では、続きを語るとしよう
現在時刻は午前6時。19時まで手動で航行、その後機関全力運転でアーセナルに曳航させた。とはいえせいぜい24ノットが限界だ。(アーセナルは一般的な原潜の速度と同じと仮定)
現在、高知県南約250kmの位置を航行中。
面倒だしこのまま行くか。よしそうしよう。
――大和を占拠しようとするものの影は、この時すでに見え隠れしていたのかもしれない
なーんてね
さて・・・話を戻すか。
事が起きるのは沖縄を超えてちょうど南大東島とかその辺を通過した頃だ。
単純計算で23ノットで航行して42時間だが、機関全力運転のアーセナルに曳航させ、大和が単体で22ノット出している状況下からならちょっとくらい速度は上がると思う。時間のかかる旅をしてもいいけども、少し飽きてきたという本音からちょっとだけ時間を止めて船を前進させることにした。無論スキマで移動するよなぁ?瞬間移動くらい当然だよなぁ?
というかこの先のフィリピン海は群島地帯で水深もところによっては浅く、なおかつ抜けるにはそれなりに手続きが必要で面倒だからっていうのが1番。あとはあれ、群島地帯を避けてオーストラリア側を周ると余計に時間がかかるので一気に黒海付近まで突っ切ろうという作戦だ。ただし俺は向こう出身ではないし場所を知らないと移動できないのでちょっと誰かに協力してもらう。
余談になるが俺は生前・・・といっても今生きてるけど、前の世界では俺ってば海外旅行経験ゼロだったりする。
まあ引きこもりだったしね、仕方ないね♂
冗談半分、本気半分だから、とりあえず大和の以外の世界の時間だけを進めて夜はフィリピン沖で停泊、休養後に早朝から飛ぶことにしよう。
後でパトリシアに出身聞きに行こう・・・多分イギリスだよな・・・初対面でイギリス英語話してたし・・・
「大丈夫・・・だよな。うん」
とりあえずは、太平洋をちゃんと進まなきゃ話にならない・・・全部後回しだな。
このスピードなら午後には目的地に着けそうだし、一回休憩して操舵はアーセナルの曳航に任せるか
少年休憩中...
やはり朝はコーヒではなく紅茶に限る・・・茶葉なんて持ってないから午後の紅茶だけど・・・
だけど美味いものは美味い。
「ふぅ・・・とりあえず進路は問題ないし、しばらくゆっくりできそうだ」
「休憩中失礼するわね・・・で、何?いきなり呼び出して」
艦橋にやってきたのはパトリシア、さっき呼んだからわかるんだが・・・傍らにはブレードウルフが一緒にいる
「お前・・・飼い慣らされたのか・・・」
『やめろ、そういう目で見るな。どうやらここでは戦わなくていいようだから彼女と一緒にいるだけだ。飼い慣らされてない』
「・・・そうか。パトリシア、お前出身ってイギリスか?」
先ほどの疑問をパトリシアにぶつける、出身くらい教えてくれるだろう。
「まあ、イギリスであってるわよ・・・なんで?」
「お前、シャーロックから俺の能力は聞いてるか?心が読めるとか・・・そういうの」
「ええ、まあ多少は・・・」
「なら話は早い、ヨーロッパに行くっていうのは知ってるよな?それで一気にイギリス方面に移動しようと思ってな?イギリスのどこでもいいから場所の記憶を借りようと思ってさ・・・」
「嫌よ!」
パトリシアはまるで何かに怯えているのを隠すかのように机を叩き怒鳴る。
いや、失礼なこと言ったのはこちらの非だ・・・
「すまん・・・不躾なことを言ってすまない・・・」
「あ、ごめん・・・いきなり怒鳴っちゃって悪かったわ。じゃあ、私は失礼するわ・・・」
少し落ち込み気味で艦橋を出て行くパトリシア、ウルフだけは残っている。
予想外だったな、あそこまで嫌がるとは・・・
はぁ・・・とりあえず、後で何かしらフォローしておかないとな・・・