ひょんなことから転生しました   作:雷蛇1942

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あれは誰だ誰だ誰だ

 

 

海保の哨戒艇?が大和に横付けし、縄梯子で甲板に乗り込んできた。

いやはやめんどくさい

 

「ようこそ戦艦大和へ。乗艦の前に軽く説明をさせていただきます」

 

「お、おう」

 

「まず本艦は名前通り“大和”です。レプリカなどではなく実物です。次に搭載している武装はいつでも射撃管制が可能な状態を保たれています。仮に本艦を占拠した場合は相応の対処を行わせていただきます。そして最も重要なのが・・・」

 

「?」

 

「危険ですので設備等に不用意にお手を触れられませんよう、お願いいたします」

 

「以上か?」

 

「はい」

 

「えっと・・・ん?つまりどういうことですか?」

 

「どうぞ、ご自由に見学していただいて構いませんよ。俺は第2主砲付近でやることがありますので」

 

「あ、はい。ではお言葉に甘えて」

 

よし、適当に2時間くらい見学したら満足するだろ

さっさとお帰りいただいて

第2主砲に行く理由つったらまあ、当然だがボスのAIだ。

AIに入れたコピーデータとオリジナルデータのネットワークを作って、思考?って言えばいいのかな?それをボスAI間で共有できるようにしたいわけだ。

当然だが、AIはG.W.と同様スキマの外に置いておくつもりだ。武偵寮に置いておくわけにも行かないが、どこに置くか。アーセナルなら常時オンラインに出来るからとりあえず今は空の“胃”にでも置いておけばいいだろう。

 

「ボス。進捗はどうだ?」

 

「コピー完了。義体を動かすために必要なデータの選定65%完了」

 

「オーケー。作業を続けてくれ」

 

改めてボス専用の義体を用意したいな。幸い戦闘用の外装を取り付ける前の義体ならいくつも余ってる、ありがたいね。これって普通にオーバーテクノロジーだよなぁ・・・

PLLLLLL・・・

ん?電話?

これは誰だ 誰だ 誰だ これは斎藤 斎藤和馬

まあいいや。着信ボタンを押して電話を受ける

 

「もしもし?どうした?」

 

「もしもし?いや、特に何ってわけじゃないが・・・暇だからお前の部屋に行ったんだが・・・」

 

「はっきりしない奴だな、俺の部屋がどうした?」

 

「わるいな。で、お前の部屋に何やら中学生くらいの女の子が居てだなぁ・・・いや、お前の趣味だったら別にかまわないんだが・・・」

 

もうオチが予想できた

 

「少し待ってろ、今行く」

 

電話を切る。

スキマを開き即座に自宅前に繋げる。カズは・・・いない!?まさか!

レッグホルスターからM1911Cを抜き自宅へと突入する。

 

「武器を捨てて両手を上げろ!跪け!」

 

「あ、おかえり~」

 

この女・・・そういえばまだコイツは俺が拒絶する前の姉か。ならわからんだろうな。それに、容姿や過去の経験などは俺の姉に似ていても別世界の人間に過ぎん訳だし別人と考えるべきか。

マイナスの思考をシャットアウトするために感情を操る。姉に対する苦手意識というものをピンポイントで消せるわけではないので恐怖という感情をまとめて消した状態にする。あぁ・・・しまったコレ状態的にはhigh(ハイ)ってやつだ。

 

「はぁ・・・わかったわかった。抱きつくな、暑苦しい」

 

「響~♥」

 

何なんだコイツは・・・全く、実の弟がいるだろうに

 

「それで?何しに来た?」

 

「ああ、そうだった。コレ、あなたの戸籍謄本。調べたけど今年の4月以前の戸籍がない。ここに来る前の戸籍は世界中のどこを探しても見つからなかった」

 

急に顔を真面目にして床に置いていた鞄から取り出した書類を押し付けてきた。戸籍か・・・どう言い訳するか

 

「・・・言わなきゃダメか?」

 

「言いたくなければ別にかまわないけれど?」

 

部屋に漂う沈黙を破ったのは予想外にもカズだった

 

「えっと、お前らがどういう関係かは知らないが。取り込み中のようだから退散するよ。暇ができたら声かけてくれよ響」

 

「おう」

 

部屋を出ていくカズの背中を見送り、視線を改めて姉、沙織へと向ける。

どうやって答えたものか。「異世界からきました」なんて行ったところで信じられるわけがない。むしろ馬鹿にしていると勘違いされかねん。

 

「俺は――」

 

いざ、誤魔化した内容を語ろうとしたところで言葉に詰まる。

何を言おうというのだ。

いや、彼女相手に俺の誤魔化しが通じないのは彼女よりも俺がよく知っている。

俺の知っている彼女は嘘をつく俺を見るといつも言っていたな。「響は嘘をつくとすぐ顔を背ける癖がある」とかな。俺はそんなつもりはないのだが・・・

 

「はぁ・・・オーケー、言えばいいんだろ?どうせあんたは信じないだろうが言ってやる。俺はこことは違う世界から来た」

 

「・・・なるほどね?嘘をついてる目じゃないわ。でも、それを信じるには無理がありすぎるわ」

 

「そりゃそうだ。突然自分は異世界から来たなんて言う奴、小説の主人公にもいるわけがない」

 

「でも・・・そうね。小説なら他人に信用してもらうために、互いしか知らない事を話すのがテンプレートよ?」

 

「それはタイムリープ系の話だ。これとそれとは話が違う」

 

第一よく話を聞く気になったな・・・

どうしたものか、一応真実は語った。むしろ脅迫観念からの自白だったけどな

世界が違うから俺と沙織の出来事と、こっちの響とコイツの出来事には差が出る。当然だ。某タイムマシンを作った中二病患者から引用すると、「世界線が違えば起きた事象に影響が出る」みたいなものだ。

世界が違うならば揺るぎようのない事実でも揺るぐことがある。

だが、世界が違っても変わらない事実があることを祈って、いざ

 

「そうだな・・・俺と兄貴が爺ちゃんの家で遊んでいたとき、庭の井戸に俺が誤って落ちたことに気がついて真っ先に助けに来てくれたのはあんただった。」

 

「・・・確かに庭の井戸に落ちたことがあったわ。そうね・・・じゃあその時のことについて更に深く掘り下げよう。その時にあなたの兄がとった行動は?」

 

あいつ何やってたっけ・・・確か、井戸に落ちたときあいつは・・・そうだ、急いで縄梯子を取ってくるって言って秘密基地と呼んでた屋根裏から梯子をとってきてる途中だったな。

結局沙織のほうが先に枝切りとかに使うような長い梯子持ってきたんだよな・・・間に合わなかった兄貴は随分と憔悴しきった表情だったっけ。懐かしいなぁ

 

「縄梯子を取りに屋根裏に行ったがあんたに先に俺がサルベージされていた」

 

「そうね。合ってるわ、本当に井戸が浅くて助かったわね」

 

合ってたよ・・・まあ、俺が8歳の時の話だからな。コイツからすれば1年前か

 

「よかったよかった。合ってたようでなによりだ」

 

「とりあえず、あなたが本物の響ってことがわかったわ」

 

うん、こういうのって正体明かしたら後が厄介な奴なんだよなぁ・・・

 


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