ひょんなことから転生しました   作:雷蛇1942

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若干の違和感:前編

 

 

バイクって・・・いいよね。でもさ、俺運転苦手な上にナンバー付いてなかったからほぼ違法なんだわ。で、結局空中を飛んでいるわけだ。気になったから一応サイファーとキッドナッパーに加えて子月光もあの豪邸に配備してきたから何かあればわかるだろ

 

「おお、あったあった。やっぱ(ふね)はいい」

 

最近の駆逐艦はすごいぞ。最高だ。

さて、さっさと降下して写真をだな・・・

 

「いいアングルあんじゃん。これだよこれ、この写真だよ」

 

昔ネットで拾った画像のアングルをそのままパクって写真を撮る。あ”~いいっすねぇ~

写真を撮ることに夢中になっていると背後から突然

 

「お兄ちゃん何してるの?」

 

「ん?写真を撮っていたんだよ。俺は富竹、フリーのカメラマンさ」

 

後ろを振り返ると何やら小学生くらいの女児が立っている。おいおい、今の学校じゃ知らない人に声をかけてはいけないって教えてないのか?

 

「富竹さん?」

 

「嘘です、すいません黒羽。黒羽響、気軽に響って呼んでいいよ」

 

「響?私はね、長瀬美夜(ながせみよ)っていうの」

 

おう、それで・・・なんで声をかけたんだ?

 

「響さんってもしかして武偵?」

 

「よくわかったね。そうだよ武偵だよ」

 

「左足の膝ポケットにちっちゃい鉄砲と、腰の後ろにナイフがあったからわかったの」

 

すげえ観察力なんだけど、確かに左足のポケットにはマカロフを隠し持ってるし、後ろ腰にはエアフォースナイフを装備してる。いつの間に見られてたのかわからんが只者じゃない(小並感)

 

「えっと、お父さんとかお母さんって近くにいるのかな?」

 

「いなくなっちゃったから探してもらおうと思っていろんな所にお願いしてるの。でも全部断られちゃった」

 

「・・・わかった、引き受けよう。お金はいらない、仕事としてじゃなくて個人的に受ける」

 

「え?」

 

「その依頼、俺が引き受けるって言うの。君の両親はいつごろからいなくなっちゃたの?」

 

「えっとね、一昨日の朝出かけてから帰ってこないの」

 

「一昨日ね、わかった。ちょっと待っててくれる?」

 

「うん」

 

近くにあったベンチに美夜ちゃんを座らせてから携帯を取り出し神風に電話をかける

数回のコール音を経て電話に出た神風はまるでダルそうに

 

「もしもし?何の用かしら?今忙しいんだけど・・・」

 

「大丈夫だ、お前が今まで寝てたのは大体わかるから。頼みがあるんだが長瀬美夜って女の子に関して情報を集めてもらいたい。両親が行方不明らしく一昨日から帰ってないそうだ」

 

「大の大人が二人2日帰らないってのはよくあることだと思うけどねぇ・・・わかったわ、調べておく。あ、もちろん依頼っていうことにしておくからお礼(おかね)はよろしくね」

 

「はいはい、5万くらい渡すよ。じゃ、頼んだぞ」

 

「はいは~い」

 

通話を終えた上で厄介事を引き受けちまったなぁと後悔しつつも、珍しく戦う必要がないので良かったと安堵する

手始めにこの子の身元を調べたいが、まずは神風から情報をもらわないとどうしようもないな

 

 

side和馬

 

響と別れてからはや30分、目的の家にたどり着いたがさて今日はいるだろうか

ピンポーン

インターホンを押すが反応がない、今日は家にいると思ったが仕事か?親戚のうちに来たはいいものの手土産を持って帰るのもなんか格好が悪い。

ポケットの中身を漁ってメモ帳とペンを取り出し、今日俺が来たことと手土産を美夜ちゃんにあげて欲しいことを綴ってポストに投函する。ちなみに中身は最近話題のスイーツだ。テイクアウト専用なので保冷剤が入っているがそう長く持つまい、だからといって帰っても俺が食うしかないわけだ。どうしたものか

 

「あれ?カズ?何してるんだこんなところで」

 

おいおい、天恵か?こいつなら冷凍保存くらいいくらでもできそうだな

 

「すまん響、お前食材とか冷凍できるか?今すぐ」

 

「?まあ、できるが」

 

「よかった~、それなら置いて帰ってもだい・・・じょう、ぶ?」

 

「あ、和馬お兄ちゃんだ!」

 

「おい響。お前いつ知り合いに?」

 

「さっき依頼を受けただけだ、この子の家だって言うからな。そういうお前は?」

 

「この子にこいつを渡しに来たんだけど」

 

すっかり拍子抜けだ、どうするか迷っているうちに本人が帰ってくるとは思ってなかった。

 

 

side響

 

カズとまさか合流できるとは思ってなかったが、親戚だって言うから重要な情報源だ。とりあえずはこの子の家の中で必要な情報が手に入ればいいが。

それにしても思った以上にでかい家だな

 

「カズ、すまんが美夜ちゃんの相手をしてやっててくれ。俺は金品が持ち出された形跡があるかみてくる」

 

「どうしてだ?」

 

「一昨日から両親が戻ってないらしい。それでな」

 

「了解」

 

このあたりでは珍しい2階建ての和風建築か、庭に関しては狭いとは言い難い広さがあり、庭の隅には鯉のいる池があり、砂利が敷き詰められている。流石に廊下はガラス張りになっている程度でそこから常に出入りができるような状態ではない。雨戸は無いようでシャッターを下ろすタイプのようだ

見たところ一回は基本的な生活スペースのようで両親の寝室と思われるものも1階にあった。2階は美夜ちゃんの自室などだろう

 

「・・・おかしい」

 

財布も携帯も置きっぱなしだ、仕事用と思われる鞄も置いてある、女性物の鞄もだ

財布も携帯も持たずに出かけるだろうか?絶対ではないが、普通はありえない。

充電器に差された携帯の履歴や、メールの内容に不審な点はない。突然どこかに消えたとも見れる状況だ。

しばらく部屋に立ち尽くし思案していると携帯が鳴った。ちょっとばかし驚きながら電話に出る

 

「もしもし?神風か?」

 

「ぶっぶ~!理子りんで~す」

 

「・・・えっと?どちら様で?」

 

「ひっど~い。先輩の名前も知らないなんて、ぷんぷんがお~」

 

とんちんかんすぎて話が進まない。理子、という名前には聞き覚えがあるような気がしないでもないがこの際どうでもいい。問題は何故神風の番号で理子と名乗る女が連絡を寄越したかだ

 

「えっとねぇ、神風ちゃんから頼まれて代わりに調べておいたの。長瀬美夜ちゃんの両親はそこらへんじゃ有名な地主みたい。借用地から入る収入の他にも研究事業もやってるみたい、人工筋肉とかクローン技術とか」

 

「クローン?」

 

「うん、川崎区の方に研究所を構えてるからその近くを調べるといいと思うよ」

 

「正確な場所を教えて欲しい」

 

「メールで送るから自分で調べて~」

 

突然電話を切られた。直後に研究所と思われる場所の住所が送られてきた。さて、ここに行けってことかな?

人工筋肉にクローンか。まためんどくさい感じになってきたぞ。聞いた内容から想定するに研究所の所長あたりで研究に没頭して家に帰るのを忘れてたってところかな?なんにしても小学生を家に置きっ放しって頭おかしい

 

「カズ、すまんが出てくる。何かあった時のために無線だけはオープンにしておけ」

 

「わかった。行ってこい」

 

家をカズに任せて目的地に向かう。状況がイマイチよくわからないため一応単独潜入任務(スニーキングミッション)として建物内に侵入することにする。

 

 

Now loading...

 

 

「カズ、スニークポイントに到着。待たせたな」

 

「了解、そこの構造について神風から連絡があった、繋げるぞ。」

 

「聞こえる?その建物の地上部分の大半ではソフトアクチュエーターの機械研究研究設備になっていて、今回用があるのは地下部分、クローン及び人工筋肉の研究施設。上部と下部では所長格が違うみたいだけど総所長っていう役職に長瀬っていう名前があったわ」

 

「了解、で?所在は?」

 

「それが地下3階と最上階のマップがなかったのよ」

 

「つまり両方調べる必要があると?」

 

「そういうことよ。じゃ、後は頼んだわよ」

 

「カズ・・・長くなりそうだ」

 

「そうみたいだな」

 

「行ってくる、OUT(通信終了)

 

通信を終え、中腰姿勢からスっと立ち上がり施設正面の警備を確認する。

警備員が2人駐車場に入る道路で検問を行ってるな。その他に監視カメラが1、2、3・・・8台か

光学迷彩でごまかせる範疇ならいいが最近じゃ熱感知で作動するカメラもあるからな、地下から行くか。近くにあったマンホールの上で壁抜けを行い下水管に入る、下水管は思った以上に狭く、足元を流れる水流のほかは中央に無駄にごつい機械みたいな金属が一定間隔にに並んでいる。・・・どうして下水管中央にそんなものが?

近寄ってよく観察したいがほとんど光がないのでソリッドアイの暗視機能を起動して文字を読むと『IRVING』と書かれている。

IRVING→アーヴィング→月光

 

「これ月光か・・・?」

 

『m』

 

瞬間、響の脳裏には今までの人生が走馬灯がごとく走った。そしてその中に一つこの状況を説明する月光の機能があった。冬眠。製作者の性格の悪さがよくわかるよ。

それはそれとして時間は止まってはくれないので当然

 

『モ~!』

 

はい、アラート状態どうもありがとうございます。それにしても実際の月光よりも若干大きい。足が太い・・・全体的に気持ち悪く仕上がってるな。

なんでこんなところに月光があるのかは置いておくにしても、とりあえず破壊しないとな。

スキマを開いてM82A2バレットを取り出す。初弾で制御機構を破壊したい。月光のような何かは身震いをしてから攻撃態勢に入った。元MGSプレイヤーとしては動きが遅いとさえ感じる位ノロマだ。

月光の頭部に当たる部分に照準しトリガーを引き絞る。レールガンほどの威力はないが月光の頭部装甲くらいならば貫通できる。が、どうだ?全くダメージになっている気配がない。確かに命中したはずだが貫通していないのか?もしかして通常の月光よりでかい分装甲が厚くなってるのか?

 

『モ~!』

 

月光は片足を上げ踏みつぶそうと攻撃をかけてくるがやはり遅いので難なくよけられる。しかし、どうするか。高周波ブレードなら切り落とせるが振れるだけのスペースはない。さて、困った。俺の持っている装備といえば・・・戦車砲?250kg爆弾?いやいや、そんなの使ったら俺まで巻き込まれる。あ、そうだ(唐突)破壊すればいいならフランの能力を使えばいいじゃん。俺頭良いな。

 

「主に制御機構付近をギュッとしてドカーン!」

 

『――!』

 

音にならない音を発声し、力なく地面に崩れ落ちる月光。さて、他が動く前にさっさと回収して後で分解しよう。スキマにしまい込み、改めて進行方向を確認し前方を確認する。さっきは狭かったから回避には後退することになったが、あっちは若干広いから十分動けそうだ。他に月光は見当たらないから進んでも問題ないな。

 

「・・・参ったなぁ」

 

赤外線センサーが見える。

距離が離れてたら見つけられなかったが近寄ってみると結構張り巡らされてる。

センサー類のまとまっている場所から伸びたケーブルの先は――C4。

オーソドックスなプラスチック爆弾で世界各国の軍が使っている。3.5kgあれば200mmの鋼鉄製扉でも切断できる。

目測では大体25kgはあるな。これだけあれば壁を落盤させて侵入者を殺害できるだろう。さて、レーザー照射をしてる制御盤を破壊して。C4に近づく。

 

「とりあえず冷却すればいいかな?」

 

スキマからMGS2の冷却スプレーを取り出し起爆装置を冷凍して爆発を防ぐ。

全く地下なら簡単に侵入できると思ったが・・・想定以上に警戒してるな。後は15m位先に行ってから上方に上がれば地上1階につく。落ち着いてる今のうちにカズから現状のマップデータを送ってもらおう。

 

「こちらウルフよりHQ。マップデータを送ってくれ」

 

「こちらHQ了解。マップデータをアップロードする」

 

「助かった。over」

 

マップも手に入れたし、さっさと侵入して地下3階に向かおう。

壁をすり抜けるために一回飛ぶ必要があるため一度空中に上がり、壁に沿ってゆっくりと移動する。流石にこれ以上のトラップはないだろう。iDROIDでマップを確認しちょうど真上が地下1階の備品倉庫のようで監視カメラはマップには書かれていないから考慮する必要はないだろう。追加で付けられてなければだが。

 

「失礼しまーす・・・誰もいないな、監視カメラもない。よしよし、上出来上出来」

 

無事侵入成功。下水管より深い地下2、3階ってどのくらい深いんだ?

それはそれとして、まずはここから階段を目指しつつ、できれば情報が欲しい。

部屋から出る前に光学迷彩を起動して姿を消す。

部屋を出て廊下に沿って歩くと、目の前にエレベーターを見つけた。左右を確認すると左にしばらく行くと非常階段があるようだ。エレベーターは見つかるリスクがあるから階段で行こう。

 

 

side狂夜

 

「義手の交換に来たのはいいけど。お前まで来た意味あるか?」

 

「そう言わないでくれよ。こうやって君についてこないとその義手の仕掛けがわからないじゃないか」

 

「あんたは上でアクチュエーターの研究でもしててくれよ。パワードスーツみたいな奴さ」

 

「やったけど量産するには向かないし着脱するのには専用機械が必要になっちゃったからね」

 

「馬鹿だろお前」

 

「酷いなぁ・・・」

 

義手を外すための準備があるため待合室のような場所で待機している状態だが。地上の室長?所長?みたいな奴に捕まった。いや、以前にはここで監禁されたけど。

 

「どうも、準備できたからそこのクソ野郎の顔面に裏拳をお見舞いしたくなる前に交換しようか」

 

「誰がクソ野郎だ、そういうお前こそ研究所の穀潰しって有名だぞ」

 

「おいおい、機械的にしか出力できない人工筋肉と生物的に動作する人工筋肉どっちが優れているかは火を見るより明らかだと思うのだがね?」

 

「はっ!甘い、最大出力時の耐久時間ならこっちのほうが明らかにこちらに利があるぞバカめ!」

 

「んだとゴラァ!」

 

「やるか!?」

 

「テメェらいいかげんにしろや!!二人共頭以外吹き飛ばすぞバカヤロー!!」

 

「「すいません!許してください、なんでもしますから」」

 

「ん?今何でもするって?」

 

「「えっ。それは・・・」」

 

 

side響

 

階段を降りて左右確認。敵影なし。

 

「さて、青図と比較しても階段がありそうな場所は見当たらない。地下3階に行くには・・・」

 

「テメェらいい加減に(ry」

 

・・・気のせいだな。知り合いの声が聞こえたのはやっぱり気のせいだ。うん。よし、バレないうちにさっさと通り過ぎよう。

ギャーギャー騒いでいる連中の後ろを通り過ぎようとしたまさにその瞬間。

バチッ――ジジジ・・・

おっと?バッテリーが切れた。つまり光学迷彩は解除されたわけで・・・?

 

「・・・おい。お前ここで何してる。」

 

「僕、ちょっと誰に話しかけてるかわからないっていうか・・・」

 

「おや?知らない武偵さんが忍び込んでいるようですねぇ」

 

さっき淫夢ネタに走ってた研究者A!黙れ!

 

「おやおやおや?面白そうな物を持ってるじゃないですか」

 

おい!研究者B!高周波ブレードに目を付けるな!コイツはやらんぞ!

 

「・・・ザ・・・」

 

「「「ザ?」」」

 

「ザ・ワールド!時よ止まれ!」

 

困ったら時間を止める癖治したいなぁ・・・

 

「動き始めたらまた厄介なことになりそうだけど・・・情報欲しいしなぁ」

 

結局仕方がないので時間を動かす訳だ。嫌だなぁ・・・

時間が動き出して周囲3人が「?」みたいな反応をし始めたあたりでパァンッ!と一拍手を打ち静かな状態を作り出す。

 

「よし。質問するぞ?いいな?よし。地下3階に行くための階段はどこだ?」

 

「地下3階?それならそこの角を――」

 

研究者Bが階段のあるであろう場所を説明しようとした時、その声を遮るようにして不健康そうな声色の男性が登場してきた

 

「困るなぁ。勝手に地下倉庫の場所を教えてもらっちゃこっちの都合が悪い」

 

「長瀬さん。どうしてここに?」

 

長瀬・・・こいつか。思っていた以上に老けて見えるが、気のせいだろう。胸元のプラカードを見るに名前は・・・長瀬雅弘(ながせまさひろ)か。名前のイメージに反して見た目がアレだな・・・思ってたより痩せてるな

 

「おや?二人ともお揃いかい?なら来月の研究費に関して話が・・・」

 

「すまない。俺はお節介焼きの黒羽響っていうんだが。あんたの娘さんがいつまでたってもあんたとあんたの奥さんが帰ってこないって心配している。帰って安心させてやってほしい」

 

「美夜が?そうか・・・妻は今上の部屋にいる。妻の説得も含めて話を聞かせてもらえるかな?」

 

「え?いや、普通に自宅に帰ってもらえればそれでいいんですが・・・」

 

「すまない。うちの妻は一度熱が入ると抜け出せなくなるんだ。どうにか説得してくれないか」

 

「・・・別にいいっスけど・・・美夜ちゃん達待ってますし」

 

「ああ、できるだけ早く済ませよう」

 

地上3階に向けてエレベータを使って移動し、総局長室前に続く廊下を移動しながらふと思い出したことを聞いてみることにした

 

「・・・あ~。そういえば下水管の中に『IRVING』って書かれた二足歩行の化け物みたいなのいましたけどあれは・・・?」

 

「あれは私の趣味だ。・・・ちょっとまってなんで下水管の中に入ってたの?!」

 

「いや、ほらこういう研究所ってアポなしとか職員証みたいなの持ってないと受付とかで追い返されるでしょう?」

 

「あぁ・・・そういう・・・あ、下水管の中にC4仕掛けてたけど大丈夫だった?」

 

「C4はセンサーを壊して起爆装置を冷凍してあるので向こう24時間は起爆しないと思いますよ。というか、何故『IRVING』えっと月光でしたっけ?なんかが大量に?」

 

「さっきも言ったけど私の趣味だよ。ああ、名乗り遅れたね私は大谷、大谷将巳(おおたにまさみ)という。地上3階以外と地下の備品倉庫を任されている、専門はアクチュエーターだ。アレの足もアクチュエーターで作ったんだよ。C4はそこの卵の殻の中にある薄い膜みたいなやつの研究室を埋め立ててやろうと思って設置したんだが動体センサーしか手に入らなかったからとりあえずそのまま仕掛けておいただけだ」

 

「おいおい、あれはウチとコンペで競って負けた産業廃棄物だろ?まだ片付けてなかったとは驚きを隠せないね。俺は吉岡大祐(よしおかだいすけ)主に動物性の人工筋肉を研究している。C4の件に関しては後でじっくり話し合う必要がありそうだし、卵の殻の中の膜は結構重要なものだから。ただの生ゴミじゃないから」

 

「そこの大谷っていう奴は俺を地下に閉じ込めた挙句モルモットとか言っちゃうくらいのクソ野郎だから気をつけろ」

 

「辛辣ゥ!!あれは「過ぎた話だとでも?」いえ何でもありません」

 

狂夜よ、お前も苦労してるんだな。大谷は大谷で立場ねぇ・・・さっきから長瀬さんは黙ってるし、そんなに困ったことがあるのだろうか。なんにしてもこの変な空気どうにかしてくれよ!!

 

「ここだよ。ここが私の研究室兼総局長室だ。私は主にAIの研究を専任している。妻はプログラムの不具合を見るデバッグが主な仕事だ」

 

長瀬さんを筆頭に部屋の中へと入っていく。カーテンで締め切られ薄暗い部屋の中は配線や実験機と思われる小型のロボットや実験資料などが地面に散乱しており見るからにザ・研究室という雰囲気を醸し出している。その惨状を見てか最初に狂夜が口を開いたと思えば

 

「うはぁ・・・散らかってますね」

 

という、素直な感想を話してくた。

 

芳恵(よしえ)お客さんだ。芳恵?」

 

「なぁに?来客なんて聞いていないのだけど?先に言っておいてもらわなくちゃ困るわ」

 

部屋の奥から声が聞こえては来るのだが姿が見当たらない。しばらく待つと何やらモーターの駆動音が聞こえ、何か透明なものが空間を移動するようにして移動してくるのが確認できる。

 

「今は手が離せないの。申し訳ないけどコレでの対応を許してください」

 

移動してきたモノの全身が少しずつ色を塗るようにして見えていく。その姿は台形のような頭部に丸みを帯びつつも機械らしい形をした胴体、右腕の代わりに薄い液晶モニター。脚部は二足歩行しつつもタイヤ駆動で逆足をうまく利用してバランスを取っている。その姿はまさしく

 

「Mark-2!!」

 

ここは何かと見覚えのあるものが多いと思ったらメタルギア系のものをよく見るのか。どうりで月光やらMGS2が如しC4が設置してあるわけだよ。偶然じゃなかったんだ

 

「あら?知ってるのかしら?まあ3年前のゲームだものね、知らないなんてのもおかしな話ね。ここでメタルギアの装備や兵器を研究しているのは私とそこの二人よ。夫からは理解が得られなかったわ」

 

「二足歩行する必要性はないだろう?まあロマンは感じるが」

 

あっれ?シギントとかと違って無限軌道でいいとか言わないんだ。心得てるなぁ

 

「・・・よく国に認可されてると思うよ」

 

「狂夜、そういうこと言うな。実際何かしらの成果は上げてるんだろう?」

 

「特に上げてた覚えは・・・ああ、無人機関係で実績出てたか。ほら、ロボコンとかのスポンサーになってるぞ」

 

「へぇ・・・興味ねぇ」

 

まあそれはそれとして。Mark-2のモニターに映っている女に対して敢えて言うことがあるとすれば・・・

 

「美夜ちゃんが家で待ってます。見ず知らずの俺から言うのもアレですが帰って安心させてやって欲しいです」

 

「分かったわ。でも少しだけ待って、このプログラムだけ動作確認してからすぐに準備するわ」

 

「そうですかぁ・・・やっぱり無理か・・・ん?今なんと?」

 

「そういうのいいから」

 

「あ、はい」

 

そっかぁ、どこまで行っても人の親ってこういうもんなのかなぁ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

親父――




作者「どうも、お久しぶりです。約1ヶ月振りの投稿ですね。流石に8600文字書くのは疲れた」
響「おう、久しいな。珍しいじゃんいっつも1000文字前後だろ?」
作者「まあ、たまには頑張ろうと思ったらこれだよ。さて、今回はMGS系の武装が登場しましたね」
響「C4あたりがやっぱり意味不明だけどな」
作者「手厳しいね、でも意味不明を取ったらこの作品ってなに?ってなるしいいと思うけどね」
響「それはお前の判断するところじゃない」

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