても必要なんです』

 

「作る分には構わない。最も、本物の白い閃光と遜色のないクオリティで作製させて貰う」

 

俺は、知らず知らずのうちに両拳を握っていた。

当たり前だ、あの、伝説の“白い閃光”を俺が再現しようというのだ、興奮の一つや二つ、なんらおかしいことじゃない。

 

『ありがとうございます、リンクス』

 

彼女が初めて微笑んだようだ。

笑えば、年相応の笑顔を見せるようだな、と不躾に感じた。

 

「ホワイト・グリントを作る分には任せて欲しい。だが、動かす奴はいるのか?」

 

それは俺が唯一気にかけていたことだ。

ホワイト・グリントの操縦者は誰なのかと。

 

『それは、いずれ分かると思います。……すみません。今はこれくらいしか』

 

「いや、操縦者については俺が関わることじゃなかった。……うん、ホワイト・グリントの作製、是非やらせてくれ」

 

『感謝します、リンクス。……それでは、失礼します』

 

そこでフィオナ・イェルネフェルトとの会話は終了した。

 

 

 

 

そして今日がホワイト・グリントを本格的に作成し始めて2日目になる。

昨日はデッサンを参考に色々なMSを見て、調べて、参考にして、どれをホワイト・グリントのベースにするか考えていた。

 

それで、暫定候補に上がったのが機動戦士UCから“可能性の獣”ユニコーンガンダム。

 

頭部はユニコーンとガンダムSEEDのバクゥヘッドを組み合わせたようなデザインで、元と比べればより一角獣らしいデザインに変わっている。

特徴的なのは頭部の約4分の1程を占めるバイザーと、特徴的な角の背後に位置する大型の突起物、並びに左右に配置したポッド型のセンサーだ。

これだけを見れば既に初期のユニコーンガンダムからは遠くかけ離れたモノになっている。

 

コアはガンダムF91の物を更に尖らせ、流麗な線はそのままに騎士然としたフレームに改修する予定。

ベースとなるユニコーンのNT-D時の変形ギミックも搭載するため、コア上面の両側に蓋のような装甲を搭載する。

 

腕部・肩部は全てオリジナルになる。

NT-Dギミックと近接戦闘時に持ち込まれた時のためにユニコーンガンダムのビームトンファー部を腕部に固定するつもりだ。

他は………全てスクラッチするしかないだろう。

 

脚部はパラス・アテネやインフィニット・ジャスティスを参考にスクラッチ。

ギミック部分や腰部の小型サイドブースター機構も視野に入れて大きさを設定しなければスペースがギチギチになって機体重心が偏ったり上と下でスマートな姿が不細工になってしまう……慎重にやるしかない。

 

最後にバックパック。

………考える中で一番この工程がしんどいのではないだろうか。

一番近いのは、シナンジュか?

シナンジュ背面の推力偏向スラスターの両脇に、横一列の形をした大型の可変スラスターを増設。

更にこの大型スラスターの先端部にはミサイルコンテナなどの背部ウェポンを搭載可能なウェポンレールシステムを設置しておく。

 

 

……これで一応の完成となる。

実に機体の殆どがスクラッチになるだろう。

勿論ホワイト・グリント専用の高精度アサルトライフルと名銃ライフル、背部ウェポンの分裂式コンテナミサイルも弾薬・弾倉マガジン込みでスクラッチ。

 

スクラッチスクラッチスクラッチ、学校の授業は全てスクスクスクスクスクラッチ。

更には本機の塗装にNT-Dに変わる“専用システム”時の発光エフェクト等々盛り沢山だ。

 

「厳しい、だが見返りは十分だ。やる以外に選択肢は無いな」

 

報酬は聞いてないが、ガンプラシステムの特権やら何やらで稼ぎまくってるフィオナ・イェルネフェルト教授だ、まず金は大いにくれるだろう。

他にも夢を見るなら受け渡し後のメンテナンスや予備パーツ、弾丸・ミサイル作製などでも度々お呼びになるはずだ。

この仕事はデカイ、ガンプラビルダーではなく、アーキテクトを名乗るなら通らなければならない壁だろう。

 

 

 

 

「ふっふっふ、この依頼が終われば一気に億万長者(のはず)だ!貧乏ライフからも抜け出せて万々歳よのぉ……!」

 

「ふぉぁ、烏丸が輝いて見える〜!頑張れ〜」

 

朝っぱらから元気満々に登校し、どうでも良い話を両腕を組みながら聞いていると、突然クラス中がどよめき、教室の扉が開いた。

 

「今日からこのクラスの一員だ、仲良くしてくれ。じゃ、自己紹介を」

 

「はい。………今日からお世話になります。フィオナ・イェルネフェルトです。よろしくお願いします」

 

「アナトリア・イェルネフェルト」

 

多分キッチリとした白シャツの上に科学者の権威である白衣を着た、背筋のピンとなっている金髪の女。

その傍らにはボッとしているようでクラス中を隙なく観察している“同業者”の視線。

こいつら………………まさか。

 

「……………………は…っ、『いずれ分かる』って、そういう意味かよっ……!!」

 

俺の視線に気付いたフィオナ・イェルネフェルトが、ぺこりと頭を下げる。

教室の後ろの方である俺と真凛の更に後ろに机が2個追加され、フィオナとアナトリアの傭兵はそこに座るらしい。

 

フィオナ・イェルネフェルトは自分の席に着く途中、俺にだけ聞こえる声で小さく、

 

「例の依頼、よろしくお願いします。リンクス」

 

まったく、監視か、干渉か、はたまた逃亡か……そしてまさか、ホワイト・グリントのリンクスが“アナトリアの傭兵”とは。

 

つくづく、この依頼が楽しみになってきた。

 




主人公と違って前世の記憶をフルに使っている様子のフィオナたん。
せっかく転生してアナトリアの傭兵とのやり直し生活が始まったけど今度はフィオナたわの頭脳を狙ってアリアンやら企業やらの刺客がわんさかと……!
良かろう、ならば戦争だ!→みたいな感じでまあアナトリアの傭兵を過労死させry。

あっ、因みにNT-Dに変わるシステムは『LR-D』システムとなります。
中に何が入るか予想してみてね(前半二文字は即分かりそう)

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