ひょんなことから転生しました   作:雷蛇1942

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ファーストミッション:後編

 

 

あの後しばらく話していたがすぐに別れた

ただし、俺が光学迷彩を装備し追跡するためにだ

何故だかよくわからないが追わなければならない気がするのだ

 

ジャンヌを名乗る彼女の心を読んだ際に出てきた「イ・ウー」という単語

仲間に迎えるということを考えれば何らかの組織だ

だが俺は「イ・ウー」がどういうものか分からないし調べるツテもない

単独で追跡し、場合によっては組織に乗り込むかもしれない

仲間が欲しいところだ、後方から俺を支援してくれるような仲間が

 

「…(携帯?)」

 

携帯を取り出した彼女はさっき話した時とは全く違う声で

 

「白雪!俺だ!」

 

~sideキンジ~

 

タロットカードで占いをしている白雪を脇目に風呂に入っていると

 

「キンちゃんどうしたの?!」

 

脱衣所に白雪が突撃してきた

 

「は?なんだよ!」

 

「だって今電話で助けてくれって・・・」

 

「はぁ?風呂場から電話しねえよ」

 

「だ、だって確かにキンちゃんの声で・・・はっ!キンちゃんは、裸」

 

なんだこれ白雪が土下座してるぞしかも早口でなんか言ってる

 

「いや、それはいいから」

 

しかし妙だな、俺の声で白雪に電話がかかってきたのか・・・

 

~side響~

 

ジャンヌはすぐに電話を切った

何がしたかったのかは分からない、しかしひとつ分かった事がある

変装、変声の技術はかなり長けているということだ

 

「一度でも変装されたら見失いかねないな・・・」

 

スキマからソリッドアイを取り出し遠距離から追跡する準備を整える

最悪戦う事を考えると弾をゴム弾に変えCQCナイフをスタンナイフと取り替えておく

ついでに弾をゴム弾に変更したHK416Dもとり出し背中側にスリングごと回す

 

「さてと、ジャンヌが行動するまでの間どうやって時間を潰すかな」

 

現状無理矢理ステルスにしたクリサリスに追跡させている

キッドナッパーと併用して映像データを送信させ、そのまま追跡がバレないようにAIに命令を出しておいた

 

「俺と接触したことで多少なりとも行動するまでに時間を置くはず、それまでに今使ってる銃だけでもサプレッサーが使えるようにしたいところだ」

 

スキマからあらかじめ装備科で買っておいたサプレッサー用のハイダーを416Dに取り付けレッドドットサイトをつける

照準は適当に合わせておいた

ウォーリアーは一度スライドを外しバレルごとサプレッサー対応のバレルと交換した

スライド下部のマウントにレーザーサイトを取り付けておく、使うかどうかは別として

 

結局この日はメールを送った後は特に何も動かなかった

 

翌日の午前中に事態は急展開を迎えた

白雪が自ら姿を消したのだ

 

「徹夜で追跡してて正解だった、まさか第三備品倉庫にまた来ることになるとは思ってなかったがな」

 

独り言を呟きながら第三備品倉庫に向かって走る

なぜ走るかというとサーマルゴーグルを使わないとステルス状態にしてあるクリサリスにぶつかるからだ

外の状況が分かるよう索敵機として飛ばすにしてもこの巨体は考えものだ

キッドナッパーだけを索敵機として残しクリサリスをスキマにしまう

 

「全く、どうしてこうなるかな・・・」

 

響が扉の前に着いた時には既に遠山キンジが地下に向かうところだった

光学迷彩を使うことも考えたが周りから見えないと言うのは流れ弾が当たる可能性がある

 

「光学迷彩は使えないし見つかってもダメか・・・」

 

追跡者である響が目立つわけにはいかないので見つかってはいけないのだ

 

「・・・階段を使うか」

 

階段に向かおうとしたまさにその瞬間

 

「誰!」

 

後ろから高いアニメ声が聞こえる

 

「・・・同業者です、覚えてませんか?一度顔は合わせてるはずなんですが」

 

「分からないわね、そんなアイパッチ?みたいな物を付けられたんじゃ」

 

暗視装置代わりにソリッドアイをつけていたのが悪かったか、分からないと言ってきた

もちろん外す

 

「これでいいですか?」

 

「どこかで見覚えがある気が・・・そうだ!あかりの友達を倒した!」

 

「ええそうです、覚え方おかしい気がするので名乗っておきます。東京武偵校1年A組強襲科の黒羽響です」

 

「私はアリア、神崎・H・アリア」

 

知ってたとは言えない

シャーロックホームズの子孫でバリツという格闘技を得意としていることはちょっと調べればすぐに分かった

ソリッドアイを付け直し暗視機能を起動する

 

「先輩はどうするんですか?俺はここに用があるんですが」

 

「そうね、私も用があるわ」

 

チラ、とこちらに視線を送ってくる

先に行け、とでも言うように

 

「・・・分かりました、先行しますよ」

 

単独での戦闘が得意と聞いたが複数人でも戦うことがあるのか

そもそも自分は複数人での戦いはやった事がない

どういった立ち回りで動くか考えていると

 

「ここね・・・」

 

とアリアが声を出した

確かに足跡はこの先に続いている

 

「先に行きます」

 

先に部屋の中に入る

赤色灯で照らされた部屋は薄暗くかろうじて部屋にいる人間が見えるか見えないかくらいだ

 

二人くらいだろうか、話し声が聞こえるが会話の内容までは聞き取れない

キンッ!

甲高い金属音が響き渡ると同時に女性の叫び声が聞こえる

再び金属音が聞こえたが今度は地面を転がるような音だ

ここぞとばかりに明かりを付ける

 

「だらしないわね、まあバカキンジにしては役に立ったけど」

 

という声が聞こえてくるが俺は俺の行動をさせてもらう

運命を操る能力でこの後どうなるかを確認してあるので先に上の階に向かう

しばらくすると下の階から水が流れる音がし始めアリアが登ってきた

 

「遠山キンジと白雪が登ってこないのを見るとまだかかるか」

 

先にジャンヌの後方に回り込み

 

「動くな、少しでも動けばその頭を吹き飛ばす」

 

もちろんただの脅しだ、装填しているのはゴム弾だ

 

「また会ったな、だが前回ほど私は甘くないぞ」

 

俺に向き直り会話を続ける

 

「なに、ただ言いに来ただけだ・・・剣を折られたら投降しろ」

 

「私に降伏しろと?」

 

「そうだ、投降しろそのほうが俺にとっても、お前にとっても得がある」

 

「それだけか?」

 

「ああ、それだけだ」

 

「はははは、分かった。ただしお前の言ったとおり剣が折られたらそうさせてもらう」

 

心底面白いものを見たように笑う彼女はすぐに真剣な表情に戻り条件付きで投降するといった

 

「・・・アリアたちが来た、また会おう!」

 

「ああ、また会おう黒羽響」

 

急ぎジャンヌのそばを離れ戦いの行方を見守る

気が付けばジャンヌの姿はなくそこには白雪が立っているだけだった

 

 

激しい銃撃戦を繰り広げ、白雪とジャンヌが斬り合い

最終的にジャンヌの剣が白雪に斬り落とされることで勝敗は決した

 

彼女は宣言通りに投降した

剣を斬られたときの彼女はしばらく驚いたまま動かなかったのをよく覚えている

 




作者「再びやってきた自己満足あとがきコーナー」
ジャンヌ「自分で言うのか?」
響「何か吹っ切れたみたいだな」
作者「そうでもない、ただ開き直ってるだけだし」
響「あっそ、それでどうしてこうなった?」
作者「どうしてとは?」
響「いや、異世界転生ものってさ・・・主人公が暴れまわるもんだよな?」
ジャンヌ「そうなのか?」
作者「つまり何故裏方なのかってことか?」
響「そういうこと、なんでアリアたちと協力しなかったのかって聞きたかったんだ」
ジャンヌ「いや、あいつらに味方されても困るんだが」
作者「原作を大切にしているんだよ、あとはジャンヌが妙に無抵抗で捕まったからな。なんとなくやりたくなった」
響&ジャンヌ「それだけ?」
作者「それだけ」

今回だけ妙に長いのは前中後編だけだと収拾がつかなかったから長くして対応しました

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