ガンダムアーキテクトレイヴンズ 自堕落な一個人 作:人類種の天敵
「ふぅん?そんで、その企業やらがフィオナ・イェルネフェルトに何の用なんだ?」
すし詰め状態から抜け出した俺は、ひとまずガンプラを入れたリュックを背負った。
俺が作ったガンプラはケースに保管して直ぐリュックの中に入れたからこいつらには見られてないはず。
「私たちは、ただ、コジマ粒子……と言っても貴方には分かりませんでしょうが。ある可能性について彼女と話をするだけです。お引き取り願えますか」
「……………へぇ」
チリチリ、チリチリ、首筋の裏が。
ゾクゾク、ゾクゾク、背筋が目の前の眼鏡女と天パ男に意識を向ける。
頭が急速に冴え、熱が冷めていく、視界が広く醒めていく。
いつ、動く。
最近、自分がこの世界にどっぷり浸かってるのかが分かる、平和に、安全に、死と反対の立場に骨抜きにされてる。
牙を抜かれた山猫、しかしまあ、山猫の武器は牙以外にもある訳だろう?
「………不確定要素」
眼鏡女は取り出した手帳にボールペンでガリガリと書き出すと、一つ呟いた。
その隣で天パ男がゲラゲラと笑いながら小指を立てる。
「ハハー!分かっちゃったァ!君もしかして彼女のコレでしょ?」
さあ、なんて返してやるか?
そう思う前に口が開いてた。
「あぁ、まあ、そうかもな。で、それが?それがあんたとフィオナの関係にどう繋がるってんだ?」
「え、え?」
今回は怒ったフリかぁ……あ、真凛にフィオナ・イェルネフェルトにアナトリアの傭兵に……氷那乃さんも、そんな驚いた顔しないでよね、俺だって意識してやった訳じゃねーんだし。
なんだ、アレだ、体や脳に染み付いた無意識下の技ってやつだ。
どんな状況でも瞬時に把握して最適な行動を起こしてみせる、俺の生前にうんざりするほど叩き込まれた技術だ。
「君さぁ、名前、なんてゆーの?」
「烏丸だ。あんたらにどんな思惑があるか知らないけどさ、ヤルんだったらガンプラバトルにしない?ほら、そっちも怪我人とか出したくないでしょ」
さあ、まず最初の情報収集だ。
こいつらが、転生前の企業の連中なのか、そうじゃないのか。
「………あまりみないガンプラですね。自作ですか」
「いやー、駄作も駄作。まだまだですよ?」
プラプラと振ってみせるのは頭部が剣道の面防具に非常に似ているガンプラだ。
一応はランスタンというネクストACを再現したものだけど、これは本家がネタ機体だ、飾る事はあっても使う事はない。
「非常に不細工なガンプラだとお見受けします」
「えっぇーー!!?キャロリーン。あんなカッコイイガンプラのどこがダッセーのー!?うっわ、信じらんねぇ……マジかよ」
なるほど、一応国家解体戦争、リンクス戦争、そしてORCA旅団、これらの単語をこいつらは知らない事は確証出来た。
一応フィオナ・イェルネフェルトにも目線を合わせると、彼女もコクリと頷き、ケースの中にホワイト・グリントを収納した。
「そんで?本気で企業とガンプラバトル戦ろうってぇー?何か勘違いしてんじゃない。この雑魚虫は」
主任と呼ばれる男はスーツの中からガンプラを颯爽と取り出した、中がどうなってるのか一度確かめさせてもらえないかな、アレ。
「主任、OWGXを使うのですか」
「いやいや、ちょーっと目障りじゃない、だからどーしても叩き潰したくなっちゃって!ギャハハハハ!それにOWGXの試運転にも最適でしょ」
主任の青いXガンダムが台に置かれる。
全体の塗装は真っ青、脚部にはレガースのような増加装甲も追加されている。
しかし一番は背中のバックパック、これが実に気になる。
L字形に畳まれた大きなサテライトキャノンの他に円筒状のタービン?21基のガスタンク?が無骨に備えられていて、機体の不気味なアンバランスさ、禍々しさを象徴していた。
「こりゃ、マジでいかねぇとな」
手に持ったネタ機体をケースにしまい、リュックから黒いガンプラを取り出す。
「……ほぅ」
主任は俺のガンプラを見ると、スッと目を細めた。
黒いガンプラAC『ラファール』をGベースの上に置く。
装備は右腕部“04MARVE”、左腕部“02-DRAGONSLAYER、ハンガーに“KARASAWA”、背中バックパックのデュエルガンダムアサルトシュラウドにホワイト・グリント用に作成時に余りとして作らせていたSALINE05分裂ミサイルだ。
生前、VRシュミレーションや実戦で死ぬほど使った武器の情報は今も記憶に残っている。
弾丸の形状、数、弾速、おおよその威力、設計、etc……このおかげでオリジナル武器とカテゴリーされた中でもトップクラスのクリオリティのため、正直言って俺が負けるはずがない。
それにデュエルガンダムアサルトシュラウドのおかげでAALIYHAの弱点であるEN効率も解消している。
「ダメージレベルはCで」
「まっ、良いんじゃない?」
Gベースから英語音声が流れてバトル空間が形成される。
ダメージレベルC、制限時間無制限、フィールドは荒廃した大地A。
球状の操縦桿を操作して、ラファールは勢いよく飛び出した。
アクアビットマン?ハハハ使うわけねぇじゃんふおおおおぉぉぉぉ フオオオ(((卍(^ω^)卍)))フオオオ
まあやるとしたらアレだよねヅダだよねヅダビットマンだよね